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第 5 章 褒めの文化差およびジェンダー差

5.2 褒めの談話に見られるジェンダー差

5.2.2 日本語母語話者の談話に見られるジェンダー差

5.2.2.2 男性日本語母語話者

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[5-18]

42 A50f:絵羽146(えば)、絵羽(えば)ですね。

43 B50f:絵羽(えば)で?=

44 A50f:=はい、はい=。

45 B50f:=まだ仕立てる前でー(はい「A50f」)、売ってたんですか?↑=。

46 A50f:=はい。

47 B50f:それはもしかしたら、ほんと、掘り出したもの。

48 C50f:「A50f姓」さん、上手(じょうず)なんだもん、そうゆうのー。

49 A50f:→そうなんですか?←

50 B50f:ん?↑。

51 C50f:「A50f姓」さん上手(じょうず)。

52 B50f:うん。

53 掘り出しもん。

娘の発表会の衣装として立派なものを見つけたA50fに対して、C50fは「上手なんだも ん」(L48)と褒めている。その後、L49では「そうなんですか」(L49)と確認しようと したA50fの様子を窺い、「A50f」さん上手(L51)と再度褒めている。

このように、女性日本語母語話者の褒め談話では、本心で褒めていることをアピール するために、短くてシンプルな褒め言葉を繰り返して言うという特徴が見られた。

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笑い>[不明70m]}、みんなそこで、何(なん)て言うか{<ハハハ(笑い)

>[B70m]}、あれだ、挫折しちまう147 んだな。

431 D70m:あ、そうですか。

432 C70m:俺、そこんとこ148 仕事だからよー、山越えちゃった=。

433 A70m:ああ、そりゃあたいしたもんだ。

434 C70m:=ね↑、越えちゃったからね。

[5-19]ではL432から、山を越えて仕事をするというC70mの行動について、A70mは

「たいしたもん」(L433)と褒めている。

[5-20]は、B30mの奥さんにA30mが偶然街中で会ったことについて話している。

[5-20]

106 A30m:途中から###。

107 どうしよっかなと思って、声かけよう。

108 ##遠目で見て、こっち見たら声かけるかと思って、って言ってたら(笑)、

目が合ったから、<少し間>「あれれ」って。

109 B30m:<少し間>へえーー。<少し間>「朝なんかも送ってく」って言っててー、

(ふうん)駅まで###歩いてって、でー、そのまんま(姓4)ちゃんは

どっか遊び(うーんうん)に##。

111 ま、###らしい。

112 A30m:###は、うるさいからさー、話ができねえじゃん。

113 B30m:ああ、はいはいはいはいはいはいはい。

114 A30m:奥さん、でも、すごい感じのよさそうな人だった。

115 B30m:へえーー。

116 A30m:笑顔で挨拶してくれて。

117 B30m:じゃあ、似たような?

118 A30m:そうだねえ。

(話題転換)

147 挫折してしまう。

148 そこのところ。

150

冒頭は、B30mの奥さんに偶然街中で会って挨拶をするかどうか躊躇しているA30mに 関する描写である。A30mはB30mの奥さんの話を持ち出し、その後、「うるさいからあ まり話ができなかった」(L112)が、「すごい感じのよさそうな人だった」(L114)と褒 め、さらに「笑顔で挨拶してくれて」(L116)と説明し、間接的に褒めた。返答の「へえ ーー」(L115)、「(共通の友人(姓4)と)似たような」(L117)からは、褒めを受け止 めているB30mの様子が窺える。

[5-21]は、職場で休憩中に後輩のBと大阪のアメリカ村について話している。

[5-21]

95 A20m:アメ村ではよくそんなナンバーワンのティーシャツを探しに、あのー、

途中から神戸にも売ってるとこできてー//{うーんうん[B20m]}、1枚だか(=

くらい)買ったりする。

96 やっぱりね、高い。

97 B20m:ねえ=。

98 A20m:=うん。

99 B20m:いや、まあ、あれなんか、ほんと、はやりで全然、価格違いますよ。

100 A20m:=うーん、そうだよね。

101 B20m:古着なんか、特に。

102-1 A20m:当時なんか、だから、1万は軽く超えるぐらいの。

103 B20m:アチーッ(笑)。

102-2 A20m:ティーシャツ探してた。

104 B20m:すごいなあ。

106 A20m:でもさ、男もんって高いやろ(だろう)?何にしても、女もんに比べると。

(話題転換)

Aは冒頭で、大阪で売っているブランドのTシャツを神戸でも買うが、やはり高い(L96)

と述べた。A の発話に対して、Bは「ねえ」(L97)とアメリカ村のブランドが高いとい う共感を示した。その後、「はやりで全然、価格違いますよ」(L99)と自分の意見をア ピールしている。さらに、1万円以上するTシャツを買ったAに対して、「すごいな」

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(L103)と褒めた。値段の高さに加えて、そのTシャツを買ったAに対して感心した 様子も窺える。

[5-22]は、日本語学校で同僚が雑談している場面である。

[5-22]

12 A30m:500人もいんの(=いるの)?

13 B30m:もっと、もっと、毎年毎年増えて、500人以上います。

14 A30m:ええ、[組織名1]の人が多いの?↑=

15 =そういうわけでもない?。

16 B30m:そういうわけでもないです。

17 A30m:=ああ。

18 B30m:=もっと、いろんな職種の人が来てます。

19 A30m:じゃあ、にほ(=「日本」と言いかけたか)、だんだん友だち多くなったんじゃな

い?↑

20 B30m:<ハハハ(笑い)>、さすがに<笑い>。

21 A30m:てか(=と言うか)、僕より多いと思う{<エヘヘ(笑い)>「B30m」}、

絶対。

22 そうかー、じゃあ、あんまり寂(さみ)しくないんじゃない?↑=

23 B30m:=いや、でも、日本語(にほんご)学校149 で知り合った人は、そんなに深い仲

にはならないです。

L12からL18まで、B30mはアメリカで日本語の補習校に通う日本人が500人を超えて おり、「いろんな職種の人」が来ると述べた。そのB30mの発話に対して、A30mは「だ んだん友だち多くなったんじゃない」(L19)と確認している。その後、B30mは、さす がに多くなったわけではないと回答をしたが、それに対してA30mは「僕より多いと思 う」(L21)と褒めている。つまり、友人の数はB30mのほうが多いと褒めている。

このように、男性日本語母語話者の談話では、相手に関わりのある人や出来事を多く 褒めており、女性同士の褒めの談話ほど繰り返さないという傾向が見られた。

149 アメリカの日本語の補習校のことを指す。

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