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外部共振器型半導体レーザーの構造

第 6 章 まとめと展望 191

A.2 外部共振器型半導体レーザーの構造

A.1 原理

半導体レーザーは比較的小型でpn接合に電流を注入して励起し,電子と正孔の 再結合によってによって生じる光子を利用している.電流変調を行うことで簡便に 出力の変調を行えるといった利点が存在する.一方で半導体レーザーを原子の冷却 等に用いることを考えたとき,そのまま使うには十分なほど線幅は細くない上,波 長の選択性が悪い.そこで半導体レーザーの外側に共振器を構築と波長選択機構を 設けたものが外部共振型半導体レーザーである.回折格子をもちいるものでは外部 共振器と波長選択性の両方が回折格子によって実現される.波長選択機構にバンド パスフィルタを用いるものは共振器は別にミラーによって構築する.半導体レー ザーの広い利得を外部共振器のモードで選択される周波数に狭窄化,制限する.し かしながら,このままでは共振器モードで選ばれる多数の周波数が発振するためマ ルチモード発振となる.原子の冷却を考えた際は原子の共鳴に合致した特定の周波 数のみが必要なためシングルモード発振させる必要がある.そこで波長選択機構に よって特定の共振器モードのみ選び出すことで一つの共振器モードのみで発振が起 こりシングルモード発振が実現できる.以上が外部共振器型半導体レーザーの原理 である.

レーザーの取り出しは回折格子における反射である.典型的に回折格子の一次回折 効率を1020%程度にして用いた.ただし,発振しにくい波長であった場合は光 フィードバック量を増やして安定に発振できるようにした.上記のように発振波長 は回折格子の角度で決まるため,ミラーマウントなどに回折格子を取り付けること で発振波長の粗調を行なった.波長の微調を行うためにミラーマウント,あるいは 回折格子にピエゾ素子をとりつけた.

発振波長λと回折格子の角度について考える.回折格子の格子間隔をdとして入 射光と回折格子の法線のなす角度をθinm次回折光と回折格子のなす角度をθdif とすると回折格子の強め合いの条件式は

d(sinθin+ sinθdif) = (185) 一次回折光が入射光と重なる条件はθin =θdif となるときなので発振波長λ は以 下の式を満たすような入射角度θin で実現できる.

2dsinθin = (186)

以上のようにリトロー型外部共振器型半導体レーザーを設計できる.

リトロー型の利点としては単純な構造をもつために外部からの振動に強く設計で きる点が挙げられる.一方で発振波長を変化させるために回折格子の角度を変化さ せると出射の方向も変わってしまうためにレーザーの後段の光学系に対するアライ メントが変化する,時には光学系を大きく変更せざるを得ないときがある.また回 折格子の分解能はレーザーが照射されている回折格子の本数によって分解能を決定 する.つまり半導体レーザーのコリメートレンズは重要な要素の一つである.

A.2.2 リットマン型

回折格子を用いる配置にもう一つリットマン型が挙げられる.リトロー型は回折 光を直接,半導体レーザーに入射させたが,リットマン型では回折光をミラーで反 射させて再び,回折格子に入射し,再度回折させた光を半導体レーザーに戻すこと で共振器を構成したものである.二回,回折格子を通過するためリトロー型に比し て線幅に優れる構造である.またミラーの角度を変化させたとき,共振器長のみが 変化し,出射方向が変わらないという特徴を持つため,波長の掃引が容易である.

一方で機械的振動に弱い構造になりやすいため設計に注意を払い,振動対策を行う

必要がある.

A.2.3 干渉フィルタ型

干渉フィルタ型[132, 133] は回折格子による選択ではなく,干渉フィルタによる 波長選択と外部共振器長で決まる発振波長で波長選択を行う機構である.共振器の 中央におかれた干渉フィルタが上記のECDLにおける回折格子の波長選択を担う,

一方で回折格子と半導体レーザーで構成されていた共振器についてはアウトプット ミラーと半導体レーザーで構成され共振器で決まるモードによっても波長が選択さ れる.アウトプットミラーに焦点を結ぶキャッツアイ構造がとれるため振動に強い という利点を持つ.