• 検索結果がありません。

レジストリはいかにして神経疾患の創薬に 貢献できるのか?

ドキュメント内 プレナリー (ページ 61-64)

座長:永井 将弘 ‌‌

愛媛大学医学部附属病院臨床研究 支援センター

鈴木 啓介 ‌‌

国立長寿医療研究センター‌治験・

臨床研究推進センター

≪ねらい≫

現在、神経疾患の克服を目指した創薬が世界的に行われ、国 内でもいくつか新薬が承認されているが、臨床応用はいまだ 十分とは言えない。近年、疾患レジストリ等を活用すること で創薬に繋げる動きが盛んとなっており、行政もクリニカル イノベーションネットワーク(CIN)と呼ばれる施策によって この動きを後押ししている。本シンポジウムではCINの概要 について触れた後に、神経疾患のレジストリにおいて実務を 担っている演者から各レジストリの目的や特徴だけでなく、

創薬の面でいかに貢献できるのかを提示いただく。さらに規 制当局や製薬企業の立場からもレジストリへの期待を述べて いただく。各演者には、レジストリの運営で苦労している点 や、レジストリが抱える弱点などについても率直に触れてい ただき、総合討論で今後の展望に結びつくヒントが得られる ようにしたい。本企画が創薬を目指す人やレジストリを運営 する人の一助になればと考えている。

‌‌後援:日本臨床薬理学会

S-01-1 クリニカルイノベーション

ネットワークと筋疾患レジ ストリにおける現状と課題

○‌‌中村 治雅

1

、武田 伸一

2

1 国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナルメ デイカルセンター、2 国立精神・神経医療研究センター

【略歴】

1999年京都府立医科大学医学部医学科卒業、1999年より京都大学医学部 付属病院及び2000年より浜松労災病院で内科、神経内科研修医。2002年 より国立精神・神経センター武蔵病院神経内科レジデントを経て医員へ。

2005年より医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)新薬審査第3部審査専 門員として神経内科領域中心に新薬審査、対面助言に携わり、またファーマ コゲノミクス検討チーム、ICH-M3メンバーとしても活動。2008年より国 立精神・神経センター病院神経内科医師(現、国立精神・神経医療研究セン ター病院神経内科診療部医師)として、神経難病・希少疾患中心に外来・病 棟の診療とともに、患者登録システム等の開発・運営、倫理委員会事務局等 に関わる。また、PMDA専門委員、未承認薬・適応外薬問題検討会議の精神・

神経ワーキンググループメンバー就任。2011年より、Institute‌of‌Human‌

Genetics,‌Newcastle‌University,‌U.K.へ客員研究員として留学。2012年 より、再びPMDA新薬審査第3部審査役代理として新薬承認審査業務に携わ り、オーファン医薬品ワーキンググループメンバーとしても活動。2014年 4月より現職。

クリニカル・ イノベ ー シ ョ ン・ ネ ッ トワ ー ク(Clinical Innovation Network)とは、疾患登録システムなどの各種疾 患登録情報を活用して、関係機関が連携して効率的な治験・

臨床研究を実施できる臨床開発の環境を整備することであ る。2020ジャパン・チャレンジ・プロジェクトの一つとして 取り上げられたことを皮切りに、国内で進められている施策 である。世界的にも、新しい医薬品、医療機器および再生医 療等製品の開発、製造販売後調査に当たっては、疾患登録シ ステムを活用した新たな臨床開発、安全性評価等の手法が注 目されており、このような背景のもと、患者レジストリを治 験・臨床研究に対して最大限活用するため、関係機関のネッ トワークを構築し、産学連携による疾患登録情報を活用した 臨床評価の手法に関するレギュラトリーサイエンス研究が進 められている。世界的には、Real world dataの活用とそこ から得られるReal world evidenceの医薬品等の開発 および 安全性監視活動での活用が広く進められており、国内におい ても薬事行政下でのReal world evidenceの活用推進のため に医薬品医療機器総合機構が進める電子カルテ等の情報を活 用するMID-NETとともに、CINにおいては特にレジストリ の活用が主に検討されてきた。

本発表においては、これまでのCINの進展と検討内容につい て説明するとともに、筋疾患領域で構築されてきたRemudy を実例としてその現状について紹介する。

以上より、「レジストリはいかにして神経疾患の創薬に貢献 できるのか?」について、シンポジウム参加者とともに考え る場としたい。

22 日 シ ン ポ ジ ウ ム

5月22日(水)9:50 ~ 11:50 第4会場(大阪国際会議場10F 会議室1001-1002)

公募 Jp

S-01-2 認知症レジストリにおけ

る現状と課題~オレンジ レジストリの経験から見 えてきたこと~

○‌‌鈴木 啓介

国立長寿医療研究センター 治験・臨床研究推進センター

【略歴】

1997年 3月 名古屋大学医学部 卒業 1997年 4月 名古屋第二赤十字病院

2004年 4月 名古屋大学大学院医学系研究科 入学 2008年 3月 同 修了、学位取得(医学博士)

2012年 4月 名古屋大学医学部附属病院神経内科 医員 2012年10月 名古屋大学神経内科 特任助教

2015年 4月  国立長寿医療研究センター 治験・臨床研究推進センター  治験・臨床研究推進部長

現在に至る 学会活動:

