7. oye、mira、fíjate、verás
7.4. mira
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では、この視点からもう1度母語話者の作例を見てみよう。(202)では、話し手の感 嘆の内容に対して注意を喚起し、「残念だ」という気持ちを表現している。また、(203) のような何度注意してもやめようとしない聞き手への命令の場合、今言った命令を確 認するよう注意喚起して、話し手が苛立っていることを表していると考えられる。
(207)でも、話し手Bは問題の人物が翌日に来ないことを確認するよう注意喚起して、
聞き手を説得しようとしていると考えられる。
しかし、「よ」とoyeには異なる点もある。中﨑(2005: 80)は「よ」が「と思う」
テスト94でも確認できるように、聞き手のいない独話でも用いられると指摘している のに対して、oye の場合は独話では現れないと考えられる95。これは母語話者による アンケートでも明らかになっており、その理由はoyeが2人称túに対する命令法で あることによると推測される。
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明らかに異なる機能を持つと推測される。また大倉(1992: 5)は、「判断、主張、意 向、依頼などを表現意図として持つ発話が続き、情報入手のための質問は現れない」
と説明し、さらに「直前の発話は問いかけ、依頼、命令・支持のような相手への働き かけのあるものと、話し手の判断(断定・推量など)を表し相手への直接的な働きか けのないものとがある(大倉 1992: 6)」と述べている。miraの特徴は、先行発話に 関わるという点であり、情報伝達を中心とする oye とは異なって、「情報を提供する ことによって、相手の判断の修正を求める(大倉 1994: 136)」という。
7.4.1.2. 語用論的機能
Martín Zorraquino y Portolés(1999: 4180)は、miraの使用によって聞き手を話 し手の領域に引き込み、話し手の視点を示すと説明している。表 4 を見ると、mira は言明に多く現れ、大倉(1992: 5)の指摘通り質問にはほとんど現れない。miraの 場合は、話し手が持つ情報を伝達するだけでなく、聞き手に前提発話の修正を求めて 発話の理解へ導く。だからこそ、聞き手が情報を持つ質問とは共起せず、同じように 理解を促すfíjateでも言いかえ可能と説明されるのであろう。このことから、聞き手 を引き込むという規定は、話し手の持つ情報を理解させるために、聞き手を自分の方 へ引きこむことを意味していると解釈できる。また、話し手の発話への態度を反映し
(Pons 1998b: 189)、丁寧さ、親切、慎み、苛立ち、怒り、提案といった感情を表す
(Martín Zorraquino y Portolés 1999: 4182)というが、これはmiraの後続発話が 聞き手に説明や反論をする話し手の態度や感情を含むのであって、mira そのものが 親切や苛立ちを表すとは考えにくい。mira を用いるのは、情報を伝達する際に、聞 き手を話し手の発話内容に引き込むというプロセスを選択していることの表明なの である。
7.4.1.3. 位置による機能
mira は、文頭では注意喚起、発話権取得、前提修正発話の前置きの機能を持ち
(Fuentes 1990: 178、Pons 1998a: 222、大倉 1992: 4)、文中では、先のoyeと同様 に発話の一部へ注意を向け、発話を強調するという(Fuentes 1990: 179)。大倉(1992:
4)は、mira は発話の冒頭・途中には現れるが終結部分98には現れないと述べている
が、Pons(1998b: 189)は文末のmiraが強調や話し手の発話態度を表すと説明して
いる。また、Fuentes(1990: 180)によると文末に現れた場合、後に発話が続いてい る印象を与えるという。文末での機能に関して様々な記述が見られるので、実例を通
98 大倉(1992)による位置の分類方法は本論文の基準とは異なるが、挙げられている例を見ると、終結 部分と本論文の文末とは同様の位置と判断される。
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して考察する。
7.4.2. 実例による考察
7.4.2.1. 文頭での用例
では具体例を見ていこう。次の例は、話し手Raimundaが聞き手Reginaに頼みが あると伝え、聞き手が依頼内容を尋ねる場面である。
(212) [En el rellano de casa de Regina. Raimunda llama al timbre. Abre Regina, mantienen la conversación en la puerta. Regina lleva un conjunto superceñido, se
está preparando para irse a trabajar.]
Raimunda: Necesito que esta noche me hagas un favor...
Regina: ¿No puedes esperar a mañana?
Raimunda: No. Te pagaré, como cualquier cliente.
Regina: No, mi amor. Yo a ti te hago un descuento. No sabía que te iban las chi(l)las99...
Raimunda: Es que no me van.
Regina: Pues si no es para hacer un “pan con pan” (hace un gesto con las manos, uniendo las dos palmas) ¿qué cosa me estás pidiendo?
Raimunda: Mira, en el camino te explico. De momento, tenemos que meter el mueble-frigo en la furgoneta.
(Volver: 132- 133)
依頼内容は犯罪に関わることであり、玄関先では伝えられないので、聞き手に「道 中で説明する」と伝える導入としてmira が用いられている。直接聞き手の質問には 答えていないが、質問内容に関連する発話を導いている。母語話者に対するアンケー トでは、「このmiraをoyeに置きかえると、頼みごとをする場面としては厳しい印象 であり、不自然」という回答が得られ、oye が情報伝達のために注意喚起するのに対 して、miraは発話の理解へ導こうとする機能を持つことがわかる。
このことから、oye と miraの「注意喚起」は区別して用いる必要があると考えら れる。oyeは、大倉(1994: 138)の指摘するように談話の開始部に使用可能であり、
先行発話と後続発話を切り離して新規の情報を導入し、話題を転換することができる。
これに対して mira は、開始部ではなく用件部に現れて話題維持を表明する(大倉
99 Pronunciación cubana de la palabra chirla, con doble ele. En esta ocasión refiere a los genitales femeninos (uso vulgar, pero simpático) (Almodóvar 2006: 133)