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請願者 :Wockhardt Limited 国籍 :

被告 :Aristo Pharmaceuticals Limited 国籍 :インド

当該訴訟を裁定する機関 :デリー高等裁判所 判決日 :1999年1月30日

上訴人/原告の主張:

上訴人/原告の主張は次のようなものであった。同人は、自身の医薬品製品に関して、商 標「SPASMO PROXYVON」を採用し、当該商標はまた、「1958 年商号商標法」(以下、

略して「当該法」と呼ぶ)の規定の下で 1997 年 4 月 8 日に登録され、その登録番号は 327582であった。当該商標は、「商標ジャーナル」第 706号の 612頁で広告され、その登 録は「商標ジャーナル」第750号の 450頁で通告された。その後、それは1998年4月8日 まで更新され、その事実はまた、「商標ジャーナル」第 1014号の 763頁でも通告された。

それに続いて、上訴人/原告はまた、さらに7年間当該商標の更新を申請した。

上訴人は、被告が商標「SPASMO-FLEXON」の下で医薬品製品を発売したことを知ると こ ろ と な っ た 。 そ の 薬 は ほ ぼ 同 じ 製 法 の 鎮 痛 剤 で 、 上 訴 人 の 商 標 「SPASMO PROXYVON」のものと紛らわしい類似性を持っており、従って、大衆が間違ってそれを購 入 す る 可 能 性 が 高 い 。 「SPASMO-FLEXON」 と い う 商 標 は 、 上 訴 人 の 商 標 「SPASMO PROXYVON」と紛らわしく、音声的に似ており、もっともらしい贋物であるため、商標の 使用と商品の詐称通用についての訴訟の申請および中間申請に及んだ。

被告の主張:

被告であるカンパニーは、対抗宣誓供述書を提出し、次のように述べた。カンパニーは 1972 年頃に設立され、過去 25 年間、製薬産業で評判の高い事業を構築してきており、現 在、インドの上位 15 社の中に入っている。被告であるカンパニーは、インド全土に約 22 の営業所と 1,000 件以上の仕入業者を持っている。被告のカンパニーの年間売上高は約 16 億ルピーである。1986 年に、被告のカンパニーは、人体の筋肉用の鎮痛剤という意味の

「FLEXON」という考案された言葉を採用した。被告の「FLEXON」という薬は、大きな 成功を収め、売上高は過去 12年間順調に伸び、現在では 1億ルピー以上の売上高を誇って

いる。「FLEXON」という商標は、被告のカンパニーについてのみ排他的に連想されるも

のである。医療や医薬品の分野では、薬品のブランドネームの一部には、(i)病気の名称、

(ii)それが治療する器官の名称、(iii)主成分の何れかが含まれるというのが一般的で確 立された慣例であると提言された。

上記のことにより、医師は、特定の商標を病気、器官もしくは成分と関連させることがで きる。そのような商標の説明的な部分は、その性質、商品名、一般性によるもので、その 商業に共通したものであり、如何なる商人もかかる病気、器官もしくは成分の記述的な部 分については排他的な権利を請求することはできない。さらに、被告であるカンパニーは、

1997 年 10 月に、「FLEXON」の主要な製品として新薬を発売することを決定した、とい うことが申し立てられた。「FLEXON」という薬はあらゆる筋肉の痛みを治療するもので

あるが、この新薬はある特定の種類の筋肉の痛みである、胃や腸の柔らかい筋肉の「けい

れん(SPASMS)」を治療するものである。従って、製薬産業で一般的に確立されている

慣例により、「SPAMO-FLEXON」というブランドネームは、病気の一般的な記述的名称、

即ち、「SPASM」と、被告のカンパニーの有名なブランドネームである「FLEXON」を組 み合わせることによって作られたものである。新薬「SPASMO-FLEXON」は、1997年 10 月に発売され、その後インド全土で継続的に販売されている。「SPASMO-FLEXON」と いう薬は市場において、また医師や薬剤師や患者らによってよく受け取られ、売上高は順 調に増えてきており、この薬は、その使用においてさらなる成長および人気の大きな潜在 的可能性を秘めている。

上訴人/原告の弁論:

上訴人は、商標「SPASMO-PROXYVON」の登録された所有権者である上訴人の効力によ り、他の全ての者を除外するほどに排他的な法的権利を持っている。

被告が「SPASMO」という言葉を接頭語にした「FLEXON」という名称の下で自身の薬を 販売することは、上訴人の登録商標を侵害することになる。

「SPASMO-FLEXON」が音声的かつ構造的に紛らわしくないという理由づけは、色や物 理的な概観に基づいたものだけであり、両方のマークが同一のものであるかあるいは紛ら わしいほど類似しているような場合、その薬の組成や色もしくは体裁は問題にならない。

「SPASMO」という言葉は、一般商品名でも記述的な言葉でもないが、実際、その登録商 標の一部である。

医師の処方は、指定薬品も指定外薬品も今では、かかる処方なしに販売することができる ので、意味を失っており、商品は医師の処方の下で販売されるため、混乱は発生しないと いう主張には重点を置くことはできない。

医師によって書かれる処方箋は、しばしば判読できないものであり、筆記体で書かれてい る場合、その二つのライバルマークは混乱や欺瞞を引き起こすのに十分な類似性を持って いる。

医師の間では、自分たちによって処方される薬の語尾や接尾辞を麗々しく書く傾向があり、

そのため処方される薬の最初の部分や接頭辞だけが読み取れるのに終わりの方は読めない。

基本的な見解は、商標はその一部ではなく、全体として見られなければならないというも のである。

被告の弁論:

