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第 5 章 褒めの文化差およびジェンダー差

5.1 褒めの談話に見られる文化差

5.1.5 談話 5 の分析結果

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「すごい」あるいは「すっげー」だけで本当に褒めているのか分からず「社交辞令な感 じがする」100 、「適当に言っている」101 などネガティブな内容のコメントが見られた。

この結果から、日本語母語話者にとって自力で袴や着物を着ることは難しいというイ メージから判断しただけでなく、さらに、「すごい」を「すっげー」と言い、すなわち、

男性言葉と言われる「すっげー」を女性が使用することでより一層驚きや感心の気持ち が伝わり、親密感をアピールしようとしているという理由も考えられる。しかし、日本 での男性言葉や女性言葉の違い、あるいは着物を着る大変さは外国人には理解し難いも のであり、文化差に起因しているものだといえる。文化差については、5.3 節で詳しく 考察する。

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毎回、あなたと一緒に音響の調整に行くと、なんか心強いよ。

どんな盛大な場面でもさ、緊張もしないし、怖いものなんて何もない。

そばにいてくれると、自分も落ち着く。

3CMB:まあ、私もここ数年、これも(3CMAさん)のおかげだよ。

一人前の大人になるまでずっと見守ってくれたから。

談話5のt検定の結果は表5-5の通りである。

5- 5 談話5t検定の結果 グループ統計量

国籍 度数 平均値 標準偏差 平均値の標準誤差 会話5 1 78 1.28 .643 .073

2 68 1.72 1.170 .142

独立サンプルの検定 等分散性のた

めの Levene

の検定 2 つの母平均の差の検定

F 値 有意

確率 t 値 自由度

有意確率

(両側)

平均値 の差

差の標 準誤差

差の 95% 信頼区間 下限 上限 会

話 5

等分散を仮 定する

21.378 .000 -2.854 144 .005 -.439 .154 -.742 -.135

等分散を仮 定しない

-2.751 100.814 .007 -.439 .159 -.755 -.122

表5-5からわかるように、談話5に対して、中国語および日本語それぞれの回答から得 た平均値に差があるかどうかについてt

検定を行なったところ、有意差が見られた(t=-2.854, df=144, p< .05)。この結果と平均値を見ると、中国語母語話者は、日本語母語話者

より「褒めである」と回答する人が多いと解釈できる。

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談話5に対する中国語母語話者ならびに日本語母語話者それぞれの回答の理由は、

以下の通りである。

中国語母語話者

 長年の付き合いだから。相手のおかげで、一緒に頑張ることができ、本当に相手のこと に感謝こもっている気持ちが伝わった(CM23)

 男性同士の談話なので、深く考えずにストレートに褒めているから、褒めである感じが する(CM34)

 具体的に言っているから、本当に感情こもった褒めだと思う(CM35)

 表に出さない中国人の男性のことだから。積極に堅実な性格を持っていることをと2度 も褒めているから、本当にその人ことを信頼していることが伝わった(CF13)

 言葉遣いを変えながら相手のいい所と大切さを強調しているから。この二人の仲の良 さも窺える(CF34)

 相手のことを肯定的に評価し、尊敬している(CF36)

 誠実で客観的だから、理由も納得できる褒めである(CF38)

日本語母語話者

 分かりやすい。理由も納得できる(JF22)

 Bさんが自分にとって心強い存在であることが伝わった(JF29)

 褒める意味合いもあるが、信頼を寄せている感覚の方が近い(JF8)

 あたらまって感謝を述べている。褒めというより感謝(JF12)

 褒めではある。しかし、前の談話からして人柄良く見せようとしている感じもある

(JF20)

 褒めというよりは、自分の思いを言っているだけだから(JM29)

 長文で仰仰しいので言う方も言われた方も気恥ずかしいのでは(JF6)

 自分の気持ちを話しているだけで相手を褒めているわけではない(JF16)

以下の図5-5は、談話5に対する中国語母語話者ならびに日本語母語話者の回答結果 の割合を示している。

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5- 5 談話5についての回答比率

図5-5に示したように、中国語母語話者ならびに日本語母語話者はともに「褒めであ る」という回答率が高い。その割合を詳しく見ると、「褒めである」と思われる中国語 母語話者(93%)の回答が圧倒的に多かった。日本語母語話者では約8割(81%)を占 めており、中国語母語話者と類似した回答が見られた。その理由について、両言語の母 語話者はともに、「相手のいいところを具体的にいっているから、納得できる」102 の理 由が見られる。それに比べると、「どちらといえば褒めではない」と思われる人は中国 語母語話者では 1%しか占めないのに対して、日本語母語話者では 10%を占めている。

とりわけ、中国語母語話者では「5 褒めではない」という回答が現れなかった。「褒めと いうよりは感謝」(JM13)、「褒めというよりは、自分の思いを言っているだけだから」

(JM29、JF16)などの理由が挙げられた。

この結果から、中国語母語話者ならびに日本語母語話者はともに、肯定的評価に具体 的な理由を加えて褒める、あるいは褒められることが好まれているが、日本語母語話者 では「自分の気持ちを話しているだけで相手を褒めているわけではない」(JM29、JF16)

や「長文で仰仰しいので言う方も言われた方も気恥ずかしい」(JF6)という理由で違和 感を覚える回答も確認できた。

102 CM35、CF3、CF23、CF25、CF29、CF38、CF39、JM6、JM17、JF3、JF5、JF24、JF 31など。

81%

12% 6%

1% 0%

63%

18%

9% 4% 6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

中国 日本

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