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すべてがわかる白質病変の画像と病理 座長:村山 繁雄 ‌‌ 神経内科・バイオリソースセンタ

ドキュメント内 プレナリー (ページ 74-77)

ー・高齢者ブレインバンク(神経 病理)

若林 孝一 ‌‌

弘前大学大学院医学研究科脳神経 病理学講座

≪ねらい≫

白質病変の画像診断、生検診断は時に難しいことがある。

そこで、まず白質病変を呈する種々の神経疾患の特徴的画 像を呈示し、次いで脱髄性疾患、遺伝性白質脳症(HDLS、

CADASIL、CARASIL、Nasu-Hakola病を含む)、中毒、代 謝障害、脳炎の神経病理学的特徴について概説する。

S-05-1 白質病変の画像診断 臨

床・画像・病理連関の意義

○‌‌德丸 阿耶

1

、村山 繁雄

2

齊藤 祐子

3

、下地 啓五

1

1 東京都健康長寿医療センター 放射線診断科、2 東京都健康 長寿医療センター 神経内科 ブレインバンク、3 国立精神 神経研究センター 臨床検査部

【略歴】

現職:東京都健康長寿療センター 放射線診断科 部長

1985年:三重大学医学部卒業 同年医師免許取得、都立広尾病院研修医 1987年:松阪中央病院研修医

1989年:都立広尾病院放射線科 1990年:慶応大学医学部放射線科 助手 1991年:亀田総合病院放射線科 1994年:UCSF‌Neuroradiology‌fellow 1995年:亀田総合病院放射線科

1996年:駿河台御茶ノ水クリニック、都立神経病院非常勤 1998年:防衛医大放射線科助手、講師

2005年より 東京都老人医療センター 放射線科医長を経て、現職 東邦大学佐倉医療センター放射線科 客員教授

帝京大学医学部放射線科 非常勤講師 日本神経放射線学会評議員

第35回日本神経放射線学会、最優秀、優秀論文賞 第35回日本医学放射線学会秋季大会 最優秀論文賞 第37回日本神経放射線学会優秀論文賞

2007年度日独医報最優秀論文賞

2011年欧州神経放射線学会 Best‌Educational‌Paper‌Award(Nakatsuka‌et‌al)

第42回日本神経放射線学会 優秀論文賞 第47回日本神経放射線学会 学会賞(櫻井圭太et‌al)

2017年 臨床放射線 優秀論文賞 2018年 日本神経放射線学会 優秀論文賞

白質病変をきたす疾患は多岐にわたる。その背景病態によって臨床経過、医療的 介入方法、看護、介護の組み立てはそれぞれに異なり、正確かつ迅速な診断の重 要性は言を俟たない。診断の第一段階として、MRIをはじめとする画像診断の果 たす役割は、日々大きくなっており、同時に疾患特異的な新たな知見の蓄積も積 み重なりつつある。白質病変は、大変乱暴に言えばCTでは黒く、MRIでは白い病 変(T2強調画像やFLAIR)が、日常臨床現場ではまず思い浮かべられるのだが、背 景にある病態によって精細な画像所見がどのように「見えるのか」、また背景病理 との対応がどのように画像に「反映されるのか」、多様な病態について、できるだ け臨床―画像―病理の連関をつけながら、診断精度の検証、診断技術の進捗の現 状を示すことを目標としたい。

白質病変、白質脳症を、画像の観点から論考する上で、次の3つの課題を取り上げる。

① 適切な治療により画像、臨床の可逆性を有する疾患 

② 特徴的な画像所見が診断の端緒となる疾患 

③ pre-clinical段階における白質変化を定量的に評価する意義 

アミロイドアンギオパチー関連炎症、高血圧性脳症、そのほかの白質脳症では、

MRIで白質の広義の炎症変化、浮腫を示す。適切な時期の精確な診断、適切な治 療選択(自然経過選択も含む)により、臨床経過、画像所見ともに可逆的な場合が ある。病態の軽重によって、非可逆的な所見を呈する場合や、さらに出血、脳圧 亢進を来す場合もあり得るため、背景病理を推定しつつ、迅速に診断をする意義 がある。

