245図 246図
雨だそうだ一その1一 雨だそうだ一その2一 雨だそうだ一その3一
雨だそうだ一総合図一〔語形の採用と統合〕
「雨だ」にあたる断定の内容を伝聞表現として伝える 際にどのような語形が現れるかを見ようとした項目であ る。調査にあたっては,次のような質問文を設定した。
「天気予報ではあしたは雨だそうだ」と言うとき,
「雨だそうだ」のところをどのように言いますか。(「雨 が降るそうだ」にあたる形は採らない。)
採否の方針は「伝聞表現の概要と記号化」A.を参照の こと。ここでは,まず,語形の採用に関して,不採用と した回答を中心に説明する(一部,「伝聞表現の概要と 記号化」と重複する)。
GAJ全体の採用条件にあわないことで不採用とした のは,以下の回答である。
4701.13[amedaso:da]〈若い人たちが使うようにな つた。>
5721.76[amedado]〔ゆ〕〈聞くこともある。>
6348.34[amedaso=na]〈自分は言わないが,時々聞 く。>
6642.32[amedaηena](ゆ)〈昔,女の人が使ったが,
今は使わない。>
638328[amenaso:na]〈?〉(一人でつぶやくように 言った。)
7305.22[amette:na]<漁業者のことば>
7408.46[ame3atte](ゆ)〈農家では言う。〉
[alne3切u:de]<女のことば>
7305.22の話者は公務員である。7408.46の話者は男性で かつ農家ではない。
なお,次の回答は話者自身も使用者に含まれると見て
採用している。
6620.15[amedaηena](ゆ)〈年寄りのことば,稀〉
採用条件にあわない同席者の回答であるため以下の回 答は採用しなかった。
5670.47 [Φuruttezo]
6519.90[アメヤゾチュウゾヨ]
一方,以下の回答は参考話者扱いで採用した。
6375.28[ameto=]〈子供の時に聞いた老人ことば。
自分は使わない。>
662g,13[amedattteiter両。](丸熊二氏の回答)
〃 [amedattej o](丸熊二氏の回答)
7331.32[amet∫iijo?gota?](同席者の回答)
7373.31[ametettai](同席者の回答)
6375.28については,上の世代が使ったと見た。その他 の地点の同席者については参考話者扱いで採用すること が決まっている。
終助詞の付かない同形が併用回答にあるために不採用 としたのは,以下の回答である。
1739,28[amedaso:d勾。]
3777.19[amedaso=da:na:]
ク [ameda:dz伽na:]
3796.26[amedadz山:dze]
5590.74[amedagenade:]
5597.68[アメヤソウナナー]
6475.60[アメゲナゾ](強め)
6642.32 [amedatt∫o:zeN]
6642,57[amedatt∫oJo]
7503.32[amera∫i=nora]〈ゲナは使わない。〉
伝聞表現全体の方針に従い,推量表現が用いられてい る以下の回答は,不採用とした。
0724.21[amedene:ganaコ 1743.81[amedene:ndabega]
〃 [amedenendabega]
2743.86[amedabemona]
2751ユ0[amedene:gana]
5539.15[am〔オaroma]
5675.36[amedambe=]
5720.84[amedambe]
6497.57[amed3arona:]
6613.68[amezu吻。]
663997[amedappeJo]
7403.40[amedaro:]
2086.03[amid両a巾:nsaru]
以上のうち7403.40は四国であるにも関わらず「ダ」が 現れている点には注意しておきたい。
次の回答も推量表現に準じて不採用とした。
6477.12[アメヤラワカランデ]
なお,以下のような推量(もしくは推定)の内容を受 ける伝聞表現も採用しなかった。
