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図5・12 衝突説による説明
また、次の例のように電流の強さによる違いと材質による違いを、別々のメタ ファーで説明する子どももいる。これは、状況依存性の一つとしてみると説明が つく。科学の世界においても、光を波動と見る見方と粒と見る見方が同居するよ
うに、子どもの説明にこのような同居があったとしても不思議ではない。
ただ、状況によって姿を変えるような見方は、存在メタファーそのものが揺ら いでいるのであり、子どもの電流に対する見方が未だ混沌としている証拠である
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ように思われる。目に見えない電気を、存在する物に見立てる難しさがここには 現れている。
図5−13複数のメタファーの混在
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〈6年2組の場合〉
課題4まで事象に基づいた一見科学的と見られる話し合いの様子が見られた 2組であったが、課題5では、だんだんと事象から離れていったようである。網 を持ち出すことで、うまく説明をしていたものが影を潜め、多様な考えに広がっ ていった。最初に網を持ち出したTくんさえも、つぎのような記述をしている。
図5−14 網を用いた説明
彼の説明は、無理矢理電車を用いたような感じがする。これも、教師側があま りにも比喩を奨励しすぎたからであろう。
しかし、2組の特徴は「電流の強さによる発熱の違い」と、「材質の違いによ る発熱の違い」の区別してとらえている子どもが多いことである。
これは、どのようなメタファーを用いるかに関わらない。何らかの区別を付け た記述が3クラス中出も多かった。どのようにして区別をしているか例を挙げよ
う。
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図5−15 区別している例(1)
これは、電流による違いは粒の量の違いで、材質による違いは網目の細かさで
ある。
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図5・16 区別している例(2)
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これも障害物を想定することで、材質による違いを説明している。この障害物 を用いた説明は、2組には非常に多い。この子どもの記述は、雷を粒のように描 いて、エネルギーの放出のような現象もイメージしているように見て取れる。し かし、粒の数で電流の強さを説明するのではなく、訂せられるパワーの違いのよ
うなもので説明している。
次に示す例は、粒の数が電流の強さによる発熱の違い、その粒が外に出ようと するはたらきの差が材質による発熱の違いで区別している。粒による説明は2組 でも多かったが、課題4では意志を持たない単なる粒で説明していたものが、課 題5では、このような擬人化した粒による説明が多く見られるようになってきた。
図5・17区別している例(3)
次に、より発熱するのは電流がどうなるからなのかということについて、全く 反対の見方をしている例を示す。最初の子どもは、電熱線の方が電気を通し翌 いからより発熱するのだという。それに対して、後の子どもは、電熱線の方が電 気を通しにくいから発熱するのだという。子ども達にとって、抵抗値が高い方が、
電圧が高くなり、その結果発熱量が大きくなることは、とらえにくい概念なのか もしれない。通りにくい方が発熱すると考える見方の子どもには比較的容易に理
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解できるだろうが、通りやすい方がより発熱すると考える見方の子どもには、ど うしてなのかよく理解できないに違いない。
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図5−18 通りにくい方がより発熱するという見方
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