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作業仮説 2-3②の検証:革新的サービスの発表に対する

第 6 章 実証分析:アンバンドル規制下におけるブロードバンド網投資に対する

6.5 作業仮説 2-3②の検証:革新的サービスの発表に対する

6.5.1. 具体的な方法と対象イベント

ここでは、NTTドコモによる革新的サービスが同社の株価に与える影響について分析するため、

式4-1に基づく一般的なイベント・スタディの手法を適用する。

= + +

:NTTドコモの株価の対前日収益率

:TOPIXの対前日変化率

:誤差項

、 :パラメータ

各イベントの260日前から11日前までの250日間を推定期間として上記の回帰式によってパ ラメータ 、 を算出する。その上で、イベント当日、前日、翌日、前日から当日の2日間、当日 から翌日の2日間、及び前日から当日の3日間について、式4-2~式4-5に基づき を算出す る。帰無仮説は : = 0とする。

また、革新的サービスがNTTドコモの株価に与える影響を全般的に検証するために、前節と同 様、θ値を用いて検定を行う。帰無仮説は : = 0とする。

対象とするイベントは、ADSLアンバンドル規制の検討が開始されNGNアンバンドル規制が 導入された1998年3月から2008年12月までの期間における、世界初・日本初のサービスや商 品に関するニュースとする。具体的な対象イベントは、巻末付表1-13の通りである。D1は対象 期間外であるが、NTTドコモのイノベーションの経緯を確認するために参考記載している。なお、

携帯電話分野で極めて革新性の高いサービスであった「i モード」開始が関連する D1~D4 は、

NTTドコモの上場時期の関係により分析対象外となる。

6.5.2. 分析結果及び考察

上記のイベントに対するNTTドコモの株価の反応に関するイベント・スタディ分析結果は、巻 末の付表2-56にまとめた通りである。

単日(列(1)~(3))及び連続日(列(4)~(6))のいずれにおいても有意な反応を示したイベント は、D5及びD16であり、いずれについても符号はプラスである。D5(2000年1月11日)では、

営業日前日に当たる7日に、携帯電話契約数の1999年の年間純増が1,000 万台には及ばなかっ たものの好調を維持し、12月月間ではNTTドコモが好調であった旨、電気通信事業者協会が発 表を行い、当日に当たる 1月11日に新聞で報じられている(日経産業新聞)。D16(2008年11 月7日)では、イベント当日に当たる11月7日に、NTTが連結中間決算を発表し、翌8日に新 聞で報じられている(日本経済新聞朝刊)。連結純利益が前年同期の 2.1 倍と好調であり、NTT

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ドコモの携帯電話端末販売台数が落ち込んだことで営業費用が減少、営業利益の伸びにつながっ た、とされている。また、θ値を確認すると、単日、連続日のいずれも、有意とはなっていない。

以上により、NTTドコモの革新的サービス関連イベントに対して、同社の株価は有意に反応して いない、と言うことができる。

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6.6. 作業仮説2-4①の検証:革新的サービスの発表に対する携帯電話事業者の株価の反応

6.6.1. 具体的な方法と対象イベント

ここでは、携帯電話事業者の革新的サービス関連報道を取り扱うため、式 4-1 に基づく一般的 なイベント・スタディの手法を適用する。

= + +

:(1)KDDI、(2)ソフトバンクの株価の対前日収益率

:TOPIXの対前日変化率

:誤差項

、 :(1)KDDI、(2)ソフトバンクのパラメータ

各イベントの260日前から11日前までの250日間を推定期間として上記の回帰式によってパ ラメータ 、 を算出する。その上で、イベント当日、前日、翌日、前日から当日の 2 日間、当 日から翌日の2日間、及び前日から当日の3日間について、式4-2~式4-5に基づき を算 出する。帰無仮説は : = 0とする。

また、革新的サービス関連イベントが一般にその事業者の株価にどのような影響を与えるかを 検証するため、前節と同様にθ値による検定を行う。帰無仮説は : = 0とする。

分析対象とするイベントは、6.5節のNTTドコモのケースと同様、ADSLアンバンドル規制の 検討が開始されNGNアンバンドル規制が導入された1998年3月から2008年12月までの期間 における、世界初・日本初のサービスや商品に関するニュースとする。ただし、ソフトバンクは、

ボーダフォンを買収して携帯電話事業に参入した2006年4月から2008年12月までの期間を対 象とする。

対象とする具体的なイベントは、巻末の付表1-14及び付表1-15の通りである。

6.6.2. 分析結果及び考察

まず、KDDIの革新的サービス関連イベントに対する株価の反応を検証する(巻末付表2-57)。 有意な反応があったイベントはK9だけであり、符号はプラスである。このイベントはD16と同 一であり、D16でも、前日単日、前日から当日の2日間、及び前日から翌日の3日間において有 意にプラスとなっているが、競合イベントが存在した。K9については、KDDIが関連する競合イ ベントは発生していない。なお、θ値については、いずれの期間においても有意とはなっていな い。

次に、ソフトバンクについても同様に検証を行う(巻末付表2-58)。S2(2000年11月7日:

D16、K9と同一)において、前日(列(2))に1%水準有意でプラス、S4(2009年6月10日:

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D19、K11と同一)で前日から当日の2日間(列(4))に10%水準で有意にプラスとなっている。

S2については、ソフトバンクが関連する競合イベントは発生していない。一方S4については、6 月4日から6月10日まで、ソフトバンクの株価が5営業日連続で続伸したことが報じられてい る(2009年6月11日 日本経済新聞朝刊)。更に、イベントの前々日に当たる6月8日に、携 帯電話契約の純増数において25か月連続で同社が首位を維持したことが報じられている。また、

イベント前日に当たる9日には、iPhoneの新機種を同月26日に日本で発売する旨報道発表し、

翌10日に新聞で報じられている(日経産業新聞)。このように、S4の時期には、期待収益にプラ スの影響を与える可能性がある競合イベントが複数存在しており、S4の影響の程度を検証するこ とは困難である。なお、θ値は、いずれの期間についても有意とはなっていない。

KDDI とソフトバンクの結果を見ると、新方式(LTE)の事業免許に名乗りを上げたイベント

(K9及びS2)において、両社とも株価が有意にプラスに反応している。前節で見たNTTドコモ

でも、他に競合イベントがあるので慎重な解釈が必要ではあるが、やはり有意にプラスに反応し ている。一方、実際にLTEの免許が交付されたイベント(D19、K11、S4)では、ソフトバンク の前日から当日の2日間のみ有意となっている。ただし、この時期に同社関連の競合イベントが 発生している。

以上により、LTE 事業免許取得に向けた立候補については、関連する事業者すべての株価に、

一定レベルでプラスの影響があったと解釈することができる。LTE事業については、上記3社の ほか、イー・モバイルが申請を行っており、4社合計の設備投資は 1兆円を超える見通しである ことが伝えられている(2009年6月11日 日本経済新聞朝刊)。多額の設備投資が必要とされる 場合でも、革新的サービスの事業価値が高いと評価される場合は、株価はプラスの反応を示す、

と考えられる。

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