第 5 章 実証分析:ブロードバンドに対するアンバンドル規制に対する
5.6 作業仮説 1-4①-1、1-4①-2 の検証:ADSL・FTTH アンバンドル規制に対する
5.6.3 分析結果
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なお、同社は、2000年代前半はFTTH市場で10%程度のシェアを維持していたが、経営再建 のため2010年にFTTH事業を売却している。
5.6.2.4. ケイ・オプティコム
ケイ・オプティコムは、FTTHアンバンドル規制の議論中であった2001年6月に、マンショ ン向け及び企業向け光ファイバー接続サービスを開始した(巻末付表3-4)。サービス提供は近畿 地方及びその周辺だけであるが、2010年以降全国のFTTH加入数に対して5%台のシェアを維持 している(図表3-3参照)。同社は、非上場のためイベント・スタディ分析の対象とすることはで きない。
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図表5-1 単日及び連続日のいずれにおいても係数が有意となった
ADSL・FTTHアンバンドル規制関連イベント
【参考】
イベント 日番号
KDD (K)DDI 日本テレ
コム
ソフトバ ンク
競争事業 者ポート
フォリオ
NTT NTT(ドコ
モ・データ 統制後)
A2 0,+,-,+,0,0 -,0,0,-,-,- -,0,0,-,0,0 ---
A3 +,0,0,+,+,+ ---
A4 0,0,-,0,-,0 ---
A6 +,0,+,+,+,+ 0,+,0,+,0,+ ---
A8 0,0,+,-,0,0 ---
A10・F2 +,0,0,+,+,+ +,0,+,+,+,+ +,+,0,+,0,+ +,+,0,+,+,+ +,0,+,+,+,+ +,0,+,0,+,+
A11 +,-,0,0,+,+ +,0,0,0,+,0 0,0,+,0,+,+ ---
A14 0,0,-,-,-,- ---
A20 0,0,+,0,+,+ 0,0,+,+,+,+ ---
A23 --- +,0,0,+,+,+ -,0,-,-,-,- ---
A24 --- 0,-,0,-,0,0 ---
A25 --- -,0,0,-,0,0 ---
A27 --- +,0,0,0,+,0 ---
A31 --- +,+,0,+,+,+ +,+,0,+,0,+ ---
F4 +,0,0,+,0,0, +,0,0,+,0,0 -,0,+,-,0,0
F6 -,0,0,-,0,0
F7 --- +,-,0,0,+,0 +,-,0,0,-,-
F8 --- -,0,0,0,-,-
F14 --- -,0,0,-,0,0 -,0,0,-,0,0
F16 --- 0,-,0,-,0,0
F17 --- -,0,0,-,-,-
F19 --- +,0,0,+,+,+ 0,+,0,+,+,+
F21 --- -,-,0,-,0,- -,-,0,-,0,-
F25 --- +,0,0,+,0,0 +,0,0,+,0,0
F27 --- 0,0,+,+,0,+
F29 --- 0,0,+,0,+,+ -,0,0,-,-,- -,0,0,-,-,-
F30 --- 0,0,+,0,+,0
F36 --- 0,+,0,+,0,+
筆者作成
注:
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1)イベント当日、前日、翌日、前日から当日の2日間、当日から翌日の2日間、前日から翌日の
3 日間、の 6期間におけるイベント日ダミー変数の係数について、有意にプラスの場合:「+」、 有意にマイナスの場合:「-」、有意でない場合:「0」。空欄は、いずれの期間についても有意では ないことを示す。
2)競争事業者ポートフォリオは、株式分割を調整後の KDD、(K)DDI、日本テレコム、ソフトバ
ンク 4 社の株価の単純平均により算出。ただし、ソフトバンクの新規上場及び合併による KDD の上場廃止により、構成銘柄は以下の通り時期によって異なる。
・1997年2月27日~1998年1月15日:KDD、DDI、日本テレコムの3社
・1998年1月16日~2000年9月25日:KDD、DDI、日本テレコム、ソフトバンクの4社
・2000年9月26日以降:KDDI、日本テレコム、ソフトバンクの3社
3)NTT(ドコモ・データ統制後)における「---」は、分析非対象のためデータが存在しないこと を表す。
4)KDDの「---」は、上場廃止後であるためデータが存在しないことを表す。
5.6.3.1. ADSLに対するアンバンドル規制導入に関する分析結果
A2(1998年9月24日)は、郵政省「接続料の算定に関する研究会」が、MDF接続を接続の