6497.57[amed3arot(加:totta]
7356.77[アメジャローチューキー](伝聞の時はチ ューキー(「と言うのだ」の意)が付く。)
ク [アメラシイチューキー]〈新〉(〃)
1271.05[?am麺anljaNpariro:tit∫i?i:taθiga]
ただし,以下は,推量の内容を受ける可能性はあるが,
ゴトアル類への接続の形と見て採用した。
7320,95[ame3aro:gotarubai]
7340.42[ame3aro:gota:](推量要素が多く,伝聞要 素は少ない。)
ただし,7340.42の注記には注意が必要である。関連語 形に「高いそうだ」における
《175》 7249.35 [takkarogotaru]
がある。
次の回答は疑問文になっているとみて採用しなかっ
た。
2076.96[amig勾arunga∫a:m]
2076.96は,疑問の係助詞(gajaruのga)が文中に現れ ているものと見られる。
次の語形は複合的な形式(ヨーダ+フーダ)が現れた ものと見て採用している。
7334.34[ame刈onaΦu:3a]
以下もそれに準じて,ゴトユーを伝聞表現を表す形式 として扱ったが,引用の内容が様態であることも考えら れ,取り扱いに気を付けたい。
7269.52[ameNgot(加waz:ai]
→〈ameNgOtOjU−WaZZai>
7381.02[ameNgo両u:bai]→〈ameNgo両uu−bai>
なお,7269.52の語形は伝聞表現全体の統合方針に準じ てwa以下を終助詞の扱いにした(「伝聞表現の概要と記 号化」B.参照)。同時にこの語形はユワスのような待遇 の形が用いられていると可能性もあるので,注意が必要 である。
一方,以下のような場合は,
4638.01[amedaΦudadzε](ゆ)→〈amedahuda−zε〉
5615,67[ameged句。]→〈amegedajo>
6477,12[アメゲナデ]→〈amegena−de>
6479.95[アメラシーゼ]→〈amerasii.ze>
フーダ,ゲダ,ゲナ,ラシー+終助詞として扱った。い ずれも終助詞として扱った形(また類似の形)が引用形 式に基づく伝聞形式として扱われることがあることに注 意したい。例えば,4638.01では併用語形を次のように 扱っている。
4638.01[amedadzε:]→〈amedazεε〉
断定・詠嘆にあたる以下の回答も採用しなかった。
1725.35[amedana:]
1799.94[ameda:]
3730.43[ameda戸a]
4628.23[amedano:]
5761,80[ameda]
6533.61[am句ana:]
7407.66[ame3ano:]
I169.62[?amUassa:]
3730.43については[amedatteeta a・]が併用回答に見ら れることからリャを終助詞と判断した。ただし,隣接の 山形県でリウが「言う」を表すことが知られている点に は注意したい(『山形県方言辞典』,651ページ)。
次は断定ともとれるし,引用形式のヨが付いたとも見 られるが,後者の場合は引用の内容が過去の内容を受け ていて質問文脈に適合しない。そこで採用しなかった。
5690.28[amedatt勾。]
以下の待遇(丁寧)形式も不採用とした。
7331.32[amet∫ii噸orasu]
7339,76[ame3aso:desu]〈上〉
この項目では,冒頭に挙げたように質問文(調査票)
において,「「雨が降るそうだ」にあたる形は採らない。」
という指示を行っている。そこで,「降る」「降り」を用 いた以下の回答は採用しなかった。もっとも形式上は体 言的性格を有する連用形の「降り」や体言の「雨降り」
を用いた形は参考になるだろう。
1801.80 [arneΦulrulte]
2784.51[ameΦωr〔hdzεコ(?, amedadzεが適当)
2793.04[ameΦ山r血eNtadzε](?)
