第 4 章 学習指導要領から見た中国の日本語作文教育の問題点
4.3 結果
4.3.3 学習者からみる中国の日本語作文教育の実情
4.3.3では、インタビューにおける調査対象者の言葉を引用しつつ、学習者から見る中国
の日本語作文教育の実情がわかるように、まずは作文授業の基本情報をつかんでおく。
学習者Jp-Aとは2017年に大学を卒業後、1年浪人して2018年に北京の某大学大学院に 進学した。学習者Cn-Fは2017年に大学を卒業後、上海の某大学大学院に進学し、2019年 7月に卒業見込みである。
インタビューデータによると、日本語作文授業は大学の2年目から4年目に開設され、
日本人教師が担当していた。2 年目の授業では、教師からは 100-200文字の文章を書ける ように求められた。ジャンルは説明文・随筆を主とした。3 年目になると、別の日本人教 師が作文授業を担当することになり、400 文字以上の論説文を書けるように目標を設定し た。4年目では、その教師が作文授業を担当しつつ、毎週 800文字以上の論説文を書く練 習をさせた。しかし、作文授業の負担が重く、就職活動やインターンシップで忙しくなる などの理由により、履修する人数が急に減った。次に、「使用された教科書」、「授業方式」、
「学習方式」、「測定方式」に対する分析を行う。
(1)教科書
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2 年目の授業では、日本人教師が日本から持参した教材を教科書として採用した。3・4 年目でも、教師は中国で出版された教科書を使用せず、自らトピックを見つけて授業を行 ったと学習者は話している。
(2)授業方式
授業の形式について、学習者は以下のように話した。
2年目:教師は私たちにトピック(例えばドラゴンボートフェスティバル、春節、冬な ど、季節に合わせるキーワード)を与え、それに関する作文を書かせた。学期の終わり に、教師は私たち一人一人に短いパラグラフを書かせ、4人グループになってこれらの パラグラフを1つの文章に整えさせた。
3年目:最初の授業で教師は、原稿用紙の使い方や句読点の使い方など、基本的な書き 方のルールを紹介した。作文の話題として私たちに、東日本大震災後、震災現場でゴミ をペットボトルに詰めている男の子の写真などを見せた。教師は私たちに、写真に基づ いて自分自身の考えを書くよう求めた。生徒は次の授業までに作文を提出し、教師に添 削してもらった。
このように、文法重視、教師添削中心の授業方式が採られていたことがわかった。イン タビューでは、学習者は1回行った協働学習の経験を話した。
3・4 年目:教師が新しい方法で作文を教えたことがあった。ときどき、私たちにクラ スメートの作文と交換してコメントし合うように指示したり、1年下の後輩の作文を添 削させたりした。直した方がよいと思う箇所に蛍光ペンで印をつけ、修正意見を書かせ た。しかし、このような練習は少なかった。
学習者には仲間の作文を添削するような経験があるが、学習者間の相互作用が欠如して いるため、正確には協働学習とはいえない。
(3)教師添削について
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授業の形式について、学習者は以下のような話をした。
先生は、私たちの作文の中にある典型的な間違いを見つけて、スライドにして学生に示 した。問題のある文には下線が引かれた。先生は、私たちがこれらに含まれる言語の知 識をどの程度習得しているかを知るため、何人もの学生にこれらの文をどのように修正 すべきかと尋ね、最後に自分の意見を出した。
具体例として、「に」と「で」の使い方を学習者が述べた。「図書館で勉強します」の「で」
が、「に」と間違って書いてあったら、先生は「に」と「で」の用法の違いについて説明し て、正確な文に書き直させたと語った。言葉の添削は多かったが、作文の内容はあまり直 されていなかったと話した。
(4)測定方式
「先生はどのような基準で作文を評価したのか」と尋ねたところ、以下のように語った。
先生は、作文で出てきた間違いの個数によって作文を評価した。作文に赤いマークがつ いているところが多かったら、作文の評価が下がる。反対に、少なかったら評価が高か った。以前、あるクラスメートの作文には赤いマークが1つもなかったので、よい手本 として先生が低学年の後輩たちに見せていた。
新しく学んだ文法を作文に運用したクラスメートがいた。それについて先生は、「新 たに学んだ知識を作文に運用することはいいが、上下の文脈を見ないと間違える」と言 って、正確に文法や語彙を運用すべきだと強調した。それに、大学院試験では小論文を 書かせることもあり、できるだけ間違いを少なくすることが求められている。それに応 じて、先生は、文章においては特に最初と最後の部分で間違いを犯さないようにするよ う伝えた。
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