第2章 アクティブ MMI 型光 RAM メモリ素子の基本原理
2.2 MMI による横モード結像の基本原理
2.2.1 MMI 導波路結像の一般原理
本項の説明は論文[1]に基づいている。図2.3(a)に示すようなy方向に一様な構 造をもつスラブ導波路で、TE波がz方向へ伝搬する時の各モードのフィールド 分布と伝搬定数を考察する[1]。クラッド層の屈折率は nc、コアの実効屈折率は nr、導波路の実際の幅は WMMI、グースヘンシェンシフトを考慮した仮想的な導 波路の幅、即ち導波路の実効幅は Weである。二次元のスラブ導波路の TE 波は コアの中で
2 0
2 2 0 2 2 2
=
∂ + +∂
∂
∂
y r y
y k n E
z E x
E (2.1)
29
0 0
2 λ k = π
x jk x
jkx x
e
e Β
Α − +
を満たす。あるモードにいて考えると、モードは z方向に e-jβzの依存性を持ち、
x 方向の依存性を で表すと、式(2.1)は
(2.2) となる。ここで、
(2.3) である。モードの次数をiとすると(i=0,1,2,…), 図2.3(b)よりkxは次のような形 で書ける。
(2.4) ここで、Weは導波路の実効屈折幅で、TEモードの時、
(2.5)
である。
式(2.2)から伝搬係数を求める。
図2.3 (a) y方向に一様な構造をもつスラブ導波路。(b) i=0,1の場合のx
方向のフィールド形状。
(a) (b)
WMMI We
x z
0 x
We
i=0
i=1
2 2 0 2 2
r
x β k n
k + =
e
x W
π k = (i+1)
12 2
0)( 2 )
( − −
+
≈ MMI r c
e n n
π W λ
W
30
i π
L π i β i
β 3
) 2 (
0
≅ +
−
0 2
1
0 3
4 λ
W n β β π π
L ≅ r e
= −
式(2.6)は各モードの伝搬定数とモード番号 i に関係する二次式で近似されて いることが分かる。式(2.6)を利用して二つのモードのビート長を求めることがで きる。0次モードと1次モードのビート長Lπを次のように定義する[1]。
(2.7) 同様に0次モードとi次モードの伝搬定数差は
(2.8)
である。直線状導波路における任意フィールドは、モードの重ね合わせで表現 できる。式で表現すると、
(2.9) である。0次モードの位相を基準に考えると、他のモードと0次モードの位相差
は(2.10)のように表される。
(2.10)
即ち、 L z
π i ji
e 3 π
) 2 (+
は伝搬による位相差を表している。例えば、あるz位置において、
式(2.10)の値がすべてのモードで 1(中括弧の中が 2πの整数倍)となる時、入射端
と同じ形の像が形成される。
通常のMMI導波路の結像条件は
∑
−=
i
βz j i i
y x z c φ x e i
E ( , ) ( )
∑
∑
− − +− = =
i
L z π i ji i i i
β β j i z i
β j
y i π
φe c φe
e c z x
E ( ) (3 2)
0 0
) , (
2 0 2 0
12 2 2
2 0
2 2
2 0 2 2 2 0 2
4 ) 1 } (
) 1 {(
) } 1 {(
e r r
e r
e r
x r
W n
πλ n i
W k π n i
β k
W π n i
k k n β k
− +
≈
+
−
=
∴
− +
=
−
=
(2.6)
31
(2.11) である。光モードが MMI 入射して、MMI で伝搬して同じ形で結像するために
は、 L z
π i ji
e 3 π
) 2 (+
が2πの整数倍になる必要がある。即ち、
(2.12)
になる必要がある。この条件を満たすためには、LMMI =n⋅3Lπとなる必要があ る。入射位置が左右対称時の結像条件は
(2.13)
である。入射が左右対称の時、マルチモード導波路長が 1/4 の大きさで 1xN 分 岐構造が実現可能となる。即ち、
(2.14)
になる必要がある。そのため、LMMIは式(2.13)を満たす必要がある。
M 個入射で、N 個出力がある MMI 導波路において、入射した光を関数 fin(x) として表す場合、 Lπ
N
LMN = M 3 位置での出力関数はfout(x)の形で表すことができ る[5]。
(2.15) ただし、
] ) 2 ( exp[
3 ] ) 2
exp[ ( L j i i π
L π i
ji MMI
π
+
⋅ + =
π
MMI n L
L = ⋅3
4 3 π
MMI
n L
L = ⋅
4 ] ) 2 exp[ (
3 ] ) 2
exp[ ( i i π
j L L
π i
ji MMI
π
⋅ + + =
N π q M N φ q
N W N M q x
q q
) (
) 2 (
−
=
−
=
∑
−=
−
= 1
0
) exp(
) 1 (
) (
N
q
q q
in
out f x x jφ
x C f
32
である。ここで、q は 位置での結像の数、xqは入力光より出力光 がx方向での位置ずれ、φqは入力光と出力光の位相差を意味している。ただし、
Cは係数であり、像が逆位相で重なる時は、打ち消し合う、C = N である。こ の時、出力された各モードのパワーは
(2.17) と表す。
2.2.2 0次モードと1次モード光の結像
続いて我々が提案しているMMI導波路での0次モードと1次モードの伝搬の 様子について説明する。横モード間双安定レーザーを実現するには、0次モード 光と 1 次モード光が図 2.4 のように共通ポートから入射して、それぞれ異なる
π N L LMN = M 3
図2.4 MMI横モード双安定レーザーの0次モードと1次モード光の伝搬 予想図。0 次モードと 1 次モード光が共通ポートから入射され、
MMI導波路中心部で自己干渉を行い、異なるポートから出力され ると考えられる。
2
) exp(
) 1 (
)
( =
