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原告(被害者) :Godrej Soaps Ltd. and Procter & Gamble Godrej Ltd.

国籍 :英国資本のインド企業

被告 :Hindustan Lever Ltd. and others 国籍 :米国参与のインド企業

訴訟裁定機関 :カルカッタ高等裁判所 判決日 :1993年7月24日

争点 :特許権侵害 事実関係:

Godrej Soaps Ltd.とProcter & Gamble Godrej Ltd.によるこの2件の控訴は、第1の被控 訴人、Hindustan Lever Ltd.により、控訴人に対し特に浴用石鹸‘VIGIL’について、第1 の被控訴人の特許第170131号の加工や配合、または同特許の範囲の配合に使用される「全 く新しい」、「長持ちする石鹸」という表現で製造、販売、また販売・広告の提供を制限 することを求めて起こした中間申請に対し、第一審が下した同じ仮命令から発生した。こ の仮差止め命令は1993年7月12日に申請され、上述の要求について仮命令が下された。

1993年7月12日、裁判官は次のような命令を下した。

「(省略)弁護人が行った主張及び『特許法』第48条の規定を慎重に考慮した。被告から 宣誓供述書が提出されていない事実は変わらない。今、宣誓供述書抜きで問題を判断する のはあまりに時期尚早である。原告の申請でなされた事実の主張及び事件の申し立て事実 と状況から、一見したところ、事件が原告に有利であり、現時点で仮命令を無効にするの は適当ではない。被告は‘TEM’、すなわち総脂肪率を表示した石鹸を販売することはでき るが、原告の特許第17031号の配合を侵害する石鹸を販売してはならないとの命令が下さ れている。以前に仮命令はこの範囲にのみ修正されている。被告は1993年7月26日まで に宣誓書を提出すること。原告は1993年7月28日までに返答し、同差止め問題は1993年 7月29日に「特別調整事項」として審理する。(以下省略)」

判決を読むと、裁判所では、第1の控訴人には原告が特許を取得したのと全く同一の配合 の石鹸を製造するあらゆる権利があると主張されたが、実際第1の控訴人がそのような配 合で石鹸を製造していたかどうかは確認していないようであった。それを確認することで、

基本的要素が同一なことから、特許権所有者が特許を取得した配合について独占権を得て いたかどうかについて、別の論議を引き起こしそうであった。裁判では、第1の控訴人が 特許を侵害したとの主張はされていなかった。これはしかし、供述書に基づいて判断すべ き問題であった。第1の控訴人は、事実の主張を審理する下級裁判所に宣誓供述書を提出 する必要があった。事件の真の状況は、供述書によってしか明らかにすることはできなか った。

上述の理由により、特許権所有者である原告が、下記のような配合について独占的権利を 持つ事件であった。

(i) 重量の25〜60%が洗浄剤であり、少なくともその重量の50%が石鹸である。

(ii) 40〜55%がスターチを含む水に溶けない構造物であり、粒子の大きさは0.2〜

30ミクロンである。

(iii) 重量の8〜15%が水である。

原告はさらに、他の何者も上述の配合や原告の特許第170131号の範囲の配合を使用する権 利はないと主張していた。

また、上述の原告の特許請求範囲7(範囲1、4、6に従属)の配合と、VIGILの商標である 第1の控訴人の問題の化粧石鹸の配合が並べて比較された。

特許第170131号の請求範囲7(範囲1、4 6 に従属)による配合

被告のVIGILの商標の問題の化粧石鹸の配 合(1/932/934/93 包装)

(i) 重量の25〜60%が洗浄剤であり、

少なくともその重量の50%が石鹸 である。

(ii)40〜55%がスターチを含む水に溶 けない構造物であり、粒子の大き さは0.2〜30ミクロンである。

(iii) 重量の8から15%が水である。

(i) 44〜52%が洗浄剤であり、その重

量の75〜80%が石鹸である。

(ii) 44〜50%がスターチを含む水に溶 けない構造物であり、粒子の大き さあ6〜19ミクロンである。

(iii) 重量の10〜13%が水である。

裁判所の所見:

原告である第1の被控訴人は、下級裁判所への請願で行った主張を裏付けるために数人の 専門家の意見とその他科学的データも提出していた。問題は高度に専門的な性質のようで あった。控訴人らが問題の特許の配合を模倣、事実上利用、複製したかどうかは、証拠に 基づいて判断すべき問題であった。控訴人は宣誓供述書を提出していなかった。下級裁判 所に宣誓供述書を提出するよう、すでに指示されていた。この事件にように問題が高度に 専門的性質の場合、被告側に侵害があったことを原告/特許権所有者が証拠によって明確 に立証できるかどうかは、宣誓供述書の証拠によって判断する必要があった。供述書によ って侵害の判断が不可能であれば、法廷で判決を受ける必要があった。

もう一つ考慮すべき要素は、便宜の均衡であった。第1の被控訴人は特許を受けた配合を 基に製品の製造を開始していなかったが、控訴人らは、原告に特許が付与、捺印されるか なり前の1987年から同製品を製造・販売していた。同製品の突然の製造・販売の停止によ って、控訴人の財政構造とその結果従業員に重大な影響を与える可能性があった。よって、

侵害の問題がどちらかに裁定されるまで、仮差止め命令は下されなかった。

従って、裁判所はこの控訴を認め、控訴の前の命令を無効とした。しかし裁判所は、控訴 人が問題の製品の製造・販売を別個に記帳し、そのような製造・販売の月次報告を原告の 登録弁護人に提供するよう指示した。裁判所は、主張の真価についてなんら意見を表明し なかったことを極めて明確にした。現時点で仮差止命令を下すべきかどうか判断すること にのみ焦点を当てた。第一審は宣誓供述書提出後に提起された問題に判決を下した。

この命令によって控訴とその申請が処理された。

訴訟費用についての命令はなかった。

書類提出は省略され、作業は免除された。

第1の被控訴人から申請を猶予する反対供述書が提出されなかったため、第1の被控訴人 による主張は認められなかった。

控訴人らが本裁判所に指示を受けた宣誓供述書を提出しなかったことが記録された。

意見/勧告:

本事件では、被害者は特許を取得していたが、特許取得品目の製造を開始していなかった。

特許取得品目と被告の品目について専門的データを提出することで、被告の品目に異議を 申し立てていた。

裁判所は、問題が複雑な専門的事実の主張を含むことから、宣誓供述書によって裏付けら れる証拠がないため、特許取得品目への侵害かどうかの明確な事実認定に至らなかった。

被害側の控訴はよって失敗した。

教訓:

法廷への法的義務を行わずに控訴裁判所に提起してはならない。被害側は宣誓供述書を法 廷に提出せず、控訴裁判所にも提出しなかったため、控訴は却下された。判決や処罰に必 須である助力を提供する必要があった。裁判所にそのような助力の提供がなく当事者が救 済を得られない場合、自業自得である。