ご親切な紹介ありがとうございます。本日この場で話す機 会を提供してくださいました工業所有権総合情報館様にも感 謝申し上げます。先ほどのAUTMの方の講演では、大学へ の支援とネットワーク化に重点が置かれていましたが、私の 話はまさにそれとつながります。今日は、ライセンス協会
(LES)のいわば姉妹組織とも言うべき国際ライセンス協 会(LESI)について、お話しさせていただきます。LE SIは、グローバル経済下での技術移転のライセンシング、
およびネットワーク作りを支援しています。私は名誉なこと に去年の9月までその会長をしておりましたので、LESI の活動に関して直接経験したことをお話しすることができま す。協会の目標は、あるいは決り文句と言ってもよろしいの ですが、世界中のライセンス専門家の連携に取組むことです。
連携のためにすべき事は何か、どんな方法で連携を進めるの か、また技術移転の方法や技術を発見する方法といった情報 に全員が接するのですから、専門家の連携は重要です。ただ、
LESは一種の連合体のようなもので、LESIが世界中で 支援と接触、ネットワーク化を提供し、ライセンス専門家の 連係のスピードアップと実現を助けようとしています。これ がLESIの目標です。
そこで、LESとは何かということですが、これは名前の とおりライセンシングのためのグローバルな活動組織です。
会員は個人であり、世界中でライセンス事業活動に活発に関 与している人たちです。事業活動というのが重要な点です。
会員は単に法律面の活動だけではなく、技術移転とその基に なる知的財産(IP)権の創造と保護に関係する事業活動に 関与しているのです。
次にLESIの使命に移りますが、これにはいくつかの目 標があります。LESIは、各国のLESを支援するNPO として運営されています。先ほども申しましたが、各国のL ESと協力して働く連合体であり、ライセンス交渉における 首尾一貫した、高い倫理基準を定めて普及させることで、例 えば日本ライセンス協会をはじめ各国のLESを支援してい ます。私たちは、各協会を維持し地元会員に関する必要なバ ランスを提供するように努力しています。このバランスは重 要なことです。バランスとは、協会を弁護士だけの組織、あ るいは実業家だけの組織にしないということです。結合体が 望ましいのです。協会は法務面のすべてに必ずしもこだわら ず、知的財産の商業化に重点を置いていますから、これを最 大に促進するには、実業家と法律家、あるいは、実際に取引 を実行しなければない立場にあり交渉の席に着く人が混ざっ ていること、ネットワーク化されていることが必要なのです。
適切な組合せを提供するとは、そういうことです。LESI はまた、国際的なレベルで必要に応じてリーダーシップを発
揮し、調整に努めています。
このように、私たちは世界中の会員の間、および各協会内 でのネットワーク作りを促進しています。その方法の一つと して、ライセンシングと技術移転の分野での教育を推進する 質の高い教育プログラムと内容を提供して、LESを支援し ています。これも非常に重要なことです。皆さんがよくご承 知のように、教育は私たちの事業に欠かせません。現在どの ような状況にあるのかを考えていただければ、お分かりいた だけるでしょう。物事は変化します。ですから、現在の状況 に遅れずに付いて行く必要があるのです。
やや話が逸れますが、この画面で皆さんにお伝えしようと 思ったことがあります。昨夜、私はアメリカ知的財産協会
(IPO)の報告書を受け取りました。つい昨日のことです が、ラスベガスの裁判官がレメルソン社の14件のコンピュー タビジョン特許を無効であり実施不可能だと宣告しました。
これは訴訟上の懈怠という法理に基づいています。皆さんの 中にレメルソン社のライセンスに関係されている方がいらっ しゃるかどうかは分かりませんが、ライセンシーの立場で関 係されているとしたら、当然良い知らせになります。これは、
私たちが推進しようとしている情報共有の一例です。
私たちの仕事を補強してくれる国際組織、あるいはこちら が相手方の仕事を補い、技術移転の分野で知的財産権(IP R)の価値と創造の認識を促すことのできる国際組織とも、
長期的な協力関係を築いています。
先ほども申しましたが、各協会はそれぞれの国における個 別組織ですが、LESIは国際的連合体として、いわば家族 のようにそれを束ねています。ライセンス協会は、知的財産 の商業化に本気で力を注ぐ組織がないことに気付いた、非常 に創造力に富んだ少数の者たちによって、35年から40年ほど 前に米国で設立されました。彼らが結成した組織が、後に 1965年に米国/カナダLESになりました。この活動は他の 国にも急速に広がりました。1972年には国際ライセンス協会 が結成され、この時に他の国でもライセンス協会設立の動き が生まれました。現在では、30カ国に30のLESがあり、会 員は世界の85ヶ国から集まっており、真の国際的ネットワー クになっています。承認された最新の組織は、2003年のイン ドとクロアチアのLESです。
LESIは、30の協会、85カ国から11,000人以上の会員が 集まる世界的なネットワークです。長年の間、会員にLES の重要課題は何かと質問した結果、2つの課題が繰返し返っ て来るのに気付きました。一つはネットワーク化であり、も う一つは教育です。
ネットワーク化とは、今日この休憩時間中にもするような もので、共通の問題を話し合い、事業機会の可能性に出会い、
あるいは、反対の助言を受け、コーヒーを飲みながら話し合 って結論を出すような機会のことです。このネットワーク作 りは重要なものです。私自身、ネットワークを長年活用して います。私が日本に関係してライセンスやIPRの問題に直 面した場合には、今日の聴衆の中にも私の日本人の友人がた くさんいらっしゃいますが、その友人たちに、「助けてくれ ないか、次にどうしたらいいだろう、助けてくれそうな人と して誰に話しをすればいいだろう?」と、気軽に電話をして 訊ねることができます。ネットワーク化とは、それを世界中 で可能にすることです。
