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第 5 章 実証分析:ブロードバンドに対するアンバンドル規制に対する

5.6 作業仮説 1-4①-1、1-4①-2 の検証:ADSL・FTTH アンバンドル規制に対する

5.6.4 考察

ADSL アンバンドル規制に対しては、規制の内容や方向性が明らかになったイベントで、競争 事業者のイベント日ダミー変数の係数が有意であるものは、概ね符号がプラスとなっている(A3、

A6、A8、A11、A20、A27、A31)。また、NTT と競争事業者との接続について決着が持ち越し

となったイベントでは、個別の事業者で見ると有意ではないが、競争事業者ポートフォリオでは 有意にプラスとなっている。

日本テレコムの係数が有意にマイナスになったA2(1998年9月24日)については、イベント 翌日に当たる1998年9月25日に、経営不振に陥っていたPHS事業者のアステル東京がTTNet と合併した後の、主要株主による支援策が固まり、合意に達した、と報じられている(日本経済 新聞朝刊、夕刊)。日本テレコムは、他の主要株主とともに、566億円の追加融資枠の設定や債務 保証の継続を行うことが明らかにされている。主要株主の間で支援策が協議されていることは既 に9月12日にも報じられていたため(日本経済新聞朝刊)、本件がイベント期間中の株価の反応 に影響を与えた可能性は否定できない。A2については競争事業者ポートフォリオも有意にマイナ スとなっているが、これは、日本テレコムの株価の変動を反映したものと推察される。

KDDIの係数が有意にマイナスになったA24(2000年10月3日)は、DDI、KDD、IDO3社 が合併して新会社が10月1日に発足、2日に実働した直後であり、その関連で株価が変動した可 能性がある。

ソフトバンクの係数が有意にマイナスとなったA25(2000年10月17日)については、その 期間中にソフトバンクの期待収益に負の影響を与えると考えられるようなイベントは見当たらな い。

以上を総括すると、ADSL のアンバンドル規制については、方向性や内容が明らかになったイ ベントに対して、競争事業者の株価は概ねプラスに反応していると考えられる。

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FTTHアンバンドル規制に関しては、イベント期間前半では、NTT東日本に対する光ファイバ ー網接続命令発動を求める日本交信網の郵政省への要請(F4)を除き、係数が有意となったイベ ントはすべて符号がマイナスとなっている。一方、後半で係数が有意となったイベントは、すべ て符号がプラスとなっている。

ソフトバンクの係数が有意にマイナスとなったF6(2000年9月18日)の期間には、米国市場 やアジア市場で株安が広がり、市場に「出資企業が世界にわたるソフトバンクには悪い材料」と 受け止める向きが多かった、と報道されている(2000年9月19日 日本経済新聞夕刊)。 日本テレコムの係数が有意にマイナスとなったF14(2000年12月14日)は、前々日に当た る12月12日、主要株主であるJR西日本とJR東海が、両社が保有する株式計15%をボーダフ ォンに売約することで大筋合意したことが伝えられている(日本経済新聞朝刊)。イベント前日に 当たる13日にも続報が伝えられていることから(日本経済新聞朝刊、日経産業新聞)、本件がF14 のイベント期間中の株価の変動に影響を与えていた可能性があると考えられる。

ソフトバンクの係数が有意にマイナスとなったF16(2000年12月21日)のイベント当日に は、日米のインターネット株、特に米ヤフー株と日本のヤフー株などが値下がりした影響で、ソ フトバンク・グループが保有する公開・上場株式の含み益が1兆円を割り込んだことが報じられ ている(日本経済新聞朝刊)。F16における株価の下落には、本件が影響している可能性も考えら れる。

2000年12月のボーダフォン出資報道以降、日本テレコムの株価は上昇していたが、F17(2000 年12月25日)のイベント当日に当たる12月25日の取引において、「利益確定売り」により反 落した、と伝えられている(2000年12月26日 日本金融新聞)。

以上により、イベント期間前半においてNTTの競争事業者の株価が有意にマイナスの反応を示 したイベントはすべて、同じ時期に競合イベントが発生しているということができる。

イベント期間後半において NTT の競争事業者の株価が有意にプラスの反応を示したイベント のうち、日本テレコム及びソフトバンクが有意にプラスの反応を示したF19については、イベン ト当日に当たる2001年1月18日に、日本テレコムが国内・国際電話通話料の一体割引料金の割 引率を拡大する旨発表し、イベント翌日に当たる翌19日に新聞で報道されている(日本経済新聞 朝刊)。ソフトバンクについては、この時期に同社の期待収益に影響を与えると想定されるイベン トは発生していない。

F27については、イベント前日に当たる2001年4月19日に携帯電話加入が1500万を突破し たことを社長が記者会見で発表し、イベント当日に当たる翌20日にその旨新聞で報道されている

(日経産業新聞)。イベント期間中において、単日としてはイベント翌日に株価が有意にプラスに 反応しており、この社長会見とは日にちが空いていることから、社長会見がN27の時期の株価の 有意にプラスの反応に影響を与えたとは考えにくい。

同じくKDDIの株価が有意にプラスに反応したF29については、イベント当日に当たる2001 年5月18日にKDDIが2001年3月期の連結決算を発表し、合併前の3社(KDD、DDI、IDO)

の前期の営業利益単純合計値と比較して29%の増益であったことが明らかにされ、イベント翌日 に当たる翌19日にその旨報道されている(日本経済新聞朝刊)。

競争事業者ポートフォリオが有意にプラスに反応したF36については、イベント前日に当たる

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2001年9月20日に、PHS事業の売却などのリストラ策が好感されてKDDI株が5日連続で上 昇していると報道されている(日経金融新聞)。また、同じくイベント前日の20日、日本テレコ ムのTOBを21日に開始することをボーダフォンが発表し、イベント当日に当たる翌21日に新 聞で報道されている(日経産業新聞、日経金融新聞)。

以上の通り、イベント期間後半で株価が有意に正に反応したイベントのうち競合イベントが発 生していないものは、F19のソフトバンク及びF27のKDDIである。F27については、省令案が 公表され規制の方向性がある程度明らかになったイベントである。

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