形態として問題ないとする報告書案を公表した日である。KDD及び日本テレコムでイベント日ダ ミー変数の係数が有意となっている。有意な係数の符号は、日本テレコムはすべてマイナスであ るのに対して、KDDは前日、及び前日から翌日の2日間がプラス、翌日がマイナスとなっている。
A3(1998年9月30日)は、NTT社長が、記者会見にて、DSLのアンバンドルはネットワー
クの光化に影響が出ないことが条件であるという見解を示した日である。日本テレコムについて、
当日単日及びすべての連続日において、イベント日ダミー変数の係数が有意にプラスとなってい る。
A6(1999年7月30日)は、郵政省が「接続料の算定に関する研究会」を設置した日である。
検討項目の一つに、DSLのMDF接続が挙げられている。日本テレコム及び競争事業者ポートフ ォリオにおいて、イベント日ダミー変数の係数が有意にプラスとなっている。
A8(1999年8月30日~31日)は、2日連続のイベントである。初日の8月30日には、郵政 省「高速デジタルアクセス技術に関する研究会」の第1回会合が開催された。同研究会は、DSL サービス導入に向けたMDF接続に関する技術的課題を初めとし、FTTH、衛星通信、FWA(Fixed
Wireless Access)、CATV などの高速デジタルアクセス技術に関する技術的諸問題を検討するこ
とを目的として設置された。イベント2日目の31日には、DSLのMDFでの試験接続を可能と するよう、郵政省が NTT東西地域会社に対して指導文書を発出している。DDI において、翌日 の係数が有意にプラス、前日から当日の2日間の係数が有意にマイナスとなっている。
A10(1999年10月12日)は、総務省の高速デジタルアクセス技術研究会が中間報告書案を公 表して同案に対する意見募集を呼びかけた日であり、FTTHアンバンドル規制のイベント日(F2)
でもある。翌日、日本経済新聞朝刊と日経産業新聞でその旨報道されている。同研究会は、ADSL の MDFでの接続を可能とする技術について検討するために設置されたものであり、中間報告書
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案では、ADSL 普及策を提言し、NTT に対してADSL 接続料を引き下げるよう要請するととも に、アクセス回線が光化された後の速やかなアンバンドル規制の導入が今後の課題であると指摘 されている。5.1 節で述べた通り、この期間中、DDI、KDD、IDO3 社の合併を取り沙汰する新 聞記事が報じられている。ソフトバンク以外の競争事業者すべてにおいて、イベント日ダミー変 数の係数が有意にプラスとなっている。なお、NTTも同様に、係数の一部が有意にプラスとなっ ている。
A11(1999年11月10日~11日)は、2日連続のイベントである。初日の11月10日には、
郵政省「高速デジタルアクセス技術に関する研究会」が、中間報告書及び提出された意見に対す る考え方を公表している。翌 11 日には、政府より経済新生対策が発表され、MDF 接続による DSL提供を可能とするためにNTT網のオープン化を促進すること、2000年度中に新たな接続ル ールを策定することなどが盛り込まれている。DDI及び競争事業者ポートフォリオにおいて、イ ベント日ダミー変数の係数が有意にプラスになっており、NTTも同様となっている。
A14(1999年12月14 日)は、政府の行政改革推進本部規制改革委員会が、DSLを速やかに
導入するよう小渕首相(当時)に見解を提出した日である。KDDにおいて、イベント日ダミー変 数の係数が有意にマイナスとなっている。
A20(2000年8月22日)は、ADSLの工期や工事費の詳細に関する接続事業者からの批判に
応えて、NTT東日本が工期を短縮する方針であると報じられた日である(日経産業新聞)。KDD 及びDDIにおいて、イベント日ダミー変数の係数が有意にプラスとなっている。
A23(2000年9月26日)には、DSLのコロケーションに関する日本交信網からの裁定申請に
対して、NTT東日本に施設の開放を求める裁定案を郵政省が両社に提示した。しかし、裁定案に ついて両社の協議が整わなかったため、郵政省は同日、両社の接続に関する裁定について電気通 信審議会に諮問し、合わせて意見募集を開始した。競争事業者ポートフォリオにおいて、イベン ト日ダミー変数の係数が有意にプラスになっている。なお、NTTについては有意にマイナスであ る。
A24(2000年10月3日)は、郵政省がDSL網整備に関する地方都市への普及支援策をまとめ たと報じられた日である(日本経済新聞朝刊)。なお、前日に当たる 10 月 2 日には、郵政省が NTTに対する光ファイバー網開放の義務付けを発表している。KDDIにおいて、イベント日ダミ ー変数の係数が有意にマイナスとなっている。
