2. 個々の試験結果の要約
2.24 母集団薬物動態/薬力学解析
性別:男性に比べて,女性では
BSL
が高かった(女性:11565 RFU,男性:10700 RFU)。この ことから,IC50およびIC
80は,男性よりも女性で高くなると予想された(男性2.84 nM,女性 3.05 nM
および男性5.07 nM,女性 5.44 nM)。
γグルタミルトランスフェラーゼ(GGT):
GGT
が175 U/L
以下の患者においては,GGTが32.3 U/L(データセットの中央値)から GGT
が1U/L
増加するごとに,BSLが0.153%ずつ増加
した。一方,GGTが175 U/L
より高い患者では,GGT値が32.3 U/L
の患者に比べて,BSLが21.3%上昇することが予想された。GGT
値が10.9 U/L(データセットの 5
パーセンタイル)の男性患者では,IC50が
2.76 nM,IC
80%が4.92 nM
であり,一方,GGT値が124.8 U/L(データセ
ットの95
パーセンタイル)の男性患者では,IC50が3.21 nM,IC
80%が5.73 nM
と予想された。アラニントランスアミナーゼ(ALT):
ALT
が28.8 U/L(データセットの中央値)から 1 U/L
増 加するごとに,BSLが0.175%ずつ増加した。 ALT
が10.6 U/L(データセットの 5
パーセンタイ ル)の男性患者では,IC50が2.76 nM,IC
80が4.92 nM
であり,一方,ALTが75.9 U/L(データ
セットの95
パーセンタイル)の男性患者では,IC
50が3.06 nM, IC
80が5.45 nM
と予想された。空腹時血漿中グルコース(FPG):
FPG
が8.9 mM(データセットの中央値)から 1 mM
増加す るごとに,BSLが1.46%ずつ増加した。FPG
が5.7 mM(データセットの 5
パーセンタイル)の 男性患者では,IC50が2.72 nM,IC
80が4.85 nM
であり,一方,FPG濃度が13.4 mM(データセ
ットの95
パーセンタイル)の男性患者では,IC50が3.01 nM,IC
80が5.37 nM
と予想された。コレステロール:コレステロールが
183 mg/dL(データセットの中央値)から 1 mg/dL
増加す るごとに,BSLが0.0261%ずつ増加した。コレステロールが 98.6 mg/dL(データセットの 5
パ ーセンタイル)の男性患者では,IC50が2.78 nM,IC
80が4.97 nM
であり,一方,コレステロー ルが263.8 mg/dL(データセットの 95
パーセンタイル)の男性患者では,IC50が2.90 nM,IC
80 が5.17 nM
と予想された。トリグリセリド:トリグリセリドが
160 mg/dL(データセットの中央値)から 1 mg/dL
増加す るごとに,BSL
が0.0294%ずつ増加した。また,トリグリセリドが 1mg/dL
増加するごとに,IC
50は
0.0153%減少し,結果的に,IC
50に対するBSL
増加の影響は打ち消された。トリグリセリドが
68.5 mg/dL(データセットの 5
パーセンタイル)の男性患者では,IC50が2.81 nM,IC
80が5.02 nM
であり,一方,トリグリセリドが422.1 mg/dL(データセットの 95
パーセンタイル)の男性患者では,IC50が
2.92 nM,IC
80が5.21 nM
と予想された。最も影響を受ける条件下,すなわち
GGT
高値(124.8 U/L),ALT
高値(75.9 U/L),FPG
高値(13.4mM),トリグリセリド高値(422.1 mg/dL),コレステロール高値(263.8 mg/dL),および女性,
ならびに
GGT
低値(10.9 U/L),ALT低値(10.6 U/L),FPG低値(5.7 mM),トリグリセリド 低値(68.5 mg/dL),コレステロール低値(98.6 mg/dL),および男性において,それぞれ,IC50 が最大4.13 nM
および最小2.49 nM,IC
80は最大7.38 nM,最小 4.44 nM
と予想された。DPP-4
活性,FPGおよびHbA1c
間の関係を視覚的に検討した。トラフ時の血漿中
DPP-4
活性とFPG
またはHbA1c
との間に相関が認められた。CTD 5.4-29,R09-6021
で報告されている通り,血漿中DPP-4
阻害率が80%以上の場合は, FPG
およびHbA1c
がさらに低下するという傾向はみられなかった(CTD 5.3.3.5-2,U -1554-01, Figure 10.2: 5-6)。
リナグリプチン投与後の
FPG
およびHbA1c
の低下率は,それぞれベースラインのFPG
およびHbA1c
に依存的であった。すなわち,ベースラインのFPG
およびHbA1c
が高いほど,リナグリプチン投与後の
FPG
およびHbA1c
の低下率が大きかった(CTD 5.3.3.5-2,U -1554-01, Figure 10.2: 1-2)。
HbA1c
の変化率とFPG
との変化率との間に,ほぼ比例的な相関関係が認められた(CTD 5.3.3.5-2,U -1554-01,Figure 10.2: 7)。
結論:
リナグリプチンの血漿中濃度と血漿中
DPP-4
活性との関係は,Sigmoid Emax
モデルによって最 も適切に記述され,IC50値の母集団平均値は男性が2.84 nM,女性が 3.05 nM
であり,ヒル係数 は3.22
であった。IC
50およびIC
80に対する個々の共変量の影響は非常に小さく,IC50は2.72 nM~3.21 nM,IC
80 は4.85 nM~5.73 nM
の範囲にあった。最も影響を受ける条件下でも,IC50の変化は最小
2.49 nM
から最大4.13 nM,IC
80の変化は最小4.44 nM
から最大7.38 nM
と予測された。トラフ時の血漿中血漿中
DPP-4
阻害率とFPG
またはHbA1c
との間に相関がみとめられたが,血漿中
DPP-4
阻害率が80%以上の場合は,FPG
およびHbA1c
がさらに低下するという傾向はみられなかった。リナグリプチン投与後の
FPG
およびHbA1c
の低下率は,それぞれベースラインの
FPG
およびHbA1c
に依存的であった。HbA1cの変化率とFPG
との変化率との間に,ほぼ比例的な相関関係が認められた。
ドキュメント内
トラゼンタ錠 5mg CTD 第 2 部資料概要 2.7 臨床概要 臨床薬理試験 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
(ページ 106-109)