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原告(被害者) :Montari Overseas Ltd.

国籍 :インド

被告 :Montari Industries Ltd.

国籍 :インド

訴訟裁定機関 :デリー高等裁判所 判決日 :1995年12月7日

争点 :会社法 : 類似商標

商標 : 詐称通用

: 類似の名前 事実関係:

被告の主張事実:

これは、上訴人(訴訟の被告)に MONTARI という語またはそれと明白に類似するそ の他の語をその商号に使用することを禁じた、訴訟 No. 43/95において I.A. 129/95で言い 渡された1995年3月1日の第一審の命令に対する上訴である。

本上訴のもとになる事実は以下の通り:

被告(訴訟の原告)であるM/S Montari Industries Ltd.は1983年1月27日に設立された。

被 告 の 主 張 に よ れ ば 、 同 社 は 複 数 の 子 会 社 を 所 有 し て い た 。 即 ち 、Montari Leasing &

Finance Ltd., Montari Chem Care Investments Ltd., Montari Agro Chem Investments Ltd., Montari Leather Ltd., Montari Financial Services Ltd., Montari Inks Ltd.である。

被告と子会社は、化学薬品、農薬、塗料、化粧品、医薬品、皮革製品、紅茶、コーヒー、

布、カーペット、インク、食品などの製品を製造しているとされた。また被告は総売上高 は9億ルピーであると主張した。

被害者の主張事実:

一方、上訴人のM/S Montari Overseas Ltd.は1993年4月21日に設立された。上訴人は、

上訴人と被告会社の事業分野は後者が梳毛糸の生産および混紡、アクリルおよび靴下・メ リヤス類の売買に従事しているため異なると主張した。訴訟が起こされたときには上訴人 の工場は建設中で、異議申立てが起こされた命令を第一審が下した時点では完成していな かったことには異論は唱えられなかった。上訴人は一般供給物を発表した。それは 1995年 1月10日に開かれ1995年1月20日に終了した。

上訴人が資本市場に参入することを知って、被告は1995年1月 4日に、終局的差止命令と 損害賠償を求めて訴訟(訴訟 No. 43/95)を起こした。被告はさらに差止命令による救済を 申し立てる申請(I.A. 129/95)を行った。その申請の中で、被告の Montari Overseas Ltd. の名義による一般供給物の使用、取引および販売を禁じる暫定的な一方的差止命令を 求める複合請求趣旨申立てがなされた。請求趣旨申立ての内容は以下の通り:

「 被 告 、 そ の 代 理 人 、 使 用 に お よ び / ま た は 被 告 の 下 で 権 利 を 主 張 す る 者 に Montari

Overseas Ltd. の名義で一般供給物を使用および取引すること、また資本市場に参入し一

般供給物を製造することを禁じる暫定的な一方的差止命令を求める。」

一 般 供 給 物 に 関 す る 被 告 の 請 求 趣 旨 申 立 て に 関 す る 限 り 、 第 一 審 は Morgan Stanley Mutual Fund vs. Kartik Das, 1994 (4) SCC 225の最高裁判決を考慮して、その申立てを認 めなかった。ただし、上訴人による商号の使用に関しては、第一審は、上述のように、

1995年3月1日に差止命令を下した。

裁判所の所見:

命令を下すに際して、第一審は以下の通り所見を述べた:

「 裁 判 所 の 意 見 は 、 事 業 の 知 名 度 と 信 用 は 一 般 に 会 社 が 採 用 す る 社 名 (trade name)と結びついている。そのような知名度または信用は裁判所によって保護され るであろう。競争相手によるその社名の模倣はその事業に損害を与える可能性がある。

誰かほかの者の事業であること、あるいは少なくとも誰か他の者の事業に関連するも のであることを表わすような方法で事業を開始または実施する権利は誰にもない。あ る個人または会社がそのような競合する事業会社と取り引きする可能性のある個人に 混乱を招きかねない名前を使用する場合には、異議を唱えられた行動または意図され た行動は商品の販売に関する詐称通用の通常の事案に適用される同じ原則に基いて、

裁判所によって防止されるであろう。被告の無実は弁護されない。被告が会社など法 人の場合には、またその名前が新造語で構成される場合には、法律はもっと厳格に適 用される。」

第一審の命令に異議を申し立てる第 1 の根拠は、会社法の第 20 条と第 22 条に基づくもの であった。顧問弁護士は、中央政府は Montari Industries Ltd. としての会社の設立を 認可しており、被告がその名前によって被害を被るとすれば、それは上訴会社の名前の変 更を中央政府に申請することができ、また会社法に基づく救済策を利用したはずであった と具申した。

裁判所は、顧問弁護士の具申を検討したが、それを受け入れることには納得しなかった。

1956 年会社法の第 20 条は、いかなる会社も現存する会社が従前に登録されている名前と 類似するか同一またはあまりにも似ている名前で登録することはできないと規定している。

