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ヒロシマ・ナガサキの記憶、その現代的位置

ドキュメント内 2000年度 (ページ 191-200)

第 5 章 マスカルチャーにおけるヒロシマ・ナガサキの表象

第 3 節 ヒロシマ・ナガサキの記憶、その現代的位置

以上に検討してきたように、第 1 章で筆者が呈示した公的記憶生成のダイナミズムは、

ヒロシマ・ナガサキの記憶の生成という事例においてはほぼ妥当であったと結論づけられ る。

で齟齬をきたしたままであり、戦後日本の核政策が抱えてきた矛盾も未解決のままである。

世界が核拡散・核テロ、核汚染といった新たな課題と向き合っている今、日本は自らの侵 略や加害行為を認め、これらに真摯に向き合っても尚、原爆投下という過去の出来事は正 当化されないのだと主張し得るだけの根拠を世界に示さなければならない。そしてその上 で、なぜ核兵器は廃絶されるべき存在であるのか、なぜ原子力の平和利用のあり方を国民 皆で真剣に検討しなければならないのかといった議論をしていかねばならない。

今後もジャーナリズムやマスカルチャーの場を中心に、ヒロシマ・ナガサキの過去の意味 や位置を問い直し、現代における意味を問う試みが繰り返されていくのだろう。「周辺の記 憶」の発見が新たな公的記憶を生成させ、それが「国家の記憶」も揺り動かすという「歴 史の記憶」のダイナミズムの中で、直接体験者が失われていけば尚のこと、ヒロシマ・ナガ サキの現代的位置は厳しく問われ続けていくであろう。そして、その積み重なりの中で時 間と空間を越えた普遍的な意味を呈示することができた時、ヒロシマ・ナガサキは国境を越 えて強く世界に記憶されるのかもしれない。

あとがき

筆者がヒロシマ・ナガサキの研究に携わるようになって、今年で5年目になる。この博士 論文のテーマを追求しようと思った契機は、修士論文で「日米の原爆観ギャップ」を取り 上げた際に、「そもそも日本に全国民が共有する原爆観があるのか?」という素朴な疑問が 沸き起こったからであった。素朴な疑問からスタートした本研究はしかし、その後「歴史 の記憶」や「記憶と表象」といった筆者にとって未知の領域に関心を広げた為に、想像以 上に時間と忍耐を要するものとなった。調査研究の多くは、図書館や資料館にこもって黙々 と該当する資料を探し、ひたすらにページをめくり記録し続けるという孤独な作業との闘 いであった。

こうした地道な作業を 3 年半に渡って続けていくことができたのは、周囲の多くの方々 の励ましと適切な助言があったからであることは言うまでもない。筆者が博士課程に在籍 してから 3 年半という歳月に渡って、筆者の研究に関心を寄せ、テーマの明確化や研究の 進め方に対して適切な助言を与え、励まして下さった指導教官の篠原初枝先生、そして大 学院修士課程に在籍していた際の指導教官であり、筆者がこの問題に関心を向ける環境を 整え、今日まで時に厳しく時に暖かいご指導と励ましを与え続けて下さった西川潤先生に 対して、何より心からの感謝を捧げたい。また、本論文の審査委員を快諾頂き、歴史認識 や歴史の記憶についての筆者のつたない知識や考察に対して、専門的な立場から多くの御 指摘を下さった後藤乾一先生、御自身がコーディネイトされている早稲田大学の講座「21 世紀の戦争と平和」の中で未熟な筆者に研究の成果を発表する機会を与えて下さり、また 社会学・平和学の専門家の立場から新しい視点をもたらして下さった多賀秀敏先生にも、

心から感謝したい。更に、毎週火曜日の午後にゼミの仲間たちと議論を交わし合った経験 は、筆者の研究を進める上でおおいに刺激となった。日常生活の忙しさに埋没し、研究が 思うように進捗しないことに落ち込む時にも、ゼミの仲間たちが国籍や人種を超えて筆者 の研究テーマに常に関心を寄せてくれたことは、長期にわたる研究を継続する上で大きな 励ましとなった。そして、学会や研究会の場で出会った同じ問題に関心を寄せる多くの先 輩や友人たちの存在もまた、孤独な作業を進めていく上で励みになった。

ヒロシマ・ナガサキというテーマは、追求すればするほどに新たな課題が生まれてくる奥 深いテーマだ。本研究を終えて改めて、筆者はまだほんの入口に立っただけに過ぎないの だとしみじみ思う。ヒロシマ・ナガサキの普遍的意味とは一体何なのか。本命題に対する自 分なりの答えを見つけ出すまでの道のりはいまだ遠い。しかし、この研究を第一歩として その遠い道のりを歩き出すことができたらと思う。

最後になったが、本論文を書き上げるに当たって家の事をおろそかにし放題であった筆 者を、終始励まし見守ってくれた家族にも心から感謝の意を表する。

 

