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採用の範囲

ドキュメント内 方言文法全国地図解説 5 : 付資料一覧 (ページ 143-147)

T832226343839425ーク555556666666666666666666 43  ﹃0門0 52  70

A. 採用の範囲

 採用の範囲については,「雨だそうだ」をもとに報告 された回答の内容を分類し,例示することで示す。

(1)伝聞や様態などをおもに表すと見られる類

 この類には次のようなものが見られ,いずれも採用し

た。

a 〜ソーダ

  5622.19[amedaso:da]

  6287.81[ame3aso:3a]

  7405.86[ame3aso=na]

b 〜ゲダ

  4643.56[amedagedana=]

  6369.32[amedagena]

  6480.89 [alne3agena]

c 〜ゴトアル

  7302。56[amenogotoaru]

  7354.43[ameNgotsuaru]

  7370.30 [alneNgotoaru]

d 〜ヨーダ

  3767,18[amed勾。:da:na:]

  4763.11[amen勾。:dana]

e 〜フーダ

  3791.09[amedaΦuda]

  5614.96[amenoΦu:da]

f 〜ラシー

  565396 [amera∫i=]

  5699.61[amera∫i:]

9 〜ミタイ

  6572,14[amemitaOa]

h その他

  6412.87[amedaslkoda]

  641854[amedaguwお:daze]

  7414.61[amenika:raη]

  0247.31[?amYt∫agesaり]

  0276.51[?ami?amb琶]

  1213.88[?amUe=gisai]〈雨であるらしい。>

  1242.26[?amir旦je=gisa:]

 このうち,6412.87に見られるシコ形は広戸惇『LLI陰 方言の語法』(島根新聞社,79ページ)に伝聞の形とし て記述が見られる。また,7414.61に見られるニカーラ ン形は,弱い推量や推定のように記述されることが多い ようだが,フーダ,ラシーに準じて採用した。6418.54 は「具合」に基づくと考えられる(《175》にも類似形 が見られる)。ヨーダなどに準じて採用した。

(2)引用の形式をもとにすると見られる類

 引用の格助詞「と」や動詞「言う」またはそれらの組 み合わせのような形式である(ト・トイウ・イウなど)。

この類は,伝聞に連続すると考えられることから採用し た。語形のバリエーションがきわめて多い。

  2772.75[amedatsε]

  2785.15[amedadzε]

  4684.87[amedatoj a]

  4694.72[amedato]

  4715.52[amedattsa]

  5633.42[amedaseuwa]

  5660.50[アメジャゾ]

  5662.78[amedattei田zoコ   5666.89[amedatosaコ   5669.19[amedatojo:]

  5696.62[amedat句。]

  5793.74[amedattej田ttet勾。]

  6605.36[amedatt∫ujo]

  6610.08[amedattejo]

  6634.32[amedatt∫ojo]

  6656.31[amedattesa]

  6697.59[amedattq田tteruIgana:]

  6700.04[amedatt∫巧。]

  6721.33[amedatteコ   7401.80[amezona]

  7404.20[ame3a oruno:]

  9249.94[amed3ateju=ηana:]

 「言う」にあたる部分のテンス・アスペクトは特に区 別なく採用している。ただし,この中の一部,例えば,

2785.15,5660.50,7401.80に見られるゼ・ゾ・ド形は後 に(4)として挙げる不採用とした「断定・詠嘆表現」と連 続する。しかし,引用の形式と終助詞との区別が困難で あることから採用しているので,注意してほしい。

 以上の(1×2)は,伝聞の形式と判断して採用したが,以 下の(3×4)は採用しない。

(3)推量表現

 これは,伝聞表現からの距離が大きいと見られ,採用 しなかった。

  2751.10[amedene:gana]

  5675.36[amedambe:]

  6497.57[amed3arona:]

  6613.68[amezur句。]

(4)断定・詠嘆表現

 これも伝聞表現から大きく外れると見て,採用しなか

った。

  4628.23[amedano:]

  5761.80 [arneda]

  6533.61[am句ana:]

  7407.66[ame3ano:]

