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α-synuleinopathyにおける自律神経障害 と認知機能障害

ドキュメント内 プレナリー (ページ 101-104)

座長:岡  尚省 ‌‌

東京慈恵会医科大学附属第三病院 神経内科

朝比奈正人 ‌‌

脳神経内科 津田沼

≪ねらい≫

α-synuleinopathyであるパーキンソン病(PD)、レビー小体 型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)やレム期睡眠行動障 害(RBD)は自律神経障害および認知機能障害を認め、とも に予後不良因子とされている。まず、自律神経障害と情動・

認知の関連を概説し、次に個々疾患に関して議論する。PD では起立性・食事性低血圧などの血圧変動と認知機能障害の 関連が指摘されている。さらに、DLBでは認知機能障害に 加えて自律神経機能障害も顕著であり両者が関連しているこ とが考えられる。MSAでは従来考えられているよりも認知 機能障害が多く認められる。RBDはα-synuleinopathyにしば しば認められ認知機能障害の進行と自律神経障害の出現と密 接に関連している。これら疾病における認知機能障害と自律 神経障害の病態およびα-synuleinの出現とその進展様式の関 連を最近の知見を踏まえて議論する。

S-14-1 自律神経障害と情動・認

知機能障害

○‌‌梅田  聡

慶應義塾大学文学部心理学研究室

【略歴】

1991年,慶應義塾大学文学部人間関係学科心理学専攻卒業.1998年,同 大学大学院社会学研究科心理学専攻博士課程修了.博士‌(心理学).その後,

日本学術振興会特別研究員‌(DC),特別研究員‌(PD)‌を経て,1999年,慶 應義塾大学文学部人文社会学科心理学専攻助手.2006年,同専攻助教授‌

(2007年より准教授).2014年,同専攻教授.2006~2007年,ロンドン 大学認知神経科学研究所・ロンドン大学病院・国立神経学神経外科病院‌訪問 研究員.

 脳神経メカニズムから心の機能について考える「認知神経 科学」の発展に伴い,近年,情動,記憶,思考などの神経基 盤を探る研究が急速に増えている.この発展に伴い,さまざ まな心理学的・神経科学的な側面に関する理解が進んだ.し かし一方で,情動や記憶などのメカニズムを理解するために は,脳神経活動をターゲットにしていただけでは不十分であ り,自律神経が仲介する身体生理活動の影響を十分に考慮す ることが必要であるということも明らかになってきた.情動 における身体機能については,William Jamesが1884年に「情 動とは何か」というタイトルの論文を発表して以来,多くの 心理学者や哲学者がその重要性を主張してきたが,その詳細 な神経メカニズムに関しては不明な部分が多かった.近年の 一連の研究から,情動をはじめとするさまざまな認知に,自 身の身体内部状態の感覚である内受容感覚 (interoception)

が重要な役割を果たしていることが示唆されている.その神 経基盤としては,島皮質や帯状回前部から成り立つセイリエ ンスネットワークが注目されており,自律神経中枢との関連 性を示すさまざまな研究成果が報告されている.

 本講演では,自律神経活動と内受容感覚という切り口から,

情動や記憶などに自律神経機能がいかに関与しているかを示 す近年の研究成果について触れ,「脳-こころ-身体」の三者 関係のダイナミクスのなかで捉えることの重要性について述 べる.そして,自律神経障害における認知機能障害およびそ れに関与する神経基盤についての研究成果を示し,自律神経 機能と認知機能の因果関係性について考察する.

23 日 シ ン ポ ジ ウ ム

5月23日(木)15:35 ~ 17:35 第4会場(大阪国際会議場10F 会議室1001-1002)

公募 Jp

S-14-2 パーキンソン病における自

律神経障害と認知機能障害

○‌‌梅原  淳

1

、岡  尚省

2

1 東京慈恵会医科大学附属病院 神経内科、

2 東京慈恵会医科大学附属第三病院 神経内科

【略歴】

平成17年 東京慈恵会医科大学卒業

平成21年 東京慈恵会医科大学神経内科学講座 助教       東京都立神経病院 脳神経内科派遣

平成27年 東京慈恵会医科大学附属第三病院神経内科 診療医長 平成30年 東京慈恵会医科大学神経内科学講座 講師       東京慈恵会医科大学附属病院神経内科 診療医長

資格:医学博士,日本神経学会専門医・指導医,日本内科学会認定総合内科専門医

所属学会:

日本神経学会,日本自律神経学会,日本認知症学会,日本内科学会  パーキンソン病(PD)における自律神経障害と認知症はと もに高頻度に観察される非運動症状である。前者は運動症状 出現前より認められるが、後者は疾患の進行とともに高頻度 に認められる。PDにおいて、認知症の合併した症例は非合 併例に比べて心血管障害に代表される自律神経障害が重度で あることが報告されている。心血管障害は認知機能低下と密 接に関連するが、その関連性の説明には現在に至るまで下記 の3つが報告されている。

