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脳可視化研究の大海原を目指して 座長:渡辺 宏久 ‌‌ 藤田医科大学脳神経内科

ドキュメント内 プレナリー (ページ 150-153)

島田  斉 ‌‌

量子科学技術研究開発機構‌放射線 医学総合研究所‌脳機能イメージン グ研究部

≪ねらい≫

脳の構造、ネットワーク、タンパク質、機能をはじめとした 可視化技術の進歩には目覚ましいものがある。特に7T MRI を用いた高解像度MRIは詳細なミエリンマップを提供し、高 感度タンパク質PETはタウ、TDP-43、α-シヌクレインの可 視化に迫っている。また、コンピュータサイエンスは、ヒト の脳ネットワークから見た脳機能の理解を飛躍的に進めてい る。さらに、脳画像というビッグデータの収集体制とハード ウェア技術の革新は、ディープラーニングを含めた人工知能 を用いた新しい脳画像研究領域を生み出そうとしている。一 方で、これらの革新的技術を用いて神経疾患の研究を進める には、脳神経内科医による解析の目的の明確化と、仮説立て が益々重要になっている。本シンポジウムでは、脳の可視化 研究をリードする我が国の研究者の講演を通じて最新の到達 点を知るとともに、これらを活用した新機軸の神経疾患研究 への展開を考えたい。

S-30-1 7 テスラMRIが切り拓く 脳可視化研究最前線

○‌‌福永 雅喜

1,2

、菅原  翔

1

山本 哲也

1

、丸山 修紀

1,2

定藤 規弘

1,2

1 自然科学研究機構 生理学研究所心理生理学研究部門、

2 総合研究大学院大学 生命科学研究科

【略歴】

大学共同利用機関法人‌自然科学研究機構‌生理学研究所‌心理生理学研究部 門、総合研究大学院大学‌生命科学研究科‌准教授。鍼灸師、鍼灸学博士。明 治鍼灸大学(現‌明治国際医療大学)卒・同大学院博士課程修了、2000年‌明 治鍼灸大学‌ 医療情報学教室‌ 助手、2003年‌ 米国‌NIH・NINDS・Lab.‌of‌

functional‌and‌molecular‌imaging・Advanced‌MRI‌section‌(Dr.‌Jeff‌

H.‌Duyn)・Visiting‌Fellow、2007年‌同・Reserach‌Fellow、2010年‌大 阪大学‌免疫学フロンティア研究センター‌生体機能イメージング‌特任助教、

2014年より現職。中枢神経系を対象に磁気共鳴法‌(magnetic‌resonance)‌

による脳機能研究、計測法開発に従事。とくに高磁場MRIによるヒトおよび 小動物への機能・代謝・分子イメージングを専門とします。

磁気共鳴画像法(MRI)による生体計測は、装置要因としての 空間分解能、信号雑音比(SNR: signal to noise ratio)ととも に、組織由来のパラメータである緩和時間およびコントラス トに依存する。また、MRI装置に使用されるマグネットの磁 場強度の上昇は、SNRの改善に加え、磁気共鳴の物理パラ メータである共鳴周波数の上昇をもたらし、組織コントラ ストの根源となるMR信号の位相分散や周波数シフトが増強 する。しかし、従来装置では問題とならなかった比吸収率

(SAR)の上昇や静磁場・送信波不均一の増強が顕著となるた め、その対策には注意が必要である。現在、7テスラ以上の ヒト用超高磁場MRIは、国外で70台以上、国内で5台の装置 が稼働しており、頭部のみならず全身応用を目指した研究開 発が進められている。臨床分野で広く普及する3テスラMRI に比較して、2.3倍程度の磁場強度の上昇であるが、計測現 場に於いて享受できる恩恵は大きく、十分なSNRにより実 用的な時間内でサブミリメーターオーダーの形態画像計測が 実現されたり、T2*緩和時間の短縮により脳機能MRI(fMRI:

functional MRI)の原理であるBOLD(blood oxygenation level dependent)効果の感度改善が得られるなどのアドバン テージをもたらす。近年、磁化率効果を利用した脳MRIが注 目されているが、超高磁場MRIでは、組織内(灰白質内、白 質内)コントラストがさらに増強されるため、サブミリメー ター空間分解能との相乗効果により、主としてミエリン密度 分布を反映する大脳皮質内の層構造の画像化や、基底核の 微細構造描出が可能となった。一方、fMRIの高解像度化は、

従来の機能マップの細分化・再構築を、生体ヒト対象に探索 出来る段階にあり、近年のポストプロセス技術の発展により、

従来型の大局的な脳構造(脳回、脳溝)を越えた、個体ベース での脳の機能・構造関連解析への応用が期待される。

24 シ ン ポ ジ ウ ム 日

5月24日(金)13:45 ~ 15:45 第11会場(大阪国際会議場12F 会議室1202)

公募 Jp

S-30-2 ネットワーク解析から見

た高次脳機能

○‌‌佐光  亘

徳島大学大学院 臨床神経科学分野

【略歴】

平成15年 徳島大学医学部医学科卒業

平成15年 財団法人田附興風会医学研究所北野病院内科 研修医 平成17年 財団法人田附興風会医学研究所北野病院神経内科 レジデント 平成18年 徳島大学医学部附属病院神経内科 医員兼大学院生

平成23年 The Feinstein Institute for Medical Research, Center for Neurosciences,

      Postdoctoral Research Fellow (Neuroimaging laboratory, Dr. David Eidelberg)

平成26年 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部臨床神経科学分野 平成27年  徳島大学大学院医歯薬学研究部臨床神経科学分野 助教助教 (現在に至る)

