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臨床トレーニング

ドキュメント内 Standard: (ページ 140-146)

6. 教育資源 1 施設・設備

6.2 臨床トレーニング

基本的水準:

医科大学・医学部は

・ 学生に十分な臨床的経験を与えるため、以下について必要な資源を確保しなければならない

・ 患者の数とカテゴリー(B 6.2.1)

・ 臨床トレーニング施設(B 6.2.2)

・ 学生の臨床実習の監督(B 6.2.3)

注釈:

 [臨床トレーニング施設]には、臨床技能研修室に加えて病院(第一次、第二次、第三次医 療が適切に経験できる)、外来(プライマリケアを含む)、クリニック、初期診療施設、

健康管理センター、およびその他の地域保健に関わる施設などが含まれ、これらの施設 での実習と全ての主要な診療科のローテイション実習とを組合せることで系統的な臨床 トレーニングが可能になる。

 [臨床トレーニング施設の評価]には、診療現場、設備、患者の人数および疾患の種類のほ か、保健業務、監督、管理などの点からみた臨床実習プログラムの適切性ならびに質が 含まれる。

日本版注釈:

 [患者のカテゴリー]は経験すべき疾患・症候・病態(医学教育モデル・コア・カリキュラ

ム-教育内容ガイドライン-、平成 22 年度改訂版に収載されている)についての性差、年 齢分布、急性・慢性、臓器別頻度等が相当する。

B 6.2.1

医科大学・医学部は

・ 学生に十分な臨床的経験を与えるため、以下について必要な資源を確保しなければならない

・ 患者の数とカテゴリー(B 6.2.1)

A 基本的水準に関わる点検

従来の医学教育ではその臨床教育の場を大学と大学附属病院に限って来た。

5年次臨床実習における臨床的経験を与える資源として、本学では附属病院として、西 新橋の本院(晴海トリトンクリニックを含む)、葛飾医療センター、狛江市・調布市の第 三病院、千葉県の柏病院の4病院を持つ。4病院別の1日平均入院患者数は2,236名、1日 平均外来患者数は7,171名、年間救急車搬入患者数は18,787人である(資料206)。

【資料206 大学附属病院の診療実績】

病院名 病床数 1日平均 入院患者数

1日平均 外来患者数

救急車 搬入患者数

本院 1,075 898 2,982 8,954

葛飾医療センター 356 316 1,129 3,880 第三病院 581 486 1,403 3,123

柏病院 624 536 1,555 2,830

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本学では、大学病院以外の地域医療現場を学ぶ「場」が必要と考え、臨床実習前教育と して、1996年度以降順次、積極的に学外実習を新設してきた。1996年度1年次に「福祉体 験実習」(地域の授産更生施設での1週間実習)(資料62)、1997年度2年次に「重度心 身障害・難病医療体験実習」(ホスピス、重度心身障害児医療療育病院等での 1 週間実習)

(資料63)、地域子育て支援体験実習(資料64)、そして1998年度3年次に「在宅ケア 実習」(都内の訪問看護ステーションでの1週間実習)(資料65)を開設した。大学を離 れ、地域そして患者さん宅での医療の手伝いをしながら医療の時間軸を考え、今の医療の 広がりを知り、そして異職種のスタッフとのチームワーキングの素養を身につけ、さらに 患者さん・ご家族とのコミュニケーションを通して自分のコミュニケーション能力を向上 させて欲しいという目的からである。さらに5年次には「家庭医実習」(資料107)とし て地域の開業医や中小病院で1週間の実習を行い、地域医療の現場を経験する学習機会を 得る。地域医療を経験する資源としては、家庭医実習の他にも、6年次の選択実習で学生 が希望すれば地域中核病院で実習ができ(資料108)、さらに1年次から選択可能なプラ イマリケア・選択学外臨床実習(資料 56)で自由に地域の医療施設での実習が可能である。

B 基本的水準についての評価

学外実習はプライマリケア現場で行われているが、臨床実習、特に5年次は附属病院が 主となっている。本来学生がするべき臨床経験は1次医療、2次医療、3次医療そして予防 医学という幅広い経験である。

5年次臨床実習は附属4病院が主な資源となっている。患者数は、各診療科別の入院およ び外来の患者数から十分確保されていると考えられる(資料274)が、経験すべき疾患、

症候、病態を加味しての患者数を十分確保できているかどうかについては、現状では把握 できていない。また、学外実習における学外施設での患者数、カテゴリーについては調査 していない。

C 改善に向けた提言

学生に幅広い臨床実習の「場」を提供するために、平成24年度文部科学省GP事業「グ ローバルな医学教育認証に対応した診療参加型臨床実習拡充」(資料79)の推進のため、

慈恵大学附属4病院だけでなく、大学協力病院での診療参加型臨床実習の構築を目指して いる。大学協力病院を示す(資料275)。

【資料275 大学協力病院と病床数 (平成24年4 月1 日現在)】

病院名 住所 病床数

国立病院機構西埼玉中央病院 埼玉県所沢市若狭2-1671 325 富士市立中央病院 静岡県富士市高島町50番地 540 厚木市立病院 神奈川県厚木市水引1-16-36 356 町田市民病院 町田市旭町2-15-41 447

大学協力病院は二次医療の資源である。さらに、附属病院や大学協力病院とも関連のあ る一次医療機関として開業医での家庭医実習を臨床実習に組み込むこととなっている。

学生が経験すべき疾患、症候、病態を実習において経験できているかどうかを調査する 必要がある。臨床実習における診療能力開発のためのポートフォリオを運用する予定であ る。ポートフォリオでは、学生自身による自己チェックリストを掲載し、臨床現場での疾 患、症候、病態の経験についてデータを集積する。

