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被害者(原告) :Base International Holdings N.V.Hockenrode 6

国籍 :オランダの会社

被申立て人(被告) :Pallava Hotels Corporation Ltd他

国籍 :インド

商業活動の分野 :流通

侵害された権利の種類 :1) 合弁契約の解除 2) 知的所有権の侵害

当該訴訟を裁定する機関 :マドラス高等裁判所(1998年9月4日)

原告の主張:

原告はオランダ法に基づいて設立された会社で、その事務所をオランダ国アムステルダム 市ヘッケンローデに有する。原告は、ホリデイイン株式会社とその関連会社の特定の商標 及び他の知的所有財産(秘密であり所有権を主張できる営業上の情報を含む)に関する権 利、権原及び権益を取得していた。原告は、北米の数カ国において各種商標、サービスマ ークその他の知的所有権及び知的所有財産を使用・許諾する権利を有し、かつ使用し、許 諾してきた。原告と、1956 年インド会社法に基づいて設立された株式公開会社である被告 2 との間に、被告 1 と被告 2 がマドラス市 G.S.T.ロード 1、マウントビューでホリデイイ ン・クラウンプラザ・マドラスホテル(以下予定されたホテルという)の名称及び商号を 持つ五つ星(最高級)ホテルを建設し、完成し、設備を施し、開業し、運営することを可 能にする技術提携に関する話し合いがなされた。この技術提携にしたがって、原告は被告 らに所有権を主張できる秘密の、営業上価値ある各種情報、ノウハウ、設計、細目業務、

基準等を提供した。原告はまた、予定されたホテルについて提案された設計、プランニン グ、レイアウト、部屋、設備、仕様等に関する、マドラス及び海外での各種検討会議に出 席した。条件は 1993年 8月 17日付契約書(以下本契約という)に記載されている。かか る情報はすべて、不作為特約(競争制限特約)として盛り込まれた守秘義務を前提とする ものであった。期限は新開発契約の不可欠の要素であると合意された。

ホリデイインの標準マニュアルの各種情報及び内容を基にして手直しされた後、修正案が 1993年4月に被告らより提出され、1993年5月に承認された。各種承認(インド準備銀行 よりの融資、五つ星ホテルとしての格付け等々について)については、被告が、原告との 技術提携に基づいてホテルが建設、運営されることになっている旨を表明してそのホテル のために取得した。また PGP−ホリデイイン・クラウンプラザ・ホテルのプランニング、

設計、建設のために、以下については特にホリデイインの基準及び仕様に従って、各種契 約が被告1と被告2の間で結ばれた。

(i) 一括請負建築システム、土木・構造システム、すべての諸設備システム (ii) インテリア・設計、コンサルタント・サービス

(iii) すべての面で調和の取れた基本設計の承認、及び

(iv) 建設

契約の署名に先立って、土台を築くために地面が掘られた。

残る工事は、本契約に基づく承認及び諸契約に従って引き受けられ、完了した。

被告 1 は、被告 1 が行ったすべての増設改良を含むシステムについては原告が独占的に所 有し、その全部又は一部の使用については原告だけが許諾権を有することを認めた。また、

一方の当事者が一部の条項の完全な履行を主張しなかったり、一部の選択権又は権利を行 使しなかったとしても、当該権利の放棄とはならないこと、及びいずれの当事者も書面に よってのみ権利放棄できることも合意された。

本契約の特徴は以下の通りであった。

(i) 本契約は原告による締結と同時に有効となり、強制可能なものとなった。

(ii) 本契約に基づいて認められる契約及びライセンスは、原告が被告にホリデイイン・ホ テルを開業、運営するためにそのホテルにおいてシステムの使用を開始する権限を与 えた日から 10 年後に終了することが合意された。契約解除しない限り、さらに 10 年間自動的に延長されることになる。

(iii) 本契約を有効に解除するためには、書面による通知が 10 年の期間の最終日の 18 ヶ

月前から12ヶ月前までの間に出さなければならないとした。

(iv) 被告 1は、解約日の少なくとも 24 ヶ月前に書面による通知を原告に出せば、いつで も本契約の解除を選ぶ権利を有する。かかる選択をした場合、最低年 50,000 米ドル を条件として、通知期間中に一括支払いをしなければならない。中途解約の通知期間 は、通知金(the notice money)の支払い日から開始する。

(v) 1995年 12月 31日までに本契約に従ってホテルの建設が完了せず、ホテルの設備が 整わず、また開業の用意が整わなかった場合、原告は責任を負うことなく本契約を解 除する権利を有した。

