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  第2次授業は、「アナロジーやモデルを概念の教授に利用する授業」である。第1次  授業は、子どもが自分なりの電流概念を獲得し、科学の営みに従事することが主眼であ  つた。これに対してこの授業では、子どものメタファーを生かしながらも、科学的な電  流概念の獲得を目指すことになる。

  第1次授業を終えて、残った課題を整理してみる。

  課題の一つ目は、子どもの電流に関する素朴概念をいかにして、科学的なものへと転  換させるかである。

  第1次授業の調査では、電流による発熱を語る以前に、電流そのものに関して科学概  念とは異なった見方をしている子供が数多く見られた。依然として「衝突説」「減衰説」

  「乾電池には電気が貯蔵されており、そこから電気が飛び出してきて、豆電球で仕:事を  して、帰ってくる。スイッチを入れるまでは導線の部分などには電気はない」などの素  朴概念が依然として保持されている。電流そのものに関して科学概念を獲得させた上で  発熱現象に入っていく必要がある。

  二つ目は、メタファー表現を位置づける場を、予測の段階に置くことの効果を見定め  ることである。

  第1次授業では、事象をメタファーで解釈する活動を中心に進めた。しかし、予測す  る方が効果的ではないかと考えられる。というのも、解釈の段階でメタファー表現をし  ても、確かめる活動がなくては、それはどこまで行っても想像の域を出ないと言うこと  が問題になるのである。そこで、第2次授業では予測の段階への位置づけを試みた。

  三つ目は、比喩を生かすとすれば、どのような形の授業がベターなのかという問に答  えを出すことである。

  比喩を介して科学概念の獲得を目指す授業には、教師側から科学概念のモデルを提示  していくパターンと、学習者が自ら生成・評価・修正していくパターンが見られる。電流  に関する知識が未だ十分ではない小学生に対しては、前者の要素が必要になってくると  考えられるというのは、第1次授業から得た結論の一つである。しかし、Wongの研究  に見られるように、ただモデルを提示するのではなく、学習者の比喩の生成をあくまで  も重視したい。それは、自己の電流のイメージに基づいて事象の解釈や予測を行う場面  を設定することで、提示されたモデルを受け入れやすくするはたらきがあるのではない  かと考えられるからである。それによって、概念転換を目指すことが可能になるように  思う。

  四つ目は、提示するモデルの開発である。

  モデルはあくまでもモデルであり、電流そのものではない。このことは、モデルによ  って電流の全てを理解することは不可能であるということを意味する。しかし、電流の  性質のある一面、例えば「電流が回路の中を一定方向に流れ、そして一定に保たれる」

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という一面に絞って、そこだけを理解可能にするモデルは作成することが可能である。

小学校の段階では、その程度の電流概念を獲得することが主眼になってくるように思わ れる。このねらいにそってモデルを作るならばどのようなものが考えられるか、試みた

い。

 ただし、比喩に関する危険性も承知しておくべきである。どのモデルもどこかで破綻 することから、理解と言うよりも混乱を助長する結果となる可能性がある。電流の全て

をこのモデルで説明できるわけではないことは、十分に説明する必要があろう。32  以上の諸点から、第2次授業のねらいを要約すると次のようなことになる。

1

2 3 4

科学的な電流概念への転換をどう図るか明らかにする。

メタファー表現を予測の段階に位置づけることの効果を見定める。

比喩を生かすという前提に立ったとき、どのような授業がベターか考察する。

提示する電流モデルを開発し、有用性を見極める。

第1節 調査・授業対象 1対象児童

   宮崎県内の中規模校小学校6年生3クラス(86名)

 この学年は、第1次授業を行った学年の一級下である。第1次授業と第2次授 業を比較することから、同じ6年生を選んだ。また、子どもを取り巻く環境がで きるだけ似通っている方が比較の妥当性の観点から望ましいと判断して、同じ学 校を選んだ。ただし、同じ学校の同じ6学年とは言え、第1次授業を行ったのは