日本神経学会(専門医、指導医)、日本臨床薬理学会(専門医、指導医)、日本 内科学会(認定医、専門医、指導医)、日本神経治療学会(評議員)、日本臨床 試験学会(GCPエキスパート)、レギュラトリーサイエンス学会(評議員)など  現在、神経疾患の克服を目指した創薬が世界的に行われ、国内で も様々な新薬が承認されているが、臨床応用はいまだ十分とは言え ない。それは認知症においても例外ではなく、アルツハイマー型認 知症に対しては4種類の薬剤(ドネペジル、ガランタミン、メマンチ ン、リバスチグミン)が承認済みだが、これらの薬剤は神経変性そ のものを抑制するわけではなく、認知症の根治治療となりうる「疾 患修飾薬」の開発に期待が高まっている。しかしながら認知症、特 にアルツハイマー型認知症を対象とした疾患修飾薬の治験では開発 中止事例が相次いでおり、承認にはたどり着いていない。

 近年、疾患レジストリ等を活用することで創薬に繋げる動きが盛 んとなっており、行政もクリニカルイノベーションネットワーク

(CIN)と呼ばれる施策によってこの動きを後押ししている。認知症 領域においても国立長寿医療研究センターを中心に、オールジャパ ン体制でのレジストリが組織され、創薬に利活用しようとする試み が始まっている。この認知症レジストリ(オレンジレジストリ)は、

AMEDの支援のもと2015年度から開始されたもので、認知症の時 間軸を考慮してプレクリニカルから軽度認知障害(MCI)、ケアに至 るまで全てのステージを網羅し、連続的に登録できることが特徴の 一つである。MCIレジストリでは、電子カルテから登録情報を直接 入力することも可能なデータベースを利用し、2018年11月末現在で 1400例を超える被験者が登録された。

 稀少疾患においては、レジストリを治験の対照群や製造販売後の 安全性調査の一部として利活用することも議論されており、その場 合はレジストリの品質管理が重要となる。一方、アルツハイマー型 認知症は稀少疾患ではないため、主に治験の実施可能性調査や被験 者リクルートに利用したいとする企業からの要望が多い。この場合、

治験で改めて情報を収集するためレジストリに求める品質はそれほ ど高くなく、むしろ量(登録数)の方が重要となる。オレンジレジス トリにおいてもMCIレジストリを中心に、治験のリクルートに活用 することを目的として、レジストリに登録された被験者の方々に個 人情報を保護した上で治験情報を提供するシステムを構築した。

本講演では、オレンジレジストリを運営する経験の中で見えてき たレジストリを創薬の推進に向けて活用する上での現状と課題につ いて、詳細を述べていきたい。

S-01-3 SBMAレジストリの現状と課題

○‌‌橋詰  淳

名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科学

【略歴】

1996年3月 東京大学医学部保健学科卒業 2002年3月 名古屋大学医学部医学科卒業 2002年4月 名古屋第二赤十字病院 研修医

2012年3月 名古屋大学大学院医学系研究科 博士課程修了

2013年4月 (独)医薬品医療機器総合機構 新薬審査第二部 審査専門員 2014年4月 名古屋大学医学部附属病院 神経内科 医員

2018年9月 名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科学 特任助教 基礎研究の成果を臨床応用へと繋げる「トランスレーショナ ルリサーチ」が様々な分野において盛んになっており、難治 性神経疾患に対する治療法の開発にも期待が寄せられてい る。特に神経変性疾患の分野は、その種類が多岐にわたるも のの未だアンメットメディカルニーズがきわめて高い。近年、

アルツハイマー病などの神経変性疾患の分子メカニズムの解 明が進み、神経変性という病態そのものを抑制する疾患修飾 薬(disease-modifying therapy)の開発が急速に進められてき ている。しかし、これまで開発された薬剤の多くはモデルマ ウスなどを用いた非臨床試験では効果が示されているにも関 わらず、臨床試験では有効性が示されておらず、非臨床と臨 床のギャップ(death valley)を克服することが極めて重要な 課題となっている。

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は緩徐進行性の運動ニューロン 疾患であり、本邦における罹病患者数が約2,500名と推定さ れている稀少疾患である。1897年に愛知医学校(名古屋大学 の前身)の川原汎が世界で始めて本疾患に関する症例報告を 行って以来、名古屋大学神経内科では、基礎的研究からその 臨床応用まで一貫したトランスレーショナルリサーチを精力 的に行ってきており、先般、リュープリン酢酸塩(本薬)の SBMAに対する効能が世界に先駆けて承認された。しかし、

承認の根拠となった多施設共同臨床試験(JASMITT 06DB試 験、07OP試験、および11DB試験)は主たる有効性評価期間 が48週間であり、疾患の進行速度を鑑みると、本薬の治療効 果が得られる部分集団まで十分に同定できたとは言えない現 状もある。

そこで、現在我々は、SBMAの適正治療に関するエビデンス を構築することを目的に、発症後のSBMA患者に加えて、発 症前駆期(prodromal)患者、ならびに女性保因者も加えた疾 患レジストリを構築している。データベースの構築には、名 古屋大学が開発した多職種連携を支える情報共有基盤システ ムであるNU-Med電子連絡帳を用いた。電子連絡帳の特徴と しては、・セキュリティを担保しながらPC・スマートフォン のいずれでも接続可能であること・電子署名の仕組みを持つ ことから、印鑑や改めての書類郵送が不要であることなどが ある。

本疾患レジストリの特徴は、①独自に開発した、より持続可 能性が高いシステムであること、②prodromal患者を組み入 れることにより、臨床症状発現前からの一貫したバイオマー カーが解析可能であることにある。

22 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 61-64)

Outline

関連したドキュメント