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プログラムのモニタと評価

ドキュメント内 Standard: (ページ 170-178)

7. プログラム評価

7.1 プログラムのモニタと評価

基本的水準:

医科大学・医学部は

・ カリキュラムの教育プロセスと教育成果を定期的にモニタするプログラムを設けなければな らない。(B 7.1.1)

・ 以下の事項についてプログラム評価する仕組みを確立し、実施しなければならない。

・ カリキュラムとその主な構成要素(B 7.1.2)

・ 学生の進歩(B 7.1.3)

・ 課題の特定と対応(B 7.1.4)

・ 評価の結果がカリキュラムに反映されていることを確実にしなければならない。(B 7.1.5)

注釈:

 [プログラムのモニタリング]とは、カリキュラムの重要な側面について、データを定期 的に集めることを意味する。その目的は、確実に教育プロセスが軌道に乗っていることを 確認し、介入が必要な領域を特定することにある。データの収集は多くの場合、学生の入 学時、評価時、卒業時に事務的に行われる。

 [プログラム評価]とは、教育機関と教育プログラムの効果と適切性を判断する情報につ いて系統的に収集するプロセスである。データの収集には信頼性と妥当性のある方法が用 いられ、教育プログラムの質や、大学の使命、カリキュラム、教育の学習成果など中心的 な部分を明らかにする目的がある。

医学教育の専門家が参加することにより、各機関における医学教育の質的向上を経験でき る基礎をさらに拡げることができる。

 [カリキュラムの主な構成要素]には、カリキュラムモデル(B 2.1.1 を参照)、カリキ ュラムの構造、構成と教育期間(2.6 を参照)、および中核となる必修教育内容と選択的 な教育内容(Q 2.6.3 を参照)が含まれる。

 [特定される懸念事項]としては、目的とした医学教育の成果が思うほどには達成されて いないことが含まれる。教育の成果の弱点や問題点などについての評価並びに情報は、介 入、是正、プログラム開発、カリキュラム改善などへのフィードバックに用いられる。

 [教育プロセスの背景]には、医科大学の学習環境や文化のほか、組織や資源が含まれる。

 [カリキュラムの特定構成要素]には、課程の記載、教育法、学習法、臨床実習、および 評価方法が含まれる。

 [全体的な学習成果]は、医師国家試験の成績、ベンチマークの評価、国際的試験、職業 選択、大学卒業後の業績などから測られる。これらの情報は、教育プログラムの画一化を 防ぐと同時に、カリキュラム改善の基盤を提供する。

 [社会的責任](1.1 の注釈の定義を参照)。

日本版注釈 :

 医学教育モデル・コア・カリキュラムの導入状況と、成果(共用試験の結果を含む)を評 価してもよい。

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B 7.1.1

医科大学・医学部は

・ カリキュラムの教育プロセスと教育成果を定期的にモニタするプログラムを設けなければなら ない。(B 7.1.1)

A 基本的水準に関わる点検

本学のカリキュラムは、コース・ユニット制を採用している(詳細は2.教育プログラ ムで記載した)(資料83,84)。卒業時アウトカムを達成するために、コースが設定され、

各コースの中に授業細目であるユニットが決められている。教学上の最高機関である教学 委員会によりコース責任者が決められ(任期は1年間)、コース責任者がコース内教育を 行うことのできるユニット責任者を選任する。ユニット責任者も任期は1年間である。コ ース責任者とユニット責任者は教育に関して絶大な権限を有するため、常に適切な教育を 実行可能とするために、任期を1年に定めている。コース責任者は毎年、教育研究年報に コースでの教育の点検評価を載せる義務を有している(資料85)。

B 基本的水準についての評価

Aで述べたように「カリキュラムの教育プロセスと教育成果を定期的にモニターする」

体制は整っている。

しかしながら、卒業時アウトカムが決定されたのが2013年であり、いまだマイルストーン が決められていない状況である。早急にマイルストーンを策定して、それに沿った学生評 価、特にパフォーマンスの質を評価するルーブリックを構築し、アウトカム評価を基に学 生の学習プロセスの追跡調査をしていかなければならない。

C 改善に向けた提言

アウトカム基盤型カリキュラムを構築していくために、2014年度から全てのコース責任 者をカリキュラム委員に任命し、コース間の連携をより強固にする。

マイルストーンの策定は2014年度のカリキュラム委員会で、それに沿ったパフォーマン ス評価の導入計画は試験委員会で検討を始める。学生の学習成果の追跡調査はIR活動の一 環として、教育センターの教育IR 部門が担当していく。

D 改善に向けた計画

マイルストーンの策定、ルーブリックの構築、そして学生の学習成果に関する情報収集 を組織的、継続的に行っていく。

エビデンスを活用して教育プログラムを継続的に改編し、卒業時アウトカム達成を目指 す。卒業時アウトカムを達成できるだけのレディネスを備えた学生を入試できちんと選抜 できるためのアドミッションポリシーとディプロマポリシーとの整合性も検討する。

