2. 個々の試験結果の要約
2.9 試験1218.12(4週間反復-日本人2型糖尿病患者)
Day 1
0 4 8 12 16 20 24
Linagliptin plasma conc. [nM]
0 20 40 60 80 100
Day 28
648 652 656 660 664 668 672
Linagliptin plasma conc
. [n
M]
0 20 40 60 80 100
Time [h]
0 6 12 18 24 672 720 768 816 864 912 960 1008
Linagliptin plasma conc
. [n
M]
0.1 1 10 100
0.5mg (N=19) 2.5mg (N=18) 10mg (N=18) 上図: Day 1, 普通軸; 中央図: Day 28, 普通軸; 下図: Day 1 to Day 43, 片対数軸 引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験1218.12, Figure 11.5.2: 1より作成
図2.9: 1 リナグリプチン0.5~10 mg 反復投与時のリナグリプチンの平均血漿中濃度
推移
リナグリプチンの単回および反復投与後の薬物動態パラメータの要約を表
2.9: 1
に示す。表2.9: 1 リナグリプチン0.5~10 mg 反復投与時のリナグリプチンの薬物動態パラメ ータ
反復投与 0.5 mg 2.5 mg 10 mg
gMean (gCV[%]) gMean (gCV[%]) gMean (gCV[%])
Day 1 N 19 18 18
AUCτ,1 [nM·h] 29.9 (45.7) 129 (23.7) 323 (32.6)
AUCτ,1,norm [(nM·h)/mg] 59.7 (45.7) 51.8 (23.7) 32.3 (32.6)
Cmax,1 [nM] 2.81 (55.4) 8.84 (35.1) 35.1 (80.1)
Cmax,1,norm [(nM)/mg] 5.62 (55.4) 3.54 (35.1) 3.51 (80.1)
tmax,1a) [h] 1.50
(1.00-2.00)
1.50 (0.500-8.00)
1.50 (0.500-12.0)
fe0-24,1 [%] NC 0.227 (145) 4.08 (94.7)
CLR,0-24,1 [mL/min] NC 1.54 (120) 44.6 (59.2)
Day 28 N 17 17 18
AUCτ,ss [nM·h] 89.4 (27.2) 164 (23.4) 373 (33.5)
AUCτ,ss,norm [(nM·h)/mg] 179 (27.2) 65.6 (23.4) 37.3 (33.5)
Cmax,ss [nM] 5.02 (33.9) 11.0 (40.9) 44.0 (80.4)
Cmax,ss,norm [(nM)/mg] 10.0 (33.9) 4.40 (40.9) 4.40 (80.4)
tmax,ssa) [h] 1.50
(1.00-8.00)
1.50 (0.500-4.00)
1.25 (0.500-2.00)
t1/2,ss [h] 240 (33.1) 223 (23.0)b) 260 (32.3)
MRTpo,ss [h] 214 (16.9) 178 (17.5)b) 119 (39.6)
CL/F,ss [mL/min] 197 (27.2) 537 (23.4) 945 (33.5)
Vz/F,ss [L] 4090 (45.0) 10400 (31.2)b) 21200 (55.5)
fe0-24,ss [%] 2.26 (93.1)b) 4.25 (72.4)b) 6.79 (51.6)c)
CLR,ss [mL/min] 4.50 (76.6) b) 22.8 (54.7)b) 65.0 (30.0)c)
RA,AUC 2.88 (28.3) 1.27 (21.4) 1.16 (27.8)
RA,Cmax 1.71 (35.8) 1.23 (40.4) 1.25 (78.0)
NC=Not calculated
a): 中央値(範囲),b): N=16,c): N=17
引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験1218.12, Table 11.5.2: 1より作成
0.5 mg
から10 mg
の用量範囲において,リナグリプチンのAUC
およびC
maxの増加は用量比以 下であった。リナグリプチン0.5 mg
から10 mg
にかけての見かけのクリアランス(CL/F,ss)お よび見かけの分布容積(Vz/F
,ss)の増加は5
倍に過ぎなかった。リナグリプチンの定常状態での終末相における半減期(t1/2,ss)は
223~260
時間であった。この 長い半減期は薬物動態的な特徴を表す半減期ではなく,リナグリプチンの累積係数(AUCおよび
C
maxに基づいて算出したR
A)は2.5 mg
および10 mg
で1.16~1.25,0.5 mg
で1.71~2.88
の 範囲であった。累積係数は,用量を増すにつれ低下する傾向を示した。リナグリプチンの尿中排泄率(%)は用量の増加に伴って増加し,全用量群とも
1
日目よりも28
