第 7 章 統計分析手法を援用した振動特性の推定と遺伝的アルゴリズムの適用性検証
7.4 全体系構造モデルによる精緻化手法の検証
7.4.3 精緻化の結果
-170-表-7.4.8 精緻化の対象パラメータと初期値(つづき)
No. 対象 初期値
x7 上横構 断面積 [mm2] 5200 x8 上横構(横方向) 断面積 [mm2] 5200
x9 斜材(L2~U1) 断面積 [mm2] 12266
x10 斜材(L2~U3) 断面積 [mm2] 15600 x11 斜材(L4~U3) 断面積 [mm2] 8680
x12 斜材(L4~U5) 断面積 [mm2] 10440
x13 斜材(L6~U5) 断面積 [mm2] 7128
x14 斜材(L6~U7) 断面積 [mm2] 9900 x15 歩道縦桁A 断面積 [mm2] 6146
x16 歩道縦桁B 断面積 [mm2] 6146
x17 歩道縦桁C 断面積 [mm2] 6146
x18 歩道縦桁D 断面積 [mm2] 6146 x19 歩道横桁(中間部) 断面積 [mm2] 1900
x20 弾性係数 [N/mm2] 205000
x21 質量密度 [kg/mm3] 7.85×10-6
る際に,目的関数の値が大きく変化するためと考えられる.図-7.4.6 より,固有振動数項について は計算初期での減少が見られたが,振動モード項については,顕著な減少は見られなかった.目的関 数の値は 0 に収束せず,初期値からの-35.0%の減少が見られた.また,固有振動数項は初期値から -49.0%の減少,振動モード項については-5.4%の減少が見られ,振動モード項は初期値からの顕著な変 化は見られなかった.
図-7.4.6 FE モデルの更新に伴う目的関数値の推移(内点法)
②GA
GAにおけるFEモデル更新前後の目的関数推移を図-7.4.7に示す.図(a)より,各パラメータがラ ンダム的に更新されることで目的関数が不規則に増減を繰り返し,1世代ごと(母集団200ごと)に その増減の幅が徐々に減少している.また,図(b)の世代最良解とは世代ごとの目的関数の最小値を意 味するが,次世代が生成されるごとに目的関数が徐々に減少し,収束判定を満たして計算が終了した.
目的関数は0に収束せず,初期値から最大で約-50.7%の減少が見られた.また,固有振動数項は初期 値から-71.7%の減少,振動モード項については-0.2%の減少が見られ,内点法と同様に振動モード項は 初期値からの顕著な変化は見られなかった.
0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450
Objective function
Iteration
J(x) 固有振動数項 振動モード項
-172-(a)全反復回数
(b)世代ごと
図-7.4.7 FE モデルの更新に伴う目的関数値の推移(GA)
(2)振動特性の推移
FEモデル更新前後の固有振動数を表-7.4.9に示す.また,計測値との誤差の変化を図-7.4.8に 示す.全てのモードにおいて固有振動数が更新前より減少しており,参照値に近づく方向に更新され た.内点法に比べGAの方が約5~6%の固有振動数の減少がみられた.GAでは,最大で初期値より 約13.5%の誤差が縮小されている.
次に,MACの更新前後の結果を表-7.4.10に示す.また,更新前後のMACの変動を図-7.4.9に 示す. 3次モードならびに5次モードでは,更新前からのMACの変化は小さいが,7次については 内点法で0.6%,GAで0.5%増加して振動モードの改善がみられた.また,内点法とGAの比較として は,固有振動数ほど両手法の差が認められなかった.
0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40
0 200 400 600 800 1000 1200
J(x)
Iteration
J(x) 固有振動数項 振動モード項
0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4
0 1 2 3 4 5 6
J(x)/J(x)の初期値
Generation
世代平均値 世代最良解
表-7.4.9 固有振動数結果
Mode
計測値 [Hz]
解析値(固有値解析)注)[Hz]
更新前 更新後
初期値 内点法 GA
3rd 3.180 3.754 (+18.050%) 3.517 (+10.597%) 3.350 (+5.346%) 5th 4.720 6.382 (+35.212%) 5.994 (+26.992%) 5.744 (+20.169%) 7th 8.400 9.421 (+12.155%) 8.885 (+5.774%) 8.389 ( 0.131%) 注)()内の数値は計測値との誤差を表す.
