235図 236図
C. 意味のずれ
答されており,ro:のrが脱落した可能性も残る。しかし,
ここでは末尾の。を終助詞とみなし,「雨だよ」にあた る回答と解釈したので不採用にした。同様に,9249.94 の[amed3ao:コも。:の部分を終助詞ととった。一方,
237図で回答された,
6469.77[イクンダエ]
〃 [イクンダイ]
は採用した。一..一見,断定形式のように見えるが,同じ淡 路島で回答された,
6479.95[イクンダー]
6488.48[イクンダー]
が推量形式として知られており,それとの関連があると 考えたからである。ただし,6479.95と6488.48の2地点 が推量関係の項目で…一貫して〜ダーを答えているのに対
し,6469.77では〜ダエ(〜ダイ)の回答が238図,239 図に限られる点が気になる。なお,ダエ,ダイのエやイ の部分は終助詞の可能性もあるが,はっきりしないので 特に終助詞としての処理は行わなかった。
〃 [lgI血nadaromomo]
ク [Ygtαnadagaro]
3785.94[egumodabe・]〈はっきりわからないとき〉
ク [egUlgotta]〈かなり確かなとき>
4652.79 [ikuエnd3anε:ka]
〃 [ikUmdaro:]〈本人に聞いて大体知っている 場合>
4706.43[iηulndabe・]〈最も強い推量〉
ク [iUUIndenε肥・ga]
5793.74 [iguldene:kaコ 〃 [iguIdene:noka]
〃 [igUldambe]〈少しはっきりしている場合>
6620.15 [ikuzura]
ク [ikundzura] (ゆ)
ク [ikunra](ゆ)〈一raは確実性が高いから,
kittoのような副詞がくる方がよい。>
239図 行っただろう
3710.70[Yttab亀fa]〈確信がある言い方〉
ク [Yttabena:]〈疑いを含む言い方〉
ク [Yttaattenε=ka]〈疑いを含む言い方〉
〃 [1tta切ON]〈疑いを含む言い方>
3735.77[弓ttagotta]〈あいまいさのある言い方〉
ク [ettabe:]〈確信・確実さのある言い方〉
3765.93 [ettabe:]
〃 [撃ttagotta]〈根拠が強い。〉
3777.19 [ittandenε:ka]
〃 V
[ittandagotta]くittandenε畑より確からしさ があるとき>
3785.94[ettabe・]〈わからないとき〉
ク [弓ttagotta]〈確からしさがあるとき>
3787.45 [ettabe:]
ク [臼ttagotta](ゆ)<根拠が強い。>
4706.43〔ittandabe・]〈最も強い推量〉
ク [ittandenεおga]
4742.95[ettandenε:ga]〔ゆ, ettandab句aよりはつき りしているとき〕
ク [ettandabqia・] (ゆ)
5631.78[ettadarazu〈あまり使わない。〉〔確実性が 強い。〕
ク [ctta3a:ne:ka曾]
5661,77 [ittazura]
ク [ittsura]〈ittsuraの方がittazuraよりも確実
性が高い。>
5680.23[ittazura]<もう向こうに到着している感 じ〉
ク [ittsura](ゆ)〈まだ向こうに到着していな い感じ〉
ク [ittadarazu]〈もう向こうに到着している感 じ>
5690.28[ittsur勾。]〈確実性が強い。〉
ク [ittazura]
6374.58 [ittaro:d量ja]
〃 [ittforo=d句a]〔確信的な推量〕
ク [ittsuro:] 〔ゆ〕
6655.44[itts田ra]〈確信があるとき〉
ク [ittadzulra]〈いくぶん疑問があるとき〉
ク [ittadarUlbe:コ (ゆ)
7366.13[イタジャローコ〈不安感がある場合〉
ク [イタドー]〈不安感が少ない場合>
240図 雨だろう 3726.68[amedabe:na]
ク [amedagottae:]〈確かさが大きい。>
3735.77[amedabe:]〈弱い確実性があるとき〉
〃 [am弓dagottaコ〈あやふやなとき>
3746.76[amedabema:]〈予想〉
〃 [amedagotta]<決定的>
3777.19[amedabe:(na:)]
ク [amedagotta](ゆ)〈より確からしさがある。>
3785.94[amedabe・]〈はっきりしないとき〉
ク [amedagotta]〈はっきりしたとき>
