• 検索結果がありません。

原告(被害者) :Castrol Ltd.

国籍 :英国

被告 :A.K. Mehta

国籍 :インド

訴訟裁定機関 :デリー高等裁判所 判決日 :1997年3月21日

争点 :−商標および著作権侵害

−詐称通用−損害賠償 事実関係と裁判所の所見:

論点別:

第1原告であるCASTROL LTD.は、英国の法律に従って設立され、登記上の事務所を英国 に置く会社である。同社は、英国およびその他世界の数ヶ国で高品位の潤滑油製品を大規 模かつ広範囲に製造、処理および販売する事業を行っていた。同社は、凍結防止化合物、

作動液、ブレーキ液、脱水液、金属加工および切削油、化学洗浄剤も扱っていた。

第 2原告の Castrol India Ltd.は 1956年インド会社法に従って設立された会社であり、そ の登記上の事務所をボンベイに、地方事務所をニューデリーに置いている。同社は高品位 の自動車および工業用潤滑油、グリース、ブレーキ液、木材防腐剤、金属洗浄化合物等に 関する事業を大規模かつ広範囲に行っていた。同社は凍結防止化合物、作動液等も扱って いた。

第 1 原告は子会社および/または関連会社を数多く所有していた。第 1 原告はそのインド における上記の商品に関する事業を 1919 年に開始した。同社は、加熱、照明および潤滑用 の油に関する 1942年 6月 29日付の第 1494号 4類に基づいて登録された商標 CASTROL を含む各種商標のインドにおける登録所有者である。同社は、No. 2263、260626、285343、

289629、373756、373758および 373759に基づく商標 CASTROLおよび CASTROLのロ ゴの登録所有者でもある。

第 2上訴人の1994年の総売上高は 546,46,39,000ルピーであった。インド国内で幅広く使 用されてきた CASTROL Ball Bearing Grease 容器のひとつは、白、赤、緑の独得の色の 組 合 わ せ で あ っ た 。 こ の 容 器 の 上 部 は 、 縁 部 を 白 の 帯 が 一 周 し て お り 、 そ こ に 赤 で

CASTROL の文字が書かれている。その帯のすぐ下には小さな赤の帯が容器を一周してい

る。そのすぐ後には、緑の帯が容器を一周しており、そこには Ball Bearing Grease AP3 という語が書かれている。容器の下部は、特徴的なロゴの間に白、赤、緑の小さな帯が一 周している。CASTROL という語は上記の白の部分の水平部を横切って斜体で書かれてい る。そのロゴはステンシル文字の C を連想させるものである。

原告は、CASTROL Ball Bearing Grease AP3 と同じか類似する、BESTROLというマー クを付けた容器を使用していた被告の活動について情報を収集した。被告は、同様の、間 違いやすいほど類似した色づかいで装飾し、BESTROL AP3 Greaseの容器の色の組合わせ をレイアウトしていた。被告は、商標、色の組合わせのほか、CASTROL のロゴをコピー す る と と も に 、 上 訴 人 の マ ー ク AP3 を 盗 用 し て い た 。 被 告 が 使 用 し て い た 容 器 は 、

CASTROL に類似した色の組合わせ、装飾、サイズおよび上訴人の容器の基本的特徴すべ てを備えており、あらゆる面で上訴人の容器とほとんど同一であった。

異議が申し立てられている命令を精読すると、第一審が原告である上訴人に有利な暫定的 差止命令の付与を拒否したことについてはふたつの重大な考慮が功を奏していることがわ かる。第一審は、第1に、被告は10年以上にわたってBESTROLのマークを使用してきて いるため、被害を受けた原告の訴訟は遅延および消滅時効となっている判決している。第 2 に、原告自身が 1993 年に第三者による商標 BESTROL の使用を認めており、したがって その同じ商標が被告によって使用された場合に苦情を申し立てることはできないと判決し ている。

被告は、1981〜82年に BUSINESS EXPLORERという雑誌にBESTROLホイールベアリ ング・グリースの広告を掲載したと主張した。それは単発広告で、1回限りのものであった。

その雑誌はもともと裁判所の閲覧のために提示されたものである。広告は雑誌のどこにも 印刷された形では見られなかったというのが適切であった。後でこの折り込み広告が雑誌 に追加された可能性は排除できなかった。しかしながら、それは単発の広告であるという 事実は残った。

被告が提示した証拠からは、同時期のユーザーの訴えはまったく見られなかった。したが って、原告が起こした訴訟は遅延および消滅時効であると言うことはできなかった。

原告の商標と表示の写真とともに被告の商標と表示の写真も記録として提出されている。

元の容器も審理時の裁判所の閲覧のために提示されたものである。裁判所は、被告が原告 の表示、配色、模様、レイアウトおよび色の組合わせをできるかぎり完璧に模倣しようと していたと確信した。BESTROL という語は CASTROL という語と音声上明確に類似して いた。それは公衆を惑わすものであり、どの購入者も被告の商品を原告のものと間違って 購入して模造品をつかまされる可能性があった。

