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第 2 章 主要国等の対アフリカ戦略

第 3 節 中国

3. 中国の国連 PKO 派遣政策の変遷と国連 PKO 派遣状況

置された UNMIK(コソボ)が設置されたことにおいて、中国は、国連の地位の相対的低 下の可能性を見出したとされている。つまり、理由の一つとして、中国が常任理事国とし て影響を行使できる国連主導のPKOが、NATOなどの多国籍軍による紛争解決方法に取っ て替わられる可能性に危機感を抱いたとの意見も挙げられている32。加えて、目覚ましい 経済成長を遂げている中国が、国連PKO派遣を通じて「大国」としての責任を果たすこと により、国際社会での地位をより確固たるものにする意図も指摘されている33

c) 2000年代半ば以降は国連PKOを軍事交流ツールとしても活用

2000年代半ば以降、中国は国連PKO をツールとして、軍事外交を積極化させている。

PKOをテーマとする「研討会(シンポジウム)」の開催がその一つであり、2004年11月に は、国防部平和維持弁公室と中国国際戦略学会の共催による「21世紀の平和活動が直面す る挑戦」と題する国際シンポジウムが10カ国約40名の参加者を得て北京で開催された34

また、2009年6月には「国防部平和維持センター」が北京市郊外に設立され、そこでは PKO 要員の訓練と対外交流が行われる。人民解放軍の要員だけではなく、友好国の PKO 部隊の指揮官要員、軍事監察要員、参謀要員も同センターでの訓練対象とされている。訓 練機能を有する人民解放軍全体のPKOセンターの設置は今回が初めてであり、この国防部 平和維持センターを舞台とする対外軍事交流が活発化することになろう35

d) 中国の国連PKO派遣政策の今後の方向性

中国の国連PKO派遣政策の今後の方向性に関して、次の二点に注目することが必要であ る。中国のPKO派遣は、アフリカを中心にさらに増加していくものと考えることができる。

まず、スーダンのダルフール紛争への中国の関与には注目を要する。2003年の武力衝突 後から2007年末までの期間、国連安保理において、スーダン政府に対して、停戦、武装解 除、人権状況の改善等を求める21の安保理決議が採択されが、これら決議の一部に対して 中国はその原則的立場を理由に棄権した。中国のこのような動きは批判的な国際世論を高 めた。そのような中、2006年11月と2007年2月に、胡錦濤国家主席はバシル大統領との 首脳会談で、スーダン政府による AU と国連共同の PKO 部隊の受け入れを求めた。2007

32 同上、7-9頁。

33 志茂「PKOなう:第7回中国のPKOの展開~概観~」。

34 増田「中国の国連PKO政策と兵員・部隊派遣をめぐる文脈変化」、15-16頁。

35 同上、18-19頁。

年7月、スーダン政府は合同部隊の受け入れを表明、これを受けて、9月の安保理決議で、

AU・国連ダルフール合同平和維持活動(UNAMID)が成立した36

こうした仲介外交は、内政不干渉という中国の外交原則に一定程度の変更をもたらす可 能性も指摘されてきた37

次に、2014年1月、アフリカを歴訪した王毅中国外相が、各種支援を打ち出した際の国 連PKOに関する発言内容に注目を要する。

王外相は、エチオピアで、内戦状態にある南スーダンの政府、反政府勢力の各代表と会 談し、停戦を求めるとともに、アフリカ各地に展開するPKO部隊を増強する方針も表明し た。王外相は、特に「(大国としての)責任を自覚している」ことを強調した。これらのこ とから、中国はアフリカ社会の安定化への関与を強めていることが指摘されている38

中国がアフリカ社会の安定化への関与を強めている背景として、2012年に南スーダンと 隣国スーダンとの紛争の影響で、油田の生産停止や中国人作業員の退避を余儀なくされ、

南スーダンからの原油輸入が約8割減となったことがあげられるとも指摘されている39

(2) 中国の世界各地とアフリカへの国連PKO派遣状況

a) 中国の世界各地への国連PKO派遣状況:人員数は多く、後方支援が主

現在中国は世界各地に部隊を派遣している。国連の統計によると、中国は2013年12月

末現在2,078名の要員を各地に派遣しており、国連PKO要員を派遣している114カ国中で

15位となっている。(ちなみに、日本は同月末現在 270名で48位に位置している。)中国 の派遣人数は、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国の中で、最も多いものとなってい る(表1参照)40

表1:中国の国連PKO派遣数(上段は人数、下段のカッコ内は順位) 2013年末現在

警察 専門官 部隊 合計 変化の傾向 174

(18)

39 (13)

1,865 (14)

2,078 (15)

2000年の67人から増加 2005年からは1,000人以上

出典:国連HP “average monthly uniformed personnel contributions by country”に基づき筆者作成

36 増田「中国の国連PKO政策と兵員・部隊派遣をめぐる文脈変化」、19-22頁。

37 同上、24頁。

38 五十嵐「中国のアフリカ外交:貢献を全面に影響力拡大」。

39 同上。

40 United Nations, “Ranking of Military and Police Contributions to UN Operations, Month of Report:

31-Dec-13.”United Nations

中国のPKO派遣部隊は、日本と同様に後方支援の工兵部隊(日本の施設部隊に相当)が 派遣部隊の主力となっている。ニューヨークの国連本部には日本の自衛隊と同様中国人民 解放軍の将校が出向しているほか、2007年にはMINURSO(国連西サハラ住民投票監視団)

において、中国人民解放軍の少将が中国人として初めて司令官に任命されており、PKO活 動において着々と地歩を固めているという印象をうける41

一方、国連PKOの多くは軍事要員だけでなく文民も参加して成り立っているが、その中 でも文民警察は治安部門改革などに必須として、多くのミッションで重視されている。中 国は2000年、東ティモールへの派遣を皮切りに文民警察を各地に派遣しており、2012年5 月時点でも UNMIT(東ティモール)の他に、UNMISS(南スーダン)、UNMIL(リベリア)、

MINUSTAH(ハイチ)に人員を派遣しており、2011年4月現在で、累計1,666名の文民警

察官を7件のミッションに派遣してきた。2000年には、軍に先駆けて文民用のPKOセン ターを北京郊外の河北省廊坊市に設立し、全国から選抜された候補者の研修を行っている

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b) 中国のアフリカへの国連PKO派遣状況:アフリカ重視の姿勢

中国のPKO派遣で顕著なのが、アフリカ重視の姿勢である。この点については、中国の 国連大使の演説や、その他高官から繰り返し明言されている。2012年5月現在世界では16 件のPKOが展開中であるが、そのうち7件までがアフリカ諸国で行われている。中国は全 体で13件に軍事要員を派遣しているが、そのうち6件がアフリカ諸国である(表2参照)

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表2:中国のアフリカにおける国連PKO派遣数(人数) 2013年末現在

警察 専門 官

部隊 合計 派遣先(カッコ内は人数)

174 35 1,520 1,729 MINURSO(10), MINUSMA(157), MONSCO(234) UNAID(234), UNMIL(729), UNMISS(359)

UNOCI(6)

出典:国連HP “UN Mission’s Summary detailed by country”に基づき筆者作成

41 志茂「第7回 中国のPKOの展開~概観~」。

42 同上。

43 同上。