4706.43[amedenε田・ga]
〃 [amedabe・]〈より確からしいとき>
6620.15[amezura]
ク [amedazura]
ク [amedarazu](ゆ)〈確実性が少ない。>
6629.13[amed3anε:Oga]
ク [amedappe・]〈より確信のあるとき>
027597[?ami(teBki)d3aro:]
〃 [?amisare:]〈こちらの方が未確定の言い方 である。〉
これらの回答を見ると,注記には推量内容の確かさの点 での使い分けに関するものが多いことがわかる。237図 を例にとると,中には,378594[egulgotta]〈かなり確 かなとき〉,5670.47[igura]〈決定的〉,658438
[ikmjafO:]〈ほぼまちがいない場合〉のように,相当確 実度が高いと話者が内省するものも含まれている。特に,
6620.15[ikura]〈確実性が高い。 tabuNよりもkittoが来 る方がよい。〉は,確実度の違いに応じて,呼応する副 詞が「たぶん」よりも「きっと」の方が適当であること を指摘している。ここまでくると,調査文の指定,つま り,「迷いながら」の状況で「たぶん」にあたる副詞を 伴って,という条件からは外れるとみなさざるをえない。
しかし,同じ形式で特に意味的な注記の付かない場合も あり,注記の有無によって個々に採否を判定することも ためらわれる。そこで,以上の問題点を抱えながらも,
推量の確実度に関する併用回答は・一律に採用とした。
なお,副詞との呼応に関して,準備調査では,
《042》 「たぶん行くだろう」
《043》 「きっと行くだろう」
のように2つの項目でその差を見ようとした。結果は,
「たぶん」の方に「〜ではないか」「〜のとちがうか」の 類が多く,「きっと」の方に動詞終止形ないしそれに終 助詞が加わったものが目立つという違いは認められる が,ダロー,ベーなど主要な形式については,「たぶん」
と「きっと」とで大きな差が見られなかった。したがっ て,推量形式の採否にあたり,副詞の種類にはとりあえ ず神経質にならなくてもよさそうだが,なお検討は必要 である。
ところで,239図の,
3710.70[lttabe∫a]〈確信がある言い方〉
ク [Tttabena:]〈疑いを含む言い方〉
という回答を見ると,推量の確からしさが終助詞∫aと na:との違いで表されていることがわかる。これらは,
終助詞付き回答の一般的な処理方法に従って,〜be+終 助詞の見出しに統合されてしまうことになるので,ここ で注意しておきたい。
次に,推量表現と様態表現とは意味的に似ているとこ ろがあるため,様態表現がここでの回答に紛れ込んでい ないか確認する必要がある。様態表現とみなされるため,
不採用にしたのは次の回答である。
237図 行くだろう
4652.79[ikulge:ra](ゆ)<その人の行動がわかつ ている場合>
7340.42[ikiso:namoN]
831295[ikosonamonne:]〈#>
238図 行くのだろう
3734.14 [弓g亡Ujontana:]
240図 雨だろう
1747,55[amera∫ima:]
3791.09[amedaenta]
6374.58[amera∫iJo:nade:]
6375.25[amera∫i:de]
7341.77[amegena]
1213.88[?am eigisai]〈「雨らしい」〉
このうち,237図の4652.79の回答は第3集の推量形項 目では採用にしたもので,判断が異なるが,話者の注記 が様態表現であることを指摘しているものと解釈して,
ここでは不採用にした。240図の1213.88の回答は様態 ないし伝聞表現が混入したものと考えられる。
一方,様態表現の一種であるものの,ゴタルの類は採 用した。この類は,
237図 行くだろう
8331.60 [重ko:gotaiga]
240図 雨だろう
6374.58[amenogotoaru]
6393.86[amenogotoanmo:]
7219.50[ameηgotaru]
7320,95[amenogotanna:]
734265[ameNgotaru]
7382.77[ameηgota℃]
7383.98 [arnenogotaruna:]
8312.95[ame3arogotai]
8331.60[ame3arogotaiga]
8345.84[アメヂャゴタル]
8362.31[ame3aroηod3ai]