このため裁判所は、遅延にも消滅時効にも当たらず、遅延および消滅時効の訴えは公共の 利益を考慮して受け入れられないと確信した。

発生した第 2 の疑問は、1993 年の和解に本件の原告の事案にどのような影響があるかであ った。訴訟 No. 1717/91 は、本件の原告が、被告が商標 BESTROL を使用することにより 原告の商標 CASTROL を権利侵害および詐称通用していることに対して、M/S Truechem Industriesその他を相手取って起こしたことは明白である。その訴訟は 1993年 7 月 22日

に命令23規則 3 CPCに基いて申立てを行った当事者により和解された。

この和解は争訟の主要部分を対象としていた:

裁判所の見解は、和解は被告に対する差止命令が与えられるようには原告に有利にはなら ないというものであった:

第1に、原告は、騙されて和解を結んだため和解の取消を求めて裁判所に適切な申立 て行ったと具申した。

第2に、和解は原告にまったく有利なもので、本訴訟でも詳しく調べられているよう に原告の主張が強く支持されていた。それに基いて、被告に原告の容器といかなる点

でも同一ではなく明白な類似性がない被告の容器にその商標 BESTROL を使用する 限定的かつ慎重な譲歩が与えられた。その訴訟において和解の代りに被告に与えられ た許可またはライセンスは本件の被告に対する BESTROL を使用するライセンスと 呼ぶことはできなかった。上記の和解は BESTROL という語を原告の CASTROLと 同一または明白に類似する方法で使用するものでは決してない。

第 3に、和解請願書の第 2項(e)に述べられているように、被告は BESTROL容器で はブレーキおよびクラッチ液またはその他の同じ性質のもの、あるいは類似品は一切 扱わないことを明示的に約束している。被告が従前に行っていた色の組合わせ、模様、

レイアウトおよび芸術的特徴は放棄された。また被告は異議を申し立てられたその容 器を破棄した。

裁判所は、したがって、原告の主張は、遅延または消滅時効を根拠にしても和解を根拠に しても退けられることはないとの意見を躊躇なく表明した。

被告側の弁護士は、商標 CASTROL は第 1 原告が所有するものであるがインド国内では一 切使用されていない一方で、第 2 原告はその商標をインド国内で使用してきたと主張して いるが第 2 原告はその商標の登録された所有者ではない、と申し立てた。第 2 原告による 使用は、第2原告が1958年商標および商品商標法の第48条および第 49条の趣旨において 登録されたユーザー ではないため、第 1 原告には有利にならなかった。被告側弁護士 はさらに、登録商標は CASTROL だけであり、模様のデザインや配色が登録の一部ではな いと申し立てた。その主張は面白いものではあったが実体を欠いていた。両原告は合同で 訴訟を起こした。第 1 に、それは、訴訟申立書の第 4 および第 5 項にあるように、英国に 所在する第1原告はボンベイの本部事務所を通じてインドで事業を行っており、ボンベイ、

カルカッタ、デリーおよびマドラスに地域事務所をもっていた。1979 年 5 月 31 日以降、

第 2 原告は、高品位自動車よび工業用潤滑油および特製品の処理と販売を目的として、ま たインドにおける第 1 原告のインド・ブランドの全事業を引き継ぐ目的で、第 1 原告によ って設立された。したがって商品商標法の第 48 条および第 49 条の適用を招くような問題 は発生しなかった。第 48 条は、そのテストでは may (〜してもよい)という語の使用 が示されているため、その適用は強制的なものではなく任意のものであった。 ユー ザ ー 自らが登録を望むとすれば、第 48 条と第 49 条の規定が適用された。しかし、そのよ うな登録は強制的なものではない。第 48 条と第 49 条の背景にある目的は、ここでは問題 になっていないが、商標の不正使用を防止することにあった。被告側の文書による陳述に は、第 2 原告がその登録商標のユーザーであることを認めることによって第 1 原告が商標 を不正使用していたとする訴えはなかった。さらに第 2 原告がインド国内でユーザーであ ることは確立されてきており、そのことは商品商標法の第48条の第(2)節に従って第1原告 の利益になるものであろうし、したがって 2 人の原告は共同原告として結束してきたので ある。原告側は、権利侵害の主張が証明されるにしても詐称通用の主張が証明されるにし ても、救済を受ける権利があった。

BESTROL という語それ自体は CASTROL という語と明白に類似してはいないということ

が最後に主張された。被告側弁護士は、被告側はその容器の模様と配色を変更するととも にロゴは使用せず、BESTROL の語だけの使用に限定することを約束する用意がある旨を 具申した。同弁護士は、その約束を考慮して、暫定的差止命令の理由となる詐称通用はな いであろうと具申した。

この訴えも却下された。原告は、その商標を守るために戦い、不変に継続してきた長期に わたる訴訟において随時出された命令を記録してきた。下記の語の使用は、一連の裁判所