∑
in − q qout f x x jφ
x C P
] exp[
) exp(
1
0
0
∑
−=
+
−
= N
q
q q
MMI jφ
W π x j β L
j
C (2.16)
33
ポートから出力する必要がある。しかし、実際に 0 次モード光と 1 次モード光 が同じ入射位置から入射して、MMI 導波路内で干渉しながら伝搬し、ほぼ対称 して出力するのを実証することが難しい。そこで、我々はMMIの結像の条件に 基づいて、MMI導波路の幅と長さを決め、光の入射位置と出力位置を指定して、
それぞれの出力位置での各モードの出力パワーについて計算した。もし、0 次 モード及び 1 次モードの光の各自の出力端から出力されるパワーが同じであれ ば、独立した二つのモードとして伝搬できると考えられる。
解析をより簡単にするために、図2.5に示すように光のモード関数を-Wから W の範囲まで拡張して、-x 側は奇対称な形になるとし、境界条件 f(-W)=f(W)を 満たすと仮定する[5]。M個入射光のN 個出力があるMMI 導波路において、入 射した光を関数fin(x)として表す場合、位 置での出力関数はfout(x) が、
π N L LMN = M 3 1次モード
W x
-W 0
0次モード fin(x)
-fin(-x)
図 2.5 光のモード関数を-W から W の範囲まで拡張する時の説明図。
光のモードは-x側は奇対称な形になると仮定する。
∑
−=
−
−
= 1
0
) exp(
) 1 )(
1 ( ) (
N
q
q q
q in
out f x x jφ
x C
f (2.18)
34
であることを仮定する。MMI 導波路の幅をWとし、長さを3/4Lπとして、入射 ポートの位置がx方向の W/4の時、出力側のx方向の W/4と3W/4の位置での 出力パワーを計算する。ここで、コア層とクラッド層の比屈折率差が高いため、
導波路の幅を実効幅として仮定する。MMIの長さを3/4Lπとしているため、M=1 で、N= 4である。入力関数fin(x)がx方向のW/4位置から入射する時、伝搬方向 のLMMI=3/4Lπ位置において、q、xq、φqの値はそれぞれ(q=0, xq=-W, φq=0)、(q=1, xq=-W/2, φq=3/4π)、(q=2, xq=0, φq=π)、(q=3, xq=W/2, φq=3/4π))の四つの値を持つ。
x>0領域のみ考えると、
(2.19)
となる。これらのモードを重ね合わせると、伝搬方向がLMMI=3/4Lπ位置におい て、x方向のW/4の付近の出力関数は
となり、出力パワーPは
である。同じように、3W/4付近の出力関数及びパワーは
+ − + + − −
= )
4 exp( 3 2 ) ( ) exp(
) ( 4 )
exp( 3 2) ( ) 1 (
)
( W j π
x π f
j x π f
W j x f W x C f
x
fout in in in in
− − − − +
= )
2 1 2 ( 1
* 2 ) ( ) 1 (
)
( W j
x f x C f
x
fout in in (2.20)
+ − + − +
= )
2 1 2 ( 1
* 2) ( ) 1 (
)
( W j
x f W x C f
x
fout in in (2.22)
(2.21)
−
+
− −
=
+
−
− +
=
=
2 2
2 2
2
2 ) 2 (
) 1 ( 2
2 ) 1 4 (
1
2) 1 2 ( 1
* 2) ( ) 1 (
) (
x W W f
x f x
f
W j x f x C f
x f P
in in
in
in in
out
35
である。0次モードの場合は、fin(x) = fin(x-W/2), fin(x+W) = -fin(x-W/2)の関係が、1 次モードの場合は、 fin(x) =- fin(x-W/2)、 fin(x+W) = -fin(x-W/2) の関係がある。
式(2.20~2.23)を用いて x=W/4 と x=3W/4 の出力位置において各モードのパ ワーを計算した結果を図2.5に示す。W/4出力位置において、0次モードと1次 モードのそれぞれの出力パワーは(2.24)のように表される。
0次モード出力パワー: 0 ) ( )2 2
2 2
( f x
P = + in (2.24a) 1次モード出力パワー: 1 ) ( )2
2 2 2
( f x
P = − in (2.24b) 3W/4の出力位置においての0次モードと1次モードのそれぞれの出力パワー
は(2.25)のように表される。
0次モード出力パワー: 0 ) ( )2 2
2 2
( f x
P = − in (2.25a)
1次モード出力パワー: 1 ) ( )2 2
2 2
( f x
P = + in (2.25b) これは、0次モード光はx=W/4の位置からMMIに入射する時、x=W/4に出 力位置では入力パワーの約 85%、x=3W/4 の出力位置では入力パワーの約 15%
の出力があることを意味している。1次モード光は、0次モード光と逆でx=W/4 に出力位置では約 15%、x=3W/4 の出力位置では 85%の出力がある。アクティ ブMMIの発振は各経路の利得について考える必要があって、経路間の利得差が 3dB以上であれば、利得が高い方が安定した発振動作が期待できる[6]。0次モー ド光の場合、x=W/4 から出力される経路が x=3W/4 から出力される経路より
+
+
+ + +
=
2 2
2) 2 (
) 1 ( 2
2 ) 1 4 (
1 W
x W f
x f W
x f
P in in in (2.23)
36
70%以上強い、即ち二つの経路の利得差が7dB以上であるため、x=W/4の経路
が安定した発振となると考えられる。同じ原理で、1次モードはx=3W/4の経路 が安定した発振となる。その為、0次モードと1次モードの発振はそれぞれ独立 して、異なる経路を通って異なるポートから出力できると考えられる。