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災害のとき,あなたは神経内科医としてど うする?

ドキュメント内 プレナリー (ページ 129-132)

座長:溝口 功一 ‌‌

静岡医療センター‌脳神経内科

山村  修 ‌‌

福井大学医学部附属病院‌神経内科

≪ねらい≫

2011年東日本大震災以降も,2016年熊本地震,2017年九州北 部豪雨,2018年大阪北部地震などの大きな災害が発生してい る.私たち脳神経内科は,こうした災害を通して,何を教訓 としてきたのだろうか.日本神経学会災害対策委員会では,

2017年「災害対策マニュアル」を出版し,災害に対する「備え」

から,発災後の対応について,日本神経学会が実践できる体 制構築に努めてきた.発災後,各都道府県に神経難病災害ネッ トワークを構築し,ネットワーク長とリエゾンをおき,情報 収拾・発信,医療調整,保健活動の実践が記されている.本 シンポジウムでは災害医療のプロフェッショナルとともに,

脳神経内海がどのような役割を果たし,神経疾患患者をサ ポートできるかについて,みなさんと一緒に考えていきたい.

S-23-1 DMATによる災害医療の現場

○‌‌小井土雄一

国立病院機構災害医療センター

【略歴】

昭和59年‌ 3月‌  埼玉医科大学卒業

昭和59年‌ 6月‌  日本医科大学救急医学教室入局

昭和63年~平成‌ 2年‌  ‌クイーズランド肝移植機構留学(オーストラリア)

平成‌ 9年10月‌  日本医科大学講師

平成19年‌ 4月‌  ‌川口市立医療センター救命救急センター部長 平成20年‌ 4月‌  ‌独立行政法人国立病院機構 災害医療センター 

臨床研究部長

平成21年‌ 4月~29年‌ 3月‌ ‌災害医療センター 救命救急センター長 併任 平成22年‌ 4月‌  厚生労働省DMAT事務局 事務局長 併任 平成27年‌ 2月‌  日本災害医学会 代表理事

平成28年‌ 4月‌  国際緊急援助隊支援委員長

DMATによる災害医療は災害を経験するたびに進化してい る。DMATは1995年阪神・淡路大震災(以下、1.17)において 超急性期に現場で活動する医療チームがなかったことにより 防ぎ得た災害死(Preventable Disaster Death :PDD)が生じ たという教訓のもとにその必要性が問われ,最終的には2004 年の新潟中越地震が契機となり、2005年から隊員養成研修 が始まった。現在では約1,500チーム、12,000人の隊員が全国 に存在する。DMATの歴史も25年ということになるが、そ のコンセプトと活動内容も変遷を重ねてきた。災害を経験 するたびに新たな課題が生じ、その対応策をとることによ り進化してきたと言ってよい。DMATの当初のコンセプト は、1.17の外傷によるPDDを如何に無くすかということに軸 足が置かれていたのでDMATの活動内容も急性期の外傷治 療に重きが置かれていた。活動期間も基本的には72時間であ り、その後は一般的な医療救護班に引き継ぐというコンセプ トであった。しかし、2011年東日本大震災(以下、3.11)では、

DMATは約380チームが派遣され活動したが、医療ニーズは 1.17とは全く異なり、外傷患者はほとんどいなかった一方で、

亜急性期以降の慢性疾患の悪化、感染症などへの対応が課題 となった。その教訓を受けて、DMATにおいては活動期間 の延長、また、外傷だけでなく内科的な疾患にも対応してい くことが改めて確認され、医療救護班に引き継ぐまでのあら ゆる医療ニーズに対応するという方針となった。また、3.11 の医療全体の課題としては、避難所等の公衆衛生的な活動が 遅れたこと、災害時要配慮者への対応が遅れたことである。

厚労省は対応策として、3.11以降、災害医療コーディネーター の整備を始めた。平成28年熊本地震では、災害医療コーディ ネーターが中心となり、多機関・多組織連携が行われ、公衆 衛生的な活動も早期から行われ、実績も残した。しかし、熊 本地震の大きな教訓は、現場レベルで保健と医療が乖離して しまったことである。厚労省は、今後は保健と医療を合体さ せる方針である(大規模災害時の保健医療活動に係わる体制 の整備について:平成29年7月5日厚労省発出)。このように、

平成30年で災害医療は大きく進歩したが、平成でやり残した こと、次の元号でやるべきことについて今回のシンポでは言 及したい。

24 日 シ ン ポ ジ ウ ム

5月24日(金)8:00 ~ 9:30 第11会場(大阪国際会議場12F 会議室1202)

公募 Jp

S-23-2 災害医療の実際:小児周

産期リエゾンの活動

○‌‌岬  美穂

NHO 災害医療センター

【略歴】

平成15年  大阪医科大学卒業

大阪赤十字病院救急部、小児科、大阪市立総合医療センター救命救急センター での勤務を経て

平成22年  東京都立小児総合医療センター 救命救急科

平成25年より 国立病院機構災害医療センター臨床研究部医師、厚生労働省 DMAT事務局

平成25年   フィリピン台風被害時には国際緊急援助隊医療チーム1次隊と 平成28年  熊本地震では本震の日の夜より熊本県庁DMAT調整本部で活動して派遣

日本小児科学会災害対策委員会委員 日本小児救急医学会災害医療委員会委員 東京都災害時周産期医療体制検討部会委員 千代田区災害医療連携会議委員

救急科専門医、小児科専門医、小児科指導医

 東日本大震災時に小児周産期医療と災害医療との連携がう まくいかなかったことが課題として指摘された。そして、小 児周産期医療と災害医療をつなぎ、災害時の小児周産期医療 に関わる調整役として、災害時小児周産期リエゾン(以下、

