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イエットツー・コム・インク 最高経営責任者

ングを実施する環境作りに欠かせないものです。上級幹部が 支援を表明すると、先ほど述べたような達成不可能な目標を 設定するものの、ライセンシングを積極的に促進する姿勢が 現場に対する日常の業務命令には反映されないことが非常に 多い。変革が必要とされ多くの取り組みが行われていますが、

率直に申し上げると、それが幹部役員のレベルに留まってい ては何も変わりません。技術移転を通じてリターンを拡大す る必要性を、組織のあらゆるレベルに周知させます。

その上で大きな課題となるのが、知的財産部門の他にこの 話題に精通しているところがあまりないということです。顧 客とベンチマークの議論をすると、知的財産担当者は、研究 開発部の担当者を教育しなければならないとか、財務の人た ちは特許の維持コストしか見ていないとか、購買部はサプラ イヤーのIP要求をあまりにも簡単にのみすぎる、営業部は 顧客にIPの知識を漏らしてしまう、などと言っているのを 耳にします。もちろん、このサポートには投資コストが関連 します。

二点目は、技術ライセンシングの戦略の正解は一つではな いということです。どのような戦略を選ぶにしろ、それが全 体として企業の事業戦略の範囲に収まり、社内の研究開発・

活用戦略にも適合するものでなければなりません。現実には、

事業部の戦略がライセンシングに反対の立場を取っているの に、中央のライセンシング・チームがライセンスを後押しす るよう言われたりしているのです。

最後に、ほとんどの技術系企業は、社内知識の保護を優先 するという慣行のもと、これまで熾烈な競争を展開してビジ ネスを行ってきました。技術の交換はこの流れに逆行するこ とになります。企業は、ライセンシングの成功を報いる報奨 制度や奨励策を設けることが必要です。

2年前に行った創設メンバーの企業を対象とした調査で、

私たちはIPの担当者に、ライセンシングに対する上級幹部 のサポートに関して次の3点について尋ねました。主力技術 のライセンス供与、主力外技術のライセンス供与、そして技 術獲得の3点です。その答えがこちらの表です。真ん中の棒 グラフを見ると、主力外技術のライセンシングを上級幹部が 非常にあるいはやや支持していると答えた担当者が90%以上 に上っていますが、技術の獲得を支持しているという回答は わずか54%、主力技術のライセンシングを支持しているとい う答えになると36%という結果になっています。

ところが、主力技術は大半の価値が集結しているところで す。おかしなことに、担当者は主力技術の積極的なライセン シングを支持しない一方で、競合他社に不利な特許関連の主 張については一般的に支持する傾向があるのです。しかし、

差し止め命令によって相手に使用を中止させない限り、その 主張に基づくライセンスは、結局のところ主力技術のライセ ンスの一形態と化してしまいます。私たちは、主力外技術の ライセンスで商売をしているクライアントをたくさん見てき ましたが、一社としてそれを本当にビジネスとして成功させ ているところはありませんでした。もし、知的財産という資 産から最大限の価値を引き出したいと本当に思っているのな ら、特許権だけでなく、ノウハウをはじめ、商標など他の種 類の知的財産もライセンスするべきでしょう。企業は中核資

産のライセンスに不承ながら同意しているだけで、そのため に現在市場が低迷しているのだという点も見過ごしてはなり ません。しかし、最も価値の高いIPは成長市場にあるもの です。請求の範囲が最も広く、そして実に画期的な発明を供 する市場に存在するものなのです。

クライアントのP&Gは、自分たちの戦略について「うちに はあるが他社にはない」から、「うちにも他社にもあるが、う ちの方が速い」「うちにも他社にもあるが、うちの方が安い」

「うちにも他社にもあるが、他社が売る度にうちにお金が入 る」という方向に変わっていると述べていました。こうした 中核資産をライセンスした場合、その開発が本格化すれば最 も高い価値が得られます。デグナン(Degnan)、ホートン

(Horton)両氏が行った調査によると、技術がまだ試験段階 あるいは試作段階にある場合は、技術の実施料は20%安くな るとされています。完成段階の意匠や実験段階の技術になる と、減額幅はそれぞれ35%、50%少なくなるということです。