文献目録

【一次資料】

第2章 小学校教科書

[1] 東京書籍『新しい社会6』(1953年、1954年、1955年、1956 年、1958年、1961年、

1965年、1967年、1968年、1971年、1974年、1980年、1983年、1986年、1989年、

1992年、1996年、2000年、2002年、2006年各々の発行版)

[2] 光村図書『社会6上』(2006年発行版)

[3] 大阪書籍『小学社会6年上』(2006年発行版)

[4] 教育出版『小学社会6上』(2006年発行版)

[5] 日本文教出版『小学生の社会6上‐日本の歩み‐』(2006年発行版)

[6] 『小学国語』大阪書籍(1953年、1954年、1957年、1961年、1965年、1969年、1992 年、1996年、2000年、2002年、2006年各々の発行版)

[7] 学校図書『小学校国語 六年』(1952年、1955年、1957年、1961年、1965年、1968年、

1971年、1974年、1980年、1983年、1986年、1989年、1992年、1996年、2000年、

2006年各々の発行版)

[8] 教育出版『ひろがる言葉 小学国語』(1952年、1954年、1955年、1958年、1961年、

1965年、1968年、1971年、1977年、1980年、1983年、1992年、1996年、2000年、

2002年、2006年各々の発行版)

[9] 東京書籍『新しい国語 六年』(1953年、1956年、1961年、1965年、1968年、1971年、

1974年、1977年、1977年、1980年、1983年、1992年、1996年、2000年、2002年、

2006年各々の発行版)

[10] 光村図書『国語六 創造/希望』(1954年、1955年、1959年、1961年、1965年、1968

年、1971年、1974年、1977年、1980 年、1983 年、1986年、1992年、1996 年、2000 年、2002年、2006年各々の発行版)

中学校教科書

[11] 東京書籍『新しい社会』(1954年、1955年、1956年、1958年、1966年、1968年、1969

年、1979年、1982年、1985年、1987 年、1991 年、1997年、2002年、2006 年各々の 発行版)

[12] 日本書籍新社『わたしたちの中学社会‐歴史的分野‐』(2006年発行版)

[13] 清水書院『新中学校歴史 改訂版‐日本の歴史と世界‐』(2006年発行版)

[14] 教育出版『中学社会歴史‐未来をみつめて』(2006年発行版)

[15] 大阪書籍『中学社会歴史的分野』(2006年発行版)

[16] 帝国書院『社会科中学生の歴史‐日本の歩みと世界の動き‐』(2006年発行版)

[17] 日本文教出版『中学生の社会科歴史‐日本の歩みと世界‐』(2006年発行版)

[18] 扶桑社、『改訂版 新しい歴史教科書中学社会』(2006年発行版)

[19] 光村図書『国語』(1952年、1955年、1956年、1959年、1962年、1966年、1969年、

1972年、1975年、1978年、1981年、1984年、1987年、1990年、1993年、1997年、

2002年、2006年各々の発行版)

[20] 東京書籍『新しい国語』(1953年、1957年、1960年、1962年、1966年、1969年、1972

年、1975年、1978年、1981年、1984 年、1987 年、1990年、1993年、1997 年、2002 年、2006年各々の発行版)

[21] 三省堂『現代の国語』(1952年、1955年、1957年、1959年、1960年、1962年、1966

年、1969年、1972年、1975年、1978 年、1981 年、1983年、1990年、1993 年、1997 年、2002年、2006年各々の発行版)

[22] 学校図書『中学校国語』(1952年、1953年、1954年、1955年、1957年、1960年、1962

年、1966年、1969年、1972年、1975 年、1978 年、1981年、1984年、1990 年、1993 年、1997年、2006年各々の発行版)

[23] 教育出版『伝え合う言葉 中学国語』(1953年、1956年、1958年、1962年、1966年、

1969年、1972年、1975年、1978年、1981年、1984年、1987年、1990年、1993年、

1997年、2002年、2006年各々の発行版)

高校教科書

[24] 『詳細日本史』山川出版社(1952、1960、1967、1969、1977、1978、1981、1983、1984、

1988、1991、1992、1994、1998、2004年、2006年各々の発行版)

[25] 『新選日本史B』東京書籍(2006年発行版)

[26] 『高校日本史B』実教出版(2006年発行版)

[27] 『高等学校日本史B』清水書院(2006年発行版)

[28] 『新日本史B』桐原書院(2006年発行版)

[29] 『日本史B』三省堂(2006年発行版)

[30] 『高等学校最新日本史』明成社(2006年発行版)

[31] 第一学習社発行の国語現代文教科書(1973年、1974年、1975年、1976年、1978年、

1979年、1980年、1981年、1983年、1984年、1986年、1987年、1989年、1990年、

1992年、1993年、1994年、1995年、1996年、1999年、2000年、2003年、2004年、

2006年各々の発行版)