脳全体を一つの総体として考え、機能的・構造的な各脳部 位間のつながりを評価する方法として、神経画像を用いた ネットワーク解析が注目されている。それに用いられる具 体的な神経画像としては、水の拡散性を評価することによ り、それと関連する神経線維の走行を可視化する、拡散テ ンソルモデルに基づく拡散強調画像、オキシヘモグロビン とデオキシヘモグロビンの磁化率の差をもって動脈血流量 を見積もる機能的MRI (fMRI)、さらには18Fでマーキング したフルオロデオキシグルコースを用いて、その代謝を評 価するpositron emission tomography(FDG-PET)などがあ る。一方、ネットワーク解析として、principal component analysis、independent component analysis、graph theory に基づく方法などがこれまで用いられてきた。前二者は脳全 体から共通のパターンを持って動いている部位を同定する方 法であり、後者はnodesとlinksの二つの基本構造から導かれ るネットワーク自体が持つ多くの指標を評価する方法であ る。このような神経画像・解析方法を組み合わせて、神経疾 患におけるネットワークレベルでの変化が多く報告されてき たが、これらはあくまで各画像の解像度が許すレベルの部位 間におけるネットワークであり、皮質の層構造や線条体のマ トリックス・ストリオゾームのような画像上同一部位に見え ても、明らかに異なった線維連絡・機能的意義を持つ構造を 無視した大まかな解析方法であることは心にとどめておきた い。さて、こうして同定されたネットワークは、正常ネット ワークと疾患に関連するネットワークという二つに大きく分 類される。前者で最も有名なものこそ、多くの高次脳機能の 基盤となるdefault mode network (DMN)である。DMNは 元々安静時fMRIで同定されたが、後にFDG-PETでも発見さ れ、さらに多くの疾患においてその発現に異常をきたすこ とが報告されてきた。また、疾患に関連するネットワーク で高次脳機能に関連する代表的なものとして、Parkinson's disease-related cognitive pattern (PDCP)がある。このネッ トワークは、アルツハイマー型認知症と関連するAlzheimer disease-related patternとも異なり、独立してパーキンソン 病の認知機能に関与することが知られている。正常ネット ワークと疾患に関連するネットワークという概念を踏まえた 神経画像のネットワーク解析と、そこから見た高次脳機能に ついて概説したい。

S-30-3 疾患修飾療法開発に直結

する次世代型PET研究

○‌‌島田  斉

量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研 究所 脳機能イメージング研究部

【略歴】

2003年 千葉大学医学部卒業、同神経内科入局

2005年  千葉大学大学院入学、放射線医学総合研究所(放医研) 客員協力研 2009年 千葉大学大学院卒業究員

2005年 放医研 分子イメージング研究センター 博士研究員を経て研究員 2014年 同、主任研究員

2016年 原研との独法統合に伴い、現所属(量研・放医研)の主任研究員 2017年 同、主幹研究員

現在に至る [研究テーマ]

『認知症性神経変性疾患の機能画像解析』

[社会活動]

アミロイドイメージングガイドライン作成ワーキンググループメンバー 日本神経学会代議員, 認知症学会代議員, 日本脳循環代謝学会幹事&学術委員 会委員ほか

[受賞等]

1. Young Investigator Award, the International College of Geriatric Psychoneuropharmacology, 2014

2. de Leon Prize in Neuroimaging (年間最高論文賞/Senior Scientist部門), Alzheimer'e Imaging Consortium, 2014

3. Travel Scholarship, Human amyloid Imaging Conference, 2014 4. Best Poster Award, Alzheimer's Imaging Consortium, 2013 5. Young Investigator Encouragement Grant, the 13th Asian Oceanian

Congress of Neurology, 2012 ほか国内での受賞8件.

多くの神経変性疾患においては, 脳内タンパク質のミス フォールディングに端を発する神経細胞内外の異常タンパク の蓄積が起こり, これが脳内炎症や神経伝達機能異常などの さまざまな脳内環境異常を惹起し, 最終的な神経細胞死や臨 床症状発現に至るとするとする病態カスケードモデルが提唱 されている. このような病態カスケードを構成する各病的変 化は, 診断ならびに治療上の重要な標的となる. 身近な臨床 例としては, ドパミントランスポーターイメージングを用い たドパミン神経伝達機能異常の評価によるパーキンソン病関 連疾患の診断や, コリンエステラーゼ阻害薬を用いた脳内ア セチルコリン神経系の賦活化によるアルツハイマー病やレ ヴィ小体型認知症の治療などが挙げられる.

 既述のような神経伝達機能異常を標的とした診断ならびに 治療は, これまでに一定の成果をあげてきた. 一方で神経変 性疾患における病態を抑止し経時的な進行を抑制する治療法

(いわゆる疾患修飾薬)は本稿執筆時点でいまだに実現して おらず, 次世代治療の旗手としてその登場が切望されている.

疾患修飾薬開発においては, 病態カスケードのより上流に位 置する病的変化である異常タンパクの蓄積や脳内炎症がその 治療標的として有望視されている. これらの病的変化を対象 とした病態抑止治療を開発する上では, その脳内環境異常を 定量的に可視化するイメージング技術を確立することが不可 欠である.

 本講演では病態抑止治療薬開発を進める上で基盤的な技術 となるイメージング研究の中で, 近年神経病理イメージング をはじめとする技術の進歩が目覚ましいPET研究について, その背景と現状ならびに近未来展望を交えて概説する.

24 日 シ ン ポ ジ ウ ム

ドキュメント内 プレナリー (ページ 150-153)

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