のように回答されており,240図に集中している。「あ したはたぶん雨だろう」という調査文からは,空模様を 見ながら判断するという場面が想定され,それがゴタル を回答されやすくしたと思われる。ただし,それならば,
「道を歩いている人を見て」という場面設定が加わる 238図「行くのだろう」の回答にもゴタルは現れてよさ そうである。いくつかの可能性が考えられるが,ゴタル は名詞文においては,これらの地域で実際に推量表現と
して機能している可能性が捨て切れない。したがって,
ゴタルの類は採用することにした。
ゴタルと形態が似ているものに,次の回答がある。
237図 行くだろう
8361,42 [ikkoda:]
9313.46 [ikukoteJo]
238図 行くのだろう
8361,42 [ikkoda]
239図 行っただろう 8361.42 [idakkoda]
9313.46[itakotejo]〈「行ったはずだが」>
240図 雨だろう 8361.42[amedakkoda]
これらも採用したが,語源的には「こと(だ)」などに 由来するものかもしれない。
九州地方のゴタルの類との関連では,東北地方北部に 見られるゴッタの類も気になる形式である。C.の冒頭に 列挙した例からもわかるように,ゴッタの類が他の形式 と併用で回答された場合,3735.77を除きゴッタの類の 方が確実度が高いと判定されているのは,様態表現とい うことと関連があるのかもしれない。また,3735.77の 地点では第3集の推量形項目のゴッタ類の回答に〈様子 から見ての推定〉という内省が加えられている点も気に なる。しかし,以上に挙げた以外のゴッタの回答地点で は特にそのような意味的な注記はなく,しかも単用で答 えられている場合が多い。また,241図,242図の様態 表現では逆にゴッタの類がほとんど回答されていない。
こうしたことから,東北北部のゴッタの類は推量表現の 一種と認めて一括して採用とした。
推量内容の確かさという点に関してさらに言えば,こ の調査では「〜かもしれない」「〜かもわからない」と いう形式も回答された。しかし,これは非常に不確かな 推量しか表さないか,あるいは陸棚な表現を意図した形 式と思われる。「たぶん」と共起しにくいことからも,
調査文の文脈に合致した形式とは考えにくい。もちろん,
それらの回答をすべて共通語の感覚で判断してよいかと いう点に問題が残るが,ここでは一律に不採用とした。
以下の回答がそれであるが,特に地域差の見られないこ ともこれらを不採用とした処理の妥当性を示すものであ
ろう。
237図 行くだろう 1739.28[ik【ukamo∫iranzo]
276481[eg血gamos山rene]
3723.31[eg田gamos山enε]
3753.89[¢g田gamos了renε]
3764.66[ig田gamo∫frenε・]
3773.12[lg田gamos田renε:]
377464[弓gt喚amoslrenε:]
3784.65[lgu1gamo∬renε・]
3792.49[egulgamo∫irenε:]
4637.20[ugukamo∫irenε]
4672.19 [ik田kamo∫iraN]
ク [ik田ndamo∫iraN]
4712.15[eηkamo∬nnε]
〃 [eηka∬nnε]
4740.93 [Ynkasl血n珪jena]
5558.19[ikuIkamo∫irend3a]
5656.64 [ikuka∫inne:]
5668.17 [igulka∫卿e:]
5679.04[iηulkamo∫inne]
5679.69 [eηuga∫fnne]
5712.41[lgukamosiN切ε:]
5741.64[eりkamo∫inne:]
574271[eηkamo∫inne:na]
5771.36[eηkamo∬nnε:]
5782.24[eηkamo∫inne:na:]
ク [eYulkarno∫inne:na:]
6396.62[ikukamo∫ireN]
ク [ikukamowakaraN]
652598[ik田kamo∫ifeN]
6615.89[ikukamo∫innεe:na:]
6622.97[ikukamo∫iraNjo]
6642.57 [ikudakaseNna:]
6645.47[ikukamo∫iren田:]
737399[ikkaN∫ireN](同席者の回答)
7382.77[ikkamo∫ireN]
〃 [ikkamo∫irenna:]
7392.76 [ikasukaN∫ireNコ 7416.34[ik両aramowakaranno:]
8301.68[ikkamo∫iren]
