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分析対象とする競争事業者

第 5 章 実証分析:ブロードバンドに対するアンバンドル規制に対する

5.6 作業仮説 1-4①-1、1-4①-2 の検証:ADSL・FTTH アンバンドル規制に対する

5.6.2 分析対象とする競争事業者

現在、ADSL、FTTH分野で事業を展開しているのは、大きく、KDDI、ソフトバンク・グルー プ、電力系事業者に分けられる。ADSL・FTTH アンバンドル規制が議論され施行された当時は 多数の競争事業者が存在したが、現在に至るまでにその多くが上記の大規模事業者に合併されて いる。KDDI 及び統合された事業者、ソフトバンク及び統合された事業者、その他の事業者に分 けて、事業展開や株式効果の状況を確認し、分析対象を選定する。

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5.6.2.1. KDDI及びKDDIに統合された事業者

現在のKDDIの中核をなす、ISP事業を含む国内・国際固定通信事業及び携帯電話事業は、DDI

(第二電電株式会社)、KDD(国際電信電話株式会社)、及び IDO(日本移動通信株式会社)が 2000年10月1日に合併したことによって形成された(巻末付表3-1)。DDIは、新規事業者とし て1980年代に長距離固定通信市場に参入した。一方KDDは、国際通信を専門とする特殊会社と して1953年に設立されたが、1997年の改正電気通信事業法の成立により国内通信市場への参入 が認められ、同年7月に企業向け国内通信サービスを開始した。つまり、ADSLアンバンドル規 制導入に関する最初のイベント日である1998年3月20日(A1)は、DDIとKDDの両社とも 国内通信分野の競争事業者という位置づけであった。両社は、2000年4月にIDOを含めた3社 合併について契約を調印し、同月、ADSLの実験を開始している。2000年10月1日に合併新会 社が発足し、存続会社はDDIとされ、KDDは同年9月30日に上場廃止となった。以上により、

DDI、KDDとも当初よりADSL事業に参入する意志を持っていたことから、両社ともイベント・

スタディ分析の対象とするが、KDDについては、上場廃止となった2000年9月30日までの期 間(イベント番号A1~A32及びF1~F6)を対象とすることとする。

KDDI は、2007年に JCNグループ、2013年にジュピターテレコム(J:COM)をそれぞれ連 結子会社化することによって、CATV事業を含む総合的な情報通信事業者となっている。J:COM は、NTTなどによるADSLの本格開始に先立ち1999年にCATVインターネット接続の提供を 開始しており、ADSLやFTTHとは設備ベースで競合するブロードバンド事業者であった。その ため、ADSL アンバンドル規制の導入によって期待収益に影響があったと想定されるが、同社が

JASDAQ市場に上場したのはFTTHアンバンドル規制が導入された後の2005年であることから、

本分析の対象外とする。

また、ADSL・FTTHアンバンドル規制導入時に、地域通信分野の設備ベースの競争事業者と して営業を行っていたTTNetも、現在ではKDDIに吸収されている。TTNetは、J:COMと同じ くNTTのADSLやFTTHと設備ベースで競合する事業者であったが、当時は東京電力の子会社 であり、単独上場はしていなかった。したがって、J:COMと同様、本分析の対象とはしないこと とする。

5.6.2.2. ソフトバンク・グループ及びソフトバンク・グループに統合された事業者

ソフトバンクは、設立当初はコンピューター・ソフトウェアの流通を手掛ける企業であったが、

子会社設立や買収によって情報通信分野の事業を拡大し、現在は、ISP 事業を含む国内・国際固 定網通信及び携帯電話事業を展開する総合情報通信事業者である。ADSL アンバンドル規制導入 のイベント期間中(1998年3月20日~2000年12月18日)は、東京電力と米マイクロソフト との共同出資会社「スピードネット」や子会社「IPレボリューション」を通じて、それぞれ無線 や光ファイバーを利用して高速インターネット通信を提供する準備を行っていた(巻末付表3-2)。 一方、イベント期間終了後の2001年9月、子会社「BBテクノロジー」がADSLの商用サービ スを開始し、割安な料金設定によって急速に契約数を拡大した。このように、ソフトバンクは、

