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國第1回目 國第2回目

電流の強さを説明する要素

      図7−4

 ここでの質問は「電流が強くなるってどういうことだと思いますか」というも

のである。

 第2次授業では、電流の強さについていろいろな要素を持ち出しているが、第 1次授業では、量という答えが多いのがわかる。多様なイメージが出てきた第1 次授業であったが、この点に関しては第2次授業の方が多様性が現れている。

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 このことは、モデルの提示があったかどうかの違いにかかっているように思わ れる。つまり、実物を使った作成されたモデルを目の当たりにした子ども達は、

電流の強さという変数の意味に何を付与するかということに対して、実際に見て いることから、多くの要素を抜き出すことができるのではないかと言うことであ る。例えば、水に関わる変数としては、水量、流速・水圧などがあるが、これら をイメージできるのは、実際に見ていればこそだと考えられる。

 第一次授業では、子ども一人一人が自分なりの電流概念を多様に持ったが、推 論に役立つメタファーの構造化に関しては、実際のモデルを提示することが近道 なのではないだろうか。

第3節  メタファーと形成された電流概念との関連 第1次・電流概念別メタファー

 50  40 数20 人30  10

  0

混  一㌧

   、r:毒

@ @ ・㌧     こ・ 一  鑑  毒       ・ ,羅

閣雷 團粒

□流体

[]線

團その他

循環説  減衰説  衝突説    子どもの電流概念

図7−5

第2次・電流概念別メタファー 50人

40人 30人 20人 10人  人

、≡、轍・

繋※1、・ 、

総繰 i・

囲雷 圏粒

□水流

□その他 圏不明

衝突     減衰     循環

  子どもの電流概念類型 図7−6

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 二つのグラフ(図7−5,7−6)を見比べて気づくことの一つ目は、、第2 次授業における循環説の子ども達が、粒に見立てることが少ないということであ る。(資料3,資料20参照)

 これは、電流の振る舞いに関して記述したり、予測したりするときのメタファ ーと庵流とはどんなものだと思いますか」と問われたときのメタファーの意味 合いの違いを示唆しているのではないか。つまり、電流による発熱を例に挙げる

と、発熱現象を説明するのに粒のメタファーをベースにした摩擦やぶつかり合い で説明したりするが、目に見えない電流を絵に描けといわれたときに、とっさに 頭に浮かぶのは、雷や水流なのである。なぜなら、粒は心ある存在物であり、ど う見ても電流は粒のようには「見えない」のである。もっと言えば、メタファー を生かした事象の記述や予測では、電流は粒とは違うことを前提に話を進めるが、

「電流とはどんなものだと思いますか」という問には、どこか目に見えない電流 を「見えるようにしなさい」というニュアンスがあるので、目に見えるようにす るならば、電流が見えた姿の一つである雷のようなものを描きたくなるのではな いだろうか。少なくとも、粒のような姿を描こうとはしないだろうと想像できる。

 このデータから見てとれるもう一つは、電流概念の類型とメタファーの類型と は、あまり関連は深くないだろうということである。それは、子どもの電流概念 が曖昧模糊としているからという理由が考えられる。言い換えれば、子どもの電 流に関する説明は、その状況に依存しており、決して一貫した説明を試みようと するわけではないという理由である。子ども達は事後調査に答えるよう求められ

たときに、それまで採用してきたメタファーに依った一貫性を意識することなく 説明をしてしまうので、電流概念別のメタファーにあまり傾向の違いが出てこな いのだと考えられる。

 また、一見特徴的と思われる第2次授業の粒のメタファーの少なさに関しては、

かなりの割合の子どもが循環説を支持していることを考えると、電流概念別の傾 向と言うよりも、学年全体に関する特徴なのかもしれないという理由も考えられ る。つまり第2次授業では粒のメタファーで考える子どもが少ないが、それは循 環説だから少ないのではなく、この学年全体に対してとった指導の手だてに依存 するのではないかと考える。

 第2次授業では、発熱現象における電流の振る舞いというよりも、むしろ回路 全体における電流の振る舞いを問題にした。その際、子ども達にとってより有用

なのは、粒のメタファーよりも水のメタファーである。多くの子どもは水のメタ ファーによって電流を理解した部分が多かったと言える。よって、水のメタファ ーをより受け入れたのは、この学年全体の傾向であり、循環説に基づく子どもに 限った傾向ではないと考える。

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