8311.63[ikkamo∫irendo]
8345.56[ikukamo∫ireN]
027597[?i幻uηkamowakaraN]
238図 行くのだろう
2764.81[egαmodagamos山rene]
4672.19[ik田ndamo∫iran]〈はっきり分からない場 合>
568122[ikuka∫irendzo](この質問の回答としては 適当でない。)
5712.41[YgunogamosiN両ε:]
6348,34[ikunokamosiran]
6512,15[ik田kamo∫iren]
0247.31[?ikjukkamo∫i直raηja:]
239図 行っただろう 1739.28[ittagamo∫iranna・]
ク [ittagamo∫iraNzo]
2764.81 [ettagamosα:lrene]
4672.19[ittandamo∫iraN]
4761.07 [Yttagasα1nne]
5656.64 [ittaka∫inne:]
5662.78 [ittaka∫inne:]
5679.69 [ettaga∫fnne]
5741.64[ittakamo∬nne:]
5771.36 [ettaga∫fnnε:]
578224[ittaYamo∬nne]
0247.31[?id3itt∫akam(オa:]〈「行ってきたかもしれ ぬ」>
240図 雨だろう
173928 [amegamo∫iranna]
ク [amegamO∫iranzO]
3791.09[amedagamo∫irene]
3794.22[amedagassene]
4672.19[amedamo∫iraN]
4686。51 [alneraka∫innεgano:]
4742.95[amedakalnoslnnε]
554855[amekamo∫ireN]
5771.36 [alnedaga∫fnnε:]
7275.24[amekamowakaraN]
8229,96[am句aikamo∫ireN]
なお,
237図 行くだろう 8350.57[ikkamo]
8352.61[ikkamonel]
8362,31[ikkamo]
239図 行っただろう 8352.61[itakamo]
8362.31[idakamo]
240図 雨だろう 8372.47[ame3akamo]
も語物的には「〜かもしれない」であると思われるが,
すでに「しれない」にあたる部分を落とした形になって
いる点から見て,意味的にも「〜かもしれない」の類と は異なり,調査文の文脈に適合するものとして定着して いる可能性が考えられる。第3集で扱った推量形項目で
も,上記の回答地点に隣接する8351.75で一貫して回答 されており,地図に載せてある。したがって,ここでも これらは採用することにした。なお,239図では上記の ように0247.31の回答にも類似の形式が見られるが,上 記の一連の地域とは離れること,および話者が「行って きたかもしれぬ」に対応すると言っていることから採用 しなかった。
次に,「行くだろうか(な)」「行くか(な)」など明ら かに疑問の意味が強いとみなされる回答は,調査文から 逸脱したものと判断し不採用とした。その際,疑問表現 であることの判断は,終助詞のカ(ナ)の類が回答の末 尾にあることをおもな手がかりとした(ただし,「〜の で(は)ないか」の類は推量表現の一種と見て採用とし たことは前述のとおり)。具体的には次の回答が不採用 となった。
237図 行くだろう
3747,46 [曾guIbe:些ana]
4686.51[iguwandarokano=]
5781,23 [igulgana]
ク [ig田begana]
652194 [ikし亘aro:kai]
6630,18 [ikudzurakana:]
ク [ikudaradzukana:]
ク [ikudara:kana:]
6635.21 [jukukana:] (?)
7383.98 [ikudaro:ka:]
ク [ikudaro:kana:]
8248.18 [三kultaOo:ka]
8333.50 [iddokai]
238図 行くのだろう
3744.22 [弓gtanodabεga・]
3784.65 [lguldaNbe・ga]
3791.09 [Ygubega]
4686.15 [igudarokano:]
4712.15 [egulnodabeka]
4742.95[eη煎ndag句a=]〈eη山ndabeja=より強い疑問 が加わる。〉
ク [eη山no9斑a=]〈同上>
5645.43[ikudambe:kanal]