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D 改善に向けた計画

2015年度以降の臨床実習拡充によって、学生にどのような学習成果を生んだかを検討す る。

ポートフォリオを運用することによって、学生がどのようなカテゴリーの患者をどの程 度経験できたかを検証する。この検証は本学附属4病院のみでなく大学協力病院、開業医 での経験を含めて行う。

B 6.2.2

医科大学・医学部は

・ 学生に十分な臨床的経験を与えるため、以下について必要な資源を確保しなければならない

・ 臨床トレーニング施設(B 6.2.2)

A 基本的水準に関わる点検

臨床トレーニング施設については、①シミュレーション教育施設、②病院(一次、二次、

三次医療)、③外来(プライマリケアを含む)、④クリニック、初期診療施設、⑤健康管 理センター、⑥その他の地域保健に関わる施設、がある。

① シミュレーション教育施設は、本院のある西新橋、第三病院のある国領、葛飾医療セ ンターに整備されている。西新橋はセミナー室1室、実習室8室があり、国領および 葛飾は1室づつを有する。主な機器備品を(資料270,271)に示す。葛飾は2013年度 から稼働した。

②附属4病院の総病床数は2,636床である。三次医療の本院1,075床、二次・三次医療の 葛飾医療センター356床、第三病院581床、柏病院624床を有している(資料206)。

③本学では臨床実習の中に5 日間の外来実習が組み込まれており、プライマリケアを含 む外来診療を行っている。

④ 5年次に5日間の家庭医実習を行っており、地域でのプライマリケアについて学ぶ機会 を設けている。

⑤ 健康管理センターでの実習は行われていない。

⑥地域保健に関わる施設として、低学年からの福祉体験実習、重症心身障害児療育体験 実習、地域子育て支援体験実習、在宅ケア実習、産業医実習が行われている。

B 基本的水準についての評価

①シミュレーション教育施設は西新橋、国領、葛飾の3病院にあり、各々委員会を設置 して資源の確保と施設の有効利用を図っているが、柏病院には未だ施設整備がされて いない。正課内での西新橋と国領の利用状況は(資料272)に示すとおりであり、主 に基本的臨床技能実習と臨床実習の中で利用されている。5年次臨床実習でも使用さ れるようになり、利用回数も増加して良い方向に向かっているが、さらなる患者安全 のためにはシミュレーション教育施設の利用を伸ばす必要がある。

② 本院は三次医療、先進医療を学ぶ現場としては十分な環境である。特定機能病院であ り、地域周産期母子医療センター、東京都認定がん診療病院、神経難病医療拠点病院、

エイズ診療中核拠点病院に指定され、先進医療としてバクリタキセル静脈内投与等の 承認を受けている(資料276)。本院の他に葛飾医療センター、第三病院、柏病院が あり二次・三次医療の地域中核病院として、地域の医療ニーズに対応した診療が行わ れる資源となっている。

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③ 外来実習は5日間行われているが、学生は指導医の診察を見学していることが多く、

臨床トレーニングとしては不十分である。

④ 家庭医実習は一次医療を行う地域の開業医の先生方にその地域でのニーズに即した患 者診療について学習させて頂いている。

⑤健康管理センターでの実習は行われていない。

⑥ 地域保健医療については、現行の実習で地域の様々な保健医療に接触することができ ている。

C 改善に向けた提言

① さらに患者安全を高めるためにはシミュレーション教育施設の利用を伸ばす必要があ り、学生の自主学習への有効活用を検討する。また、柏病院におけるシミュレーショ ン教育施設の整備を2014年度に行う。

② 三次医療については附属病院を資源として継続し、二次医療機関での経験を十分に積 ませるべく、大学協力病院での診療参加型臨床実習の構築を目指す。

③ 外来実習は2015年度からの臨床実習改革で5日から1日に縮小される。その分、診療 科ごとの外来教育を充実していく予定である。

④ 家庭医実習については継続する。

⑤ 健康管理センターでの実習の予定はない。

⑥地域保健医療の現行の実習はそのまま継続とし、高齢化社会に対応すべく、2015年度 から高齢者医療体験実習を導入する予定としている(資料111)。

D 改善に向けた計画

① シミュレーション教育施設は西新橋、国領、葛飾、柏の4病院各々の委員会で、主体 的に管理運営を行い、資源確保および有効利用を図る。利用者の意見も募って継続的 に改善を図る。

② 本来学生がするべき臨床経験は一次医療、二次医療、三次医療そして予防医学という 幅広い経験である。6年間に亘る臨床経験を経年的に追跡し、その教育成果を検証す る。

③ 外来での学習がどのように行われているのかを調査、検討していく必要がある。より 良い教育成果を得るための方策を検討する。

④ 家庭医実習は今後も継続する。

⑤ 健康管理センターでの実習については今後学内で検討する必要がある。

⑥ 地域保健医療については、学外実習を継続する。

B 6.2.3

医科大学・医学部は

・ 学生に十分な臨床的経験を与えるため、以下について必要な資源を確保しなければならない

 学生の臨床実習の監督(B 6.2.3)

A 基本的水準に関わる点検

5年次臨床実習においては各診療科で実習指導担当責任者が決められており、各責任者 の下に実習担当教員が適宜配置されている。2013年度に臨床実習を監督した各科の教員数 を臨床実習ガイドブックから算出した(資料277)。臨床実習中の医行為については、臨

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ドキュメント内 Standard: (ページ 140-146)