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第 2 章 主要国等の対アフリカ戦略

第 3 節 中国

4. 中国の対アフリカ援助と中国・アフリカ間の貿易投資

(2) 中国の対アフリカ援助額:2006年から3年毎に倍増

援助額面で中国の存在は際立っている。中国商務部の発表によると、2009年末時点(累 計)での対アフリカ援助は約193億ドルで全援助額の45.7%を占め、継続的に援助を実施 している開発途上国123カ国のうち51カ国がアフリカ諸国だという。FOCAC で中国が提 示する優遇借款の規模は、50億ドル(2006年)、100億ドル(2009年)、200億ドル(2012 年)と倍々で増加している。中国の対アフリカ援助は、首脳官邸や省庁ビル、各種競技場 の建設などハコモノが多く、貧困層には届いていないとの批判も多い。しかし2012年の第

5 回 FOCAC では、農業や医療、広域インフラ、平和定着(ガバナンス改善)など幅広い

支援策が提示・合意されるなど、中国側の姿勢の変化も見て取れる45

(3) 中国・アフリカ間の貿易投資

a) 貿易:2003年頃から急増

中国の対アフリカ貿易の伸びは、特に2003年頃から顕著である。2000年に総額100億 ドル余り(日本とほぼ同額)だった貿易額は、2011年には1,662億ドルに達した。リーマ ン・ショック後の一時的な落ち込みを除けばほぼ毎年2桁の伸びを示しており、2013年に

は2,000億ドルを突破する見通しで、中国は5年連続でアフリカにとって最大の貿易相手

国となっている。韓国も2001年の46億ドル余りから、2011年には約200億ドル強へ拡大 させている。インドやブラジルなどの新興国もアフリカとの貿易を急拡大させており、過 去10年でインドは10倍(2011年は641億ドル)、ブラジルは5倍(277億ドル)以上に達 した。日本の対アフリカ貿易総額は300億ドル強(2011年)だが、伸び率はアフリカの貿 易全体のそれを下回っており、2000年初頭と比べると、アフリカの貿易全体に占める日本 のシェアは漸減している46

2011年における中国のアフリカから輸入において、74.3%が化石燃料等の地下資源であ り、高い割合を占めている(2008~2010年は85%以上であった)47、国別の輸入は、①南 アフリカ、②アンゴラ、③スーダンであった。中国がアンゴラとスーダンから輸入する石 油は、アンゴラの対中輸出の 99.6%、スーダンの 98.7%を占めている48が、それらの国々

45 日本貿易振興機構『主要国の対アフリカ戦略(世界・アフリカ)』、2頁。

46 日本貿易振興機構『主要国の対アフリカ戦略(世界・アフリカ)』、2頁。

47 World Trade Organization, International Trade Statistics 2010, p.216, 2012, p.249

48 日本貿易振興機構『主要国の対アフリカ戦略(世界・アフリカ)』、23頁。

には中国から多額の援助が実施されている49

一方、中国からアフリカへの輸出においては、93.5%が工業製品であった(2008~2010 年は約95%)50。中国からの輸出の多くは電子機器や機械で、2011年度の国別の対アフリ カ輸出では、①南アフリカ、②ナイジェリア、③エジプトであった51。その全てが純粋な 商業取引ではなく、中国輸出入銀行の融資によるプロジェクトの場合、少なくとも50%は 中国から輸入することになっているとの指摘もある52

b) 投資も急増中

商務部によると、中国の対アフリカ直接投資は2011年までの累計で150億ドルに達し、

投資企業は2,000社を超える。投資分野は約25%を占めるエネルギーをはじめ、金融、製 造、サービス、農業、交通運送など幅広い。ここ数年の対アフリカ投資をみると、2009年 は前年比で73.8%減少したものの、2010年は46.8%増、2011年は50.2%増と急増している。

対外直接投資総額に占めるシェアも徐々に拡大しており、2011年は4.3%となった53。 中国企業の対アフリカ進出は、中国の対外援助を通じて競争力をつけた中国企業が、中 国から大量の労働者、プラント、技術、資本、物資などを送り込み、アフリカの資源開発 などを行うという特徴がみられる54

さらに、中国の投資の特徴として、中国国有企業による油田開発の投資が、ナイジェリ アやスーダンなど内戦やテロ、腐敗や治安の悪い国で、他国企業の進出が少ない産油国に 集中する傾向にあることが指摘されている55。例えば、中国企業のスーダンへの進出は1990 年代半ばであるが、石油採掘を中心に2009年時点で200億ドルを投資してきている。スー ダンから中国へ輸出される石油は、中国の全輸入量の10%にのぼっている56

c) 中国の対アフリカ進出の評価(功罪)

1990年代半ば以降の中国のアフリカ進出については、プラス面とマイナス面が指摘され ている。

49 青木他「日中両国の対アフリカ政策の比較」、255-256頁。

50 World Trade Organization, International Trade Statistics 2010, p.216, 2012, p.249

51 日本貿易振興機構『主要国の対アフリカ戦略(世界・アフリカ)』、23頁。

52 青木他「日中両国の対アフリカ政策の比較」、256頁。

53 日本貿易振興機構『主要国の対アフリカ戦略(世界・アフリカ)』、23頁。

54 同上、25頁。

55 青木『これがアフリカの全貌だ』、63頁。

56 セルジュ・ミッシェル、ミッシェル・ブーレ『アフリカを食い荒らす中国』中平信也訳、川出書房出 版、2009年、9頁。

プラス面として、まず、中国の進出が国際社会のアフリカに対する関心を引き起こした ことである。中国の活発なアフリカ進出は、冷戦後において消極的になっていた欧米諸国 のほかインド、韓国、ブラジルなどの国々の関心を呼び起こし、アフリカ大陸の疎外化に 歯止めをかけた一面がある。次に、欧米諸国が支援にあたり、民主化やグッドガバナンス を要求しているのに対し、中国は「内政不干渉」主義により、カントリーリスクを度外視 して開発を援助した。これにより、短期間に資源開発が進展したことである57

マイナス面としては、アフリカ進出にあたり中国が堅持している「内政不干渉」の原則 が、アフリカ諸国の民主主義、人権などガバナンス面での改善を阻害することである。ガ バナンス面での改善を重視する欧米諸国は「新植民地主義」58として非難しており59、今後 も中国と欧米諸国との摩擦が高まる可能性は常に存在している60

また、中国の対アフリカ援助は、首脳官邸や省庁ビル、各種競技場の建設などハコモノ が多く、貧困層には届いていないとの批判も多い61。さらに、現地に進出した中国企業の 成功が、アフリカ諸国の地場産業を倒産させ、大量の失業者を発生させたケースもあるな ど、中国の対アフリカ援助はアフリカの一般市民の利益につながる可能性は低いともいえ る62

2000年代後半から、中国はアフリカ諸国の社会発展への貢献も打ち出しており、今後の 動きが注目されるところである。