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神経リハビリテーションにおける神経可塑 性とその誘導法

ドキュメント内 プレナリー (ページ 159-162)

座長:中島  孝 ‌‌

独立行政法人国立病院機構新潟病 院神経内科

荻野美恵子 ‌‌

国際医療福祉大学医学部医学教育 統括センター

≪ねらい≫

今まで、神経細胞やシナプスは一度成長しきると変化せず、

再生・変化しないというドグマが神経科学を支配してきた。

そのため、神経機能再生は不可能であり、機能代償や他の 機能を使った機能再建しかできないと考えられてきた。神 経リハビリテーションが目指すものは、機能代償ではくく、

impairmentを直接改善する方法であり、その治療メカニズ ムは神経可塑性である。本シンポジウムでは神経可塑性を誘 導するための手法とその可視化について議論し、BMI, NIRS, 磁気刺激など医療機器による神経リハビリテーション技術開 発の最新情報をこのセッションで紹介する。

S-33-1 中枢神経回路の再編成を

制御するメカニズムと治 療法の確立

○‌‌山下 俊英

国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科

【略歴】

大阪大学栄誉教授 

大阪大学大学院医学系研究科 分子神経科学 教授     創薬神経科学共同研究講座 世話教授      大学院生命機能研究科 教授(兼任)

    免疫学フロンティア研究センター 主任研究者(兼任)

    学歴

1990年3月  大阪大学医学部医学科卒業

1994年4月  大阪大学大学院医学系研究科博士課程入学 1996年5月  同上退学

職歴1990年~1994年‌‌‌‌‌大阪大学医学部脳神経外科にて臨床に従事 1996年~1998年‌‌‌‌‌大阪大学大学院医学系研究科機能形態学講座 助手 1998年~2000年‌‌‌‌‌ドイツマックスプランク研究所研究員

2001年~2003年10月‌ ‌

      ‌大阪大学大学院医学系研究科ポストゲノム疾患解析学 講座助教授

2003年11月~2007年11月‌‌

‌  ‌‌千葉大学大学院医学研究院神経生物学教授 2007年12月~現在‌‌‌大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学教授

‌ ‌‌‌‌(大阪大学大学院生命機能研究科 兼任)

‌ ‌‌‌‌‌(2017年4月より、大阪大学免疫学フロンティア研究 センター 兼任)

2017年4月~現在 ‌‌大阪大学栄誉教授

2018年7月~現在 ‌‌‌大阪大学大学院医学系研究科 創薬神経科学共同研究 講座 兼任

中枢神経に障害をきたす疾患に対して、神経新生を促進する 手法、神経回路の修復を促進する手法、あるいは外部から各 種の細胞を補充する方法などにより、中枢神経を再生させよ うとする試みがある。神経機能再生を目指した細胞移植療法 や神経再生治療法の開発が進んでおり、一部は臨床応用に 至っている。中枢神経疾患に対してこれらの治療法が神経機 能の回復を導くためには、複雑な神経回路が再建される必要 がある。壊れた神経回路を再建するためには、生き残ったけ れども軸索の損傷を受けた神経細胞、あるいは補充された神 経細胞から軸索が伸長し、標的ニューロンに向かって誘導さ れ、シナプスを形成しなければならない。さらに適切な回路 は強められ、不適切な回路は刈り込まれることで、機能的な 神経回路となりうる。傷ついた神経細胞や補充された神経細 胞が機能回復に寄与するためには、このような複雑なステッ プを乗り越えていかなければならない。神経回路の形成は神 経発生の段階では着実に進むにもかかわらず、成体になると 困難となる。損傷された中枢神経の軸索は極めて再生しにく いためである。哺乳類の中枢神経は、この自己再生能力の低 さのため、最も修復されにくい臓器の一つである。本講演で は、神経回路の機能的な再生を実現するために何が障壁とな りうるかという点と、それを克服するための治療法の開発に ついて概説する。一方で、中枢神経障害に対する生物学的治 療法が効果を発揮するためには、適切なニューロリハビリ テーションが必要になると考えられる。ニューロリハビリ テーションが、神経回路の再編に及ぼす効果のメカニズムお よび生物学的治療法との組み合わせの可能性について、我々 の最近の知見を紹介したい。

25 日 シ ン ポ ジ ウ ム

5月25日(土)8:00 ~ 10:00 第9会場(大阪国際会議場12F 特別会議場)

Jp

S-33-2 ニューロリハビリテー

ション技術を支える神経 可塑性の多次元可視化

○‌‌花川  隆

国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンター

【略歴】

国立精神・医療研究センター(NCNP)脳病態統合イメージングセンター

(IBIC)先進脳画像研究部部長.1991年に京都大学医学部卒業.京都大学 医学部附属病院、天理よろづ相談所病院で神経内科研修.1999年に京都 大学医学研究科脳統御医科学系を特例早期修了(医学博士).2000年にNIH intramural competitive fellowship awardを獲得し、米国国立保健研究 所研究員として留学. 200年に京都大学医学研究科附属脳機能総合研究セ ンター助教.2002年に国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第七部 第一研究室長に着任.2008年に日本神経科学会奨励賞及び科学技術振興機 構さきがけ「脳情報の解読と制御」領域に採択.2011年より脳病態統合イ メージングセンター分子イメージング研究部・部長.2013年に組織変更に より現職.現在の主な研究テーマは、統合的イメージング技術開発と精神神 経疾患への応用およびブレイン・マシン・インターフェイス/AI技術開発.