最近、特徴的なMRI所見が診断の端緒となる白質脳症が相次いで報告され、核内 封入体病、Hereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroid-CSF-R(HDLS-CSF1R)は、その代表である。拡散強調画像で遷延する信号異常がともに認められ るが、その局在に差異があり、経過に即した画像所見の変遷にもそれぞれに留意 すべき点があり、病期、病態による画像所見の多彩さ、病理所見との対比を交え て解説する。HDLS-CSF1RではCTでの石灰化所見を伴うことがあり、複数の画像 modality、適切な画像検査の選択が診断に直結する。

視覚的評価で白質変化をとらえられない段階で、直近の画像技術はpre-clinicalに 進捗しつつある病態を捉える事に、足がかりを得、報告が相次いでいる。まさに 予防、あるいは病態の解明、臨床病態解明に直結する可能性があり、最新の情報 について初回を試みる。

22 シ ン ポ ジ ウ ム 日

5月22日(水)13:20 ~ 15:20 第4会場(大阪国際会議場10F 会議室1001-1002)

Jp

S-05-2 脱髄性疾患の神経病理

○‌‌鈴木  諭

九州大学大学院医学研究院 神経病理学分野

【略歴】

平成 元年 九州大学医学部卒業 平成 元年 九州大学脳神経外科入局

平成 4年 九州大学大学院医学系研究科入学(神経病理、立石 潤教授)

平成 8年 医学博士号取得

平成12年 米国Columbia大学 (James E. Goldman教授)留学 平成15年 九州大学神経病理助手、講師

平成17年 九州大学神経病理准教授 現在に至る

脱髄性疾患は有髄神経の軸索を取り巻く髄鞘が一次的に障害 される疾患の総称である。異なる発症機序に基づく多彩な疾 患群が含まれ、多発性硬化症や視神経脊髄炎、急性散在性脳 脊髄炎に代表される炎症性脱髄、進行性多巣性白質脳症、亜 急性硬化性全脳炎などのウイルス感染性脱髄、浸透圧性脱髄 症候群や亜急性脊髄連合変性症などの代謝異常による脱髄、

薬剤性などの中毒性白質脳症、低酸素や虚血による脱髄など が挙げられる。臨床的に多様な神経症状で発症し、画像検査 で非特異的な単発性ないし多発性病変として描出され、しば しば脳炎、血管炎、グリオーマや悪性リンパ腫などとの鑑別 が問題になり、生検による病理診断が必要になることがある。

脱髄性疾患に共通する病理学的所見は髄鞘の脱落と軸索の相 対的な保持であるが、疾患により病巣の分布や性状が異なり、

また同一疾患でも時期により異なる病理所見を呈する。

本講演では炎症性脱髄性疾患、ウイルス感染性脱髄性疾患を 中心に脱髄性疾患の基本的な病理所見を呈示するとともに、

生検標本における診断の実例とそこに潜むpitfallについて解 説する。脱髄性疾患の病理診断に際しては、臨床医と病理医 の密な情報交換が必要であることをお伝えできれば幸いであ る。

S-05-3 遺伝性白質脳症:病理か

ら見た病態形成

○‌‌他田 真理、柿田 明美

新潟大学脳研究所 病理学分野

【略歴】

1997年5月 新潟大学医学部附属病院 内科研修

1999年5月 新潟大学脳研究所神経内科および関連病院勤務 2011年3月 新潟大学大学院医歯学総合研究科博士課程 卒業 2012年4月 新潟大学脳研究所病理学分野 助教

 遺伝性白質脳症は進行性の白質変性を特徴とし、従来は、

血管性、もしくは髄鞘とそれを形成するオリゴデンドロサイ トの一次性異常による病態 (白質ジストロフィー) が大部分 を占めると考えられてきた。しかし、近年、遺伝性白質脳症 の原因遺伝子が相次いで同定され、原因蛋白の機能解析と病 態研究により、アストロサイトやミクログリアの異常が一次 性に関与する病態が注目されるようになった。

  アストロサイト の 異 常 が 病 態 に 一 次 性 に 関 わ る 疾 患 は、astrocytopathyとして包括される。その代表的疾患で あるAlexander diseaseは、アストロサイト特異的蛋白で あるGFAPをコードする遺伝子の変異が原因で生じる優性 遺伝性疾患である。組織学的には、アストロサイトの突 起内の封入体であるRosenthal fiberの出現が特徴である。