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NTTのADSL・FTTHのアンバンドル・サービスの利用者であると同時に、設備ベースの競争事

業者としての側面も持つ。いずれにせよ、ADSL・FTTH アンバンドル規制の導入の利害関係者 であることには違いがないため、同社を本分析の対象とする。

ADSL・FTTHアンバンドル規制導入期から2002年6月にイー・アクセスに事業を売却するま で、国内・国際固定網通信事業者の日本テレコム(現ソフトバンクテレコム57)が個人向けにADSL サービスを提供していた。したがって、日本テレコムについても本分析の対象とする。ただし、

同社はこの時期、以下に見られるように株主の異動について多数の新聞報道がなされており、こ れらのニュースや株主構成の変化に関連する期待などが株価に影響を与えていた可能性があるた め、結果の解釈には注意が必要である。

1999年3月19日(日本経済新聞夕刊) BTとAT&Tからの出資について最終交渉との報 道。

1999年9月1日(日本経済新聞夕刊) BTとAT&Tからの出資受け入れ完了と発表。それ

ぞれ15%ずつ出資し、JR東日本(15.1%)に次ぐ第二位株主に。

2000年12月9日(日本経済新聞朝刊) BTが、AT&Tから日本テレコム株式全所有分を 取得することで8日に交渉に入ったとの報道。

2000年12月12日(日本経済新聞朝刊) JR西日本とJR東海が、日本テレコム株式合計 15%を英ボーダフォンに売却することで大筋合意に達したことが明らかになったとの報道。

このほか、ADSL・FTTHアンバンドル規制導入期にADSL事業を展開していためたりっく・

グループ、アッカ・ネットワークス、イー・アクセスは、現在ではソフトバンクに吸収されてい る。これらのADSL事業者のうち、めたりっく・グループとアッカ・ネットワークスは一貫して 非上場であり、イー・アクセスが東証マザーズ市場に上場したのはADSL・FTTHアンバンドル 規制導入イベント期間終了後の2003年10月である。したがって、これらのADSL事業者につい ては、本分析の対象とはしないこととする。

5.6.2.3. 有線ブロードネットワークス

有線ブロードネットワークスは、アンバンドル規制を利用したサービス・ベースではなく、自 ら設備を敷設する設備ベースの競争事業者として、FTTHアンバンドル規制の導入が議論中であ った2001年3月にFTTH市場に参入した(巻末付表3-3)。同じくFTTHアンバンドル規制導入 のイベント期間中である 2001 年4月に、大阪証券取引所ナスダック・ジャパンに上場した。し かし、イベント期間中の上場であり、推定期間のデータが取れないため、イベント・スタディ分 析の対象とすることはできない。

57 ソフトバンクテレコム株式会社は、ソフトバンクBB株式会社、ワイモバイル株式会社ととも に、2015年4月1日付でソフトバンクモバイル株式会社に合併された(ソフトバンク株式会社ウ ェブサイトhttp://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2015/20150401_01/:2015年4 月13日アクセス)。

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なお、同社は、2000年代前半はFTTH市場で10%程度のシェアを維持していたが、経営再建 のため2010年にFTTH事業を売却している。

5.6.2.4. ケイ・オプティコム

ケイ・オプティコムは、FTTHアンバンドル規制の議論中であった2001年6月に、マンショ ン向け及び企業向け光ファイバー接続サービスを開始した(巻末付表3-4)。サービス提供は近畿 地方及びその周辺だけであるが、2010年以降全国のFTTH加入数に対して5%台のシェアを維持 している(図表3-3参照)。同社は、非上場のためイベント・スタディ分析の対象とすることはで きない。