有効性の高い脳卒中リハビリテーションの開発のためには,

脳卒中後の神経可塑性の理解が重要である.このために有用 な方法の一つは脳卒中回復期に縦断的に取得する神経画像の 解析である.われわれは入院時,入院8週間後,及び退院時 に取得されたMRI画像と運動障害の指標としてFugl-Meyer assessment(FMA)の解析を行った.三次元撮像T1強調MRI を用いて,voxel-based lesion symptom mapping(VLSM)

と横断的・縦断的voxel-based morphometry(VBM)による 灰白質容積(GMV)の解析を行った.VLSMではFMAが病 側の深部白質と相関する集団であった.横断的VBMでは病 側小脳のGMVが多いほど(保たれているほど)運動麻痺が軽 かった.また,入院時と比較すると退院時で小脳,橋や運動 前野のGMVが増加していた.安静時機能MRI(rsfMRI)と機 械学習の一種であるLASSO(least-absolute shrinkage and selection operator)を組み合わせて機能結合の解析を行っ た.LASSOにより,病側半球内,両側半球間及び小脳に関 わる機能結合指標を組み合わせて運動障害の程度を予測する ことができた.さらに,あるリハビリテーション介入前後で 機能結合指標を評価すると,運動野・体性感覚野の結合性が 変化していた.このように,脳卒中回復期の縦断MRIの解析 により脳卒中後の神経可塑性の理解に寄与する情報を得るこ とが可能である.

S-33-3 NIRSを用いたニューロ フィードバックリハビリ テーションの可能性

○‌‌三原 雅史

川崎医科大学病院 神経内科学

【略歴】

1999年3月 大阪大学医学部医学科 卒業

1999年6月 大阪大学医学部附属病院 神経内科研修医 2000年6月 市立泉佐野病院 神経内科レジデント 2002年6月 近畿大学医学部堺病院 神経内科 診療助手 2003年4月 大阪大学医学部附属病院 神経内科 医員

2004年4月  特定医療法人大道会 ボバース記念病院/森之宮病院 神経内 科/神経リハビリテーション研究部研究員

2007年4月 大阪大学医学部附属病院 リハビリテーション科 医員 2008年4月  特定医療法人大道会 森之宮病院 神経内科/神経リハビリ

テーション研究部研究員

2012年4月 大阪大学大学院医学系研究科 神経内科 特任助教

2016年4月  大阪大学国際医工情報センター 臨床神経医工学寄附研究部門  寄附研究部門講師 (神経内科 兼任)

2017年4月 川崎医科大学 神経内科学 特任教授

数百億の神経細胞からなる脳は、機能局在を有する各領域が複雑 なネットワークを構成することで、多くの情報を評価・判断し、

適切な行動の選択と遂行を可能としている。脳卒中や神経変性疾 患などによる脳組織の損傷は、脳組織の局在機能及びネットワー ク機能の破綻を招き、運動機能、認知機能などの様々な機能障害、

および日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の低下を引き起こ す。これらの機能障害に対する現在の中心的な治療はリハビリ テーションであり、機能訓練や代償動作の訓練によって、損傷部 位の機能を代償するネットワーク再構成を誘導し、脳損傷後の機 能回復、特に亜急性期から慢性期にかけての機能回復を実現させ ている。近年、非侵襲的な電気・磁気などの刺激を与えたり、脳 活動やネットワーク状態を被検者に提示することで、より望まし いネットワーク再構成を誘導するニューロモジュレーション技術 を応用することで、機能回復が促進される可能性が示唆されてお り、臨床応用に向けた研究が積極的に進められている。

非侵襲的脳機能画像技術の一つである、近赤外分光法(NIRS)は 近赤外領域の光が骨や皮下組織などに対して高い透過性を有する 特徴を活かして、比較的簡便な装置で大脳皮質の神経活動を評価 することの出来る機能的脳画像技術の一つである。NIRSは装置 が簡便で被検者への負担が少ないことから、これまでもリハビリ テーション分野への応用が進められてきているが、測定機器とし てのみならず、得られた脳活動情報を被験者に提示するニューロ フィードバック技術と組み合わせることでニューロモジュレー ション技術としても応用が可能であり、健常者のみならず、脳卒 中後患者や神経変性症患者などを対象とした臨床応用が進められ てきている。

我々は主に上肢麻痺や歩行障害などの運動障害を中心に、運動想 像を組み合わせて運動関連領野の脳活動を賦活するように介入を 行うことで、リハビリテーション効果の促進効果を確認しており、

これまでに脳卒中患者や神経変性疾患患者での安全性を確認し、

さらに脳卒中後の上肢麻痺、並びに歩行・バランス障害での有効 性も確認している。

本治療は外的刺激を用いず安全性が高く、多くの患者に適応可能 な介入手段となりうるとともに、今後の再生医療などと組み合わ せることで、その効果を最大化させることも可能と考えられるこ とから、更なる臨床応用が期待される。

25 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 159-162)

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