• 検索結果がありません。

原告(被害者) :Alert India

国籍 :インド

被告 :Naveen Plastics

国籍 :インド

訴訟裁定機関 :デリー高等裁判所 判決日 :1996年10月

争点 :意匠盗用

原告の主張:

原告はパートナーシップ会社であり、Soles of Footwear(履き物ソール)の有名な大手メ ーカーである;その製品は品質がよく、市場でうらやましいほどの知名度と地位を享受し て い る ; こ の デ ザ イ ン に よ る 売 上 高 は 約 500 万 ル ピ ー に 上 る; そ の デ ザ イ ン Soles of Footwear はその所有者としての原告の名義で法律に基づき No. 170002 として登録されて いると主張された。原告は 1996年 8 月 10 日あるいはその前後に被告が原告の上記登録デ ザインと同一/不正使用または明らかに模倣したデザインの履き物ソールの販売を行って いたことを知った。それは原告のライセンスまたは同意を得ないものであり、したがって 被告は原告の登録デザインを侵害し、それによって原告の上記登録デザインの盗用を行い、

それらを原告の商品として詐称通用し、原告の知名度と信用を傷つけ、金銭的損害を引き 起こしていた。原告は、その登録デザインの権利侵害、詐称通用等に対して、差止命令に よる救済を請求した。原告は、訴訟と一緒に、そのソールの登録デザインの彫り型と権利 侵害した被告のソールを提出した。

1996 年 9 月 19 日に、被告、その使用人および代理人に原告の登録デザインと類似するソ ールの製造・販売を禁じる一方的仮差止命令が出された。

被告の主張:

第 2 被告は、自分は第 1 被告の独占的所有者であり、履き物ソールに関する登録デザイン

No. 170827 の所有者であるので、この登録デザインにより、被告はこのデザインで当該商

品を販売するために製造する独占的権利を持っていると主張した。また、被告は、被告の デザインは原告のデザインとは違いがあり、はっきりと識別できること、そして特許・意 匠管理官はなぜ被告の登録を認めたのかとも主張した。意匠法第 48 条から第 53 条までの 規定から、当該裁判所には訴訟を取り上げて審理する金銭上の管轄権はないとの反論もな された。

裁判所の所見:

このように、両当事者は、同じ商品、すなわち履き物ソールに関する各自の登録デザイン の所有者であると主張した。

両当事者は、各自のデザインの登録証書の写しを公表した。

1996年4月19日に発行された登録証書No. 008676の写しから明白になったように、原告

はそのデザインを、 履き物ソール に関係なく、1995 年 10 月 11 日にデザイン No.

170002 として登録申請しており、それはパートナー企業である Alert India の名義で分類 10に登録された。

被告が提出した1996年4月12日付の登録証書No. 00864の写しはデザインNo. 170827と してのそのデザインの登録申請は ソール に関して 1996年3月 4日に行なわれており、

それは Naveen Plasticsとその所有者である Shri Murari Lal Guptaの名義で、これも分 類10に登録された。

この申請を裁定するについては以下の疑問が生じた:(1) 先に登録されたデザインの登録所 有者は後で登録した同一または類似のデザインの登録所有者による権利侵害を防止する権 利を取得しているかどうか;(2) 論争中のふたつのデザインは同一または類似しているか。

これらの疑問に答えるためには、法律の制定と体系の背後にある方針、目的および趣旨に 踏み込む必要があった。

1911 年意匠法は、その前文で、デザインの保護に関する法律の制定と修正について述べて いる。それ以前には、新しい、独創的なデザインの発明の登録と保護を規定した法律が存 在した。意匠法の目的は、商業的に製造・販売される特定物品に使用するために考案され た新規デザインを保護することにあった。保護は、事業を促進し高いレベルの競争力をも ってその事業を維持するために最初に新規の独創的なデザインを創案した者に対して与え られた。デザイン登録の目的は、他の者がそのデザインを自分たちの商品に使用すること による、そのデザインの創案者の発明と労力に対する報酬が拒まれないようにすることで ある。