では、何が必要か。主力技術を活用できるようにするには どうすればよいでしょうか。ライセンシング部門と各事業部 の間で社内内部の調整を行うことです。事業部に戦略の策定 と実施に参加してもらい、製品や組織に関する知識を必要な ときに得られるようにしておきます。また、中央のライセン シング・チームのスタッフは、市場と基本技術の両方に関す る知識を十分に蓄え、社内の政治や物事の進め方などについ ても知っておくようにします。ライセンシングの好機が訪れ ても、事業部にとってはそれが最も受け入れがたいものとな る場合が多いからです。ライセンシング・チームは、独自の 調整方法を編み出さなくてはならないのです。私たちは、中 央のライセンシング・チームと事業部の双方が、ライセンシ ング資源として、ビジネス・技術・取引の経験を持つ人材に 積極的に投資するのが最良の方法ではないかと考えています。

この仕事には、知的財産のほかにも法律や取引など、多方面 の能力が要求されるのです。

実は、私たちの行った調査からも、事業部との調整がライ センシングの成否を分ける大きな要因の一つになっているこ とが分かりました。この表は、その調査の結果を示したもの です。成功を収めた企業の3分の2が、多くの事業部からラ イセンシングへの協力を得たと答えたのに対し、うまくいか なかった企業の場合はこの数字はわずか30%になっています。

しかし実際には、ライセンシングを支持する事業部が少ない としても希望はあります。私たちがクライアントに助言する ときは、そうした協力的な事業部に重点を置き、そこでの成 功を下敷きに変革を進めるよう言っています。

数値として出すのは難しいものの、技術の獲得はライセン シングと同じくらい重要なものだというのが私たちの信念で す。これまでに企業の慣行を変えて技術獲得をうまく推進で きた企業はほとんどありません。クライアントのフィリップ スは、皆さんも大方そうだと思うのですが、「ここで発明さ れたのではない」という社内の根強い見方を目の当たりにし て、「他から探してきた」という姿勢への転換に向けて努力 しているところだと話していました。報奨制度は、どこから であろうと問題の解決策を見出すよう奨励するのが本来の役 割なのに、内部での技術開発を奨励する制度になってしまっ

ています。

大手経営コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・

カンパニーの行った面白い調査があります。技術革新のプロ セスを外部に公開すれば、株主へのリターンが大きくなると いうのです。この調査で同社は、外部の技術を受け入れる姿 勢は、この表のY軸にとった製品寿命のサイクルに示される、

技術革新への圧力に関係があるとしました。半導体メーカー やコンピュータゲーム会社など最も動きの早い業界では、製 品のライフサイクルが最も短く、外部の新しい技術の活用も 進んでいることが分かります。

具体的に言うと、製品開発のプロセスを外部に公開してい る業界では、株主への利回りが大きくなる傾向があります。

この表は、株主に対する総利回り(TRS)について、新技 術の公開という点で先を行く企業とそれに続く企業とを比較 したものです。製薬業界の場合は、アクセスや外部開発は平 均を上回っていますが、トップとの差はわずか16%です。し かし、化学・ソフトウェア・半導体・自動車といった業界で は、利回りの点で2倍から3倍の開きがあります。迅速な製 品開発、独自の技術革新に結びつく技術の獲得は、どのライ センシング戦略にも欠かせないものなのです。

もちろん、こうした戦略はうまく実践することで生きてく るものです。実践に関しては、技術ポートフォリオにまつわ る機会の評価内容を踏まえてお話しすることにします。ライ センシングの手続きは長い時間を要するものですが、その姿 勢を臨時的・受身的なものから積極的な知的財産管理に変革 するにあたって最も重要になるのが、効果的な技術評価と機 会の評価という手順です。企業の中には、コンピュータのア ルゴリズムや純然たる内部の技術評価でこれを済ませると誤 認している向きもあります。

ライセンシングは、単に「自分が何を得たか」というより も、「顧客のニーズは何か」という競争的な要素が強いもの だと思います。多くの企業では、マーケットプル型よりもテ クノロジープッシュ型を採用しています。こうした外部環境 に対する理解は、IPの範囲やそのIPが市場にどう適合す るかという問題にも関係してきます。単に特許を取り巻く状 況を見直せばいいというものではなく、技術・法律・商業的 な状況も見直すことが必要です。