 その他,待遇もしくは文体に関わるもので丁寧な形が 回答されることがあったが,これも採用しなかった。

  7339.76[ame3aso:desu]〈上>

B.語形の統合

 伝聞表現の語形の統合にあたってもっとも大きな問題 になったのは,終助詞の分離であった。

 終助詞付き回答の扱いは,基本的にAαをとった(第 4集解説書11〜12ページ参照)。ただし,統合の方法が 変則的であり,必ずしも統合規則αに従うものではない。

ここでは,次のような方針で統合を行った。

a 融合などにより末尾の母音が変化した可能性のある  ものは仮想しない(終助詞付き回答として扱わな

 い)。

b 融合に基づく可能性はあるが,固定した表現となつ  ていることが考えられるものは仮想しない(終助詞  付き回答として扱わない)。

caとbに該当するものの他は,仮想する。

 例えば,次の回答は   5566.95[アメヤソーニャ]

〈am(オasoona>に基づく可能性はあるが,仮想しない。

 次の回答も

  277197[amedaQterε]

〈amedattera>に基づく可能性はあるが,仮想しない。

 また,以下のような回答は   4706.43[amedattsa=]

  5631.78[amedattsa:]

トサなどに基づく可能性はあるが,ツァで表現が固定し ていることが考えられ,仮想していない。

 一方,以下の回答は,

  7363.12[アメテッタイ]

  7374.12[アメテッタイ]

ともに近隣の7362.09に回答された[アメテチバイ]を 参考に,<ameteci>を仮想した。

 なお,次の回答は末尾になんらかの融合が発生してい る可能性はあるが,不明なので仮想せずそのままの形で 扱っている。

  7370.96[amet:句u:toN]

   ・ [amet:∫U:t・N]

 ところで,A.で(2)に分類した回答(引用形式に基づく 語形)は採用したが,ここには,伝聞表現(引用的表現)

がどこまでなのか,終助詞が付いた形なのか,というこ との判断に迷うものが多く含まれている。例えば,

  4694.72[amedato]

  5638.67[amedato]

のような語形とAの(2)に例示した   5669.19[amedat句。:]

  5696.62[amedat(オ。]

のような形を較べると,jo(0)は終助詞のようにも見え ると同時にtojo(o)が「という」のような引用の表現の バリエーションにも見える。後者だとすれば,jo(0)を 終助詞としては扱えない。また,伝聞形式として従来よ

り記述される〜チョやそれに類似した〜チャのような形 のまとまった分布を考慮すると,トやテなど引用の格助 詞と目されるものにヨややなどの形が付いたものを一概 に終助詞付きとして扱うわけにはいかない。いずれにせ

よ,個々の地点についての語構成に対する判断が必要と なるが,困難である。

 本土方言について,このような迷いが生じるものを集 めると当然のことながら格助詞らしい形式を持つ前半部 分(ト,テなど)と「言う」(またはその一部分)もし くは終助詞としての判断に迷う後半部分(ヨ,ヤ,ワな ど)から構成されることがわかる。これらについて整理 すると次のようになる。

