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製薬企業とのオープンイノベーションによ る革新的な創薬研究

ドキュメント内 プレナリー (ページ 147-150)

座長:横田 隆徳 ‌‌

東京医科歯科大学大学院医歯学総 合研究科脳神経病態学分野

三澤 園子 ‌‌

千葉大学大学院医学研究院脳神経 内科学

≪ねらい≫

アカデミアの基礎研究の成果を患者に届ける最大の出口であ る創薬において、産学のギャップ(Death valley)をバイオベ ンチャーが埋めるという社会構造が推進され、アカデミアで もトランスレーションをサポートするURAが設立、多くの トップ企業はオープンイノベーションの方向性を示して、日 本政府も文部科学省、厚生労働省、経済産業省を統合した日 本医療研究開発機構(AMED)を設立した。そのような各界 の努力により産学連携に進捗がみられるが、日本のアカデミ ア発のシーズが創薬に結び付く成功確率は欧米に比較してか なり低いという現実がある。その原因は、日本の産官学のい ずれにおいてもPublic-Private Partnership (PPP) やオープ ンイノベーションの概念の理解と、それを実現するための基 礎知識が不足していることが指摘される。そこで、本シンポ ジウムでは産学共同の創薬研究を進めたい神経学会員を対象 に、1)グローバルな創薬に必要な基本概念や具体的な知識 の啓蒙、2)創薬の流れの実際、3)グローバルな神経系創薬 のupdateを盛り込んだ企画を行った。(この検討は将来構想 委員会で横田、勝野先生で行っており、今年8月にはじめて、

この趣旨でサマースクールを企画したが、神経学会でも定期 的に開催されることが望まれる)

S-29-1 産学連携創薬の流れと基礎知識

○‌‌飯田香緒里

東京医科歯科大学 統合研究機構 イノベー ション推進本部 教授・産学連携推進センター 長 オープンイノベーション機構 副機構長

【略歴】

国立大学法人東京医科歯科大学 

統合研究機構 イノベーション推進本部 教授 産学連携研究センター長

オープンイノベーション機構 副機構長 中央大学法学部卒

2005年 国立大学法人東京医科歯科大学 入職 2008年 同大知的財産本部‌特任助教 2010年 同大特任講師

2011年 同大研究・産学連携推進機構‌准教授 

‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌‌同大産学連携研究センター長に就任 2013年 現職

2018年 同大オープンイノベーション機構 副機構長に就任

○行政・学会等での委員等活動

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 顧問(TMC)(2011~)

経済産業省産業構造審議会特許制度小委員会・弁理士制度小委員(2014~)

全国医学部長病院長会議 臨床研究・利益相反検討委員(2015~)

産学連携学会 副会長 理事(2015~)

日本内科学会 利益相反委員(2016~)

日本小児科学会 利益相反委員‌(2016~)

大学・公的研究機関複数にて、利益相反外部委員・外部講師を務める 近年、創薬をめぐる近年の産業競争は、人工知能などの急速 な技術革新、再生医療やゲノム研究等の進展に伴い激化する 傾向が強い。国際競争において我が国発の革新的創薬を創出 し続けていくためには、従来以上に産学が本格的に連携し、

スピード感のある協働に強い期待が寄せられている。

そのような要請に呼応して、現在産業界・大学等アカデミア とも、パートナーシップの設計方法の多様化、プロジェクト 管理体制の確立、知的財産管理の強化等、産学連携の在り方 自体が深化する傾向にある。

その一方で、医学研究の実施、とりわけ産学連携含む外部と の連携の際には、その適正な実施、信頼性維持に向けて、関 連法令の遵守、契約マネジメント、利益相反への対応と行っ たリスクマネジメントへの慎重な対応が求められる。

本セッションでは、昨今の創薬を目指した産学連携の傾向を 振り返りながら、産学連携をめぐるコンプライアンスの基礎 知識についても紹介する。

24 日 シ ン ポ ジ ウ ム

5月24日(金)13:45 ~ 15:45 第9会場(大阪国際会議場12F 特別会議場)

Jp

S-29-2 加速する創薬モダリティ

の多様化におけるアカデ ミアへの期待

○‌‌梶井  靖

ノバルティスファーマ株式会社メディカル本部中枢神経メ ディカルフランチャイズ部

【略歴】

東京大学農学部農芸化学科卒業、同大学院農学生命科学研究科修了、農学 博士。1995年より国立精神・神経センター疾病研究第3部(西川徹部長)に て覚せい剤行動感作の分子生物学的研究に6年間従事した後、国内製薬企 業(現田辺三菱製薬)において精神疾患治療薬研究に従事、この間、米国メ リーランド大にて統合失調症中間表現型の分子遺伝学解析等に参加(Prof R. Schwarcz、Prof G. Thaker)。2012 年 よ りAbbVie、2014 年 よ り Novartisの日本法人にてメディカル本部の中枢神経領域責任者として神経 精神疾患の治療最適化に多角的に取り組む。

1950年代の抗ヒスタミン薬創生以降、創薬は長らく低分子医 薬に牽引されて来たが、1990年代に入ると抗体医薬/高分子 医薬へとその中心がシフト、近年は核酸医薬/中分子医薬が 実用化され、さらには細胞・遺伝子医薬(いわば超高分子医薬)

