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請願者 :Prestige Housewares Ltd.(インド)他 国籍 :インド

被告 :Prestige Estate & Properties 国籍 :インド

当該訴訟を裁定する機関 :バンガロール著作権委員会 判決日 :1999年7月2日

請願者の主張:

請願者は、被告が、請願者によって享受されている評判と好評を利用し、それから利益を 得るという故意の意図を持って、請願者の著作権商標「PRESTIGE」という芸術作品をコ ピーし、詐称通用の行為を犯したと強く主張した。また、被告は登録出願の時点で、商標 登録機関から 1957 年著作権法のセクション 45(1)の規定の下での「無異議証明書」を提 出していないということも主張された。また、被告は、「PRESTIGE」という単語に関連 して請願者によって用いられている筆記文字とほぼ同一の「PRESTIGE」という言葉に関 連する筆記文字を採用している。実際、請願者は、「PRESTIGE」という芸術作品の排他 的な著作権を有している。これらの主張に基づいて、請願者は、1992 年 2 月 25 日付けの 被告の著作権登録No.A-51400の撤回を求めた。

被告の主張:

被告は自身の文書による陳述により、請願者によってなされている全ての主張を否定した。

被告は、請願者に有利な仮差止命令の付与に対抗して、マドラス高等裁判所の裁判官部門 の前に上訴を申請したと述べた。裁判官部門は、特に、請願者と被告の事業形態は全く異 なるものであり、請願者は調理用品に関連して「PRESTIGE」という単語を使っているの に対して、被告は不動産開発事業で「PRESTIGE」という単語を使っていると述べること によって、この単独判決の命令を打ち消した。

被告はさらに、請願者の登録よりもはるか前に「PRESTIGE」を著作権商標として登録し たと主張した。請願者は被告の事業と類似する事業を行なってはいない。請願者と被告の 活動分野は全く異なるもので、一般大衆の頭に同じマークとしての混乱は起こりえない。

彼はさらに、請願者によって採用されている「PRESTIGE」という芸術作品と自身によっ て採用されている「PRESTIGE」という芸術作品を比べたとしても、それらがお互いに全 く異なっているのは明らかであり、如何なる場合においても、所有権は、特定の形態で書 かれた言葉に関して請願者によって請求されているので、如何なる著作権も文字もしくは 言葉で存在するものではないということが法律で十分に定められていると主張した。請願 者によって採用されている芸術作品は、芸術的な特徴を含まないので、著作権法の下での 登録の資格はないので、著作権として分類されることはできない。

これらの主張全てに基づいて、被告は、請願の却下を請求した。

裁判所の所見:

Karnataka 高等裁判所の所見から、著作権違反が存在したか否かを決めるための最も確か

なテストは、両方の作品を読んだり、見たり、それらを比べたりした後で、その人が、次 の作品が最初の作品のコピーであるように見えるという間違いのない印象を持つかどうか を見ることであるということが明らかである。これらの指針を考慮に置き、請願者と被告 によって使用されている「PRESTIGE」という所謂芸術作品を見て、比較されれば、だれ かが騙されるような類似性は全くなく、お互いを取り違えることはないであろうというこ とが判るであろう。

請願者は、特殊な色彩図式を用いた赤い長方形の中に書かれた「PRESTIGE」という芸術 的な言葉を用いている。請願者のために強く主張されていることは、「PRESTIGE」とい う言葉の書体が芸術的で独自であるということである。このような主張を行なう一方で、

最初の文字「P」に注意が齎されており、それは、「P」が他の文字の列よりも若干下にな るような独特な方法で書かれている。しかし、請願者によって製造されている異なる台所 用品に関して使われている書体の複写を吟味すると、請願者がかかる独特な文字「P」を全 ての場所で採用してはいないということが示されるであろう。実際、「P」という文字は、

異なる品目に関して登録されている著作権に関して一貫して、他の文字の列よりも下にあ るように示されてはいない。

裁判所の事実認定:

請願者と被告の芸術作品を吟味し、お互いを比較してみると、当該芸術作品には全く類似 性は見られない。請願者の言葉の文字はサイズも小さく、全ての文字が垂直であるのに対 して、被告によって用いられている「PRESTIGE」という芸術作品の文字は、若干右に向 かって横方向に題付けられており、文字は、請願者によって使用されている文字の3倍以 上の大きさである。

被告によって使われている芸術作品は、太い線で下線が施されている。そして何よりも、

請願者によって採用されている「PRESTIGE」という言葉は、前に述べられているように、

異なる品目での使用以外にも、常に統一されてはいない。1981 年の商標登録で採用された 言葉は、異なる用品や最新のレターヘッドで使用されている言葉とは異なる。被告はさら に、登録商標は「PRESTIGE GROUP」のことを述べており、その商標に関しては、登録 事項の一部ではなく、その全体が見られなければならないと主張した。請願者によって使 用されている芸術作品と被告によって使用されている芸術作品の間には全く類似性はなく、

そのため、どちらかが他方によってコピーされたと言うことはできない。これが正しけれ ば、被告は、請願者の事業で儲ける目的のために、請願者によって使用されているのと同 じ芸術作品を故意に用いているという請願者の主張は正しくない。

請願者はまた、請願者によって使用されているのと同じ芸術作品を使用することによる被 告による商品の詐称通用の事件についても明らかにした。この主張もまた完全に根拠のな いものである。請願者が、汚れがこびりつかないフライパンやソースパン、アイドルスタ ンドなどの異なる種類の台所用品の販売のために、自身の芸術作品を使用しているのに対 して、被告はかかる商品の販売の目的のために自身の芸術作品を使用してはおらず、被告 は不動産開発の事業でそれを商号として使用しているというのが認められた事実である。

このように、被告が詐称通用に携っているという請願者の主張は正しくない。

裁判所の命令:

その請願は却下された。請願者の主張に対抗する圧倒的な証拠を鑑み、裁判所は、1,000 ル ピー(のみ)の費用が請願者によって被告に対して支払われることを命じた。

意見/勧告:

この事件では、被告が全く異なる種類の事業に従事していたので、裁判所は請願者の主張 を受け入れなかった。従って、被告は請願者のものとして自身の商品を詐称通用すること はあり得ない。即ち、被告は不動産取扱事業にあり、原告は台所用品の販売という事業に ある。

また、裁判所は、請願者によって使用されている芸術作品と被告によって使用されている ものとの間に類似性を見出されなかった。

裁判所が、全く異なる事業にありながらも、被告が原告の名称をコピーしたにも関わらず、

権利侵害が証明されているという判決を下した事件が存在する。しかし、かかる事件にお いては、芸術作品の類似性もしくは商標の類似性が発見され、そのことが、救済を与える 際に、裁判所の考え方に影響を与えたのである。

従って、この事件は、たとえ原告が取引や事業を行なっていない品目において使用された 場合でも、その商標もしくは芸術作品が紛らわしいほど類似している場合、権利侵害者に 対する法的手続きを妨げるというべきものではない。

この事項の最も重要な点は、裁判所が、その商標もしくはデザイン、芸術作品が、とりわ け莫大な金額を広告に費やすなどすることによって、原告の品目や商品、サービスの品質 によって獲得された原告の評判を利用したり、あるいはそれから利益を得たりするために、

権利侵害者によって採用されたということに納得したことにある。裁判所が、その事件の 事実および裏付けとなる証拠に関して満足すれば、権利侵害者が異なる種類の事業にあっ ても、裁判所は救済を与える方向に傾くであろう。