前半①:格助詞的形式

  to  do  te  tee  ci

前半②:格助詞と「言う」の融合的形式

  cjuu  cju  tluu  zjuu  cjoo  zjo  djo  cuu  cu   ZU  SeU  CeU  SOU  ZO

後半1:「言う」もしくはその最初の音に類した形式

  jo  joo  ja jaa  i e  ε  ijo

後半H:「言う」の末尾の音に類した形式   wa waa wai a

 以上の分類をもとに前半・後半の組合わせに従い,次 の基準で形式的に後半の扱いを決めた。

  ①.+1→1を終助詞として扱わない   ◎+H→Hを終助詞として扱う   ②+1→1を終助詞として扱う   ②+H→Hを終助詞として扱う

つまり,後半1は前半によりその扱いが決まり,後半H はすべて終助詞として扱うことになる。

 以下,《174》「雨だそうだ」に現れた語形をもとに扱 いを例示する。

⑦+I

t句0→  <t句0>

  5696.62[amedat句。]→〈amedat句。>

  6607.36[amedat(オ。]→〈amedat句。>

t句00→  〈t切00>

  5669.19[amedat(ヵ。:]→〈amedat(加。>

  5679.04[amedat〔噂。:]→<amedat(ガoo>

t句a→〈t句a>

  4652.79 [arnerat句a] →  〈arneratqja>

  4684.87[amedatqla]→〈amedat句a>

toi→  〈toi>

  5549.32[amedatoine]→〈amedatoi−ne>

  5612,62[amedatoine]→〈amedatoi−ne>

   《175》 6387.62 [takaito麺a] → <takaitoija>

toe→  〈toe>

  6594.20[amed3atoe]→〈ame勾atoe>

t・ ・→〈t・ ・>

  6667.81[amedato廿。]→〈amedato麺。>

dqjo→ 〈dqjo>

  5771.36[amedad句。]→<amedad句。>

  5780.84[alnedad(嚇。]→〈amedad句。>

dqloo→ 〈dqjoo>

  1778,45[amedad(麺。:]→〈amedad〔巧oo>

  2608.90[amedad句。:]→〈amedad句oo>

d(オa→ 〈dqja>

  3702.70[amedad(オa]→〈amedad〔オa>

  4609.27[amedad句a]→〈amedad句a>

dqjaa→ <d(オaa>

  4712.15[amedaε句a:]→<amedad句aa>

tq・→〈t句・>

  6610.08[amedattqo]→〈amedatt〔オ。>

  6615.89[amedatt句。コ→〈amedatt句。>

t句・・→〈t句・・>

  6621.07[amedatt句。:]→〈amedatt釘oo>

  6636.30[amedatt句。:]→〈amedatt句oo>

t句a→〈t句a>

  4676.57[amedat句a]→〈amedat〔麺a>

  5668.17[amedattq a]→<amedatt釘a>

tei→  〈tei>

   《175》647995[タカイテイワ]→〈takaitei−wa>

te句a→〈te句a>

  7305.22[ameteja]→<amete句a>

  7659.62[amedatteJa]→<amedatte句a>

cUO→〈C輔0>

  6700.04[amedat劇。]→〈amedaccijo>

②+I

qu㎎・→〈quuj・>

  6621.07[ameda可ujo]→〈ameda(juujo>

  6657.54[amedatt∫u巧。]→<amedacquujo>

加ゆ→〈脚」・>

  6641.25[amedatquJo]→<ameda両uujo>

qoqjo→〈qloojo>

  6621.07[amedat∫ojo]→〈ameda(joojo>

  6643.17[amedat可Qjo]→〈amedac(jooづ。>

勾。ε→<勾。一ε>

  3726.68[amedad30ε]→<ameda勾6一ε>

C呵・→〈cuuj・〉

138

  6655.44[amedattsuIjo]→〈amedaccuu→o>

zujo→ 〈ZU=jo>

  3765.93[amedadz山jo]→〈amedazu→o>

Z句・→〈Z・」・>

  5579.79[アメジャゾヨ]→<ame勾azojo>

Z句a→〈Z・ja>

  6645.47[amedaz(ガa]→〈amedazoja>

①+H

tewa→<te−wa>

  5661.77[amedattewa]→〈amedatte−wa>

②+H

quuwa→〈qUU−wa>

  5666.89[amedatt∫u:wai]→〈amedac句uu−wai>

  8394.21[amejat∫u:wa:]→〈am句a(加u−waa>

可uuwa→〈OUU−wa>

  5661.77[amedatOulwa]→〈ameda両uu.wa>

cuwa→〈CU−wa>

  6595.01[amed3atts山wai]→〈ame勾accu,wai>

  8352.08[amed3attsりw句。]→〈ame勾accu−w勾。>

zoa→<zO−a>

  3725.49[amedadzoa:]→〈amedazo−a>

 なお,②に現れる[tju]は見出しでも〈tju>に統合 している。また,②+Hの最後に提示した[dzoa:]が くzoa>に統合されることについては,第4集解説書9ペ ージ左14行を参照のこと。

 さて,このような方針を一貫させたが,そのために次 のように近隣に存在する類似の性格を持つ可能性がある 語形が異なる扱いになってしまうこともあるので,注意

したい。

  7659.31[amedatte:d3a]→〈amedattee一関a>

  7659.62[amedatteja]→<amedatte句a>

 同時に形式的な取り扱いを行っているので,たとえ次 のように終助詞であることが調査者によって提示されて いても終助詞としては扱わない。やはり扱いに注意が必 要である。

  4712.15[amedaεoja:](daは断定,εoは引用の「と」

  ja:は終助詞)→〈amedadojaa>に統合

 なお,ここに前半①としたものはおもに引用の格助詞 と見られるが,引用の際に格助詞を用いない(「雨だ言 う」や「高い言う」のような形式,いわゆる「ト抜け」)