2794.15[ameΦ山rTdadzε]
3702.37[ameΦ山ddadz血d3a:]
3705.92[ameΦ前r山dzε]
3734.14[amε=Φ曲r山ttera]
145
3752.13 [arneΦuridadoja]
ク [ameΦuridabeon]
3785.94[ameΦ田ruldz田]
4658.69[ameh山rlmldaεdana:]
4704.45[am⑳田rldadoj a]
4721.45[ameΦulr冨dat∫ul:k弓]
4733.35[ΦUlrUI](「雨」の部分がどうしても出なか つた。アシタワフルである。)
5539.80 [an耳aΦulrultoine]
5547,42[ameΦ田℃toine]
5740.88 [Φuruttsutta]
ク [Φukka∫inne=]
6267.09 [φut:∫agena]
6409.00[アメフリダソーダ]
642194 [a1皿eりaΦurisoJana:]
6433.00 [Φurisa=na]
6509.07[アメフリジャナイカ]
6536.18[alneηaΦuruUena]〈少>
6593.00[ameΦurund3anaika]〈アメジャソーナは言 わない。>
7339.04[ameΦuruto:]
7345.53 [anユegaΦurut∫u:do]
7405.10[ameηaΦuriso:na](ame3aso:na等の有無を 尋ねたが,無いとのこと)
7416.34[amegaΦurujo:niju:no:]
ク [amegaΦurqt∫uwa]
1221.48[?ami:Φuingit∫a]
1231.72[?ami:puindido=]
2072.20 [amiΦurundidundudu]
2074.69[amiduΦuigoharusa:]
2076.25 [amlinduΦo=to:]
2085.16[amiduΦuingisaru]
2150.17 [alninudufuゴfttju]
関連して,「雨になる」を用いた回答も採用しなかっ
た。
7405.10 [a111eninariso:na]
1270.26 [?am董naindi?ksa:]
その他,「天気が良くない」も不採用とした。
3702.37[teNkYeg山nedz曲d3a:]〈古,老年層のみ使 用〉
なお,以下の回答は注記に留意が必要であるが,質問 文脈から大きく外れないとみて,いずれも採用した。
5679.04[amedatojo:]〈昔の言い方。テレビなどで 聞いたとき。〉
〃 [amedat∫lkena:]〈友人から聞いたとき〉(伝 油性が強い。)
6422,93[amerasY]
ク [amedagena]〈人から直接聞いたとき〉
次に語形の統合について説明する。
まず,表記の統合について説明する。
以下の語形に見られるソウは〈soo>に統合した。
5567.46[アメヤソウヤ]
5577.88[アメジャソウナ]
5587.74[アメジャソウジャ]
5597.68[アメヤソウナ]
6519,09[アメヤソウヤ]
次の語形のイウは〈juu>に統合した。
6508.60[アメヤッテイウゾ]→<am句attejuu−zo>
以下の語形に見られるtjjuは,表記レベルでt∫uに統 合し,音声レベルで〈cju>に統合した。
5695.47[ameda毛t∫ju].
6603,68[amedatt幻ujo]
次の語形では無声化した母音を補充した。
5679.69[amedat∫k¢laコ→〈amedacike−ja>
次に音声の統合について説明する。
以下の語形に見られるθoは,音声内容にθoを出し,
見出しでは〈so>に統合した。
7450.19[amed3aθo:na]
7460.39[amed3aθo:na]
7460.98[amed3aθo:na]
7462,00[amed3aθo:na]
7471.38[amed3aθo=na]
南九州で共通語の力行に対応すると考えられる位置に
。音が報告されているので,注意したい。
8361.42[amedatsudaηara]
ただし,次のηは注記に留意が必要である。
7383.98[ameηotaruna:](ameqgotaruが早口で言わ れて,gがηに集約されて聞える。)
終助詞の融合形については以下のように仮想した。
733!.32[ametettai]→〈ameteci>
7341.21[ametebbanta]→〈ameteci>
7373,31[ametettai]→〈ameteci>