教育も非常に重要です。各国は、独自の教育ニーズや目的 に対応しています。例えば、日本ライセンス協会には、米国 /カナダライセンス協会やその他すべてのLESと同様に、非 常に効果的な教育プログラムがあります。LESIがちょう ど展開し始めたことの一つに、ライセンシング基礎コースの 提供があります。これは、ライセンシングの基本を教える2 日ないし3日間のプログラムです。元は米国/カナダLES が開発し提供したプログラムですが、現在ヨーロッパで教育 に活用されていますし、日本でもこの2004年に初めて取り入 れられる予定です。この基礎コースの目標は、基礎知識を取 得する必要がある経験が1年未満、5年未満のライセンス実 務者を対象に、そうした基礎を教えて、私たちと同じ土俵に 立たせることです。これは、教育面で推進しようとしている 協力の一例です。
AUTMの調査が話題になった時にも話しましたが、米国 /カナダLESでは、大学関係者ではなく米国とカナダのL ES会員全員を対象として、ライセンシングで重要な資料項 目を決定するための調査を実施しています。4月にはこの結 果をご報告できるでしょうし、来年の今頃にはAUTMの結 果だけでなく、LES会員の調査結果に関してもさらに詳細 な報告が行なわれる予定です。この点には引き続き注目して おかねばなりません。
LESIの下に各国のLESがあることをお分かりいただ くために、ここは日本ですので、日本ライセンス協会の歴史 について少し触れさせていただきます。日本ライセンス協会 は、LESIの設立大会がロンドンで開催されたすぐ後、1972 年に米国以外で結成された最初のライセンス協会です。現在 では、LESIの中で最大規模の重要な協会の一つで、600 人を超える会員を擁しています。LESI総会を日本で開催 した時には、非常に活発に後援していただきました。ご存知 のように、東京での2回の総会を後援していただきましたし、
つい最近の2002年には、大阪で非常に印象的な国際総会を後 援いただき、各々の総会には85カ国ないし100カ国から600人、
700人、800人以上が参加しました。日本ライセンス協会は、
LESIファミリーに欠かせないメンバーなのです。
LESIの会員には多種多様な会員がおります。先ほども 申しましたが、けっして弁護士だけを会員に求めているわけ ではありません。企業の管理職もいれば、取締役、中小企業
(SME)の実務担当者、小さな事業の管理職、大学のライ センス担当者、大学技術管理者、ベンチャー企業への出資者、
発明家、会計士なども会員になっています。
私たちが対象とする分野は、今日注目を集める非常に活発
な分野です。具体的には、「あなたがこの知的財産をお持ち であることは分かりました、それで、どういった価値がある のですか? 売るとしたらどの程度の金額になりますか? 私 がライセンスを供与するとしたらどの程度の金額になります か? バランスシートにどう計上したらよいのでしょう?」
といった問題です。この問題は増加する一方です。2日前の ワークショップでも言いましたが、アメリカのある研究によ りますと、スタンダード&プアーズ500種企業の株式時価総額 に対する無形資産の割合は、この20年間で87%を占めるまで に成長しています。企業の資産は、有形資産として計上・評 価するレンガやモーターといった資産から、あらゆる分野の 知的財産へと比重を大きく移しています。そして、その資産 を今よりももっと正確に計上する必要が生じているのです。
LESには科学者やエンジニアの会員もいます。もちろん 弁護士もいます。私自身も弁護士で、機械エンジニアです。
私の親友には弁護士もいます。特許弁護士、商標弁護士もい ます。学者もいますし、政府の代表者、実際に取引をまとめ る技術ブローカー、コンサルタント、ベンチャー企業への出 資者もいます。つまり、非常に幅広い基盤に立つ組織なので す。これはネットワーク化の機会を高めるのに好都合です。
どの会議に参加しても職種の違う多くの人に会うことができ ます。ネットワーク化と事業機会、教育、共通の経験が、会 員であることの主な利益です。
LESIではまた、合計30の加盟LESの関心に応える分 野を発展させようと努力しています。LESIは、当然なが らライセンシング、技術移転、資産管理、技術開発に関心を 持っています。知的財産の保護とその評価にも関心がありま す。政府機関とも連携して、例えば、知的財産権が脅かされ ていると考える、あるいは、何か特定の社会運動なり政治運 動によって二流と見なされる可能性があると考える時には、
その懸念を表明しています。
LES全般、とくにLESIは、今日の職場に関係ありそ うな産業部門のすべてで活動するべく努力しています。情報 技術(IT)やEコマースの発展、著作権のライセンシング、
商標の販売促進、フランチャイズ、流通などの全産業分野を 対象としています。ですから、難しい技術移転だけを対象と しているわけではありません。異なる形態の知的財産権も関 心のある分野です。ソフトウェアのパッケージを手にすれば、
多くの権利が含まれていることが分かるとおり、このような ことが重要なのは明らかです。潜在的な企業秘密の権利や、
著作権、特許権も含まれています。ですから、そうした分野 すべてを対象にしなければならないのです。
次に30年間の展開の成果に移ります。LESIでは配布物 と呼んでいる刊行物を提供しています。Les Nouvelles、つま りニュースという名前の雑誌を四半期毎に発行しています。
これは、ライセンシングに係る問題点や記事を集めた非常に 専門的な雑誌です。皆さんにご一読をお勧めしますが、LE SIのウェブサイトでテーマ毎に検索することも可能です。
もちろん会員名簿も作成していますので、例えば、クロアチ アで相談したい人を見つけるのにも役立ちます。活動を要約 した年次レポートも作成しています。LESIだけでなく各 国のLESも、ウェブサイトを持っていますし、刊行物とニ