ノニ!
=7
図6−8子どもの見方A
95
ひ
、
曜
図6−9子どもの見方B
,
、.
図6−10 子どもの見方C
96
図6−7のグラフを見ると、第1次授業とは違って、意外に乾電池貯蔵庫説を 持つ子どもは少ない。乾電池貯蔵庫説は、学年を越えて一般的に多く見られる見 方であるとは言えないようである。
AやBの見方をする子どもが多いということは、中学校での自由電子の学習に おいて、それほど抵抗なく概念の獲得が行われる可能性があるということではな
いだろうか。
ただし子ども達は、スイッチを切った状態でも導線部分に既に電気があるよう な記述をしていながら、「では、スイッチから乾電池までのこの部分の導線に電 気があるなら、電流計をこの部分に設置したら針が振れるということですか。」
の質問に対しては敵れない。」という答えが多かった。それに対して、「なぜ」
と闘かれてもうまく答えられなかった。これは無理からぬ事で、結局子ども達の 見方は未だ曖昧な状況で、構造を持ったメンタルモデルを確立できていないとい
うことだろう。
(3)モーター課題における子どもの見方
ここからは、ただ単に記述するだけでなく、概念的な葛藤をねらった課題とな る。モーター課題は、衝突説の克服をねらっている。衝突説では、なかなか説明 が付きにくいのがモーターの回転が逆になる事象だと考えた。電流が一方向に流 れることを認めないと、乾電池を逆にしたら回る方向が逆になることを説明でき ないという意図である。この場面での、子ども達への投げかけは次の通りである。
「モーターに乾電池を接続するとこのように回転します。この乾電池を逆向き にすると、このように回転がさっきと逆になります。電流がどのようになってそ ういうことが起こるのでしょう。もし電流が目に見えるとしたら、どのように動 いてそうなるのか絵に描いてみてください。」
このモーター課題によって子どもがどのような電流概念を持つに至ったか次 ページのグラフ(図6−11)で示す。(資料16参照)
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モーター課題における子どもの電流概念 50人
40人 30人 20人 10人 人
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衝 突
減 衰
循 環
単 極
子どもの電流概念類型
循 衝 共 存
不 明
図6−11
この課題によって、循環説がかなり増え、逆に衝突説はかなり減った。ねらい の通り、逆回転をうまく説明する見方として、循環説は受け入れられ、衝突説は 捨て去られたように見える。また、概念的な葛藤の途上にあると見られる循環・
衝突の共存した説明も見られた。
共存した説明とは、衝突するか循環するかで逆回転を説明するもので、最初は 衝突していたものが、乾電池の向きを逆にすることで、流れ方そのものが変わる
という説明であった。
しかし、衝突説を依然として堅持し、それで逆回転を説明する記述も見られた。
例えば、次のようである。
●プラスの電気とマイナスの電気という2種類の電気を想定し、プラスの電気 が回転の方向を決定する。
●同じくプラスの電気とマイナスの電気を想定し、そのエネルギーの差(たい ていプラスの方がエネルギーが大きい)によって回転方向が決まる。
●はっきりとプラスの電気とマイナスの電気とは言わないが、流れる電流の質 に違いがあり、その違いによって方向性が出てくる。
●最初は片道の電気だったのが、乾電池の向きを変えると往復の電気に変わる。
●乾電池の向きを変えると、粒の形が変わり、回転が逆になる。
●説明できない。
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依然として衝突説を保持する子ども達は、パワーの差や質的な違いを想定する ことで、一貫性を持ってモーターの方向性を説明している子どももいれば、ちぐ はぐな説明も見られる。一貫性のある自分なりの理論で整合付けることができた 子どもは、いよいよ強固に衝突説を支持するであろう。衝突説の克服をねらった 課題ではあったが、かなりの効果は認められるものの、それをかいくぐって説明 できた子どもにとっては、衝突説をむしろ強固にする働きを果たしたのかもしれ
ない。
さらにこの課題によって、単極説に至る子どもも出てきた。衝突説から2名、
減衰説から1名である。方向性に関しては衝突説よりは単極説の方が説明が付き やすいからであろう。
(4)乾電池直列課題における子どもの見方
乾電池直列課題とは、乾電池1個の時に比べて乾電池を直列に2個つなぐと明 るくなる事象に関して電流の振る舞いを記述する課題である。子ども達に対して は次のように投げかけた。
「乾電池1個の時の豆電球の明るさに比べて、乾電池をこのように(直列にし て)2建つないで豆電球をつけるとより明るくなります。電流がどのようになつ てこのようなことが起きるのでしょう。説明してみましょう。」
ここでも、これまでの自分のメタファー(雷・粒・流体など)を生かして、も し電流がそのようなものだとしたらどのように動いてこの現象が起きるのか絵 に描くように奨励した。
この間電池直列課題のねらいは、依然として衝突説を保持する子どもに概念的 な葛藤を生じさせることである。つまり、衝突説の子ども達は、乾電池の両端か らそれぞれ電気が出てくると考えている。もしそうだとすれば、直列につないだ 乾電池の間では、それぞれの乾電池から出てきた電流がぶつかってしまい、打ち 消し合ってしまうはずだから、豆電球が明るくなってしまうのはおかしいという 見方を期待しているわけである。
しかし結論から言うと、子ども達の概念に何ら影響を与えなかった。子ども達 は、「プラスの電気とマイナスの電気が、乾電池の間でぶつかって打ち消し合う から、明るさが増すことをうまく説明できない。」とは考えないのである。
子ども達の説明はこうである。
●プラスの電気とマイナスの電気を想定し、乾電池と乾電池の間ではそれぞ れの電流が交差して流れて行くから、豆電球には2番の電気が行くので明 るくなる。
●同じくプラスの電気とマイナスの電気を想定し、乾電池と乾電池の間でプ 99
ラスとマイナスが衝突して、それでパワーアップする。
この課題によって、期待したとおり乾電池の周の打ち消し合いという観点から 考えた子どもはわずか一人であった。子ども達はこの部分について、衝突説に都 合のよい説明を付けて、電流の振る舞いを解釈したのではない。この部分につい て、注目すらしていなかったのである。子どもの説明は二つ並んだ乾電池の両端 から電気が出てくる絵を描いているだけで、乾電池の間に電気の絵を描いている 子どもはほとんどいなかった。
教師の側から、「ほらこんなふうに考えたら、おかしいではないですか。」と、
こちらのねらっている考え方を提示したクラスがあった。そこで返ってきた答え は、「乾電池が2個になると、2個の乾電池が合体して、1個のパワーアップし た乾電池の働きをするんだ。」というものであった。子どもの説明ははまさに状 況に依存している。
この時点での子どもの電流概念は次の通り(図6−12)である。(資料16
参照)