日目の方が高かった。ただし,定常状態におけるリナグリプチンの尿中排泄率(fe0-24,ss)は,最高用量群である
10 mg
においても7%未満であった。
リナグリプチンの薬理学活性をもたない主な代謝物である
CD 1790
は,リナグリプチン投与の 約1.50
時間後(tmaxおよびt
max,ssの中央値)に最高濃度に到達した。定常状態においてCD 1790
の曝露(AUCτ,ss)のリナグリプチンの曝露に対する割合は2.5 mg
群で約8%,10 mg
群では約19%であった。
薬力学:リナグリプチンは用量依存的に
DPP-4
活性を阻害した(図2.9: 2)。最終投与の 24
時 間後のDPP-4
阻害率(Eτ,ss)の中央値は,それぞれ0.5 mg,2.5 mg,および 10 mg
群について47.0%,80.0%,および 90.0%であった。リナグリプチンの血漿中濃度と DPP-4
阻害率は良く相関した。視覚的に判断した結果,約
3 nM
の濃度によってDPP-4
活性は50%阻害され,6 nM
の 濃度でDPP-4
活性は80%阻害されると予想される[CTD 5.3.5.1-4,試験 1218.12, Figure 11.5.4: 1]。
0.5mg (N=19) 2.5mg (N=18) 10mg (N=18) Placebo (N=17) Time [h]
0 4 8 12 16 20 24648 720 792 864 936 1008
DPP-4 inhibition [%]
0 20 40 60 80 100
左図:Day 1,右図:Day 28
引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験1218.12, Table 15.7.1: 9-12より作成
図2.9: 2 リナグリプチン0.5~10 mgまたはプラセボ反復投与時のDPP-4阻害率の経
時変化
リナグリプチンは
1
日目および29
日目(リナグリプチン最終投与の24
時間後)の食後血漿中GLP-1
濃度を用量依存的に上昇させた。1
日目および29
日目の食後血漿中GLP-1
濃度のベースラインからの変化を表
2.9: 2
にまとめる。表2.9: 2 プラセボまたはリナグリプチン0.5~10 mg反復経口投与後の食後のGLP-1 濃度
GLP-1のベースライ ンからの変化
(pmol/L)
プラセボ
(N=17)
0.5 mg
(N=19)
2.5 mg
(N=18)
10 mg
(N=18)
平均値(SD) 平均値(SD) 平均値(SD) 平均値(SD)
Day 1 2.5 ( 2.4) 3.5 ( 3.2) 5.8 ( 2.6) 6.8 ( 2.7)
Day 29 2.2 ( 1.7) a 5.1 ( 4.3) b 7.0 ( 4.1) b 10.1 ( 7.2) BLQの値は1/2 LLOQに置き換えた
a N=16 b N=17
引用元:CTD 5.3.5.1-4,試験1218.12, Table 11.5.3: 5より作成
リナグリプチンのすべての用量群で,プラセボ群に対して統計学的に有意な空腹時血漿中グル コース濃度の低下がみられた。この作用は投与期間が長くなるにつれて上昇し,用量依存的で あった。
Day 29
のベースラインからの変化量の平均値(SD)[mg/dL]は,ブラセボ群で3.2
(22.5),0.5 mg
群で −11.5(8.3),2.5 mg群で−13.6(15.2),10 mg群で−25.0(12.3)であった。最も高 い作用が認められたのは10 mg
群であった。日間変動が大きく,0.5 mg
と2.5 mg
群でのリナグ リプチンの影響の明確な違いはみられなかった。MTT
後の血漿中グルコースのAUEC
0-3にも同様の影響が認められ,AUEC
0-3は用量依存的な低 下を示し(10 mg群Day 29
:−83.3 mg·h/dL),10 mg
群では統計学的に有意な影響が認められた。リナグリプチンの投与期間は
4
週間と短期間であったが,リナグリプチンは全用量群においてHbA1c
の低下がみられた。MTT後の血漿中グルコースの変化と同様に,HbA1cに対する最も高いリナグリプチンの影響は
10 mg
群で認められた(プラセボ群との比較で0.48%低下)。 0.5 mg
および10 mg
でのHbA1c
の低下は統計学的に有意であった(p<0.05)が,2.5 mg群では有意性 の水準である0.05
にわずかに満たなかった(p=0.0759)。結論:
非線形の薬物動態,終末相における半減期は長いものの薬物動態的な特徴を表す半減期ではな いこと,および尿中排泄率が低いことなどのリナグリプチンの薬物動態的な特性は,日本人健 康被験者および白人におけるこれまでの試験成績と一致していた。リナグリプチンの血漿中濃 度と血漿中
DPP-4
活性の阻害との間に良好な相関が認められた。すべてのリナグリプチン用量群において,リナグリプチンの
DPP-4
阻害によるGLP-1
濃度の上 昇ならびに血漿中グルコース濃度およびHbA1c
の低下が生じた。薬力学パラメータに対するリ ナグリプチンの影響は用量依存的であり,10 mgで最大であった。2.5 mg
投与時のトラフ時のDPP-4
阻害率の中央値は80.0%であり,空腹時血漿中グルコース濃
度,GLP-1および