A25(2000年10月17日~18日)は、2日連続のイベントである。初日の10月17日には、
郵政省電気通信審議会が、日本交信網とNTT東日本との接続に関する裁定に関して行った意見募 集の結果を発表している。また、2日目の 18日には、NTTが、アンバンドルの接続形態の追加 及びコロケーション条件などに関して接続約款変更を認可申請した旨、報道発表を行っている。
ソフトバンクにおいて、イベント日ダミー変数の係数が有意にマイナスとなっている。
A27(2000年11月6日)は、IT戦略会議に対して政府がIT国家戦略の草案を提示した日で
ある。2005年までに1,000万世帯で光ファイバーを、3,000万世帯でCATVまたはDSLを利用 できるよう整備を進めることが盛り込まれている。ソフトバンクにおいて、イベント日ダミー変 数の係数が有意にプラスとなっている。
A31(2000年12月12日)には、NTT東西地域会社が、ADSLのユーザー向け料金を郵政省
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に届け出るとともに、12月26日にADSL事業に本格参入する旨、報道発表を行っている。日本 テレコム及び競争事業者ポートフォリオにおいて、イベント日ダミー変数の係数が有意にプラス となっている。
5.6.3.2. FTTHに対するアンバンドル規制の導入に関する分析結果
F2(1999年10月12日)は、郵政省の高速デジタルアクセス技術に関する研究会が中間報告
書案を発表するとともに、意見募集を開始した日であり、A10 と関連するイベントである。ネッ トワークの光化後の速やかなアンバンドル化を提言している。係数の符号は、当日が有意にプラ ス、翌日は有意ではないがプラスとなっている。ただし、この中間報告書案ではDSL接続料の抑 制を NTT に求めるなど、ADSL アンバンドル規制に係る提言もなされており、それぞれのアン バンドル規制に対して株価がどのように反応したかについて、切り分けて分析することはできな い。なお、前述の通り、この期間に、DDI、KDD、IDO3社の合併を取り沙汰する新聞報道がな されている。ソフトバンク以外のすべての競争事業者及びNTTにおいて、イベント日ダミー変数 の係数が有意にプラスとなっている。
F4(2000年3月22日~23日)は、2日連続のイベントである。初日の22日は、NTT東日本 の光ファイバー網の開放を求め、日本交信網が郵政大臣に回線接続命令の発動を申請した日であ り、翌23日には、同申請を受理した旨郵政省が報道発表を行っている。KDD、DDI及び日本テ レコムにおいて、イベント日ダミー変数の係数が有意となっており、KDDとDDIが有意な係数 はすべてプラスであるのに対して、日本テレコムは、当日及び前日から当日の2日間がマイナス、
翌日がプラスとなっている。
F6(2000年9月18日)には、NTT持株会社及びNTT東西地域会社の社長会で、光ファイバ
ー網独自開放方針を9月19日に公表することで各社長が合意に達した、と報じられている。NTT 自身がFTTHの開放を打ち出したのは、この日が初めてである(2000年9月19日 日本経済新 聞朝刊)。ソフトバンクにおいて、イベント日ダミー変数の係数が有意にマイナスとなっている。
F14(2000年12月14日)は、郵政省電気通信審議会が、「IT革命を推進するための電気通信
事業における競争政策の在り方」について、第一次答申を公表した日である。同答申には、NTT に対する光ファイバー網の開放義務づけが盛り込まれている。日本テレコム及び競争事業者ポー トフォリオにおいて、イベント日ダミー変数の係数が有意にマイナスとなっている。
F16(2000年12月21日)には、郵政省電気通信審議会が、「接続ルールの見直しについて(第 一次答申)」を公表した日である。アンバンドルされた形態での光ファイバー設備との接続が緊急 に確保されるべきである、との提言が盛り込まれている。ソフトバンクにおいて、イベント日ダ ミー変数の係数が有意にマイナスとなっている。
F17(2000年12月25 日)は、郵政省「21世紀における情報通信ネットワークの整備に関す
る懇談会」が、2006年までに、家庭向け光ファイバー料金を月額3000~6000円、ADSLを最大 で 3000 円とすることが望ましい、と提言した日である。日本テレコムにおいて、イベント日ダ ミー変数の係数が有意にマイナスとなっている。
F19(2001年1月18 日)には、総務省が、接続ルールの見直しに関して追加意見募集を開始