の本格的登場を迎えるに至っている。この創薬モダリティの 多様化は同時に、1つの医薬品がより多くの患者に処方され ることを前提としたready-made medicineから、個々の患者 の分子病態生理に基づくorder-made medicineを指向する戦 略への転換を創薬現場にもたらしている。つまり、従来の診 断基準では1つの疾患として括られていた患者集団であって も、分子病態生理や病因を反映したバイオマーカーによって 患者集団を特定し、その患者集団に対して最適な治療戦術を 模索する方向性であり、さらには、希少疾患に対する精力的 なアプローチである。こうした創薬戦略を支える基盤として、

疾患の病態生理や病因を分子的に理解し、症状緩和のみなら ず、病因の除去・修正・補完による根本解決策を提示するた めのアカデミアとの協同アプローチがますます重要となって 来ている。前述のように製薬企業サイドでは多様な創薬モダ リティが用意されるに至ったが、そこに乗せるべき治療戦術 の有効性・信頼性を如何に早期に見極め、治療薬としての具 現化プロセスのロードマップを全体としてどれだけ短縮でき るかが成功のキーと言える。企業サイドから見て、臨床現場 を起点としたアカデミアの研究成果には具体的な症例の理解 と直結していることが期待され、その特定症例群の解析から 導かれた個々の創薬シードに対して企業側は自身が持つ創薬 モダリティ・プラットフォームとのマッチングを検討した上 で、治療薬として具現化する上でクリアすべき戦略上の課題 を特定する必要がある。さらに、その治療戦術がイノベーティ ブであればあるほど、現状の医療実践に乗せて治療機会を広 く提供する上での課題も早期に特定し、その対策を戦略に組 み込む必要がある。臨床現場を起点としたアカデミア発の創 薬シーズを具体的な治療薬として花開かせるためには、こう した創薬戦略全体像と個々のニーズを共有した上で相互理解 を深め、信頼に基づくパートナーシップを構築し、共通のゴー ル設定を持つことが成功のキーと考えられる。

S-29-3 医療イノベーションの担

い手としてのライフサイ エンスベンチャー

○‌‌芦田 耕一

株式会社INCJ

【略歴】

米国戦略コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー、アマシャム ファ ルマシア バイオテク株式会社(現在の GE ヘルスケア・ジャパン株式会社)、

日本モンサント株式会社 サール事業部(現在のファイザー株式会社)などの 後、ヘルスケアに特化したベンチャーキャピタルである株式会社ファスト トラックイニシアティブの共同創業者・取締役パートナーを経て、2012 年 10 月より株式会社産業革新機構(現在の株式会社INCJ)。現在、株式会 社INCJ 執行役員マネージングディレクター ベンチャー・グロース投資グ ループ 健康・医療チーム リーダーのほか、INCJ の投資先であるメガカリ オン、NapaJen Pharma、レナセラピューティクス、スコヒアファーマ、

MedVenture Partners の社外取締役を兼務している。

東京大学大学院 理学系研究科 生物化学専門課程修了。理学修士。

革新的な医薬品の研究開発において産学連携やベンチャー活 用を含むオープンイノベーションの重要性が指摘されて久し い。その背景には医薬品産業の事業環境の変化がある。創薬 の対象疾患がアンメットメディカルニーズの高い分野にシフ トするにつれ、新薬開発の難度が高まり、研究開発費が上昇 している。また、かつて医薬品市場の中心は低分子化合物で あったが、近年は抗体医薬をはじめとするバイオ医薬品の成 長が著しい。さらに核酸医薬、細胞医薬、遺伝子治療といっ た新しい治療技術(モダリティー)の研究開発も進められ、ま だ数は少ないもののそれらの製品が上市され始めている。こ れらの事業環境の変化の中で製薬企業のビジネスモデルは、

研究から治験、製造、販売に至るまでのバリューチェーンを 一気通貫で自社が行うモデルから、組織の壁を越えて協働す るオープンイノベーション型に移りつつある。既に米国にお いてはアカデミア、ベンチャー、製薬企業らからなる創薬エ コシステムが確立している。例えば、米国食品医薬品局が近 年承認した新薬の半数以上がアカデミアまたはベンチャーを 起源としている。さらに、核酸医薬、細胞医薬、遺伝子治療 といった新しいモダリティーの技術開発および創薬研究・開 発の主役はベンチャーといってよい。日本企業を含む製薬企 業の多くはベンチャーとの提携または企業買収によって新た なモダリティーの事業化を進めている。近年、日本において もアカデミアの研究成果に基づいた画期的な新薬が一定数生 まれている。また、日本の創薬ベンチャーは、米国のように 製薬業界の中で存在感を示すまでには残念ながらまだ至って いないものの、日本発の医療技術に基づいて創薬研究から始 めて臨床開発を進めている事例や国内外の大手製薬企業と提 携を行っている事例が増えつつある。シンポジウムでは、革 新的な新薬開発を中心に医療イノベーションを起こす担い手 としてのベンチャーの概観を紹介するとともに、日本のベン チャーへの期待と課題について触れたい。

24 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 147-150)

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