7340.42[ametebbai]→〈ameteci>
7363.12[アメテッタイ]→〈ameteci>
7374.12[アメテッタイ]→〈ameteci>
8352.61[ame3arogoaddo](?)→〈ame勾arogoat>
ただし,以下の回答は,融合していることが考えられ るが,仮想せず回答語形のままで記号化した(「伝聞表 現の概要と記号化」B.参照)。
2771.97[amedaQterε]
2791.57[amedatesabeterε]
ク [arnedatesl血terε]
〃 [amedaterε]
3723.31[amedatterε:]
3716.48[amedatter毘]
3725.49[amedaso:dε:]
5566.95[アメヤソーニャ]
また,以下のような回答も仮想せず,回答語形のまま で記号化している(「伝聞表現の概要と記号化」B.参
照)。
4706.43[amedattsa=]
5631.78[amedattsa:]
説明を要すると思われる語形を挙げる。
次の語形は,ゲダ類(ゲナ)からの変化を考慮して採 用した。
5597.42[アメヤエナ]→<am(オaena>
この地点ではくamejagena>と併用で回答されている。
また,《175》《176》にも類似語形が同地点で回答され ている。同時に《175》《176》では近隣の5579.79にも 見られる。ゲナからの変化を考慮して,〜エナまでを記 号化対象とした。
次もゲナの仲間と見て採用した。
7269,52[ame切a:na]→<amegjaana>
《175》にも類似語形が回答され,同様の扱いを行っ
た。
次では
375α64[amedadosε]→〈amedado−sε>
4647.69[ameratose]→〈amerato−se>
sεやseを終助詞として扱ったが,「言う」にあたること も考えられるので注意したい。
次の回答は不明であるが採用している。
4761.07[amedasuIke]〈多〉
同地点の《175》では,類似の[tag訓s甲ke]が回答され,
〈s甲keは「と言ったっけ」の意味か?〉という話者の注 記が見られるものである。「と言う」にあたるズ+過去 回想のケからの変化かもしれない。なお,原因理由の接
続助詞スケが用いられる地域とはやや離れるのでそれと は無関係であろう。
次も不明であるが採用した。鹿児島の方言集にあたっ てみたが,見あたない形であった。
8352.08[amed3a匂091d3addo]
→〈ame勾a噸ohi勾a−ddo>
同地点の《175》でも類似の[tak句ogld3日目do]が回答さ れた。あるいは,ヨヒは「由」であろうか。
次は
2068.07[amiti:gimunu]→〈amitiigimunu>
補間直仁『琉球方言文法の研究』(693ページ)に見ら れるbuslgimunu(〜しそうだ。様子)とあるものに関 連すると見て採用した。ただし,当該項目のねらいとは 多少ずれがあるかもしれないので,注意が必要である。
以下は,「塩梅」であろうか。採用している。
022896[?a荊nu?ambed3aga]
0276.51[?aml?ambε]
0276.51では,類似語形が《175》《176》にも見られる。
次の語形では,
0228.96 [?a》ウTt∫agesaka]→ 〈awNYqagesaka>
末尾のカは不明だが,類似語形が同地点で《175》にも 見られることから採用した。また,様態表現の241図と 242図にも類似形が認められる。
次は琉球としてはやや特殊であるが,
2141.52[amisauna]→〈amisauna>
《174》《176》にも〜saunaが一貫して現れ,採用して
いる。
以上のように採否と統合を行い,詳細図(243〜245 図)の見出しを決めた。その上で総合図(246図)にお ける各見出しは,詳細図の見出しを巻末の総合図統合一 覧の表4のように統合した。
〔語形の記号化〕
語形の前半(前部),すなわち「雨だ」に相当する部 分に基づく方向と補助記号の与え方を詳細図(243〜
245図)・総合図(246図)それぞれについて,一覧の形 で提示する。それ以外については,「伝聞表現の概要と 記号化」D.を参照のこと。
以下,適宜分類しながら示すが,この分類は必ずしも 語源的な分類ではなく見かけの類似によるものである。
複数の方向が与えられているものは,記号の区別のた めに適当に使い分けているものである。
方向で区別がつかなかった場合は,次の例のように記