違反のマークは、上訴人のマークと紛らわしいほど似てはいない。

「SPASMO」ということばは一般的な単語であり、固有の特殊性を持つものではなく、辞 書の中に見られる普通の英語の単語であり、それに関しては何人も占有権を主張すること ができないもので、その単語は公共物になっている。

現実の混乱については如何なる証拠もなく、2つのマークの間には視覚的な類似性はない。

当該薬品については、医師の処方により販売されるので、混乱の可能性は殆どあり得ない。

2 つの薬は、色も容器に関しても視覚的、音声的に異なるので、大衆に混乱を引き起こすこ とはないであろう。

音声的に近い、共通の名称を持つ多くの製品があり、事業に用いられているが、上訴人は、

被告の商号と音声的にも視覚的にも類似性がないにも関わらず、被告の商標のみを選んで いる。

上訴裁判所の範囲は中間的な性質の裁量的命令への干渉に限られているが、たとえ第一審 裁判所に持ち込まれた事項に関しては 2 つの見解が存在することができるとしても、異な る見解が第一審裁判所の裁量権の行使への干渉を正当化することはできない。

裁判所の結論:

前述の議論および理由付けを鑑み、裁判所は、次のような結論をまとめた。

商標の登録済み所有権者は、その商標が登録されている商品に関してその商標を使用し、

法律で定められている様式でその商標の権利侵害に対して救済を得る排他的な権利を有す る。

登録され、7年が経過すれば、その商標は効力を持ち、特殊なマークになる。

それが説明的なものかあるいは公共物になっているかどうかは、確立される事実の問題で ある。

幾つかのマークが、それが接頭辞であろうと、接尾辞、語根であろうと、即ち、そのマー クの核心の重要な部分に共通の要素を持つ場合、大衆の頭の中では、同じ源を指示するも のとして連想されることになり、誤解を招いたり、詐欺や混乱を引き起こすことになる。

非難されているマークと登録商標の中で特定されなければならないのはそのような共通の 要素であり、かかる共通の要素が特殊性が高く、単なる描写や普通に使われる言葉でない 場合、一定の文字の類似性という点では異なるという事実にも関わらず、詐欺もしくは混 乱の可能性が存在する可能性は非常に高い。

その問題については、医師の処方や薬剤師などの助言という視点からではなく、不注意な 購入者の視点からアプローチされなければならない。なぜならば、彼らは、それが同じ病 気を治すものであるので、慌ててその商品を選ぶからである。かかる状況においては、詐 欺や混乱の可能性は存在することもあり、顧客に混乱を引き起こすのではないかと商人が 心配することもあり得る。

商品の性質、購入者の階層、購入方法、その他の状況などについても検討されなければな らない。

マークは、平均的な知識と不完全な記憶を持つ人の第一印象から見られなければならない。

マークは全体的に比較されなければならず、顕微鏡を使わなければ判らないようなものは 認められない。

大きな顕著な特徴が検討されなければならず、デザインの違いを見つけるためにマークを 横に並べて見なければならないようなものであってはならない。

全体的な類似性が試金石である。

重視されなければならないのは、容器の色でも製品の違いでもなく、その言葉に対する法 律上の権利である。

原告は、一般的に、強力な一応有利な事件を示す必要はなく、示される必要のある一応有 利な事件は、不真面目もしくは嫌がらせとしてその行為が嫌われることを避けるような事 件以上のものでなければならず、公判での成功の可能性は 20%しかないような場合でも、

マークの類似性から起こる混乱や詐欺を防ぐために、法律上の保護は、差止命令という方 法によって、絶対的に必要である。

裁判所の命令:

本事件の事実および状況を考慮し、非難されているマークと登録マークの間の共通要素を 見ながら、裁判所は、不注意な大衆の念頭には、あるいは一般消費者の見地から、詐欺や 混乱の可能性があるという見解を取った。

従って、1998年の 1650番から1654番までの出願に関して承認された非難されている命令 は無効であり、1998年の 182番および 183番ぐらいで付与された差止命令が最終的なもの とされた。両方の上訴が認められた。その結果、それらに関連づけられた雑多な請願は終 結された。当事者は自分自身の費用を負担することが要求された。

意見/勧告:

裁判所は最初の段階では、中間もしくは暫定的な差止命令の申請の付与もしくは却下を検 討しつつ、一般の不注意な顧客の念頭に混乱もしくは詐欺が作られる可能性の要因のみで 判断する。迅速な中間もしくは暫定的な差止命令の救済を求める者が、混乱もしくは詐欺 が引き起こされる可能性のある一応有利な事件を証明する場合、裁判所は、マークの類似 性から発生する詐欺や混乱を防ぐために、その救済を認めるであろう。

裁判所は、この事件では、たとえ公判における成功の機会が 20%しかなくても、暫定的救 済は付与されるべきであると考える程度にまで及んだ。

この事件では、裁判所が、上訴人のマークである「SPASMO-PROXYVON」と被告のマー クである「SPASMO-FLEXON」との音声的な近さもしくは類似性のために、混乱もしく は詐欺は起こり得ると確信した時、裁判所は被告の答弁や弁論を受け入れず、最高裁判所 の後天的な単独審議の判決を破棄し、第一審裁判所の判決を支持することによって、上訴 人/原告に対して救済を認めた。上訴人/原告側のわずかな不足は無視され、中間的な救 済が認められた。

教訓は、請求や主張を裏付ける十分な証拠を生み出すことによって、事件を絶対確実な、