このように、デザインが一度登録されると、その所有者またはその承継人は、その登録の 有効期間中は登録されたデザインから利益を得ることができ、その他の者にはそれが認め られないことは明白であった。登録デザインには、意匠法の第 50 条に基いて追加の保護が 提供されてきた。それはデザインの著作権の存続期間またはそれより短いがデザインの登 録から 2 年以上の規定される期間中は、登録デザインは所有者または所有者が代理権限を 与えた者以外のいかなる機関による検査も認められないというものである。デザイン登録 の手続きに従ってデザインが登録されると、登録された所有者またはその所有者によって 権限を与えられた者を除いて、そのデザインが登録されている分類の商品にそのデザイン を使用することはできず、その盗用は他の者による販売を目的とする商品または物品に関 して保護され、登録された所有者は盗用を行う者がその行為を禁じられることを主張する ことができる。また、第 51 条は下記を事由として高等裁判所に対する上訴に基く登録の取 消を規定している:

i) そのデザインがインド国内で従前に登録されていた;

ii) 登録日に先立ってインド国内で公表されていた;あるいは iii) そのデザインは新規のものでも独創的なものでもなかった;

この権限は最初のふたつの事由に基いて管理官(Controller)が行使することもできる。

意匠の同一性または類似性を見つけ出す実際的テストのひとつは、後で登録されたデザイ ンと先に登録されたデザインの間の実質的な違いを見つけることである。これらの違いは 純粋に主観的または実用的あるいは美的考察に基くことがある。その違いは重要な特徴に

おいては客観的なものでなければならない。両デザインの特徴の全体的外観を片方のデザ インが他方のデザインと同様に優れているかどうかをみつけ出すよう調べ、ふたつのもの を目視検査し結論に到達することとされている。外観のつくりの類似性はふたつのものの 実質的な違いの検討における相対的要因となることがあるが、決定的要因ではないことは 確かである。

このように、ふたつのデザインが同一かどうかを判断するためには、必ずしもふたつのデ ザインが完全に同一である必要はない。行うべき主な検討は、形状、構成、パターン等の 幅広い特徴が同じかどうかであり、それらが実質的に同じ場合には、他方による一方の模 倣のケースであろう。

本件においては、ふたつのソールの主要なパターンは類似しているように思われた。ふた つのソールの中央部分は、パターン、カット、うねり、溝および線模様のパターンが同じ であった。残り部分の主要デザインも下記を除いて類似していた。すなわち、原告のソー ルの表面の上下の部分には多水平の平行線があるが、被告のソールの場合には表面が粒状 であった。両方のデザインとも、両側のカット、うねり、溝は類似しているが、原告のソ ールは一部分平らで滑らかな表面であるのに対して被告のソールは粗く、粒状の表面であ ることが違っている。パターン、構成およびデザインの主要特徴は類似しているので、ふ たつのデザインには実質的な差異があるということはできなかった。また、原告のソール の見本が茶色であったのに対して被告のソールの見本は黒であったが、色は取替え可能か 同じであるため、相違点とはならないであろう。ふたつのデザインは同時に潜在的購入者 に提示されたものではなく、購入者は片方を他方と区別する立場にはないといえる。被告 が使用したデザインが原告のものに類似しているか明らかに模倣したことは明白であり、

原告の登録デザインの侵害であるように思われた。弁論が終わった後、本件は判決に委ね られた。また、原告は意匠法第 51 条に基いて当裁判所に被告のデザインの登録の取消を求 める請願を提出した。

また、被告側は、原告のデザインは、原告が従前に使用した別のデザインの模写/模倣と 同じ程度に新規または独創的なものではなく、それについては、1996 年 1 月 16 日付の通 知がその所有者であるデリーのRoop NagarのM/S Enkay HWS India Limitedから弁護士 を介して原告宛に送付されている、と主張した。その通知の写しが提出された。しかし、

通知の写しを除いて、当該のデザインが原告による使用の前に使用されていたか実際に類 似するものがあったとするこの訴えを裏付ける資料は提出されなかった。したがってこの 主張は効力がなかった。

また、被告のデザインが管理官によって登録されたというまさにそのことが被告のデザイ ンが新規かつ独創的なものであり従前には使用されなかったことを示しているとの主張が なされた。

この反論は、デザインの著作権の存続期間またはそれより短いがデザインの登録から 2 年 以上の規定される期間中はデザインの検査を禁止するという意匠法の第 50(1)条の規定を見 逃していた。管理官があるデザインが登録される前に、その新規性または独創性を既存の 登録済みデザインから検証するという法律の要件は存在しなかった。したがって、この反 論も効果はなかった。

裁判所判決: