2. 個々の試験結果の要約
2.23 母集団薬物動態解析
性別:女性では,男性に比べて
B
maxが9.2%高かった。シミュレーションの結果,5 mg 1
日1
回投与後のAUC
τ,ssは男性に比べて女性で6.8%高くなると予想された。
体重/BMI:体重
88kg
から1 kg
増加するごとに,バイオアベイラビリティは0.958%ずつ線形的
に低下した。シミュレーションの結果,5 mg 1日1
回投与後のリナグリプチンのAUC
τ,ssは,体重
88 kg
の男性患者に比べて,体重67 kg
の男性患者では5.9%増加し,一方,体重 117 kg
の 男性患者では8.7%低下すると予想された。なお,67,88
および117 kg
は,共変量解析に組み 入れた患者の体重分布のそれぞれ5
パーセンタイル,50パーセンタイルおよび95
パーセンタ イルである。なお,BMIと体重との高い相関性が認められたものの,視覚的な検討からは,リ ナグリプチンの曝露に対するBMI
の影響は認められなかった。メトホルミン併用(試験1218.6):メトホルミン併用下(試験
1218.6)の患者では,相対バイ
オアベイラビリティが増加した。シミュレーションの結果,5 mg 1日1
回投与後のリナグリプ チンのAUC
τ,ssは,他の試験の男性患者に比べて19.8%上昇すると予想された。
試験/製剤:吸収速度定数は,試験/製剤に依存的に変化した。液剤投与(試験
1218.2)では 0.933 1/h
であり,錠剤投与では低かった(0.795 1/h(TF2:試験1218.3)および 0.441 1/h(TF2b:試験 1218.5
および1218.6))。試験 1218.3
と試験1218.5
および1218.6
との間の差は,試験間で食事 の条件が異なっていること(試験1218.3
では絶食投与,試験1218.5
および1218.6
では食後投 与)によると考えられる。しかしながら,シミュレーションの結果,これら試験/製剤間の吸収 速度定数の差は,リナグリプチンのAUC
τ,ssに影響を及ぼさなかった。投与前DPP-4活性:リナグリプチン投与前の血漿中
DPP-4
活性が12497 RFU
から1 RFU
増加するごとに,Bmaxが
0.00332%ずつ比例的に増加した。シミュレーションの結果,リナグリプチ
ンのAUC
τ,ssは,投与前DPP-4
活性が12497 RFU
の患者と比べて,8025 RFUの患者では10.9%
低下,一方,18623 RFUの患者では
15.0%上昇すると予想された。なお,8025,12497
および18623 RFU
とは,共変量解析に組み入れた患者の投与前のDPP-4
活性の分布のそれぞれ5
パーセンタイル,50パーセンタイルおよび
95
パーセンタイルである。γグルタミルトランスフェラーゼ:γグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)が
33 U/L
から1 U/L
増加するごとに,クリアランスが0.0339%ずつ低下した。シミュレーションの結果,リナグリ
プチンのAUC
τ,ssは,GGTが33 U/L
の患者と比較して,9.4 U/Lの男性患者では,0.25%低下,一方,
158 U/L
の男性患者では,1.4%上昇すると予想された。なお, 9.4, 33
および158 U/L
は,共変量解析に組み入れた患者の
GGT
の分布のそれぞれ5
パーセンタイル,50パーセンタイル および95
パーセンタイルである。GGTのほかに,肝酵素であるアラニントランスアミナーゼ およびアスパラギン酸トランスアミナーゼの検討を行ったが,両酵素ともリナグリプチンの薬 物動態に対する有意な影響は認められなかった。用量:
5 mg
群と比較して,用量を1 mg
増加するごとに吸収速度定数が6.51%ずつ低下した。
また,5 mg群と比較して,用量を
1 mg
増加するごとにB
maxが3.41%ずつ増加した。
腎機能障害:解析に用いた試験では,腎機能障害のない患者または軽度腎機能障害の患者を主 に組み入れた(ベースライン時のクレアチニンクリアランスの範囲:47.9~318.1 mL/min,クレ アチニンクリアランスが
50 mL/min
未満の患者は1
例)。これらの患者について,クレアチニン クリアランスによるリナグリプチンの薬物動態に対する有意な影響は認められなかった。人種:解析に用いた試験では,
92%以上が白人であったため,薬物動態に対する人種の影響は,
視覚的に検討した。黒人,アジア人またはヒスパニック系の患者のリナグリプチンの血漿中濃 度は,白人患者と同様の範囲内であった。
以上,個々の共変量の影響は,いずれの共変量によっても
AUC
τ,ssの20%以上の変化は予想さ
れなかった。最も影響を受ける条件下での,AUCτ,ssの最大の上昇は63%(高齢(73
歳),低体 重(67kg),女性,メトホルミン併用,γグルタミルトランスフェラーゼ高値(158 U/L),投与 前DPP-4
活性高値(18623 RFU)),最大の低下は26%(非高齢(42
歳),高体重(117kg),男 性,メトホルミン非併用,γグルタミルトランスフェラーゼ低値(9.4 U/L),投与前DPP-4
活性 低値(8025 RFU))と予想された。結論:
糖尿病患者におけるリナグリプチンの薬物動態は,リナグリプチンと
DPP-4
との間の濃度依存 的蛋白結合を組み込んだ母集団薬物動態解析モデルによって最も良く記述された。年齢,体重および性別を含め,検討を行った共変量のリナグリプチンの曝露に対する影響は小 さい(いずれも
20%未満)と予想されたことから,いずれの共変量の影響も臨床的に問題とな
るものでないと考えられた。リナグリプチンの薬物動態が最も影響を受ける条件であっても,5 mg群の
AUC
τ,ssの最大の上 昇は+63%および最大の低下は−26%と予測された。
ドキュメント内
トラゼンタ錠 5mg CTD 第 2 部資料概要 2.7 臨床概要 臨床薬理試験 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
(ページ 103-106)