図-7.4.8 更新前後の実応答との誤差
表-7.4.10 MAC 結果
Mode 更新前
更新後
内点法(変化) GA(変化)
3rd 0.984 0.983 (-0.102%) 0.984 (0.000%)
5th 0.981 0.981 (0.000%) 0.982 (+0.102%)
7th 0.954 0.960 (+0.629%) 0.959 (+0.524%)
18.050
35.212
12.155 10.597
26.992
5.774 5.346
21.695
‐0.131
‐5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0
3rd 5th 7th
実応答との誤差(%)
Mode
更新前 内点法 GA
‐12.704%
‐13.517%
‐12.286%
-174-図-7.4.9 更新前後の MAC の変動
(3)モデルパラメータの推移
更新前後のパラメータの推移を表-7.4.11に示す.断面積19種類中,内点法では14種類,GAで は11種類のパラメータが増加する結果となった.また,両者を比較すると,内点法では上横構,歩道 縦桁,歩道横桁,質量密度において制約の上限に達しているが,GA では制約条件付近まで変化する ものの上下限値に達したパラメータは見られなかった.これは,内点法が局所解に陥ったためと考え られ,GAの方が大局的なパラメータの探索が可能であった.
振動特性は主に,供用環境の影響を除くと部材の剛性および構造物全体の質量によって変化する.
従って,更新後のモデルは断面積の増加に加え,質量密度が制約条件の上限近くまで増加しているこ とから,全体質量が増加することで固有振動数が減少したと考えられる.また,GA では内点法に比 べて弾性係数が下限値近くまで減少していることから固有振動数が更に低下したと考えられる.
98.4 98.1
95.4
98.3 98.1
96.0
98.4 98.2
95.9
93.5 94.0 94.5 95.0 95.5 96.0 96.5 97.0 97.5 98.0 98.5 99.0
3rd 5th 7th
MAC(%)
Mode
更新前 内点法 GA 0.0 ‐0.1%
+0.1%
+0.5 0.6%
表-7.4.11 更新前後の計算パラメータ
No. 対象 単位 初期値
GA 内点法
更新後 変化率 更新後 変化率
x1 上弦材 [mm2] 17840 17308 -2.98% 17202 -3.58%
x2 下弦材 [mm2] 16280 17649 8.41% 17148 5.33%
x3 中間横桁 [mm2] 31600 33777 6.89% 31729 0.41%
x4 主桁(L2~L12) [mm2] 23100 25356 9.77% 23456 1.54%
x5 主桁横構 [mm2] 1900 1822 -4.12% 2043 7.53%
x6 下横構(L4~A2) [mm2] 2529 2426 -4.09% 2522 -0.29%
x7 上横構 [mm2] 5200 5691 9.44% 5720 10.00%
x8 上横構(横方向) [mm2] 5200 5100 -1.93% 5373 3.32%
x9 斜材(L2~U1) [mm2] 12266 11260 -8.20% 11976 -2.37%
x10 斜材(L2~U3) [mm2] 15600 16333 4.70% 15600 0.00%
x11 斜材(L4~U3) [mm2] 8680 9502 9.47% 8904 2.58%
x12 斜材(L4~U5) [mm2] 10440 11333 8.55% 10663 2.13%
x13 斜材(L6~U5) [mm2] 7128 7310 2.56% 7109 -0.27%
x14 斜材(L6~U7) [mm2] 9900 9158 -7.49% 9996 0.97%
x15 歩道縦桁A [mm2] 6146 5998 -2.41% 6761 10.00%
x16 歩道縦桁B [mm2] 6146 6620 7.72% 6761 10.00%
x17 歩道縦桁C [mm2] 6146 5668 -7.78% 6761 10.00%
x18 歩道縦桁D [mm2] 6146 6280 2.18% 6619 7.70%
x19 歩道横桁(中間部) [mm2] 1900 1905 0.25% 2090 10.00%
x20 弾性係数 [N/mm2] 205000 185023 -9.74% 204495 -0.25%
x21 質量密度 [ρ/mm3] 7.85×10-6 8.62E-09 9.80% 8.63E-09 10.00%
-176-7.5 部材系構造モデルによる精緻化手法の検証