2015年度から臨床実習の改革が開始される。この改革による成果は教育IR 部門によっ てモニターされる。

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B 7.1.2

医科大学・医学部は

・ 以下の事項についてプログラム評価する仕組みを確立し、実施しなければならない。

・ カリキュラムとその主な構成要素(B 7.1.2)

A 基本的水準に関わる点検

カリキュラム委員会には主だったコース責任者が含まれており、コース間での教育内容 の調整や、実施上の問題、教育内容の欠落などが常時、審議できる体制となっている。こ のように、教育実施に関しては、カリキュラム委員会がコース責任者会議の役目を果たし、

コースの教育をモニターし、コース責任者はユニット責任者会議を招集してコース内ユニ ットの教育をモニターし、ユニット責任者は自分が任命した授業担当者間の教育内容調整 と連携をモニターする。

コースの教育は教学委員会で審議され、また学生による教員・教育評価アンケート(こ れは授業評価ではなく、カリキュラムアンケートになっており、年2回実施される)の結 果も教学委員会に報告され、教学上の問題点を発見することができる体制となっている。

教学上の問題が発見されれば、教学委員会はその解決策策定をカリキュラム委員会に審議 させることとなる。

B 基本的水準についての評価

Aで述べたように「カリキュラムとその主な構成要素」すなわち、コース・ユニット内 の教育内容を評価する体制は整っている。しかしながら、卒業時アウトカムが決定された のが2013年であり、アウトカム基盤型カリキュラムとなっておらず、アウトカム達成のた めのカリキュラムモデルを構築して、その評価を行う体制を整える必要がある。

C 改善に向けた提言

アウトカム基盤型カリキュラムの構築を早急に行う。その上で、学生による教員・教育 評価アンケートを継続するとともに、プログラム評価のための質的・量的なデータが収集 できるように必要であればアンケート内容を見直し、データ収集を行う。

D 改善に向けた計画

カリキュラムと教育成果を継続的に点検評価する。

B 7.1.3

医科大学・医学部は

・ 以下の事項についてプログラム評価する仕組みを確立し、実施しなければならない。

・ 学生の進歩(B 7.1.3)

A 基本的水準に関わる点検

2年次後期以降の総括評価は総合試験システムで行われており、総合試験のデータは全 て学事課に保存されている(資料150,304)。共用試験(資料142,143)、医学卒業総括試

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験(資料305)の結果や実習、演習の評価も全て学事課に保存されているが、入学試験や 高校での評価、あるいは卒業後の情報については別組織にデータが存在する。

低学年での前臨床実習の施設からのフィードバックと学生のレポートはカリキュラムニ ュース(資料306,307)として報告されるほか、問題のあった学生についてはポートフォリ オとしてデータを蓄積してある。

レポート作成能力について、1年次と3年次に課すレポートは全てコメントを含めて PDFとしてデータ蓄積している。

B 基本的水準についての評価

以上のように、「学生の進歩」を評価する体制はある程度整っているが、入学時から卒 業まで経年的に学生の進歩を体系的に評価することは大学組織として十分には行われてい ない。

コースの教育成果である総合試験の結果については、試験委員会を経て最終的には教学 委員会で審議されるが、試験成績とプログラム評価とを合わせて総合的に教育成果につい て検討することは行われていない。

C 改善に向けた提言

入学時から卒業までの学生の経年的な進歩を体系的に評価するシステムを教学IRとして 行うことを検討する。

D 改善に向けた計画

教学IRにおいて、成績等の直接評価と学生の認知等の間接評価についてのデータを蓄積 し、各カリキュラムで学んだことが学生にどのような影響を与えているのか、どの時点で どのような教育プログラムが効果的なのかを考察する。各要因がどの程度統計的に優位で あるのかを検討し、収集するデータ項目を精査する。

B 7.1.4

医科大学・医学部は

・ 以下の事項についてプログラム評価する仕組みを確立し、実施しなければならない。

・ 課題の特定と対応(B 7.1.4)

A 基本的水準に関わる点検

カリキュラム委員会には主だったコース責任者が含まれており、コース間での教育内容 の調整や、実施上の問題、教育内容の欠落などが常時、審議できる体制となっている。ま た2001年に「学生による教員・教育評価ワーキンググループ」が結成され、学生が主体と なって1年次から4年次に学生による教員・教育評価アンケートを行っている。これは授 業評価ではなくカリキュラムアンケートになっており、その結果も教学委員会に報告され、

教学上の問題点を発見することができる体制となっている。教学上の問題が発見されれば、

教学委員会はその解決策策定をカリキュラム委員会に審議させることとなる。

以上のように、コース・ユニット内の教育内容、総合試験結果、はモニターされ、その 結果から「課題の特定と対応」を教学委員会が行っている。

B 基本的水準についての評価

Aで述べたように「課題の特定と対応」を行う体制は整っている。

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ドキュメント内 Standard: (ページ 170-178)