こでは,筆者の経験を交え「一 般コース」に位置づく,学会認 定音楽療法士一般コース講習 について説明する(資料:日本 音楽療法学会
HP, 2018
年4 月使用許諾済)。図1-3-2は,学会認定音楽療法士一般コー ス講習の第四期資格取得講習 会スケジュールである。必修 講習会開始時期の
2016
年6 月から2019
年3月10
日の認 定面接試験までに要する期間 は2年9ヶ月である。この講 習会の参加可能な条件には次 の4点である。(1)日本音楽 療法学会の正会員であるこ と,(2)学校法人格を有する 専門学校(2年以上),高等専 門学校,短期大学,大学のいず れかを卒業していること,(3)臨床経験5年以上(音楽 を利用した臨床経験2年を含 む)を有すること(臨床経験3 年以上の者が必修講習会受講 と並行してさらなる臨床経験
を積むことで合計5年の臨床経験となる場合でも可),(4)講習会開始時にある音楽試験に合格 すること。講習会の内容は,音楽療法概論,音楽療法各論(障害児者,高齢者,リハビリ,精神科 領域,緩和ケアその他の全5分野),事例の書き方・研究,音楽療法技法
A(音楽系)
,音楽療法技 法B
(非音楽系)である。1回の講習は概ね2日間で実施されるが,各回に必ず講習内容を理解し ているかの確認テストやA4数枚のレポート提出が求められる。レポート内容は厳しくチェック
され,再提出になることもある。確認テスト不合格者には再テストやレポート提出が課せられる。筆者は
2014
年12
月から新認定制度3期生として学会認定音楽療法士一般コース講習に参加し,2017
年に認定試験に合格して日本音楽療法学会認定音楽療法士となった。講習は東京で行われた。この講習の制度は2年毎に新規となるので,予定されていた講習に不参加の場合は2年後の次期 認定制度に基づく講習を受講し直さなければならない。そのため,学会認定音楽療法士資格の取得 時期が2年,3年と延期したり,辞退したりする者も少なくない。また,学会認定音楽療法士一般 コース講習受講に並行して,学会認定音楽療法士(補)試験を受験するまでに学会での研究発表を 最低1回は行わなければならない。また,発表以外にも地区大会等に参加し,参加ポイントを最低
200
ポイント取得しておかなければならない(2018年4月現在)。有職者にとってこれら全ての条 件を満たすのは容易なことではなく,学会認定音楽療法士資格を取得するという強い意志と講習 受講可能な条件に恵まれなければならない。実際,筆者が受講した際も,多くの出来事を乗り越え図1-3-1.音楽療法士資格取得の流れ(日本音楽療法学会HPより,2018)
58
る必要があった。しかし,講習で出会った仲間と助け合い励まし合いながら学ぶことで,全国に仲 間ができる利点があった。このように,日本音楽療法学会で学会認定音楽療法士取得の難易度が上 げられているのは学会認定音楽療法士資格を国家試験とする取り組みの一環でもある。2017 年,
心理士資格に公認心理師という国家資格が誕生したことを受けて日本音楽療法学会では国家資格 推進委員会が立ち上げられ,音楽療法士資格も国家資格にするための取り組みが行われている。
4)岡山県と兵庫県における音楽療法の実態の一考察(2014年の調査結果を基に)
筆者の居住する岡山県の
65
歳以上人口は,総務省統計局の2014
年5月発表の国勢調査による 図1-3-2.音楽療法士資格取得スケジュール(日本音楽療法学会HPより,2018)59
と推計で
52
万1847
名である。県内には,2014年4月現在,高齢者施設が235
施設以上あり,その定員の総合計は約
9500
名である。高齢者の約2パーセントのみが施設に入居していることに なる。また,現在,日本音楽療法学会認定音楽療法士は全国に3000
名程度いる。学会認定音楽療 法士は東京都が最も多く322
名,次いで多いのは,神奈川県の212
名,愛知県の149
名である。中国地方では
149
名と全国の1割に満たず,岡山県のみでみると,47
名である(2015年時点)。 つまり,音楽療法士1名が高齢者施設に入居している200
名強の高齢者への音楽療法を行う計算 になる。岡山県内の施設でみると,F荘,医療法人S,有料老人ホーム A
等のように音楽療法に 力を入れている施設は存在するが,一方,音楽療法が浸透していないという声もある。岡山県の隣 県の兵庫県には,1995
年の阪神淡路大震災をきっかけに兵庫県専属の音楽療法士制度が発足して 現在も行われているが,岡山県には専属の音楽療法士制度がない。大学の音楽療法学科としては,くらしき作陽大学音楽学部音楽学科に音楽療法専修が増設されたが,音楽療法士を目指す者の減 少や常勤で音楽療法を専門に行える就職先の確保の難しさ,少子化等の問題で,音楽療法専修自体 が無くなっており,音楽療法士の認知度や必要性についてさらに広めていく必要がある。今後,岡 山県内の福祉施設や教育施設や
CL
を開拓し音楽療法を発展させていくための手掛かりとして兵 庫県音楽療法士の経緯と実態を把握することが有効と想定した。そこで,兵庫県音楽療法士認定制度(3)及び岡山市内の高齢者施設
50
箇所(4)に対し,2014年 5月に聞き取り調査及び兵庫県音楽療法士の資料調査を行った。兵庫県音楽療法士認定制度は1995
年の阪神淡路大震災を機に検討され設置された。兵庫県音楽療法士認定制度についての聞き 取り調査内容は次の3点である。Q1兵庫県音楽療法士を要請することにしたきっかけ, Q2制度
作成までの過程,Q3今後の兵庫県音楽療法士要請についてであった。岡山市内の高齢者施設につ
いては,設置数の多い有料老人ホーム,グループホーム,特別養護老人ホームから50
施設を無作 為に選択した。調査内容は次の6点である。Q1施設の活動における音楽活動の有無,音楽活動有
の施設への質問に,Q2頻度,Q3有償か無償か,Q4活動内容,Q5音楽を行うのは音楽療法士 かどうか,Q6活動導入のきっかけと時期であった。この他,音楽活動の取り入れが無い施設への
質問は,
Q1なぜ取り入れないか, Q2今後の導入予定。兵庫県の音楽療法士に関する調査の結果,
兵庫県音楽療法士の募集は今後も継続するということであった。兵庫県こころのケアセンターが 設けた音楽療法講座を2年以上受講し同講座の過程を満了した者が兵庫県音楽療法士となること ができる。兵庫県音楽療法講座は