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ves と「よ」

ドキュメント内 著者 野村 明衣 (ページ 179-183)

6. sabe(s) 、 entiendes 、 ves

6.6. ves と「ね」 、 「よ」

6.6.2. ves と「よ」

しかし、vesは「よ」に対忚する場合もある。

(190)‟ Andrea: Acuérdate... el año que viene contará los chistes y los demás le reirán las gracias, ¿ves?

(Solo mía: 30)

先に見たように、この発話は1年後の状況と現在の発話の一致を表すことによって、

より話し手の発話の信頼性を強めている。文末は、先行発話の内容に対する話し手の 判断を表す位置であり、この例における¿ves?は発話内容が視覚的に確認でき、聞き手 が理解できるものと示していると解釈できるだろう。そのように考えると、たとえ一

致を表す¿ves?であっても、話し手と聞き手の認識(知識)の不一致を表すことによっ

て、発話への理解を求める「よ」に対忚するのではないだろうか。

もう1例見てみよう。

(191)‟ Román: Tú por mucho que ahorres no te da ni para una mobylete, macho... (Señala la televisión.) mira Beckham, ése sí que ahorra, ¿ves?, ahorra unos millones de euros al año... Eso es ahorrar y lo demás tonterías.

(El penalti más largo del mundo: 139)

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(191)は、話し手がテレビに映るサッカー選手を指して「彼のように大金を貯金する のが本当の貯金だ」と主張する場面である。テレビに映るサッカー選手の映像によっ て、話し手の発話内容が理解できるものであることを示している。従って、この場合 にも「よ」に対忚すると考えられる。

このように、ves は一致したことを確認する場合、また文頭で用いられる肯定形の ようにこれから一致することを示す場合には「ね」と共通しているが、文末や文間の 例では発話への理解を求める機能を果たし、この機能を持つ「よ」に対忚すると言え るだろう。

スペイン語の sabe(s)、entiendes、ves は、発話内容への理解を求めるものである

が、sabe(s)は聞き手が発話内容を当然受け入れると期待して理解を求め、entiendes

は理解しがたくても理解するよう求め、ves は発話内容と状況の一致を確認したり、

発話を証明する状況を示すことによって発話内容への理解を求めるといった、異なる 視点から働きかける。これらはそれぞれ動詞本来の語彙的意味が機能の差を生み出し ていると言えるだろう。sabe(s)、entiendes、ves のいずれの場合も、ya や lo、me を伴うと聞き手が理解することを断定するという点では同様である(下降音調の

¿sabe(s)?も含む)。従って、疑問形の場合は聞き手にとって新情報、肯定形では既知

情報という現実の反映ではなく、話し手が情報を新情報として、あるいは共有情報と して提示しようとしているかどうかによって、疑問形か肯定形かを判断するのである。

現れる位置による機能については、これまでの定義とほぼ一致する。文頭では後続 発話への引き込み(注意喚起)、文末では先行発話に対する話し手の態度を反映する。

しかし、これまで見てきた¿verdad?や¿eh?とは異なって、sabes、entiendes、vesは 肯定形で用いられ、文頭で話題維持の表明や、文末で聞き手の理解を断定する。

なお、今回は文中、文間に関しては明確にその機能を示す例があまり得られず、本 論文における位置による機能の定義が当てはまるかについて詳しく考察することが できなかった。この点に関しては今後さらに考察する必要があるだろう。

以上のsabe(s)、entiendesの機能は表15、vesの機能は表16のようにまとめられ

る。

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表15 sabe(s)、entiendesと「ね」、「よ」のまとめ

sabe(s) entiendes ね よ

性質

知っているかを問題 にする

理解したかを問題 にする

話し手と聞き手の認識

(知識)の一致

話し手と聞き手の認識

(知識)の不一致

聞き手への注意喚起 疑問形

話題維持

肯定形 ×

注意喚起

(受けの確認)

¿sabes?↑ × ×

「よ」↑

¿sabes?↓

肯定形

× ×

「よ」↓

×

疑問形 ×

「よ」↓

×

肯定形 ×

「よ」↓

非難 ×

文頭や文中でsabe(s)は「ね」に対忚する。文末では、sabe(s)とentiendes のどち らも「よ」に対忚するが、sabe(s)とentiendesは理解を求めるプロセスが異なり、さ らに疑問形と肯定形では理解の求め方に差が見られる。

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また、vesの機能は以下の通りである。

表16 vesと「ね」、「よ」のまとめ

ves ね よ

性質 視覚的に理解した

かを問題にする

話し手と聞き手の認識

(知識)の一致

話し手と聞き手の認識

(知識)の不一致

発話内容と状況の一

致確認要求 ×

聞き手への注意喚起 ×

話題維持

肯定形 ×

注意喚起

(受けの確認) ×

疑問形

×

vesは、文頭や単独で「ね」に対忚する。単独の¿ves?は、離れた先行発話の文末と 考えることができる。しかし、文末に現れると発話内容の理解に関わるので、「よ」

と共通した機能を持つ。sabe(s)やentiendesのどちらとも異なるプロセスを経て聞き 手に理解を求めるのである。

sabe(s)、entiendes、vesは動詞の2人称単数の形式ではあるが、話し手が聞き手に

どのように理解してほしいかを表明するものである。特に、話し手の発話態度が現れ る文末という位置では、sabe(s)、entiendes、vesという語彙を積極的に使い分け、異 なる理解の求め方を示すのである。

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ドキュメント内 著者 野村 明衣 (ページ 179-183)