カラオケクラブ参加者
カラオケ発表会出演者
図3-2-6.「声についての悩み」共起ネットワーク(山下,2015)
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「声についての悩み」(図3-2-6)において共起ネットワーク同士を比較すると,カラオケ クラブ参加者は「声」が中心でありもう1点は「ロングトーン」が抽出された。カラオケ発表 会出演者からは「低音や高音が出にくい」という技術面に関する言葉が主に挙がった。また,
カラオケクラブ参加者の共起ネットワークは語群が2つに分散しカラオケ発表会出演者の共起 ネットワークは「低音」「出る」が中心的役割を示す等,声や高音もそれに準ずる形で存在し た。カラオケクラブ参加者の共起ネットワークにはロングトーンが安定することと表声で歌唱 できることが別々に存在している。それに対して,カラオケ発表会出演者の共起ネットワーク からは,低音が出ることと高音が出ることは近い関係にあり,それらが安定することでよい歌 声へと繋がるといった参加者の考え方が明らかとなった。
3)「歌うために努力していること」階層的クラスター分析
「歌うために努力していること」(図3-2-7)の階層的クラスター分析比較では,いずれにも
「毎日」「声」が存在し,「声を出す」「歌う」が上位にあり,「毎日する」ことに「声を意 識的に出す」ことがあった。歌うこと以外の回答には,カラオケクラブ参加者は「行く」,カ ラオケ発表会出演者は「テープ」「聴く」があった。カラオケクラブ参加者は,自身と向き合 いあらゆることを見たり聞いたりすること,週のうちに何回かカラオケを練習すること,毎日 歌うこと,声やブレスを大切にすることといった語群がまとまった。カラオケ発表会出演者は,
お腹の底から声を出すこと,テープを聴くこと,先生の歌い方を真似ること,これらを毎日心 がけることといった語群にまとまった。また,両図の上位の語群を集約すると毎日声を出して 歌うことやテープを聴いて研究することが重要となることが示された。
カラオケクラブ参加者 カラオケ発表会出演者
図3-2-7.「歌うために努力していること」階層的クラスター分析(山下,2015)
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4)「歌うために努力していること」共起ネットワーク カラオケクラブ参加者
カラオケ発表会出演者
図3-2-8.「歌うために努力していること」共起ネットワーク(山下,2015)
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「歌うために努力していること」(図3-2-8)の共起ネットワークを比較すると,カラオケ クラブ参加者は「歌う」ことが中心的役割をもち,カラオケ発表会出演者は「声」が中心的役 割をもっていた。また,カラオケクラブ参加者の図は「歌う」を中心に語が集結し,カラオケ 発表会出演者の図は3つの語群に分散していた。ここから,カラオケクラブ参加者は毎日のカ ラオケで息,声,ブレスに気を付ける等技術面の向上に着目し,自身と向きあいながら毎日歌 を磨く高齢者の姿が浮かび上がった。カラオケ発表会出演者は,歌に関する毎日の心掛け,講 師やテープからの学習,声を出す等の技術という3点に意識があった。両図の形は似ており,
活動場所は異なるが努力の種類に共通点があるように読み取れた。
5)「今後歌うことに関しての目標」階層的クラスター分析
「今後歌うことに関しての目標」(図3-2-9)の階層的クラスター分析を比較すると,カラ オケクラブ参加者は「歌える」「歌う」「健康」,カラオケ発表会出演者は「歌う」「健康」
が上位に挙がった。つまり,カラオケクラブ参加者とカラオケ発表会出演者はともに健康の為 に歌うこと,または健康に気遣って少しでも長く歌を楽しむことを目標にしているといえる。
さらに,両図に「自分」という言葉が出ており,歌がいかに自身と向き合い自身について考え る機会となっているかが読み取れる。カラオケクラブ参加者の方がカラオケ発表会出演者より も語群が多く,「歌う」ことが一番の目標となっていた。
カラオケクラブ参加者 カラオケ発表会出演者
図3-2-9.「今後歌うことに関しての目標」階層的クラスター分析(山下,2015)
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6)「今後歌うことに関しての目標」共起ネットワーク カラオケクラブ参加者
カラオケ発表会出演者
図3-2-10.「今後歌うことに関しての目標」共起ネットワーク(山下,2015)
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「今後歌うことに関しての目標」(図3-2-10)の共起ネットワークを比較すると,カラオ ケクラブ参加者とカラオケ発表会出演者は「歌う」が中心的役割となっていた。また,カラオ ケクラブ参加者の共起ネットワークは「歌う」を中心とした歌を楽しむ語群と体調や声の健康 面の語群の2点に分散,カラオケ発表会出演者は「歌う」を中心にした語群と健康やボケ防止 に着目した語群に分散した。いずれも日常生活と歌が密接に関わり,体調を気遣いながらも歌 うことで健康寿命を延ばし健康やボケ防止を意識して歌唱活動していた。
4.まとめ
本節では,カラオケクラブやカラオケ発表会に参加する者が,長期にわたり歌唱活動を行う ことで感じている声の変化や,今後の歌うことに関する目標等を調査してカラオケという歌唱 活動に長期に関わっている高齢者の考えや意識について調査した。その結果,以下の4点が明 らかになった。
(1)カラオケクラブやカラオケ発表会参加者は,健康維持等を目標に活動を継続しているが,
日常生活でも歌唱活動を意識する等の心掛けや努力がみられた。
(2)歌を続けることでみえてくる課題を明確に意識できていた。
(3)カラオケクラブ参加者は声への自己評価が高かったがカラオケ発表会参加者は自己評価 に差異があった。
(4)歌うことで自身と向き合っていた。
本節の分析ではカラオケクラブやカラオケ発表会の参加者に向けて任意に研究協力者を募っ たため,カラオケ活動への意識が高い研究協力者が多かった。そのため,カラオケが嫌いな研 究協力者のデータ収集ができなかったことが課題である。仮に,カラオケが嫌いな者や音楽以 外の高齢者活動団体との比較をすると,新たな相違点や共通点を発見できたと想定する。また,
研究日時が調査日のみであったため,数か月単位で密着調査するエスノグラフィー等の質的調 査を行うと異なった結果が得られたと推察される。
本節では,カラオケクラブやカラオケ発表会の実態を示し,カラオケを楽しむ人々がどのよ うな考えをもって活動を行っているのか,その一端を明らかにできた。
引用・参考文献
(1)烏賀陽弘道『カラオケ秘史』,新潮社,p.77-78,2008.
(2)樋口耕一 KH Coder(Ver. 2.00b.2015)