第 3 章 研究方法
3.4 調査方法の信頼性・妥当性
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3.3.4 分析手法
各章で使用されている分析手法をまとめると表3.5の通りである。その詳細は各章の「分 析手法」で記述されている。
表3.5 分析手法
分析データ 章立て 分析手法
作文 ワークシート インタビュー
第5章(研究課題2)
原田(2006b:6)の作文の評価表を採用して、推敲前の作文と推 敲後の作文への評価を行った。
第6章(研究課題2)
収集されたピア・レスポンス前後の作文を、トゥールミンモデル
(戸田・福澤訳2011:143-173)によって分析し、論理構造の特 徴を確認した。
発話 第7章(研究課題2)
発話機能のコード・システムを使って、学習者の3回のピア・レ スポンスの音声データを分析した
インタビュー
第9章(研究課題3)
1・2回目のインタビューデータから「ピア・レスポンスへの意識」
「ピア・レスポンス使用言語への意識」に関する語りを取り上げ、
「質的研究の分析手法SCAT(Steps for Coding and Theorization)」
(大谷2007:29)を用いて、ピア・レスポンス使用言語に対する
意識分析を行った。
第10章(研究課題3)
2回目のインタビューから収集した「作文の学習への考え」に関 するデータを取り上げ、SCATとKJ法を併用して分析した。
次の第5章から第10 章までは、同じ実験に基づいた分析し、考察を行う。
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授Charles Teddlieの著書Tashakkori & Teddlie(1998)を参考にして、ミックス法の評
価基準について以下のように提案している。
(1)本研究で用いられたピア・レスポンス活動の実践モデルを使った過去の研究結果か ら、本研究の研究方法の信頼性と妥当性について論じる。
本研究では、すでに信頼性と妥当性が確かめられた調査方法として、池田(1999b:32)
のピア・レスポンス活動の実践モデルを参考にした。池田は1990年代にピア・レスポンス を欧米の英語教育から初めて日本の日本語教育現場に導入した日本語教育家である。その 池田(1999b:32)の実践モデルは、舘岡(2004)と原田(2006)など多くのピア・レスポ ンスについての優れた実践研究に採用され、その信頼性と妥当性が検証された。
そして、ピア・レスポンス活動のデザインについて、Rollinson(2005:27)は、「意 識向上」(ピア・レスポンスの原則と目的)、「有効的ペア相互作用」、「有効的フィー ドバックと推敲」の3点を、目標に展開する必要があると指摘した。したがって、本研究 では、Rollinson(2005:27)が提起した3つの要点を中心に調査を行った。
①「意識向上」のためのピア・レスポンスの原則と目的の説明:本研究では、教師が 1 回目の授業でピア・レスポンスについての説明や練習など事前活動を行ったので、学 習者はピア・レスポンスの意味と方法を明確に理解することができたと見られる。
②「有効的ペア相互作用」のためのペア分け:本研究の対象者は同一の大学の日本語学 科の学習者であり、N1 と N1 に近い日本語レベルを持っているため、対象者の日本 語レベルの均一さが保たれた。学習者たちは、ペアとなる相手に高い期待を寄せ、相 手が自分よりすぐれていること、自分の作文についてより正確な意見を提供できるこ とを望むが、実際には各ペアの学習者たちは同じ程度のレベルであり、それでも全員 が相手から有意義な意見が得られたと証言している。そのため、実際の教育現場にお いても同じレベルの学習者をペアにしてペア・レスポンスを実施するのが有効である と考えられる。
③「有効的フィードバックと推敲」:本研究はRollinson(2005:27)の提示に沿って、
学習者間の討論を行っている際に、調査者である教師は様々な方法(電子辞書やイン ターネットの利用など)を許可し、様々な情報のリソースを活用させた。このように、
学習者同士は有効なフィードバックを行うことができる。
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このように、信頼でき、かつ妥当性のある活動の手順を採用すること、ならびに教師が 厳格な活動手順を使用することにより、本研究の調査の方法は信頼できると考えられる。
(2)トライアンギュレーション
トライアンギュレーション(triangulation 三角測量的方法)とは、Denzin が Denzin
(1978)で提唱したもので、多様な手法や経験的資料、視点、観察者を組み合わせた研究 手法である。関口(2013:216)は、研究報告を下す際に、複数のルートからデータを提 示してトライアンギュレーションを経た分析結果であることを明示すると、かなり客観性 と信頼性を伴うとしている。Creswell(操・森岡訳 2007:19)も、トライアンギュレー ションは質的データの結果の正確性をチェックするために用いられる戦略の1つであると 指摘している。本研究の実情と合わせながら、Denzin(1978)の提案したトライアンギ ュレーションの、以下の4つの因子から、本研究の調査方法の信頼性・妥当性を確かめる。
①データ源のトライアンギュレーション
データは、多元な源泉から収集されることである。本研究は、3 回しかのピア・レス ポンス活動の実験を行ったが、データを学習者の作文、ワークシート、発話、インタ ビューなど多方面から収集して、分析に用いた。このように、多元なデータの収集と 分析が行われることが、データの妥当性と信頼性を強める。
②研究者トライアンギュレーション
複数の研究や評価者による調査を行う。本研究はデータの収集の際、筆者のほか、も う1人の調査者がアシスタントの役割を担当した。データの分析の際、数人の日本語 教育経験のある中国人教師、および上級中国語学習者の日本語母語話者にチェックを 依頼したことがある。これらの複数の研究者と評価者を使用することでデータの妥当 性を確保できると考えられる。
③理論トライアンギュレーション
データを解釈するのに複数の理論の枠組みを使用することである。本研究では、デー タを解釈する際に、第二言語習得理論および社会文化理論という研究テーマと関連の ある理論を用いた。
④方法的トライアンギュレーション
1 つの研究課題を解決するのに複数の方法を使用することである。本研究では複数の 分析方法を利用した。本研究において、多種類のデータを収集し、研究課題を3つに
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設定した。それぞれの課題を解決するために、1 つの分析方法だけではデータの分析 に不十分であると考えられるので、複数の分析方法を使った。
以上から、本研究で用いた研究方法は、信頼できるといえる。
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