リエゾン)の設置についての検討が国で進められてきた。平 成28年熊本地震時には初めてリエゾンが熊本県庁で活動をお こない、その有用性について検証された。同年より国でのリ エゾン養成研修が開始され、平成29年度末までに259名のリ エゾンが養成された。リエゾンの活動内容は、「情報収集と 発信」「医療支援調整」「母子保健活動」を3本柱としており、

災害急性期より活動することになっている。平成29年度末に 厚生労働省から発出された「災害時における医療体制の構築 に係る指針」の中でもリエゾンについて記載されており、地 方自治体としてもリエゾンを中心とした災害時の小児周産期 医療体制の検討が進みつつある。また実災害においては、平 成30年に発生した大阪府北部地震、西日本豪雨災害、北海道 胆振東部地震で各道府県のリエゾンが災害発災後より活動を おこない、小児周産期領域の災害時医療保健活動に大きく貢 献した。

 このようにリエゾンを中心とした体制が国レベル、また学 会レベルでも検討が進められてきている中で、今後の課題と して各地域における災害時の小児周産期医療ネットワークの 強化、またリエゾン間での連携強化が挙げられている。小児 周産期医療分野における災害医療体制に関わるこれまでの取 り組み、現状、そして課題について述べたい。

S-23-3 災害医療の実践:避難所で

出会う神経疾患の患者像

○‌‌山村  修

1

、榎本 崇一

1

佐々木宏仁

2

、神澤 朋子

3

井川 正道

1

、濱野 忠則

1

1 福井大学医学部附属病院 神経内科、

2 杉田玄白記念公立小浜病院 内科、

3 福井県済生会病院 神経内科

【略歴】

平成06年 兵庫医科大学医学部 卒業       福井県立病院診療部 臨床研修医

平成12年 国立循環器病センター 内科脳血管部門 任意研修生 平成16年 福井県済生会病院 脳神経センター 神経内科医長 平成18年 福井大学・第2内科 助手(助教)

平成22年 福井大学医学部 地域医療推進講座 講師(現職)

平成28年 福井大学医学部附属病院 地域医療連携部 副部長(兼任)

〔学位・資格〕

平成13年 医学博士

平成15年 日本神経学会専門医,日本内科学会認定医 平成17年 日本脳卒中学会専門医

平成20年 日本脳神経超音波学会認定検査士 平成29年 社会医学系専門医

〔社会活動〕

福井県災害医療コーディネーター、地域医療構想アドバイザー(福井県)、福井県医 療審議会 脳卒中医療体制検討部会 委員、社団法人日本脳卒中協会・福井県支部 副支 部長、福井脳卒中連携協議会 事務局担当

【目的】避難所における神経疾患患者の現状を紹介し,災害医療支援にお いて脳神経内科医が関与すべき事案を抽出する.

【方法】過去4災害の避難所で演者が関わった被災者を中心に,支援上の問 題点を列挙する.

【結果】〔症例1〕東日本大震災,宮城県亘理町,発災7日目.30歳代男性.

てんかん患者.自宅が流され処方薬とお薬手帳を紛失.調剤内容が不明.

〔症例2〕関東・東北豪雨,茨城県つくば市,発災3日目.40歳代女性,日 本語会話が困難な外国人.脳卒中後遺症にて右不全片麻痺あり,部分介 助.市が福祉避難所の設置を見送ったため一般避難所に長期滞在となり,

ADL低下が懸念された.〔症例3〕関東・東北豪雨,茨城県常総市,発災10 日目.40歳代男性.脊髄小脳変性症(以下,SCD).救護班に病名を告げ なかったため存在が把握されず,タルチレリンの残薬はわずか2日分で あった.〔症例4〕熊本地震,熊本県阿蘇市,本震後11日目.70歳代男性.

脳出血後遺症にて左片麻痺あり,部分介助.発災後11日間,巡回医師の 診察も投薬も受けていない.〔症例5〕西日本豪雨,岡山県倉敷市,発災9日 目.70歳代男性.SCDで部分介助.市が福祉避難所の設置を見送ったた め自主避難所から一般避難所へ移動となり,ADL低下が懸念された.〔症 例6〕西日本豪雨,岡山県倉敷市,発災9日目.60歳代男性.重症筋無力症(以 下,MG)で自立.MGの増悪はないが腎障害を併発しており,避難食によ る栄養障害の進行が懸念された.〔症例7〕西日本豪雨,広島県広島市,発 災17日目.40歳代女性.構音障害と記憶障害にて近医脳神経内科を通院中.

病名は不明.抗てんかん薬内服中.避難所内に申し送り情報なし.

【結論】災害時要援護者には神経疾患が多く含まれており,脳神経内科医 によるリエゾン活動は以下の問題点を解決するために重要である.①積 極的に病名を公表せず,救護所に受診しない患者がいる(災害対策本部に 把握されにくい).②ADL低下を前提とした支援が少ない(福祉避難所や 福祉的スペースの開設など).③専門性の高い薬剤は入手困難な場合があ る.これらの問題への対処には脳神経内科医による災害対策本部(保健医 療調整本部など)への働きかけが肝要であり,巡回診療を通じて直接的に 避難所の状況を把握することが望ましい.なお,災害関連疾患としての 神経疾患の実態は不明な点が多く,保健所等と連携した避難所や在宅被 災者の実態調査が必要である.

24日

シ ン ポ ジ ウ ム

ドキュメント内 プレナリー (ページ 129-132)

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