Leukoencephalopathy with vanishing white matterは、ハ ウスキーピング遺伝子eIF2B1-5の変異により生じる。アス トロサイトの形態異常が認められ、病変部位でアストログリ オーシスが乏しいことから、病態としてアストロサイトの機 能低下が想定されている。また、本邦からの報告が近年増加 している、Neuronal intranuclear inclusion diseaseでも、核 内封入体は様々な細胞種に認められるものの、多核や核異型 を呈する奇怪なアストロサイトが散見されることから、アス トロサイトの病態への深い関与が考えられている。

  一 方、 ミクログリア の 異 常 が 一 次 性 に 病 態 に 関 わ る 疾 患 は、microgliopathyと 総 称 さ れ る。Adult-onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented gliaは、ミクログリアやマクロファージに発現しているCSF-1Rをコードする遺伝子の変異が原因で発症し、組織学的に ミクログリアの分布や形態に異常が認められる。

 本講演では、遺伝性脳小血管病に加えて、グリアの異常が 病態に深く関わることが明らかになった新たな疾患群につい て概説し、病理学的知見に基づいて疾患病態を考察する。

22 日 シ ン ポ ジ ウ ム

5月22日(水)13:20 ~ 15:20 第4会場(大阪国際会議場10F 会議室1001-1002)

Jp

S-05-4 中毒・代謝障害・脳炎の

神経病理

○‌‌豊島 靖子

新潟大学脳研究所 病理学分野

【略歴】

平成 2年    新潟大学医学部卒業          脳研究所神経内科に入局

平成10年    新潟大学大学院医学研究科 神経内科学専攻 博士課程修了 平成11年より  病理学分野助手

平成23年4月より 同准教授

後天性の大脳白質障害をきたす代表的な疾患は、主なもの として、1)脳腫瘍:悪性リンパ腫、大脳膠腫症(gliomatosis cerebri)、2)脳血管障害:ビンスワンガー病、脳アミロイ ドアンギオパチー、3)感染症:単純ヘルペス脳炎、PML

(progressive multifocal leukoencephalopathy)、4)中毒、

代謝性疾患:低酸素脳症、CO(一酸化炭素)中毒、肝性脳症、

トルエン中毒、薬剤による白質脳症、放射線脳症、central pontine myelinolysis (CPM)、低血糖、5)自己免疫、炎 症性疾患:多発性硬化症、NMO (Neuromyelitis optica)、

SLE (systemic lupus erythematosus)、6)脳浮腫、水頭症:

PRES (posterior reversible encephalopathy syndrome)、

正常圧水頭症などがある。今回は4)の中毒・代謝性の疾患 を中心に述べるが、これらの疾患はいずれも大脳皮質に及ぶ 病変を持ち得るので、場合によっては白質に限った提示には ならないことを御了承いただきたい。

薬剤性白質脳症は,主に化学療法剤,免疫抑制剤などの副作 用として報告され、疾患の予後に重大な影響を及ぼす中枢神 経合併症である。薬剤性白質脳症として頻度がもっとも高い のが、methotrexate(MTX)による白質脳症であり、MTX の髄腔内注入と放射線の全脳照射により遅発性に出現してく る散在性壊死性白質脳症は、進行性に経過し予後不良である。

我々の経験したcyclosporine による脳症では、動脈の内皮 障害が認められ、多発性の脳梗塞を伴っていた。放射線照射 による脳症においても血管の障害がみられ、オリゴデンドロ サイトやミエリンの直接障害とともに、血管性の因子もこの ような疾患の病態に関係していることが示唆される。また、

近年多種の薬剤で報告されているのがPRESとして知られる ようになった一群である。Reversible ということで病理組 織の報告は少ないが、画像上PRESと診断された患者の中に は必ずしも良い予後をとらず死亡する例があることがわかっ てきた。報告では白質の海綿状変化、マクロファージ浸潤、

ミクログリア活性化、点状出血などが様々な程度で認められ るとしている。これらの疾患に加えて、CO中毒、肝性脳症、

CPM、SLE脳症などの所見について自験例を主軸にして提 示したい。

22日

シ ン ポ ジ ウ ム

ドキュメント内 プレナリー (ページ 74-77)

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