[32] 東京書籍発行の国語現代文教科書(1963年、1967年、1970年、1971年、1972年、1973 年、1974年、1975年、1976年、1977 年、1978 年、1979年、1980年、1981 年、1983 年、1987年、1990年、1993年、1994 年、1995 年、1996年、1998年、1999 年、2000 年、2004年、2006年各々の発行版)

[33] 筑摩書房発行の国語現代文教科書(1963年、1964年、1965年、1967年、1968年、1970

年、1971年、1972年、1973年、1974 年、1975 年、1976年、1977年、1978 年、1979 年、1980年、1981年、1983年、1986 年、1989 年、1990年、1994年、1995 年、1996 年、1998年、1999年、2000年、2004年、2006年各々の発行版)

[34] 大修館書店発行の国語現代文教科書(1955年、1958年、1961年、1981年、1984年、

1987年、1990年、1995年、1996年、1999年、2000年、2004年、2006年各々の発行 版)

その他

[35] 文部科学省(2008)「新しい幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導 要領の公示について[文部科学大臣談話]」

[36] 文部科学省(2008)「高等学校日本史教科書に関する訂正申請について(沖縄戦関係)

[文部科学大臣談話]」

[37] 文部科学省(2007)「平成18年度高校歴史教科書検定結果」

[38] 文部省(1999)「義務教育諸学校教科用図書検定基準」

[39] 文部省「学習指導要領」(昭和22年版〜平成10年版)

[40] 財団法人全国修学旅行研究協会(2008)「平成19年度研究調査報告 修学旅行の実施概

況調査」

[41] 財団法人日本修学旅行協会「全国高等学校修学旅行の調査報告」昭和60年度版、平成

17年度版

[42] 財団法人日本修学旅行協会調査研究部調査役門田秀雄氏インタビュー(2006年7月20

日実施)

第3章

[43] 厚生省社会・援護局(1996)「戦没者追悼平和記念館の概要」

[44] 厚生労働省(1998)「原爆死没者追悼平和記念館開設準備検討会最終報告」

[45] 財団法人 第五福竜丸平和協会(2006)「開館30周年記念誌 都立第五福竜丸展示館30

年のあゆみ 1976.6▶2006.6」

[46] 財団法人 第五福竜丸平和協会(2004)「ビキニ水爆実験被災五〇周年記念・図録 写真

でたどる第五福竜丸」

[47] 昭和館パンフレット

[48] 東京都立第五福竜丸展示館パンフレット

[49] 長崎市(2006)「原爆資料館展示改修事業費 事務事業評価シート(事後)」

[50] 長崎市議会会議録  「1996年3月7日 平成8年第一回定例会(2日目)」/「1996年

6月6日 平成8年第二回定例会(1〜3日目)」

[51] 長崎市原爆被爆対策部(2008)「平成20年版 原爆被爆者対策事業概要」

[52] 長崎原爆資料館ハンドブック [53] 長崎原爆資料館パンフレット

[54] 長崎原爆資料館(2005)「長崎原爆資料館常設展示室の「放射線による被害」および「核

兵器の時代」コーナーに関する展示改修計画」

[55] 長崎市(1992)「長崎国際文化会館の建替えに係る基本構想及び基本計画(抜粋)」

[56] 長崎市永井隆記念館展示物紹介パンフレット

[57] 長崎市(2003)「小学校第5学年 平和学習資料集 平和ナガサキ」

[58] 長崎市(2003)「中学校第2学年 平和学習資料集 平和ナガサキ」

[59] 日本平和学界 2006 年度春季研究大会部会Ⅰ「平和をどう伝えるか 平和のための博物

館・美術館における活動について」配布資料 「世界における平和のための博物館・美 術館(創設順)」

[60] 広島市(2004)「第2回広島平和記念資料館更新計画検討委員会会議要旨」

[61] 広島市(2004)「ヒロシマ・ナガサキ原爆展開催概要・過去の開催状況」

[62] 広島市(2005)「広島市被爆60周年記念事業基本計画」

[63] 広島市(2007)「広島平和記念資料館更新計画」

[64] 広島市(2004)「広島平和記念資料館のあゆみ」

[65] 広島市(2006)「平和記念施設保存・整備方針」

[66] 広島平和記念資料館(2005)「広島平和記念資料館更新計画(素案)」

[67] 広島平和記念資料館パンフレット

[68] 広島平和記念資料館(2005)「平和記念資料館50年のあゆみ展」

[69] 靖國神社 遊就館パンフレット

第4章

[70] 朝日新聞縮刷版  1945年8月号/1955年8月号/1965年8月号/1975年8月号/1985 

年8月号/1995年8月号/2005年8月号

[71] 『諸君』(文藝春秋)  1971〜2008年の7月号、8月号、9月号

[72] 『世界』(岩波書店)  1945〜2008年の7月号、8月号、9月号

[73] 読売新聞縮刷版  1945年8月号/1955年8月号/1965年8月号/1975年8月号/1985 

年8月号/1995年8月号/2005年8月号 第5章

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