第 7 章 統計分析手法を援用した振動特性の推定と遺伝的アルゴリズムの適用性検証
7.5 部材系構造モデルによる精緻化手法の検証
7.5.3 精緻化の結果
表-7.5.4 精緻化の対象パラメータと初期値(つづき)
No 対象 初期値
x3 補強部フランジ板厚 mm 25
x4 補強部ウェブ板厚 mm 12
x5 一般部フランジ板厚 mm 9
x6 一般部ウェブ板厚 mm 9
-182-②GA
FEモデルの更新前後の目的関数の推移を図-7.5.5に示す.図(a)より,全体系モデルと同様に各パ ラメータがランダム的に更新されることで目的関数が不規則に増減を繰り返し,1 世代ごと(母集団 200ごと)にその増減の幅が徐々に減少している.また,図(b)より,次世代が生成されるごとに目的 関数が徐々に減少し,収束判定を満たして計算が終了した.目的関数は0に収束しなかったものの,
初期値から最大で約-95.6%の大幅な減少がみられた.ただし,内点法に比べて計算時間が大幅にかか る(内点法の約50倍)ことがデメリットとして挙げられる.
(a)全反復回数
(b)世代ごと
図-7.5.5 更新前後の目的関数推移
0.0E+00 5.0E‐02 1.0E‐01 1.5E‐01 2.0E‐01 2.5E‐01 3.0E‐01 3.5E‐01
0 500 1000 1500 2000 2500 3000
J(x)
Iteration
J(x)
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00
0 10 20 30 40 50 60 70
J(x)/J(x)の初期値
Generation
世代平均値 世代最良解
(2)振動特性の推移
FEモデル更新前後の固有振動数を表-7.5.5に示す.また,計測値との誤差の変化を図-7.5.6に 示す.全てのモードにおいて固有振動数が更新前より減少しており,参照値に近づく方向に更新され た.特に,1次の鉛直対称モードでは内点法に比べGAの誤差の方が約2.3%の減少がみられた.GA では,初期値より最大で約4.13%の誤差が縮小されている.
表-7.5.5 固有振動数結果
Mode
計測値 [Hz]
解析値(固有値解析)注)[Hz]
更新前 更新後
初期値 内点法 GA
1st 6.680 6.343 (-5.050%) 6.464 (-3.227%) 6.619 (-0.919%)
3rd 17.480 16.892 (-3.362%) 17.164 (-1.806%) 17.733 (+1.448%) 注)()内の数値は計測値との誤差を表す.
図-7.5.6 更新前後の実応答との誤差
(3)モデルパラメータの推移
更新前後のパラメータの推移を表-7.5.6 に示す.計測値に基づく参照値は固有値解析の初期値よ りも高いことから,モデル全体の剛性が高くなるようにパラメータが更新されており,面内曲げにあ
‐5.050
‐3.362
‐3.227
‐1.806
‐0.919
1.448
‐6.0
‐5.0
‐4.0
‐3.0
‐2.0
‐1.0
0.0 1.0 2.0
1st 3rd
実応答との誤差(%)
Mode
更新前 内点法 GA
‐4.1321%
‐1.914%
-184-まり寄与しない一般部のウェブ板厚のみ減少するが,それ以外のパラメータについては全て増加する ことで目的関数が減少している.なお,一般に,格点部となる部材端部の境界条件のモデル化につい て,設計上は計算の単純化のためにピン構造として扱うが,実際には剛結状態に近いことが知られて
いる 7-16).そのため,本検討においても格点部の結合状態を表すz 軸回りの回転ばね剛性が振動特性
に与える影響は大きいと考えられるが,内点法においてはほとんど変化しないまま収束条件により精 緻化が終了した.その要因としては,更新パラメータとしての板厚とばね剛性の数値の桁数が大きく 異なるため,桁数が大きいばね剛性の変化幅が極端に小さくなることで局所解に陥ったものと考えら れる.そのため,更なる精度向上のためには,更新パラメータの制約範囲やパラメータの大きさに応 じた段階的な最適化計算を行うなどの課題があると考えられる. 一方で,GAについては,パラメー タの大域的な探索によりばね剛性が制約条件(±10,000%)の上限付近まで増加することで固有振動 数の誤差が解消されていることから,格点部は剛結に近い状態であるといえる.
表-7.5.6 更新前後の計算パラメータ
対象 更新前
内点法 GA
更新後 変化率 更新後 変化率 z軸回転ばね剛性(L側)
[N*m/rad] 2.0×109 2.02×109 1.00% 1.94×1011 9606.02%
z軸回転ばね剛性(R側)
[N*m/rad] 2.0×109 2.00×109 0.00% 1.99×1011 9861.57%
補強部フランジ板厚
[mm] 25.00 27.50 10.00% 27.34 9.37%
補強部ウェブ板厚
[mm] 12.00 13.20 10.00% 13.20 9.99%
フランジ板厚
[mm] 9.00 9.90 10.00% 9.85 9.41%
ウェブ板厚
[mm] 9.00 8.10 -10.00% 8.13 -9.69%