 Ⅰ)大脳辺縁系およびこれに密接に関連する構造体のうち、

血圧循環調節にも寄与する構造体へのLewy body(LB)の蓄 積、Ⅱ)血圧循環障害によって引き起こされる白質病変の増 加と認知機能低下の関連性、Ⅲ)中枢神経内のノルアドレナ リン枯渇が、認知機能低下と血圧循環障害の両者に直接的に 関連する事、である。Ⅰ)に関連する構造体には、視床下部・

前帯状皮質・島回があげられるが、視床下部の視索前核や室 傍核によって産生される抗利尿ホルモン(バソプレシン)の起 立時分泌量は認知機能と正の関連があることが報告されてい る。同様に前帯状皮質・島回のLB量と心血管障害との関連 性も指摘されている。Ⅱ)に関する心血管障害には、起立性 低血圧、臥位性高血圧、食事性低血圧が存在するが、とくに 前2者は認知機能低下との密接な関連が指摘されている。症 候性の起立性低血圧患者では脳自動血圧調節能が破綻してお り、脳内血液還流量はpressure dependentとなる結果、小血 管障害が惹起され深部白質病変が増加することで、認知機能 障害を引き起こすと考えられる。Ⅲ)に最も深く関連する構 造体は青斑核である。青斑核におけるノルアドレナリン量の 減少はレム睡眠期行動障害に密接に関連するだけではなく、

脳波の徐波化、認知機能低下、起立性低血圧と直接的な関連 がある事が近年報告されている。

 上記のように、PDにおける自律神経障害と認知機能障害 の関連は、複数の要因が関わり形成されていると考えられる。

本講演では、個々の自律神経障害の病態についても提示し、

自律神経障害と認知機能障害の関連性について論じる。

S-14-3 レビー小体型認知症にお

ける自律神経障害と認知 機能障害

○‌‌朝比奈正人

脳神経内科津田沼 脳神経内科

【略歴】

1987年 3月 滋賀医科大学卒業(同年 千葉大学神経内科入局)

1995年 4月 成田赤十字病院神経内科副部長 1997年10月 千葉大学医学部附属病院神経内科助手 2002年 4月 英国ロンドン大学神経研究所客員研究員 2003年 4月 千葉大学医学研究院神経内科助教 2004年 4月 千葉大学医学研究院神経内科講師 2012年 4月 千葉大学医学研究院神経内科准教授 2014年 4月 千葉大学医学研究院総合医科学特任教授 2016年 4月 脳神経内科津田沼 所長

2016年 7月  慶應大学論理と感性のグローバル研究センター共同研究員  兼任

 レビー小体型認知症(DLB)では自律神経症候が高頻度に みられ、起立性低血圧を含む自律神経機能障害がDLBの診 断基準(2017)の支持的特徴に含まれる。自律神経機能障害は パーキンソン病でも認められるが、DLBではより重度であ ることを示す複数の報告がある。しかし、これらの報告の多 くは横断的研究である。認知症および自律神経障害には、年 齢、経過年数、脳血管の動脈硬化など多くの因子が関与して おり、これらの交絡因子を考慮する必要がある。

 DLBにおける認知機能と自律神経機能の関連を3つの観点 から考えてみる。ひとつは自律神経不全が直接的に認知機能 低下に関与する可能性である。起立性低血圧による脳潅流障 害や臥位高血圧に伴う細動脈硬化などは神経細胞の変性やア ミロイド病理の惹起に関与する可能性がある。しかし、自律 神経不全を呈する疾患である純粋自律神経不全症では長期に 渡り重度の起立性低血圧および臥位高血圧がみられるが、認 知機能は概ね保たれることから、自律神経不全の認知症への 直接の関与は限定的と考えられる。

 次に解剖生理学的観点からみると、自律神経中枢と認知機 能に関わる部位は密接な関係にある。例えば辺縁系は認知機 能と自律神経機能の両者に関与し、脳幹網様体は大脳皮質の 賦活と自律神経の調節に重要な働きをはたしている。DLB では辺縁系と脳幹網様体のいずれも障害されることから、こ れらの病変がDLBにおける自律神経不全と認知症の発現に 関与している可能性がある。

 3つ目の観点は神経伝達物質である。認知機能と自律神経 機能において重要な働きをはたすノルアドレナリンとアセチ ルコリンは、DLB患者の中枢・末梢神経において広範に低下 していることが知られている。カテコラミンとアセチルコリ ンが障害される疾患としてDLBをとらえるとその臨床像を 理解しやすいかもしれない。

23 シ ン ポ ジ ウ ム 日

ドキュメント内 プレナリー (ページ 101-104)

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