1月から2月にかけての学年終了前、今回の授業は5月である。子ども達の知識 から言えば、第1次授業の子ども達の方が若干進んでいる。ただ、電気単元の学 習経験は、全く同じである。

2単元

  (1)単元名

   電流のはたらき(第3次 電流による発熱、第4次 電流に関するまとめ)

(2)指導計画

次ページ参照

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1

2

3 4

本時のねらい 電流に関する事 象をメタファーを 生かして記述する とともに、電流の モデルについて話

し合う活動を通し て電流の流れ方に ついて理解する。

電熱線が発熱し,

電流を強くする

と、発熱も強くな ることをとらえる とともに,電流に 関する応用課題を 解いて,電流に関 する科学的な見方

を深める。

学習内容及び活動 1 電流とはどういうものか話し合う

・○○のようなもの

衝突説や循環説 減衰説など

2 電気に関するいくつかの事象について自分のメタファ

ーで記述する。

2 電池の向きを変えるとモーターの回転が逆になる現 3

乾電池を直列に2個つないだら豆電球が明るくなる 4  豆電球の前に設置した電流計と後に設置した電流計

の針の振れが変わらない現象 3 電流のモデルを考える。

4 モデルを見て話し合う。

1  水流のモデル 2 ビー玉モデル

3  カーテンレールのモデル 4  電車モデル

5  チェーンモデル 5 二時のまとめをする。

1 二時の学習について話し合う。

2 電熱線に発泡スチロールをあてて切れる様子を観察し,

電流を流すと電熱線が発熱することをとらえる。

3 電流を強くすると発熱の程度がどうなるかをモデルを  通して予測する。

4 実験を行い,電流を強くすると発熱の程度も強くなるこ

 とをとらえる。

5 応用課題を モデルを通して考える。

1 一列になった三つの豆電球のうちもしひとつが不完 全ならば豆電球はひとつもっかない。もしそれらのう ちどれかひとつがっかなくても他は依然としてついてい るように 三つの豆電球を配列しなさい。

2 回路の3箇所の部分を指定し それらの部分の電流 の強さについて選択肢にて答える問題4問

6 本島の学習をまとめる。

※下線部分はメタファーを生かした授業プログラム

(3)単元選定の根拠

 本単元は、単元は1時授業と同じだが、小単元の設定は異なる。第一次授業では、

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電流による発熱を中心に構成しているのに対して、今回は、小学校の電気単元のま とめとして、電流に振る舞いについて学習する内容が多く位置づけられている。電 流の流れを含めて「電気とはどういうものだろうか」ということについて学習する 中の一つの現象として、発熱現象が位置付いている形である。

 このような単元構成にしたのは、第一次授業において発熱現象を記述することを 通して電流概念の形成を図ったが、発熱現象が衝突説によっても十分説明が可能で、

子ども達が科学的な循環説を持つには至らなかったことがその理由である。やはり、

電流の流れそのものについての概念転換を図るには、回路全体を事象として取り上 げる必要があると判断した。

第2節 事前調査

  1調査の目的及び方法

    この事前調査は次のような目的・方法で実施した。

●授業による電流概念の変容をとらえるために基礎データとして、事前  の子ども達の電流概念をとらえる。このデータは事前事後、および第  1回目授業の事前事後と同じ質問紙を用い、比較に役立てる。

  第1次授業と同じく、衝突説・減衰説・循環説・単極説などに分類

 する。

●メタファーの変容をとらえるための基礎データとして、事前に子ども  が電流を何に見立てているか調べた。この記述から、子どもの電流に  関するメタファーが何に基づいているかをとらえ、分類した。

 調査に使用したフォームは次の通りである。

問1 電流についてたずねます。下の文の空いているところをうめてください。

①電流は

②それは

のようなものです。

だからです。

問2 電流ってどんなものだと思いますか。下の図に自由に絵をかきこんで、

  図解してください。(以下書き込みのフォームは図4−2と同じもの)

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2調査結果

  (1)電流の流れに関する素朴概念

事前調査1

 60  50  40

 30

 20  10

 0