2. 個々の試験結果の要約
2.13 試験1218.67(DDI-リファンピシン)
リファンピシンの併用投与によって,リナグリプチンの
AUC
τ,ssおよびC
max,ssの幾何平均値がそ れぞれ40%および 44%低下し(AUC
τ,ssは145 nM·h
から87.6 nM·h
に低下,Cmax,ssは9.84 nM
か ら5.53 nM
に低下),tmax,ssはわずかに延長した(1.26時間から1.50
時間)。CD 1790はCYP3A4
で代謝されることから,リファンピシンの併用によりCYP3A4
活性が誘導され,CD 1790の生 成は増加すると予想されたが,実際にはリファンピシンの併用投与によってリナグリプチンに 対するCD 1790
のAUC
τ,ssの比は11%から 3%へと 72%低下した。また CD 1790
のC
max,ssのリ ナグリプチンのC
max,ssに対する割合は22.0%から 11.9%へと 46%低下した。
これまでの試験の結果から,CYP3A4による
CD 1790
の生成が用量依存的であり,用量が低いほど
CD 1790
のリナグリプチンに対する相対曝露が低下することが明らかにされている。このため本試験でみられたリナグリプチンおよび
CD 1790
の曝露をこれまでの試験で検討した用量 の結果と比較することで,リファンピシンの作用がCYP3A4
またはP-糖蛋白のどちらの誘導に
よるものかを推察することができる。試験1218.33[CTD 5.3.1.1-3,U -1139-01]のリナグリ
プチン1 mg
投与後のリナグリプチンおよびCD 1790
の曝露は,本試験でリファンピシンとリ ナグリプチン5 mg
の併用投与後と同程度であった。したがってリファンピシン併用下でみら れた影響は,バイオアベイラビリティの低下,すなわちP-糖蛋白の誘導によるものである可能
性が高いと考えられる。リファンピシンを併用投与すると,リナグリプチンの尿中排泄率(fe0-24,ss)が低下したが(3.46%
から
0.415%),いずれも投与量の 5%未満であった。リナグリプチンの半減期(定常状態終末相
における半減期)は,リナグリプチンとリファンピシンの併用投与による影響を受けなかった。
リナグリプチンの主要な薬物動態パラメータおよび主要評価項目の統計解析結果を表
2.13: 1
および2
にまとめる。表2.13: 1 リナグリプチン単独またはリファンピシン併用下でのリナグリプチンの主 な薬物動態パラメータ
リナグリプチン5 mg 1日1回
(N=16)
リナグリプチン5 mg 1日1回および リファンピシン600 mg1日1回併用
(N=16)
リナグリプチン gMean gCV [%] gMean gCV [%]
AUCτ,ss [nM·h] 145 25.4 87.6 16.8
Cmax,ss [nM] 9.84 38.6 5.53 24.2
tmax,ss a) [h] 1.26 0.333 - 6.00 1.50 0.667 - 6.00
t1/2,ss [h] 56.1 52.7 58.9 42.9
fe0-24,ss [%] 3.46 54.4 0.415 105
CD 1790
AUCτ,ss [nM·h] 15.8 51.5 2.69 50.3
Cmax,ss [nM] 2.17 61.9 0.659 63.6
tmax,ss a) [h] 2.00 0.650 - 4.00 1.50 0.667 - 6.00
t1/2ss [h] 13.3 48.4 3.90 87.1
a) 中央値(最小値 - 最大値)
引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験1218.67,Table 11.5.2.2: 1 and 2より作成
表2.13: 2 リナグリプチン単独またはリファンピシン併用下でのリナグリプチンの薬
物動態パラメータのANOVA結果
パラメータ N Test Reference 個体内
gCV
(%)
幾何平均値の 比(%)
(Test/Reference)
両側90%信頼区間 下限値
(%)
上限値
(%) AUCτ,ss 16 リファンピシン
併用
リナグリプチン
単独 13.3 60.5 55.7 65.7
Cmax,ss 16 リファンピシン
併用
リナグリプチン
単独 26.5 56.2 47.8 66.0
引用元:CTD 5.3.3.4-9,試験1218.67,Table 11.5.2.3: 1より作成
薬力学:リナグリプチンの薬理作用のマーカーとして
DPP-4
阻害を評価した。リナグリプチン 単独投与と比較して,リファンピシン併用投与時のトラフ時のDPP-4
阻害率(E24,ss)は非併用 時に比べて35%低下し,平均 DPP-4
阻害率(Eavg,ss)は非併用時に比べて21%低下した(E
24,ss の中央値:81.1%から52.7%;E
avg,ssの中央値:85.6%から67.6%)。リファンピシンの併用投与
によるリナグリプチンの血漿中濃度とDPP-4
阻害率の相関に対する影響はなかった。本試験の 併用投与時の曝露およびDPP-4
阻害率はリナグリプチン1 mg
の投与時と同程度であり,第IIb
相試験(試験
1218.6)の結果から,統計学的に有意な HbA1c
の低下が示されている[CTD 5.3.5.1-3,試験
1218.6])。よって,リファンピシン併用投与下においてもリナグリプチンは臨床的に有効
であると予想されるが,最大の効果は得られない可能性がある。
結論:
P-糖蛋白および CYP3A4
の強力な誘導剤であるリファンピシンの併用投与後に,リナグリプチンの
C
maxおよびAUC
が低下した。リナグリプチンとリファンピシンを併用投与すると,リナ グリプチンのAUC
τ,ssおよびC
max,ssがそれぞれ40%および 44%低下し,リナグリプチンの t
max,ss の中央値はわずかに延長した。リファンピシンの併用投与は,リナグリプチンの分布および排 泄にほとんど影響を及ぼさず,終末相における半減期は変化しなかった。リファンピシン併用 投与により薬理活性をもたない代謝物であるCD 1790
のリナグリプチンに対する相対曝露が低 下し,本試験でみられたリファンピシンの影響が主にP-糖蛋白の誘導によるものであることが
示唆された。リナグリプチンおよびリファンピシンの併用投与後に,トラフ時の
DPP-4
阻害率で35%,平均
DPP-4
阻害率で21%の低下が認められた。併用投与時のトラフ時の DPP-4
阻害率は52.7%であ
り,平均
DPP-4
阻害率は67.6%であった。リファンピシン併用投与時でもリナグリプチンは臨
床的に有効であると予想されるが,最大の効果は得られない可能性がある。