会社がすでに設立されている場合には、第22条は会社の名前を変更する規定を設けている。

第 22 条は、疑いなく、望ましくない名前で登録された会社の名前を変更するよう規定して いるが、そのことは被害を受けた当事者がその名前を奪われることに抵抗するために利用 できる慣習法上の救済策を意味するものではない。原告は従前に設立された会社の商号を 使用している可能性のある被告に対してふたつの独立した訴訟権を有するであろう。ひと つは会社法第 22 条に基づくものであり、もうひとつは被告に原告の商号の使用または名前 の類似性からみて顧客または一般公衆の心理に混乱を招きかねない非常に類似性のある名 前の使用を禁じる差止命令を求める権利である。救済策は、ひとつは第 22 条に基づくもの であり、もうひとつは別の分野で適用される慣習法に基づくものである。会社法第 22 条に 基づいて、中央政府には、ある会社による望ましくない名前の使用に対して差止命令を出 す権限はない。それに対して、終局的差止命令においては、裁判所は被告に、被告が原告 のものとして詐称通用していた名前を使用することを差し止める命令を言い渡すことがで きる。

第一審は、判例法の検討後、裁判所は差止命令を出す権限をもっており、1956 年会社法の

第 20 条および第 22 条は民事裁判所の権限を制限するものではまったくないと判示した。

これに関して、裁判所は以下の通り所見を述べた:

「しかし、本訴訟においては、原告もその訴訟原因を第1被告による原告の名前の詐 称通用に置いていた。わたしは、むしろ会社法の第 20 条および第 22 条に基づく中 央政府の権限と民事裁判所の権限はふたつの異なる分野で適用されると言うであろう。

さらに、中央政府は会社法の第 20 条に従って定められたガイドラインの範囲内で行 動しなければならないが、民事裁判所の権限の行使にはそのような制限は存在しな い。」

個人は、それを行う正当な権利を持っている通りに事実の正直な陳述を行うことによって、

その固有の名前で取引することができることが十分に確立されている。しかし、その名前 をその事業の商号として採用する場合、その者は正直かつ誠実に行動し、他人の信用およ び知名度を利用するという観点では行動しないことが求められる。個人は、その者に与え られた名前を選択する権利はないことを認識して、その固有の名前で取引を行う自由を持 っている。しかしながら、法人の場合には立場は異なる。その名前の件に関して何もいう ことがない個人とは異なり、会社は自分で名前をつけることができる。通常、会社は従前 に設立された別の会社が使用しているものを採用することはできない。たとえば、一般公 衆の心理に混乱を招くことがあったり、その可能性があることを考慮して望ましくないと 見られるような名前である。ある会社による名前の使用が、別の会社の名前を採用してい るとすれば、禁止されなければならない。

いかなる会社も、別の会社、企業または個人の事業と関連があるという確信を生み出すよ うな方法で事業を行う権利はないことは十分に確立されている。それはある会社が他の会 社の商号または社名を詐称通用する行為に対して適用される法律の原則と同じである。不 注意な普通の人が街頭で詐欺に遭遇する確率が実際のテストであり、問題はその個人の観 点から検討すべきである。商号の模倣は一般公衆への不実表示にあたり、一般公衆はそれ から保護されなければならない。会社が獲得した知名度と信用のある名前に加えて、会社 はそれを守る権利もある。競争相手は別の会社の信用と知名度を侵害することはできない。

他人の社名を採用することの有害な影響はそれがその者の知名度と事業を損なうことであ る。

本件においては、 MONTARI という語をその社名の一部として採用している上訴人は 一般公衆の心理を惑わすか混乱を招く可能性があるかどうかの判断に到達する際に留意す べきいくつかの著しい特徴があった。上訴人が被告の設立の約10年後の1993年4月21日 に設立されたことは問題にされなかった。事実審裁判所の記録から、被告およびその他の

Montari 企業グループは確立された事業を行っていた。他方、上訴人が資本市場に参入し

たのはごく最近であった。第一審では上訴人の工場は完了途中であり製品は市場に入って いなかったとされている。われわれの面前でも上訴状の中でも、上訴人の製品がその時点 で販売されているとは主張されなかった。被告はなぜ MONTARI という語を選択した かについて説明した。その語は、一部を会社の会長の名前から、一部をその妻の名前から とって被告が造語したものであると説明された。上訴人も、 MONTARI という語は上 訴人にとっても意味のあるもので、それは会社の社長(Managing Director)の父親の名前 と彼の義父の名前からとったものであると主張して、何らかの説明を示そうと試みた。陳 述書には、社長の父親はMohan Singhであり、彼の義父の名前はAvtar Singhであると主 張されていた。しかし、弁論の際には、社長の父親の名前が Kirpal Singh であることには 触れられなかった。このことは、 MONTARI という語は社長の父親の名前とは何の関