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第 2 章 主要国等の対アフリカ戦略

第 4 節 米国

3. 米国のアフリカに対する安全保障/軍事面での関与

(1) 関与の基本的考え方:CBMを重視、AUやサブリージョナルな組織への支援も重視

米国としてアフリカに対する安全保障/軍事面での関与においては、アフリカの国自身 による危機管理能力の向上の向上が優先されている。そのため、CBM(Capacity Building Measures)が重視されている。

エチオピア、ケニアなど主要国の能力を向上させるとともに、AU に対する支援、

87 片原「米国の対アフリカ戦略」、81-84頁。

88 外務省「アメリカ合衆国基礎データ」外務省HP。

ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体:Economic Community of West African States)などの サブリージョナルなグループへの支援も強化されている。

アフリカの危機管理能力を向上させるための主要な組織としては、「アフリカ戦略研究 センター(ACSS)」、「平和安定作戦所(PSOI89)」と米アフリカ軍がある。ACSSは戦術レ ベル、PSOIは戦略レベルと戦術レベル、米アフリカ軍は戦術レベルを中心に能力構築を支 援している。

(2) アフリカ戦略研究センター(ACSS)における教育と研究

a) ACSSの位置づけと任務

ACSSは、国防省に設置されている5つの地域センターの一つである(参考4参照)。

参考4:米国防省の地域センター

・William J. Perry Center for Hemispheric Defense Studies

・George C. Marshall European Center for Security Studies

・Africa Center for Strategic Studies

・Near East South Asia Center for Strategic Studies

・Asia Pacific Center for Security Studies

ASCC の任務は、軍民協力の促進、民主主義の価値の共有と人権の保護などにより安全 保障の課題を解決するために、アフリカの国々の戦略的な能力を向上させることである。

b) 教育と研究

ACSSでの研究や現地教育は安全保障に焦点が絞られており、その90%はアフリカの能 力構築である。これまでは、アフリカに対して「Threat Centric Approach」であったが、「More Population Centric Approach(より人間中心のアプローチ)」をとっている。

教育においては、アフリカの現実の中でのケース・スタディを重視しており、卒業生の ネットワークを使って教育を継続している。ACSSの卒業生がAUの高官にもなっている。

研究の成果は、情報としてOSDに提供している。国務省との関係は低い。

89 Peacekeeping & Stability Operations Institute.

(3) 米アフリカ軍の活動状況:「作戦」、「演習」、「安全保障協力プログラム」

a) 作戦:米アフリカ軍は主に支援任務を遂行

米国のアフリカにおける安全保障/軍事面での関与を具体的に把握するために、ここで は、米アフリカ軍の活動状況を米アフリカ軍が公表している資料90により確認する。

米アフリカ軍は、その活動を「作戦」、「演習」、「安全保障協力プログラム」に区分して おり、まず、「作戦」に関して、①作戦は他の米国政府機関、アフリカのパートナー国、同 盟国、そして国際的な機関、地域的な機関との密接な協力のもとに実施し、②ほとんどの 作戦において、米アフリカ軍は支援任務を遂行しているとしている。

具体例として次の3つが掲げられている。

①「ONWARD LIBERTY」作戦

リベリア軍に対する米国の治安部門改革(SSR)に対する支援

②「OBSERVANT COMPASS」作戦

アフリカ軍が実施している作戦に対する助言と支援

③「ODYSSEY DAWN」作戦

米アフリカ軍が主導した2013年3月19日から31日のリビアに対する空爆

b) 演習:対テロ、対海賊対処のための演習を実施

次の「演習」に関して、米アフリカ軍は、米アフリカ軍が主導する演習により、①米ア フリカ軍、パートナー国と同盟国の間の能力と相互運用性を促進でき、②パートナー国の 安全保障能力の開発を助長でき、③アフリカの国々の軍隊に軍人としての精神を植え付け ることができるとしている。

具体例として次の3つが掲げられている。

①「FLINTLOCK」演習

北部及び西アフリカにおける「トランス・サハラ対テロパートナーシップ国」との 通年の演習

②「AFRICA ENDEAVOR」演習

相互運用性に焦点を絞ったアフリカのパートナー国との通信演習

③「CUTLASS EXPRESS」演習

海賊対処などのための東アフリカでの海上の演習

90 U.S. Africa Command, “WHAT WE DO”, February 2014. <http://www.africom.mil/what-we-do>

c) 安全保障協力プログラム

代表的なものとして、次の3つがある。その他にもいくつかのプログラムがある。

①TSCP(Theater Security Cooperation Programs)

アフリカ諸国自身が市民の安全を守り、災害救難や人道支援を実施できる能力の構 築を図るための協力で、米アフリカ軍が継続している安全保障の関与の中核をなす ものである。

②ACOTA(Africa Contingency Operations Training and Assistance)program

米国務省が主導するプログラムで、アフリカの軍隊の平和維持活動分野における能 力の向上を図るためのものである。

③ASP(Africa Partnership Station)

ASPは、米海軍アフリカ軍(NAVAF)が実施する海上での安全保障プログラムであ る。NAVAF の司令部はイタリアに在って、その主要な任務はアフリカのパートナ ー国の海上での安全保障にかかわる能力を改善することである。人員は、米海軍ヨ ーロッパ軍との共有されている。

(4) 米国の国連PKOへの派遣状況

a) 米国の世界各地への国連PKO派遣状況

国連の統計によると、米国は2013年末現在118名を派遣しており、国連PKO要員を派 遣している114カ国中で60位となっている(表4参照)。

MINUSTAH(ハイチ)への派遣数が多い(警察65名、部隊9名、合計74名)。

表4:米国の国連PKO派遣数(上段は人数、下段のカッコ内は順位) 2013年末現在

警察 専門官 部隊 合計 変化の傾向 90

(28)

6 (73)

22 (62)

118 (60)

2000年の882名をピークに漸減

出典:国連HP “average monthly uniformed personnel contributions by country”に基づき筆者作成

b) 米国のアフリカへの国連PKO派遣状況

米国は2013年12月現在、5個の国連PKOミッションに参加している。その中で3個が アフリカである(表5参照)。

米国はAUPKOを国連PKOよりも重視している。

表5:米国のアフリカにおける国連PKO派遣数(人数) 2013年末現在

警察 専門官 部隊 合計 派遣先(カッコ内は人数)

25 4 13 42 MONUSCO(3), UNMIL(22), UNMISS(17) 出典:国連HP “UN Mission’s Summary detailed by country”に基づき筆者作成