被告らは、マドラス市ギンディ、G.S.T.ロード 1 番地のマウントビューの敷地は被告 1 が 所有し、被告 1 は無条件でライセンスの全期間にわたってホテルを占有する権利を有する こと、及び被告1の所有者は被告2であることを原告に表明していた。

本契約の約定によると、被告 1 は、原告が承認した計画に従ってホテルを建設し、原告の マニュアル、基準、仕様等に厳密に合致し、ホテルの総利益を最大限とするためにあらゆ る努力を払い、ライセンス期間中ホテルやシステムが競合企業の発展のために使用されな いことを保証し、ホテル・ホリデイインとその特色を守り、維持し、発展させ、原告より 提供されたシステム、マニュアル及びあらゆる情報又は他の説明書を不作為特約で定めら れたように専有し、かつ秘密のものとして取扱い、システムを公表させないようにし、ホ

テル事業の経営管理を常に直接行い、不作為特約により原告の書面による同意なしにホテ ル又はその一部の運営に関する賃貸借契約、業務運営契約又はこれに類するいかなる契約 をも結ばず、原告に優先先買権を保証するために、ホリデイイン・システム以外へのホテ ルの譲渡予定については原告に通知し、本契約又はライセンス期間終了後、ホテルのシス テムに明らかに破損部分があれば、鉄骨構造に至るまで物理的に交換し、ホテルのシステ ム又はホテルに関連したシステムのいかなる部分も絶対に使用できなくする措置をすべて 講じなければならなかった。

被告らが1995年12月31日までにホテルを完成できず、その義務を怠ったため、原告はホ テル運営のためのホリデイイン・システムの使用許諾を被告に与えることができなかった。

被告 2は 1996年 2月 10日、当事者間の新開発契約が「本日より解除された」状態である と、本契約の終了を主張する文書を被告 1 に代わって記載し、通知してきた。当該文書に はさらに「貴社にお支払いした 20,000 米ドルを当方に払い戻していただけるとありがた い」と記してあった。被告らは、ライセンスが付与されないため、それ自体、本契約は完 了している(worked itself out)ため、解除は最終的なものであり正当なものであると主張 した。この主張により、原告は本件訴訟の提起と暫定救済のために様々な申立てを行うに 至った。

原告は、被告らが初めから本契約に基づいて原告より提供された秘密で所有権を主張でき る様々な情報を利用すると同時に、コンサルタント及び業務委託契約を原告の競争相手と 交渉し成立させていた、と申し立てた。被告 1 は本訴訟係属中に被告 3 と合併し、被告 3 は1997年3月11日付裁判所命令によって当事者の1人となった。原告は、唯一1997年2 月 25日付対抗宣誓供述書から、被告 2が一方で解除通知を出し、他方で自分の会社、被告 3 を通して交渉し、原告の競争相手であるヒルトン・インターナショナルと契約を結んだこ とを知った。被告らは、不作為特約を含む本契約に基づく契約上の義務の不履行の責めを 負うべきである。被告らは、原告の法律上及び契約上の権利を無効にせんと用意周到に練 られた計画のもとに行動した。

被告の主張:

被告の主張は以下の通りである。

すべては、本契約第 6条と第15条の解釈にかかっている。被告3は、被告1との合併を理 由に被告 1 のあとを継ぎ、本契約に基づく義務をはじめとする被告 1 のすべての義務に対 して責任を負うこととなった。さらに被告の主張によれば、ホテルは1995年12月31日に 完成しなかったため本契約は完了(work out)している。解除は有効である。第15条(a)を 解除通知に適用することはできないため、これはホテル/ライセンス期間の開始後に有効 となる。影響を受ける当事者は、特定の履行を求めるのか、あるいは損害賠償を求めるの かのいずれかの行為を選ばねばならなかったため、差止命令による救済は認められない。

本件原告は損害賠償請求を選んでおり、したがって本契約の存続を申し立てず、これらの 条項の訴えも求めなかったため、差止命令による救済で特定履行を求めることはできない。

損害賠償金の請求を求めたため、本案的差止命令及び仮差止命令の請求申立てを提起する ことはできない。一応有利な事件といった状況、利益衡量、回復不能の損害というものは なかった。詐欺については訴訟申立書で申し立てがなかったため、被告らに対する暫定的 救済を原告に認める根拠となりえない。両当事者の行為は、各当事者が汚れのない手で裁 判所に救済を求めたかどうかを確かめることである。被告は汚れのない手で裁判所に救済 を求めた。