また、チャンスをふるいにかけることも重要です。この表 には、その手順を4つに分けて示しました。初めに150の技 術を特定し、これに条件をつけて50に絞ります。そこからラ イセンス事業の対象として選んだ20〜30のうち、10〜20の技 術が収益の上がるライセンス・ビジネスになるという仕組み です。10〜20件のライセンスを得るには、150件もの技術を 検討しなければならないのです。最初の手順では、市場のニ ーズに従って条件を設定し、その企業が知的財産を保有して いること、そして市場で何か面白い形で応用できないかを確 認します。次に、その技術を利用する事業計画について確か め、どのような条件で技術をライセンスするのかを把握しま す。最後に、その事業計画と価値をライセンシーが理解して おり、技術移転の条件が両者にとって納得できるものである ことを確認します。

技術のライセンスには何が必要でしょうか。特定できる技

術資産、市場に関する理解、成長市場のニーズ、人材が必要 です。市場のニーズについては、技術的に拮抗する強力な技 術が必要で、競争上有利な技術力が求められます。人材につ いては、優秀な技術者が必要です。また、発明者や科学者本 人に連絡できることが大切です。彼らは、ライセンシングの 機会を判断するのに極めて重要な役割を果たしてくれるでし ょう。

以上をまとめますと、幹部役員が組織慣習の変革をサポー トすることで必要な環境は整備されるが、主力技術を活用で きなければ、創出される価値はささやかなものとなり、長期 的な成功に決定的な影響を与えることになるということです。

主力外の資産をライセンスしても金儲けはできますが、それ を本当の意味でのビジネスに育てた企業はほぼ皆無です。社 内での調整をすすめ、ライセンシング部門が理解を深めて各 事業部と連携するよう努め、ライセンス戦略を理解して策定 することが、成功を導く秘訣です。マッキンゼーのデータの ところでも説明しましたが、技術を外部からライセンスする ことは内部の技術を供与するのと同じくらい、株主への利回 りという点で会社にとって役に立つところがあると思います。

長期的に見ると、以前の講演でもお話ししたと思いますが、

開発プロセスの資産創造の段階に知的財産部門を投入するこ とで、このサイクルを大いに高めることができます。それに は、技術チームや法律チームと連携をはかり、新たに生み出 された知的財産を効果的にライセンスできるようにすること が肝要です。

以上の戦略的な要因は、実践によって生かされるものです。

IP部門が請負う製品開発コスト――ライセンシング・チー ムには製品開発コストがありませんから、あるとすればIP 部門だというのが大勢の見方だと思いますが、つまり、製品 開発コストは、優先順位をつけ、利用可能な知的財産を絞り 込んで特定する行為なのです。業務体制をテクノロジープッ シュ型からマーケットプル型に変えてみてください。技術そ のものに価値を見出そうとするのではなく、市場にとって価 値のある技術を見つけるようにしてください。価値の低い機 会に大量の資源をつぎ込んでいる企業が多すぎます。ノーと 言えるようにすること。価値の低い技術はすぐに見切ること です。

イエットツー・コム市場の顧客には、2つの点に資源を絞 るよう薦めています。一つは、価値の高い技術。専門的なサ ービスを介してオンライン、オフラインの両方で積極的に市 場に出すようにします。二つ目は、市場に寄せられる技術ニ ーズを体系的に見直し、どれに応えられるかを見極めるよう にします。顧客の中には数百単位で技術を市場に出したとこ ろもありますが、そうすると事業活動や投資の焦点がぼやけ てしまいます。そうなれば、しかるべきサンプリングや機密 情報を十分にサポートする体制が整わず、事業部でライセン スの可否について決定がなされないまま、価値の低いビジネ スチャンスに次から次へ飛びつくという格好になってしまい ます。多くの技術を出しすぎると、かえってわき道に逸れ労 力を損なうことになるのです。最後に、効率的かつ総合的な 技術の開発・獲得、及びその選定プロセスが、実践に際して の重要要素であることを申し上げておきます。

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