地域も知られている。そのようなことから,前半①をと もなわないで後半1にあたる形が見られるものは,そこ

までを引用の形式として扱った。、

  746022[amedaiwama∫i]→〈amedai−waanasi>

   ク  [ame3aiWa=na∫i]→〈ame勾ai−WaanaSi>

   ク  [amejaiWa:naSiコ→〈amqai−WaanaSi>

  647995[アメヤイワコ→〈am句ai−wa>

 この扱いは本土方言にあてはめている。したがって,

琉球では外れるものがある。

  《175》 1233.52 [takahand顛a:]

   → 〈takahaNdijaa>

  《176》 1233.52 [?uitand噸a:]

   → 〈?uitaNdiづaa>

 琉球で特殊な扱いを行ったものがある。琉球では〜テ ィサのような形が伝聞の形として記述が見られる。これ

に従い,

  1251.04[?a:mid両endiha:]→<aamidueNdihaa>

  1260.68[?am匂antisa]→〈am aNtisa>

のように統合し,サは終助詞としては扱わなかった。そ して,以下のような形もティサとは別と考えられるが,

ティサに準じて処理し,サの類を終助詞として扱わなか

った。

  0275.97[?amYne=∫i?it∫us勾a:]

   →〈amYneeSi?i句USajaa>

   ク  [?amit∫i?it∫US句a:]

   → 〈am冨ci?i(jusajaa>

  1261.22[?amidussa:]→〈amidussaa>

  1261.92[?amid両andissa:]→〈amid両aNdissaa>

実際には0275.97の場合は,併用語形として他に

  0275.97[?amft∫i?it∫undal]

が見られ,サは終助詞として独立性が高い可能性が考え られるが,終助詞には扱わない方針を一律に適用してい

る。

 なお,本土では,琉球のティサに類似したテサ・トサ が見られるが,〈te−sa>やくto−sa>のようにサを終助詞

として扱っている。

  4652.79[amedatosa]→〈amedato−sa>

  5666.89[amedatosa]→〈amedato−sa>

  6623.54[amedattesa]→<amedatte−sa>

  6656.31[amedattesa]→〈amedatte−sa>

  このように琉球と本土で類似の形態であっても扱い が異なるので,注意が必要である。

 上記の方針から外れるケースについては,適宜先行研 究などをもとに判断し,終助詞を分割した。

 その他に引用形式に基づく語形では「〜と言う話だ」

「〜と言うことだ」のような回答が現れた。これらにお いては「話だ」「ことだ」までで伝聞表現としてのまと まりを持つと判断し,見出しにもすべて挙げて記号化を 行った。

  3710.70[amedatt亀山・hana∬dade:]

   → 〈arnedaccjuuhanasida−dee>

  4658.69[amedats山:gonda]→〈amedacuugoNda>

  5639.17[amedatt∫田:hana∫ida]

   →〈amedaccjuuhanasida>

  5731.34[amedatt∫u:gododa]

   →〈amedaccjuugododa>

  6397,11[amett∫u:hana∫id句。]

   →〈ameccjuuhanasi−dejo>

  7333.97[アメダチュコッダ]→〈amedacjukodda>

  7365.25[アメダチューコッダ]

   →〈amedacjuukodda>

  8300.81[ametteyu:9・tainai]

   → 〈anlettqUUgOtai−nai>

  8303.70[アメチューグタッタナー]

   → 〈anleCjUUgUtatta−naa>

  831295[amed3attsりhana∫id3a?]

   →  <an、ezjaccuhanasi勾at>

  8342.32[ame3att∫uko33at]

   →〈ame勾acquk・z勾at>

C,関連項目

 関連項目について簡単にふれておく。

 推量表現(237〜240図)にはゴトアルの類が採用さ れており,意味の広がりなどの観点で参考になる。

 また,ゴトアルの類は希望表現(227〜231図)にも 現れる。

 様態表現(241・242図〉には,A.の(1)の類と類似の 形が多く現れる。

 伝聞表現では引用の形式が多く現れる。これは,第1 集32図「田中という人」が関連する。

 ゲダの類がまとまった分布を見せるが,第4集で扱っ た将然態(200,201図)にもゲの類が見られる。ただ

し,将然態ではソゲという形が多く現れるのに対し,伝 聞表現にはこれがまったく現れない。

 《176》「いたそうだ」は,第4集の過去回想表現a

(特に190・191図「いたよ」)との関連を考慮したい。

ドキュメント内 方言文法全国地図解説 5 : 付資料一覧 (ページ 143-147)