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科学的方法

ドキュメント内 Standard: (ページ 39-43)

2. 教育プログラム

2.2 科学的方法

基本的水準:

医科大学・医学部は

 カリキュラムを通して以下を教育しなくてはならない。

 分析および批判的思考を含む、科学的方法の原則(B 2.2.1)

 医学研究法(B 2.2.2)

 EBM(科学的根拠に基づく医学)(B 2.2.3)

注 釈:

 [科学的方法]、[医学研究法]、[EBM(科学的根拠に基づく医学)]の教育のためには、研究力

のある教員が必要である。この教育は、必修として医学生が適当な範囲で研究プロジェクト を実践または参画することが含まれる。

 [大学独自の、あるいは先端的な研究]は、研究者あるいは共同研究者として医学の科学的進

歩に参画する能力を高めるための必修もしくは選択の調査的あるいは実験的研究を含む。

B2.2.1

医科大学・医学部は

 カリキュラムを通して以下を教育しなくてはならない。

 分析および批判的思考を含む、科学的方法の原則(B 2.2.1)

A 基本的水準に関わる点検

1年次からのコース医学総論では医療倫理に関わるテーマを取り上げ、講義、グループ 討論、レポート作成を通じて論理的・批判的思考能力を養成する授業が行われている。医 学総論のレポートでは、①リサーチクエスチョンの設定、②先行研究の調査、③事実をも とにした論理展開、④自分が出した結論という書き方の指導を行っており、論理的な思考、

文章作成能力の重要性を教育している(資料92)。

テュートリアル教育では、①症例からの学習課題の発見、②情報収集、③収集した情報 の真偽性の確認、④検討された情報を使っての論理展開を求めている(資料99)。

社会医学系の Evidence-based Clinical Practice では、①臨床シナリオからの問題の定式化、

②論文の妥当性の検証、③論文結果を仮想患者に適応できるかを考察して、客観的データ を基に、いかに確率定量的に診療を行っていくかの方法論を教育している。

環境保健医学演習では、①リサーチクエスチョンを設定し、②グループで必要な情報を 収集、③情報を解析して考察、④結果をわかりやすくプレゼンテーションする、というプ ロセスで問題解決能力を身につける訓練を行っている(資料100)。

B 基本的水準についての評価

患者の話を良く聴くようにという傾聴の姿勢についての教育は低学年から高学年までを 通じて行われているが、外から入って来た情報に対して、分析的・批判的に考える能力を 育成する教育は不足している。グループ討論の際に、他人の意見に対してクリティカル・

シンキングする能力、分析的・批判的思考によって自身の思考を創造する能力、考えたこ とを論理的に表現できる能力を指導する必要がある。

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C 改善に向けた提言

2014年度から1年次の医療総論演習で言語技術の教育を開始する。

レポート評価については引き続き厳格な評価を行って、論理的に思考することと文章を 書くことを教育していく。

D 改善に向けた計画

言語技術についてアウトカム基盤型カリキュラムの中で考える。

レポート評価については引き続き厳格な評価を行い、その後の学生のアウトカムを検証 する。

B2.2.2

医科大学・医学部は

 カリキュラムを通して以下を教育しなくてはならない。

 医学研究法(B 2.2.2)

A 基本的水準に関わる点検

3年次の終わりに6週間にわたる研究室配属が組まれている。学生は自らの興味のある 研究室に配属され、医学研究の実践と発表方法の学習を通して、医学研究の意義を理解す るだけでなく、実際に研究と発表を行うことによって、科学的思考法、医学研究法につい て学習する機会を持つ(資料76,101)。さらに正規の授業以外の学生研究も奨励している

(本学では「学生班」という伝統がある)(資料77)。3年生前期にはEarly Research

Exposure という講義系を組み、それまで学んだ基礎医学と医学研究の繋がりを説明し、医

学研究への誘いも行っている(資料102)。

B 基本的水準についての評価

研究室配属は必ずしもすべての学生に受け入れられているわけではない。研究志向の少 ない学生の中には興味を持たないものもいるが、学生全員が研究室活動を知ることを必修 にする価値があると考えている。医学研究がどのように患者貢献しているかをもっと明示 する工夫が必要であろう。一方、研究志向のある学生は正課以外に研究室に行き、学生研 究を行っている。Early Research Exposureによって、3年次にこの様な活動を行う学生が倍

増し、Early Research Exposureの様な研究紹介活動の有用性が示された。

学生班研究を促進するために、正課外の研究を選択科目として単位認定することが現在 カリキュラム委員会で話し合われている。さらに、2015年度の臨床実習改革では、 MD-PhDコースの設置も検討課題とされ、カリキュラム委員会の議題となっている(資料 103)。

C 改善に向けた提言

学生班研究を奨励するため、選択科目としての単位化やインセンティヴを早急に実施し ていく。

Early Research Exposureの様な研究紹介活動を入学時や2年次などに拡大することを検討

する。

MD-PhDコースの設置を可及的速やかに行う。

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D 改善に向けた計画

学生班研究を奨励する。

本学では、本学の特色ある研究を拠点センター化した先端医学推進拠点群を設置する準 備を行っている。講座や総合医科学研究センターの研究部門などに加え、このような拠点 センターで学生が研究活動を行うことで、他大学にない独自な研究を行う研究医の育成が 可能であると考える。

B2.2.3

医科大学・医学部は

 カリキュラムを通して以下を教育しなくてはならない。

 EBM(科学的根拠に基づく医学)(B 2.2.3)

A 基本的水準に関わる点検

臨床実習でEvidence-Based Medicineを実践できる様にするために、1年次の情報リテラ シー、2年次の医学統計学Ⅰ、3年次の医学統計学Ⅱ、そして4年次に臨床ケースを題材に Evidence-based Clinical Practice と続くEBM教育が実施されている。Evidence-based Clinical

Practiceでは、臨床疫学の基本的概念や方法論について学んだ後に、テュートリアル方式に

よって、実施された臨床試験の結果に臨床シナリオ(仮想患者)が適用できるのかを議論

して、Evidence-based Clinical Practiceのプロセスを学習する。このように臨床実習前までに、

臨床ケースを考える上での基本的EBM技能を正規の必修カリキュラムとして用意してい る(資料104)。

B 基本的水準についての評価

批判的解析、根拠に基づく医療の実践は臨床実習でこそ用いられなければならない。し かしながら、EBMの基礎教育はできていてもそれを臨床応用する機会が少なければ、卒業 時のアウトカムとはなりえない。臨床実習でEBMを使える環境を整備していく必要があ る。

C 改善に向けた提言

現在2015年度からの臨床実習改善の検討を臨床実習GPワーキンググループで行ってい る。臨床実習でのEBM教育はこのグループで検討していく。

D 改善に向けた計画

2015年度から始まる臨床実習での学生の成果を測定し、IR部門で考査し、EBM教育の 改善を図る。

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質的向上のための水準:

医科大学・医学部は

 カリキュラムに大学独自の、あるいは先端的な研究の要素を含むべきである。(Q 2.2.1)

Q2.2.1

医科大学・医学部は

 カリキュラムに大学独自の、あるいは先端的な研究の要素を含むべきである。(Q 2.2.1)

A 質的向上のための水準に関わる点検

本学は 1996 年度カリキュラム改訂の進行に伴い、1999 年に医学教育研究室が設置され、

2005年には教育センターとなった。現在教育センター内には、医学教育部門、看護教育部 門、シミュレータ教育部門、教育IR部門が設置され活動している。学内で教育センターを 中心に医学教育専門家を養成している(資料105,106)。

教育センターでは医学教育研究が実施され、本学の教育で実践されている(資料39)。

教育センターには、Havard-Macy Program、医学教育者のためのワークショップ(富士 研)、臨床研修指導者ワークショップ(PMET)などの修了者が、医学教育研究の動向を 調べ、本学でのEvidence-based Medical Education に寄与している。

本学で実施されている6年一貫統合カリキュラム、総合試験、体験実習、多職種連携教 育、テュートリアル、OSCE、問題解決型能力のための評価法(Triple-Jump Excercise 、 Multi-station Examination)などについて、本学はわが国においても先導的な立場にある。

B 質的向上のための水準についての評価

今後とも教育センターを中心に本学で実施されている医学教育実践についての実践研究 を続けていく必要がある。

医学教育改善はevidenceをもとに行われるべきであることがWFMEのグローバル・スタ ンダードでも示されている。教育センター内の教育IR部門を拡充し、教育成果やAlmuni

research などをさらに推し進めていかなければならない。

C 改善に向けた提言

2013年度に教育センター内に教育IR部門を設置した。まだデータ収集の途に就いたば かりである。この活動を継続することで、本学の教育改善の資料作成を行う。

D 改善に向けた計画

IR活動で重要なのは資料収集だけでなく、その資料を基にした分析と判断、そしてその 判断の実践である。教育IR部門が分析や判断ができる能力を付けていくための活動が求め られる。

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ドキュメント内 Standard: (ページ 39-43)